バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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種明かし

 四天王最後の一人、レオーネが場に現れたことでようやく会合が始められるようになったバベルの面々。

 そして、まず始めにレオーネに報告を促した盛周であったが――。

 

「そう言えばそれより先にすることがあったな――」

 

 そう言うと、彼は楓の方へ体を向けると。

 

「色々と黙っていてすまなかった」

 

 楓に対して深々と頭を下げることで謝罪する。それに慌てたのは楓だ。

 何せ彼女は、盛周が何を黙っていたのか、何をしていたのかを知らない。それでも、何らかの思惑のもと動いていたのは理解できた。が、そもそも彼女にとって自身が盛周の忠実な部下であることに変わりなく、そんな自身に謝罪をする理由など、と困惑していた。

 

「いえ、あの……。盛周さま?」

「それに今回はお前の忠誠心を利用する形にもなった」

「……は? えっ……?」

 

 続けて放たれる盛周の悔恨を感じさせる言葉を聞いた楓は困惑の度合いを深める。

 それをくすくす、笑って見つめるレオーネ。そして――。

 

「ねぇ、ご主人さま? 楓にはもうちょっと直接的に言ってあげた方が良いと思うよ?」

「……なんだと!」

「やぁん、怖いっ。奈緒姉ぇ~~」

 

 レオーネのどこかふざけた言い回しに、さすがに小馬鹿にされていることに気付いた憤慨する楓。

 そして憤怒の表情で睨み付けると、レオーネはさらにふざけた様子で奈緒に抱きつく。

 そんな二人のやり取りを聞いた奈緒は、呆れた様子でため息をつく。そんな彼女の態度にレオーネは。

 

「あっ、奈緒姉ぇ。ひっど~い。そんな態度取られるとボク、傷付いちゃうよ?」

 

 一ミリも傷付いた様子は見せないものの、そういうとさらに抱きつく力を強め、さらには彼女の慎ましやかな胸に顔を埋めて、頬擦りする。

 さすがにそんなことをされると思っていなかった奈緒は驚きの声をあげる。

 

「ちょっ……! ――ひゃんっ! レオーネく、んっ……! 何を――」

 

 そうして奈緒に対し、じゃれついていたレオーネを朱音は頭痛を感じたのか、頭を抱えて見ていた。

 そのまま一頻り奈緒の胸の感触を堪能したレオーネは満足した様子で彼女から離れると、思い出したかのように懐からとあるものを取り出す。

 

「あっ、そうだ奈緒姉ぇ。……はい、これ」

「はぁっ……、はぁっ……。なん、だい……? って、これは――!」

 

 レオーネの責めに息も絶え絶えになっていた奈緒だが、彼女が取り出したものを見て驚き、喜色満面の笑みを浮かべる。

 

「新型コア、ブラックボックスじゃないか――! しかも、持ってきたということは、もしかして――」

「うん、ガスパイダーのだよ? 最初見た時は本当にビックリしたよ」

 

 そう言いながら彼女は、奈緒にブラックボックスを手渡す。

 それは彼女がバルドルで、政府機関に提出する。という名目で預かった渚の戦利品だ。

 それを手渡したレオーネは楓に向かって勝ち誇った笑みを浮かべ――。

 

「楓はボクに感謝した方がいいよ~? なんてったって、ボクがあそこにいなければ大変なことになってたかもしれないからねぇ?」

「……ぐむっ」

 

 レオーネの挑発とも取れる言葉に口ごもる楓。

 事実、偶然とはいえバベルの最高機密になり得るアイテムが敵方に渡っていた以上、彼女はその事に対して反論する術を持っていなかった。

 その事を悔しく思いながら、断腸の思いで言葉を――。

 

「…………レオーネ、感――」

「あははっ、なんて、冗談だよ、じょーだん」

「……おいっ!」

 

 その言葉を聞いて憤慨する楓と、それを見てけらけらと笑うレオーネ。

 そしてなぜ彼女がそう言ったのかの種明かしをする。

 

「そもそも順序が逆だからね」

「……逆?」

「そうそ、そもそもなんであの時、楓に情報を流したと思ってるのさ?」

「……なぜ、だと? そんなものより正確な襲撃計画を練るため――」

「そうだね、その通り。そしてボクの後輩ちゃんたちに、()()()()()してもらうため、だよ」

「……適度に苦戦、だと?」

 

 レオーネの物言いに疑問を覚える楓。いくら彼女がヒロインとはいえ、その忠誠は完全に盛周へ向いていることは同志として理解している。だからこそ、あえてどっち付かずな態度を取ることに不信感を抱く。

 それを見て笑ったレオーネは、真の目的。あの時考えていた策謀について話す。

 

「……力をつけた秘密結社、彼らに苦戦するヒロインたち。そこに颯爽と援軍に現れる行方不明だった最強格のヒロイン。……なんて、すごく()()()感じじゃない?」

「……まさか、お前!」

「……人は見たいようにしか見ないし、信じたいようにしか信じない。至言だと思わない、楓?」

 

 そう言ってにたり、と悪辣な笑みを浮かべるレオーネ。

 そう、彼女が言うとおり、簡単に言ってしまえば自衛隊駐屯地、ならびに今回の襲撃。それらはレオーネがバルドルに合流(潜入)するための当て馬として計画されていたのだ。

 もっとも、彼女にとっても想定外のことはあった。それは――。

 

「まぁ、あそこでご主人さまが出てくるのは、完全に予想外だったけどね」

「……よく言う。ある程度予想はしてたのだろう?」

「まさかっ! ご主人さまが来るって分かってたら、もう少しおめかししてたよ?」

 

 そう言って化粧を施す仕草をするレオーネ。

 そんな本気か戯れ言か分からない彼女の仕草を見せつけられた盛周は肩をすくめる。

 

「ま、ご主人さまのお陰で話が進みやすくなったのは確かだけど。……新しい大首領を撃退した稀代のヒロイン、なんて箔もついたし、ね」

 

 ほんと、お陰でトントン拍子で話が進んで助かったんだ、とにへら、と笑うレオーネ。

 それを見て楓は深々とため息をつくのであった。

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