バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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今後の指針

 青木奈緒にとって、教育を施した草壁楓と保護しなにかと気に掛けていたレオーネも、どちらもかわいい妹分と言えた。

 特に楓は気付いていないようだが、レオーネが楓に手を出すのも愛情の裏返し。姉の気を引くため構って、とせがんでいるようで微笑ましかった。

 だからこそ、生暖かく見守っていたのだが……。

 

「相も変わらず、仲が良いねぇ……」

「ちょっと奈緒、もうそろそろ止めるべきじゃなくて?」

 

 染々と感慨深そうに呟いている奈緒に朱音から突っ込みが入る。

 先代からの大幹部二人からすると、彼女らのじゃれ合いは微笑ましいものではあるが、今はバベルの今後の活動についても話し合うべき会合なのだ。

 それをじゃれ合いで浪費されても困る。

 

 事実盛周も二人のじゃれ合いを、どこか困った様子で見つめているではないか。

 確かに朱音の言うことが正しいと思った奈緒は、未だじゃれ合っている二人へ声をかける。

 

「二人とも、そこまでにしようか? 流石にこれ以上時間を浪費するのは許容できないだろうからねぇ」

「「――!」」

 

 奈緒の言葉にじゃれ合っていた二人、楓は恥ずかしそうに頬を染めながら俯き、レオーネはバツが悪そうに顔を背けているが、彼女もまた楓と同じように頬を染めていた。

 そんな二人を見て苦笑いを浮かべる奈緒。しかし、そこで盛周の声が聞こえてくる。

 

「それでは今後について指示を出す。まずレオーネ」

「……は、はいぃ」

 

 先ほどの醜態もあり、力ない返事をするレオーネ。

 そんな彼女の状態に苦笑しながらも盛周は彼女への指示を告げる。

 

「……レオーネには今後も継続した潜入と、そしてもう一つ。今回のことについて確認を取ってほしい」

「今回のこと……。バルドル援助の件だね、分かったよご主人さま」

「うむ、次に朱音」

「はっ――!」

 

 先ほどのレオーネとは違い凛々しい返事をする朱音に、盛周は満足げに頷いて指示を出す。

 

「貴女には継続したシナル・コーポレーションの発展と資金管理。まぁ、現状維持だな。だが、それが大事でもある。頼めるか?」

「もちろん。お任せください大首領」

「……頼もしいな、では次に奈緒」

「はいはい、何かな大首領?」

 

 奈緒の飄々とした態度に苦笑を覚える盛周。そのまま彼は指示を与える。

 

「博士も基本は現状維持。怪人の製作、改良を行ってもらう。ただ――」

「ただ……?」

「今後は平行してシナル・コーポレーションにて販売する()()の開発もお願いしたい。お前にだけ負担が増えるが出来るか?」

「もちろん! バッチコイだとも!」

 

 負担が増える、という言葉に反応したのか奈緒は嬉々とした表情で瞳を爛々と輝かせている。

 だがすぐに正気に戻ると盛周に対して疑問を呈する。

 

「ん、でも。その商品について、なにか指針はあるのかい? なければこちらで勝手にさせてもらうけど」

「商品についてだが、最優先は自衛隊などに卸す武器や補給物資だ。そして余力が出来れば服飾関係、これは自衛隊の武装に施した防刃、防弾能力を可能な限り入れつつも、コストダウンさせた廉価版。同時に自動車関連、特に輸送車。トラックなんかの装甲を強化したものを開発してほしい」

「……了解、了解。基本設計した後はシナル・コーポレーションに丸投げで良いんだよね?」

「あぁ、あくまで()()()()()できるレベルの物が望ましいからな」

「あいあい、任されたよ」

 

 盛周の回答を得られた奈緒は満足そうに頷いている。そんな彼女を尻目に、盛周は最後の一人。楓へ指示を出す。

 

「さて楓、最後に君だが――」

「はっ!」

「基本は今までと同じ襲撃計画の立案、実行を担当してもらう。だが、君にも一つ追加で指令を与える」

「何なりと」

 

 楓のやる気が満ちた様子に満足げな盛周。そして彼は次に、なぜか奈緒へ声をかける。

 

「博士、今度シナルから自衛隊に渡す予定のパワードスーツ。あれの強化版、どこまで完成してる?」

「あぁ、あれかい? あれなら、ほぼ完成で後はテストのみだよ」

 

 それがなにか? と首をかしげている奈緒。

 盛周はそんな奈緒の答えを聞いて、決心がついたようで楓にもう一つの指示を出す。

 

「それじゃ、楓にはそれのテストをしてもらうか。……()()()、という形になるが」

「……は? 実戦、ですか?」

「あぁ、今後楓については、前線に出ることも視野に入れて計画を立案してもらう。そしてその目的は――」

 

 盛周が話した真の目的、それを聞いて驚く楓。だが、彼女はすぐさま獰猛な笑みを浮かべ、彼が述べた指令を拝命するのであった。

 

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