傘売りは、早くこの街を出ようと考えているが、宿の女将に止められる。
「あんた、しばらくは、この街を出れないよ。」
「なぜだ。」
「フー、簡単なことさ、今の時期は、流れものが多く集まる。だから、ほら、見てみな。」
傘売りが、宿の二階から覗く。すると、怒号が飛びあっていた。そして、昨日と同様に二人の男が構えていた。女将の話曰くちょっとの弾みで命の取り合いに発展するみたいである。つい、このあいだも、単なる旅人が、つい肩が当たっただけで、切り殺されたらしい。
「この街には、奉行は、居ないのか。」
「いたら、こんなになんないよ。それに、奉行所を構えたところで戦の生き残りの賊どもに勝てるわけないだろう。」
「そうか、しかし参ったな。」
「もし、抜けたいなら自分の腕で切り抜けるしかないよ。」
「う~ん。」
傘売りが、頭を抱えてると、また新たなる勝負が始まっていた。その様子を見ると、昨日の侍が、相手をしていた。
「おい、腕試しだ。かかってきな、時代遅れの侍。」
「ふん、侍を捨てたお主には、負けんよ。」
「「いざ。」」
こうして、または、戦いが始まる。侍の刀は、美しく輝く。 そして、一瞬光ったかと思ったら、鞘に納めていた。野次馬の殆どが、侍が勝負をあきらめたのかと思った。
「あいつ、凄い腕だな。」
「あら、お前さんも分かったのかい。」
「ああ。というか、女将も?。」
「あたしは、長年見てるからね。太刀筋が見えなくとも分かるよ。傘売りさんは、分かるなんて、あんた、ただの職人じゃないね。」
「それは、言えんな。」
「ま、何でも良いけどね。」
そのあと、町を少し歩くと、肩を叩かれる。振り替えると、体の大きな男が、いた。
「何か用か。」
「お前、金持ってるだろ。痛い目に、会いたくなければ、金を全て置いてけ。」
「断る。」
「ほー、なら死んでもらうぜ。おい、今からこの街のルールに乗っ取って、このもやしとやるぞ。」
大男が、声を挙げると野次馬が集まり、二人を囲む。
(なるほど、逃げ道を塞ぐ意味もあるのか。)
「おい、今からでも遅くねぇ。さっさと、金目のもの捨てていきな。」
「ち、面倒だな。良いから、掛かってきな。やるんだろ。」
「ああ、それじゃあ行くぞ。」
大男は、体当たりを仕掛けて来た。それを上手く避ける傘売り。その勝負が、一種の出し物に見えたのか、野次馬が盛り上がる。そして、遂に大男が武器を出してきた。
「はぁ、、、はぁ、、これで終いだ。」
「ふー、はっ。」
傘売りは、大男の初手を受け流し、大男を倒す。その後、武器を奪い。刃のない方で気絶させその場を去る。そして、しばらく歩くと、また肩を叩かれる。
「もう、いい加減に。」
「よ、お主の試合見させて貰ったぞ。やはり、ただ者出ないな。わしは、双六という。よろしくな。」
「ああ、よろしく。」
「いやぁ、お主。武器を出さずに勝つなんて、どこの流派なのだ?」
「さぁな、覚えてね。用がないなら、行くぞ。」
「まあ、待て。実は、依頼をしたいんだ。」
「依頼?。」
「ああ、主は、傘売りなのだろう。だから、新しい笠を欲しくてな。」
「それなら、見せで買えば良いじゃねぇか。」
「いや、少し刺繍施して欲しくてな。詳しくは、店で酒でも飲みながら、聞いてくれ。」
「ああ、わかった。」
この後、酒を酌み交わすことになった。