ゴロツキ共との一戦後の傷から回復した傘売りは、仕事に取りかかる自分の命を救い、共に共闘してくれた戦友との約束を果たすために。今回の依頼は、なかなかの難しさである。なんせ、普通の笠に色々な細工を頼まれているからである。少しすると、まちが仕事場にやって来た。
「お前さん、そろそろ昼になるよ。一旦休憩をしないかい?」
「ああ、まちさん。すまない、この仕事だけは、早く仕上げて戦友に渡したいんだ。」
「そうかい。なら、握り飯とおかずを作ってくるからね。ちゃんと食べなよ。」
「ありがとう。かたじけない。」
「ふふ笑ハイハイ」
それから、作業は捗り笠の仕上げを早めることができた。そして、作業を進めて数日後。
「よし!!完成だ!」
「お疲れ様、お前さん。なかなかの良い笠じゃないか。」
「ああ、これを届けないと「おっと、待ちな!」!?。」
「お前さん、ここ最近まともに寝てないんだ。今日は、ゆっくり休みなさいな。」
「しかし!」
「しかしも何もないよ。お前さんが道端で倒れたらそれこそ約束を破ることになる。それに、私はそんな事をしたら許さないからね。」
「うっ、わかった。明日にするよ。」
「うん!よろしい。」
こうして、笠を完成させることができた。その日は、まちの圧力に負けて休むことにした。次の日、笠を届けるために、身支度をしていると置くからちょっと、包みを背負い遠くまで歩けるような格好したまちが立っていた。
「おや?どこかに行くのかい?」
「私、今回の旅に着いていく!!」
「!?どうしてまた?」
「今回の依頼人は、お前さんの命を救ってくれた人だろうその人に何も挨拶もなしに夫だけを行かせるなんて、妻として恥になりまする!。なので、今回は、私も同伴させて貰います!!良いですね!」
「どうぞ!」
こうして、まちも一緒に依頼をしてきた双六の居る町に向けて足を進める。道中は、妻の心配をするが、まちは、傘売りの斜め上を行くほどの肝が太く、強くたくましい女であることを再認識する。また、道中は、やはり険しく歩きづらい所で溢れている。さすがのまちも、苦戦しているため、そこは手を貸して互いに助け合って進んでいく。そして、目的の町に到着する。二人は、依頼の約束の所へ向かう。傘売りが言われた通りの建物を探すと、一際広い屋敷に近いところに着いた二人。
「お前さん、本当にここかい?何か、すっごい!屋敷に来てしまったよ!」
「けど、言われた場所と貰った紙にはここしか?」
二人が困惑すると、扉が開いた。そして、1人の使用人っぽい人物が現れた。