「旦那様から言伝を貰っています。どうぞ中へ。」
二人は、使用人に連れられ建物中へ入った。なかは、色んな人に溢れていた。そして、使用人に案内された座敷に入る。
「ここで、お待ち下さい。」
「わかりました。」
そうして、使用人は廊下に出ていった。二人は出された粗茶を飲みながら時間を潰すと、足音が聞こえて来た。戸が相手目当ての人物に出会う。
「よく来てくれた。傘売りさんと奥方どの」
「旦那様を助けていただき有難うございます。」
「いや、気にするな。拙者も所々お世話になったからな。」
「双六、頼まれた品だ。これで良いか、最終確認してくれ。もし、何かあるなら作り直す!」
「いや、これは文句の付け所のない立派なものだ。むしろ、文句をつけるやつがいるなら、そいつはよっぽどの罰当たり者だろう。」
「そうか、そう言って貰って助かる。」
そして、そのまま三人で談笑する。出会った人達、そこでの出来事。三人が、話に華を咲かせていると。障子の戸から使用人の声が聞こえた。
「旦那様、奥様と若が帰って来られまし「父上ぇぇぇぇぇ。」」
扉がバーンっと勢いよく開かれる。すると、竹刀を持った幼い少年が立っていた。
「父上、帰って来たなら私と戦ってくれ。」
「こら!お客様がいる。挨拶しなさい寅。」
「あ、すみません!私は、寅之助。どうぞ、お見知りおきお。」
「いや、元気で何より寅之助。俺は、傘売りの甚八だ。こっちは、妻のまちだ。」「よろしく、寅之助君。」
「よろしく、お願いします。」
そして、奥からまた1人影が現れた。
「こら!寅之助!勝手に1人で走らない!今日は、良いと言うまで説教します!」
「母上、ご勘弁を。」
「ちょうど、良かった。華、こちら甚八どのとまちどのだ。」
「あら!嫌だ!私ったら人様の前でお恥ずかしい!双六の妻の華です。よろしく、甚八さんまちさん。」
「こちらこそ!」
「さて、寅!説教するから来なさい!」
そのまま、連れられる寅之助。
「元気な子だ。まさか、双六どのに妻と子がおるとはな。」
「いやぁなに、ちょっとした腐れ縁よ。」
「それにしても、まさか双六どのがこんな大きな家をお持ちとは。」
「拙者は、代々道場をやっておっての。それで生計を何とか立てられる。」
「はぁ、凄いな。」
そして、会話がまた弾み盛り上がりを見せた。そのまま、時間が進み夕暮れに。
「もうこんな、時刻か。甚八どのまちどの。今日は、遅い。せっかくだから家に泊まっていってはどうだろうか?」
「それは、かたじけない。」
「ありがとうございます。」
こうして、二人は双六の家で泊まることになった。