ペルソナ3 ~愚者と破壊者は旅をする~   作:Third+s

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取り敢えず書き溜めを小出しします。覗いてつまらないならバック願います


序章ー役者は知らず、歯車は廻る

果てしない荒野ーーそこは今戦場と化していた

 

赤と黒の龍、奇怪な空を走る列車、ビルの一部分が胴体のヘンテコなドラゴン、地を走るは様々な鎧を纏いバイクに跨がる謎の戦士たち。それらの一団は、各々の力の限りを振り絞り、共通の敵を目指し武器を構え、戦う

 

 

たった一人の"マゼンタ色の仮面の戦士"という敵を目指して

 

 

ーこれは夢?ー

 

 

それは誰の疑問なのか、答える者はいない。その中でも、世界は動きを止めない

 

 

《うあああああ!!》

 

ー1人で倒してるよ、あの人数ー

 

 

その圧倒的な強さにより現実味を感じなくなった何者かは、今の光景に疑問を抱く

 

 

ー漫画の読み過ぎ?てかこんなもん見てるなんて可笑しなもんだなー

 

 

そう思って他人事の様にボーッとしながらその成り行きを見ていると、ものの数分で1人が多を圧倒してひれ伏させた。そんな戦火を悠々と歩くマゼンタの戦士、だがその何者かは不意に自らの下腹部に巻かれたベルトの中央に手をかけ、両端を開くような動作を見せると、鎧が突然十個のシルエットに分離し、人間の姿になる

 

その時、鎧を解いた人間は何故か"こちらと目があったまま"微動だにしなかった

 

 

 

 

 

2009年4月6日(月)

 

「…zzz、んにゃ…?」

 

 

ガタンゴトンと体を揺らされ、不意に目を覚ました青年。彼は口によだれを垂らして情けない顔をしていたが、目的の駅に到着したと知り、慌てて口元を拭いつつ電車から降りていた

 

 

「夢、かぁ…何だったんだ?」

 

 

時間はかれこれ深夜0:30。終電ギリギリに目的地に到着した事に少なからず安堵した青年は、目的のとある寮に向かって歩き出した

 

 

「しっかしこの辺ってすげえな。深夜でも騒がしいったら無いぜ」

 

 

手元の地図を使い、活気の溢れる街を歩く青年。そうして少しすると、彼はとある一角にある趣のある建物で足を止める

 

 

「ここか…俺の学生寮」

 

 

内心目の前の建造物に圧倒されていたが、今日は日を回って移動した為早く休みたかった彼は、欠伸と伸びをしながらその門をくぐる

 

 

 

 

 

 

 

「すんませ~ん…」

 

 

深夜なだけあって、彼は出来るだけ声量を抑えかつ近くの人に聞こえる位の声で誰かへ呼び掛ける

 

 

「おや?君はもしかしてもう1人の転入生くんかな?」

 

 

すると声は届いたようで、とりあえず一安心する。そして上から降りてきた声の主を見て、青年は思わず固まってしまう

 

 

 

深紅とも言える艶のある赤髪、凛とした表情、底知れぬ気迫、極めつけはそのスタイル。あらゆる面で非凡さを主張した女性は、彼の目には戦乙女のように映った

 

 

(綺麗だ……)

 

「ん?どうかしたかな?」

 

「へ?…あ、ああすんません!てか入寮の日がこんな真夜中で申し訳ないです」

 

「別に構わないさ。君の少し前に"1人目"が訪ねてきたからな」

 

 

暫く見惚れていたが、我に帰ると慌てて敬語口調で話す彼は、名も知らぬ美女の言葉に引っ掛かりを覚えた

 

 

「それってソイツもここの寮なんですか?」

 

「ああ、ついさっき案内役に部屋へ連れて行ってもらった。挨拶は明日にしたまえ。おっと、自己紹介が遅れたな、私はここに住み寮長を務めている三年の『桐条美鶴』だ」

 

「桐条って確かあの大企業の…ってご令嬢だったんですか!?」

 

「ははは、そうだ。何だ驚いたのか?」

 

 

開いた口が塞がらないとはこの事か、彼は内心でガチお嬢様に初めて会った事に驚き半分嬉しさ半分状態で彼女を見た

 

 

「いちいち反応が面白い奴だな、『八笠綾(やつがさりょう)君』」

 

「まあ、庶民派なもんで現実味が…ねぇ」

 

「そう固くならないで欲しい。これから暫くは共に同じ寮で暮らすのだ、仲良くしていこうじゃないか」

 

 

そう言って微笑む彼女を見て、彼あらため綾は軽く頬を赤くした。こんな美人に話し掛けられてこんな笑顔を間近に見ることが無かったため、嫌でも反応が初になっていた

 

 

「さて、では私が部屋に案内しよう。ついて来たまえ、長旅で疲れたろう」

 

 

そう言って提案してくれた美鶴に感謝を告げると、綾は思ったより短い挨拶で時間を食わなかったことに感謝した。そしてどうやら部屋は二階らしく、三階は女子が使っているので無闇にうろつけば即輪っかのお世話と女子の冷たい視線が待っているので止めておけとの事。…それ以前に私が処刑すると宣った人の言葉など一切聞いていない。断じてない

 

 

「……君はあれを見たかい?」

 

「はい?」

 

 

すると不意に話し掛けられた綾は、美鶴の言葉に何か思惑を感じ、怪訝な顔で彼女を見る。そして微かに感じる、何かを探るような気配を彼は見逃さなかった

 

 

「あれって何のことか知んないですけど、見たってんなら変な夢くらいっすよ?」

 

「夢?」

 

「あぁ電車で寝てた時ですけどね?まるで特撮ヒーローにでも出てくる様な連中が寄ってたかって1人にボッコボコに負かされてるんすよ。ありゃ見てる側なら圧巻ものでしたよ」

 

「ふふ、奇妙な夢を見るんだな君は…」

 

 

その夢の話を聞かせると、先程まで漂っていた警戒心の様なものが消えた。綾はその事に気付くと笑みを浮かべ、気軽に答えた

 

 

「そうでしょ?俺って昔から特撮ヒーローに目が無くて(…少なくとも、桐条さんが言いたいものでは無かったのかな?)」

 

「男子はそういったものが好きだな。……影ながら正義の為に戦うヒーローというものが」

 

「…桐条さん?何か悪いこと言いました?」

 

「っ、いや…何でもない。長話が過ぎたようだな、ここが君の部屋だ」

 

 

何とも言えない空気を出した美鶴に疑問を抱いたが、綾はいつの間にかついていた自室の前に立ち、美鶴は最低限のルールだけを彼に教えて去って行った

 

 

「…正義、ね。俺は少なくとも"そんなもの"を振りかざしはしませんよ。俺の守りたいものしか守れないんですから」

 

 

そう言って彼は懐から一枚の写真を取り出し、それを愛おしそうに触れる

 

 

「ただし、守りたくても守れないものばかりでしたが…」

 

 

その呟きは誰もいない廊下に響き、綾は溜め息を吐きながら自室へ入った

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

「あ、桐条先輩。どうかしましたか?」

 

 

綾と別れて1つ上のフロアへ上がった美鶴は、一段落ついたと息を吐いていた。そこへ丁度現れたのは、これまた美少女で、セミロングの茶髪にピンクのカーディガンが特徴的な少女

 

 

「あぁ、岳羽くんか。なに、先ほど二人目の転入生が来てね。私が案内した所だ…『彼』はもう送ったのか?」

 

「あ、はい。『彼』は二階の奥の部屋に、その二人目はその隣でしたよね?」

 

「そうだ、それに見た所中々快活そうな男子だったから、転入生同士案外気が合うかもしれないな」

 

「元気すぎて問題を起こさないで貰いたいです」

 

「違いない」

 

 

そう言って互いにクスリと笑うと、カーディガンの少女、岳羽と呼ばれた彼女は雰囲気を変えて問う

 

 

「…先輩、もう1人はどうでしたか?」

 

「…遠回しに聞いてみたが、少なくとも『影時間』を体験してはいないようだ。出来れば、こんな世界に巻き込むマネは極力避けたい。『奴ら』との戦いは、命懸けなのだから」

 

「……」

 

 

意味深な会話をする中、岳羽の表情は優れない。苦虫を噛んだ様子を見せる彼女へ、美鶴は申し訳なさそうな顔を向けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、これはまた久しいお客人だ」

 

 

そしてここはとある場所、と言うより正確に言えば巨大なエレベーターの中。そこはだだっ広い割に一つのソファーとテーブルが真ん中にポツンと佇み、ソファーには異様に鼻の長い謎の老人が座り、青の制服に銀髪ボブカット、怪しげな黄色の瞳をしたエレベーターガールがいるだけの正に異空間だった

 

 

「やあ、『イゴール』さん、『エリザベス』さんも久しぶり」

 

 

そこへ突如出現した謎の青年。彼は風貌だけを言えば気弱そうな美青年なのだが、彼から放たれる異様なプレッシャーは測り知れず、歴戦の戦士の様に感じられた

 

 

「お久しぶりにございます。『紅ワタル』様、今は『キング』とお呼びすべきでしょうか」

 

「止めてよイゴールさん、僕は今キングの立場として来てないよ」

 

「お久しぶりです、紅様」

 

 

しかし何もかもが異質なこの空間にいる人間(?)たちは旧友にでも会ったような和やかさを見せ、互いに笑みを浮かべていた

 

 

「ようこそ、『ベルベットルーム』へ。して、ご用件は何で御座いましょう?」

 

「うん、単刀直入に話すから聞いてほしい」

 

 

キングと称された青年、ワタル。彼はどこか切羽詰まった様子でイゴールに話を持ち掛けた

 

 

「この世界が滅びようとしている」

 

「…と申しますと?」

 

「どうも此方の『敵』が良からぬ事を考えてるらしくてね。この世界の"力"を利用しようと企んでるそうなんだ」

 

 

空間が変わった謎の空間、ベルベットルームで話は続く

 

 

「しかし此方の"仮面の力"は本来そちらの"仮面"とは無関係。更にあなた様のように例外でなければ此方へ干渉出来るのは『彼』のみなのでは?」

 

「それなんだけど…『彼』が原因でこの世界へ道が生まれたそうなんだ」

 

 

イゴールとワタルの言う『彼』、それが何者なのかは、お互い言外に理解しているらしく重大さが表情で分かるほど深刻であることが分かる。ただ、イゴールだけは変わらず薄気味悪い笑みのままであるが

 

 

「はて、彼がここへ訪れたという記録はありませぬが?」

 

「"本人は"ね、だけど状況が特殊で此方も把握出来なかったんだよ」

 

 

そう言うと、ワタルは懐から"あるもの"を取り出し、テーブルへ置いた。それは布でくるまれ、中身が見えない

 

 

「ほぉ、これはこれは…」

 

「ウチの秀才組が集結して造り上げた模倣品だよ。『彼』が積極的に協力してくれたおかげかな」

 

 

ワタルはそう言うと苦笑いを浮かべると、イゴールはそれを手にして隣に控えたエレベーターガール、エリザベスに手渡した。だがエリザベスの表情は、非情に分かりにくいがしかめていた

 

 

「僕らも出来る限り『奴ら』と此方側の『シャドウ』を結び付けたくない。万が一だって有り得る…イゴールさん、どうか協力してくれないかな」

 

「勿論に御座います。此方も世界が無くなるとなっては些か困りますゆえ…それで?これはどなたへお渡し致しましょう。この部屋のお客人たるお方にお渡しする形で宜しいでしょうか?」

 

「渡す相手は"直ぐに分かるさ"。それを手にする者はいつだって、"主役の側に紛れるんだから"」

 

 

ワタルが意味深に告げた後、彼の背後で変化が起きる。まるで灰色のカーテンのように揺らぐ空間、それは所謂退室の合図である

 

 

「無理な頼みで悪いね…それじゃあ、僕たちも僕たちのやることをやるね。出来れば協力したいけど、干渉し過ぎて"道"を拡げると厄介だから、此方へ渡る前に食い止めてみるよ」

 

「承知致しました。それではご機嫌よう」

 

「お気をつけて」

 

 

そして一様に挨拶を交わすと、ワタルは灰色のカーテンを抜け、姿を消した

 

 

「…主様、私はこの件、余り賛同しかねるのですが」

 

 

するとイゴールの隣に控えたエリザベスが、ワタルから渡されたモノを見ながらこう告げた

 

 

「なぁに…これも運命と思えば良い。これを渡す者も、やはり決断し、それ相応の責任を果たす。これまでとやることに変わりは無かろう」

 

 

イゴールはただそう返すと、再び気味の悪い笑い声を響かせる

 

 

 

 

 

この世界の異変ーー物語を駆ける者達は、進む先に何を見る




まずは序章、謎だらけだと面白くないでしょうし、次話も連続投稿します

6月27日 イゴールの笑い声を改訂
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