バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~   作:想いの力のその先へ

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乱入

 地面に足を踏みしめると、どん、という衝撃とともに一瞬にして間合いを詰めるルビー。そして彼女は、サイキックエナジーを纏わせた拳にて殴り掛かる。

 

「や、あぁぁぁぁぁぁぁ――!」

「……っ!」

 

 それをいなし、迎撃し、時に回避するサファイア。

 だが、それでも攻撃の圧が凄まじいのか、彼女の髪が暴風にさらされているかのように、激しく揺れ動いている。

 

 ――ラッシュ、ラッシュ!

 

 拳が、蹴撃が、時にはタックルの雨あられがサファイアに放たれている。

 それもなんとか紙一重で回避しているサファイア。だがその顔に余裕はない。

 今は回避で手一杯であり、なんとか反撃の糸口を探しているが……。

 

「くっ……!」

 

 苦悶の声を上げるサファイア。それほどルビーの連撃は凄まじかった。しかし――。

 

「…………!」

 

 攻撃を加えている筈のルビーもまた、どこか焦りの表情を見せている。

 今でこそ攻撃のラッシュで流れを作っているが、それが途切れた時、サファイアの反撃の好機になるのは理解していた。

 それまでに有効打を与えたくはあるのだが――。

 

(……やっぱり、サファイアは()()

 

 なんとか有効打を与えようとしているルビーだが、時に防がれ、時に攻撃を誘導され対処されてしまっている。

 もともとサファイアはルビーと違ってサイキックエナジーを使ったバリアなどの防御手段を持たないため、どうしても回避主体になる。

 そしてそれはどうすれば攻撃を回避しやすくなるか、どうすれば己が優位に立てるか。という戦略眼を育てる結果となった。

 その結果どうなったかと言えば――。

 

(……こうも対処されると、本当に戦いづらい――!)

 

 ――彼女の優れた戦略眼は、戦場を支配し、常に己にとって有利に戦えるような立ち回りが出来るように昇華されていった。

 それは即ち、一つの極致。奥義ともいって差し支えない。

 それほどの力量を彼女へ与えたのだ。

 そのことに驚嘆を覚えるルビー。しかし――。

 

(……やっぱり、ルビー。ここまでとは――!)

 

 それはサファイアも同じことだった。

 

 ルビーがサファイアに驚嘆を覚えているように、彼女もまたルビーに対して驚嘆を覚えている。なぜなら――。

 

(今までの彼女なら、もうそろそろ崩れる筈なのに……!)

 

 サファイアが頭脳によって戦場を支配しているのなら、ルビーは直感によって支配している。

 彼女は己の第六感、超能力による擬似的な未来予知によって常に相手に対して最適解の行動を取っている。

 つまり、彼女は勘だけで時にサファイアの思惑を、支配を上回り、先を行ってみせる。頭脳派泣かせの戦士だった。

 だからこそ彼女は単独で多くの怪人を、そして自らと互角の筈のバベル時代のサファイア相手に勝利してきたのだ。

 

 予測し、対策することで優位に立つサファイアと、そんな彼女の予測を上回ることで優位に立ってみせるルビー。

 水と油といえる二人だが、ともに戦う時だけはなぜかかっちりと填まる歯車のように、互いの短所を補い、長所を伸ばし合うように立ち回り、長年の相棒のごとくサポートし合える関係になる。

 それが面白く、そして凄まじい二人だが、今は仮とはいえ敵同士。

 互いに勝つため、最適な手を打とうと奮戦するが――。

 

 ――サファイアがコメットを短銃に変形し、発砲。しかし、それはルビーの張ったバリアに防がれる。

 ――お返しとばかりに、ルビーもサイキックエナジーを、出力を絞ったサイコ・バスターを放つが、それを予測していたサファイアは余裕をもって躱す。

 

 ルビーが、サファイアが、またルビーが、と交互に攻撃を放つ両者。だが、両者ともに時に直感で、時に思考で感じとり防ぎ、躱し、捌いていく。

 それはまるで輪舞曲のように終わらない舞踏。見る者を魅了する演劇のようであった。

 

 何度かの激突の後、再び二人は距離を取り仕切り直しを行う。

 そして、ふたりが決着をつけるべく駆け出そうとした時――。

 

「――へぇ、面白そうなことやってるね?」

 

 不意に二人の耳にそんな声が聞こえてくる。

 

「「えっ……?」」

 

 驚き、声が聞こえてきた方向を見る二人。そこには……。

 

「レオーネ、さん?」

 

 二人の先輩であるヒロイン、レオーネの姿があった。

 そして彼女はいつの間にか構えていたデスサイズを突き付けると――。

 

「どうせなら、ボクも混ぜてよ?」

 

 そのまま二人に向かって突進する――!

 それを見た二人は慌てて迎撃体制を取るのだった。

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