ペルソナ3 ~愚者と破壊者は旅をする~   作:Third+s

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どうもお久しぶりです。

立て込んで中々執筆が出来ないこの頃です(*_*;

まだ先を書いてませんが、とりあえず一話更新です。


旅は道連れ

一方探索する三人は、現れた下級シャドウ『臆病のマーヤ』相手に大立ち回りを見せていた

 

 

「行くぜ!俺の、大活躍!」

 

 

順平は戦闘に慣れだしたのか、意気揚々とマーヤの前へ躍り出て召還器を握る

 

 

「『ヘルメス』!」

 

 

米神に銃口を当て、引き金を引くと、ガラスの割れた音と青いガラスが銃口の逆から飛び出し、順平の周囲に青いオーラが噴き出すと共に、順平の"仮面"が具現化する

 

古代ローマの兜のようなものを着け、手と足にかけて金属の翼を広げた鳥を思わせる異形。その名も、ヘルメス

 

 

「『スラッシュ』!」

 

 

順平はヘルメスへ指示を送り、ヘルメスはそれに従って高速でマーヤへ接近し、すれ違い様に斬り裂いた

 

 

「よっしゃあ!」

 

「コラ油断しないの!イオ!」

 

 

ゆかりは無駄に勢いづく順平を叱咤しつつも、イオを召喚して風を巻き起こす。それによって三匹程いたマーヤを吹き飛ばし、取りこぼしたものはその矢で正確に撃ち抜いた

 

 

「オルフェウス!『アギ』!」

 

 

そして湊は、並外れた戦闘センスでマーヤを斬り倒していき、オルフェウスを使役して火の海を作り出す

 

 

「…終わった」

 

「な、何か。私より経験少ないのが嘘みたいなんですけど?」

 

「つえぇ…」

 

 

背後の火を一瞥もしないで短剣を一度振って腰に納める湊の姿は、二人からしたら驚愕に値するものだった

 

 

『よし、よくやった。それではこの辺りで今回は終了するとしよう。全員、そのフロアのどこかに『転移装置』があるはずだ。手分けして探してくれ』

 

 

そこへ美鶴の通信が入り、それが今回の探検終了の合図となる

 

 

「はぁぁ…疲れた~」

 

「何だよゆかりっち?もうバテちまったのか?」

 

「当たり前でしょ、あんなのと戦りあってたら精神的にも来るわよ」

 

「そうか?俺っちはまだまだ元気だぜ!自分の力がより実感出来たしな!」

 

 

ハイテンションな順平を余所に、ゆかりは慣れない緊張感から解放されて大きく息を吐く。そして横目でだが、チラッとだけ湊を盗み見てみた

 

 

「…眠い」

 

(…何で余裕そうなんだろ?男の子ってそんなもんなのかな?)

 

 

だが先程までバンバン敵を葬っていた姿とは似つかない湊の姿に、ゆかりはまた別の意味で溜め息を吐くことになった

 

 

(でも、前に戦ったグロンギはもっと強くて、明確な悪意を感じた…こんなんでへばってらんないよね!)

 

「ゆかりっち?早く行こうぜ~!」

 

「え?あ、待ってよ二人とも!」

 

 

彼女は今回の前哨戦を糧に、綾が戦う異形の者たちを思い浮かべ、取り敢えずは今日の終わりを享受する

 

 

『全員!緊急事態だ!すぐにエントランスに戻れ!』

 

《っ!!》

 

 

だが戦場は、そんな彼女たちの安息を押し潰す

 

 

 

「桐条先輩!一体何が!」

 

『昨日巌戸台駅を襲った連中が攻めてきた。万が一ということもある、すぐに全員集まって戦況を整えたい。済まないが急いでくれ!』

 

「昨日ってことは…あいつらか!」

 

 

順平は美鶴の連絡で手繰り寄せた敵の正体を思い出し、僅かに膝を震わせたが、すぐに膝を殴りつけ、震えを無理やり抑え込んだ

 

 

(ビビってんじゃねえぞ俺!チャンスじゃねえか、俺だって戦えるって証明できる!)

 

「先ずは戻ろう。でないと状況が分からない」

 

「そうね、二人はアイツらとは初戦だから言っとくけど、さっきまでのシャドウとはまるで別物よ。気を抜いたらあっという間に命を危険にさらすから」

 

 

そして湊を筆頭に、三人は急いで迷宮の奥にあると思われる転送装置の元へ向かう

 

 

「おっと~、見ぃつけた」

 

《っ!!?》

 

 

だがそこへ、本来なら有り得ない乱入者が現れた。そう、"影時間でありシャドウの巣窟であるここへ"

 

 

「人?」

 

「…違う」

 

 

戸惑うゆかりを余所に、湊は冷静に短剣を抜き、召喚器を握る。そして順平もまた、本能に近い衝動に突き動かされ、冷や汗をかきながらも彼と同様の動きを見せた

 

 

「ほぉ、分かんのか。ちったぁ楽しめそうじゃねえか!」

 

 

その時、三人の前に現れた赤を基調にした服装の、髭が特徴的な男は獲物を見つけた獣の様な笑みを浮かべ、その姿を変えた

 

 

「っ!?出た!」

 

「…昨日の奴と同じだ。間違い無い」

 

「おいおい!あんな雑魚共と一緒にしてんじゃねえよ!」

 

 

凄まじい熱気を纏い、赤い異形は両手を広げて飄々と語る。その姿は、神聖な鳥の羽を思わせる容姿から、とある不死鳥を彷彿とさせた

 

 

「俺は『フェニックス』!絶望より生まれし、ファントムの上に立つ者だ!」

 

 

炎は感情に合わせて巻き起こり、周囲の気温は上昇する。昨日とは比べ物にならない存在感と殺気を前にして、順平はまたも震えがぶり返していた

 

 

「は、はは…無理だろこれ。序盤で戦う相手じゃねえって」

 

 

彼の言うことも当然だが、それでも現状は変わらない。ゆかりも順平と同様に震えていたが、ただ一人…強大な敵を前にしても、前に踏み出した男がいた

 

 

「…湊?」

 

「…」

 

 

眼前の脅威に平然と立ち向かう愚か者は語らない。だが米神に押し当てた銃口は、言葉など不要とばかりにその意味を示していた

 

 

「…何なんだよチクショー!ビビってる俺っちが馬鹿みてぇじゃねえかよ!」

 

「そうだね…こんな奴に怖じ気づいてらんないもんね!」

 

 

しかし、愚行は決して無駄ではない。他者を奮い立たせ、武器を取らせた

 

 

「いいねぇ…楽しませてもらうぜ!」

 

「来る」

 

「「っ!」」

 

 

上級ファントム、フェニックスは時を迎えたと同時に、ゆっくりと彼らへ歩み寄る。右手で振り払う動作から、その手に身の丈ほどの大剣を顕現させて

 

 

 

《ペルソナッ!》

 

 

 

迷宮に響く銃声は、開戦の狼煙となる

 

 

 

 

 

 

 

 

タルタロス エントランス

 

 

「三人共!聞こえているか!応答しろ!」

 

「どうやら向こうでも接敵してるっぽいな」

 

「なら悠長にしてられんだろ、片付けるぞ!」

 

 

一方、綾たちはグールの群れと対峙したまま膠着状態になっていた

 

 

「それは賛成ですけど、ここは俺の仕事ですよ」

 

『kamen ride!』

 

「おいおい、俺がこんな面白い事に首を突っ込まないとでも?」

 

 

しかし、それも長くは保たず、綾と明彦は戦闘準備に入る

 

 

「ほい」

 

「ぐぅっ!?」

 

 

その時、綾は明彦の右肩を軽く叩くと、明彦は声にならない痛みに悶えた

 

 

「なら先ず怪我を治すように。変身」

 

『decade!』

 

 

その隙に綾はバックルのサイドハンドルを閉じ、グールの元へ駆け出した

 

 

「はあ!」

 

 

シルエットが収束しきらない内にグールへ跳び蹴りを食らわすと、直後に彼の体はマゼンタの仮面の戦士へと姿を変える

 

 

『attack ride! slash!』

 

 

ライドブッカーから即座にカードを取り出して起動すると、グールの槍を片手で捌きつつブッカーをソードモードに切り替え、背後のグールを横一閃に複数斬りつける

 

 

「はっ!やあ!」

 

《ゥォォォォッ》

 

 

その後袈裟斬り、逆袈裟斬りを周囲に群がるグールに叩き込むと、一気に二桁のグールを一掃した

 

 

「破壊してやるよ、その命」

 

 

剣を指で拭き上げる彼、ディケイドはグールの包囲網にいて尚、その余裕を崩さない

 

 

「ふっ!」

 

「っ、おっと!」

 

 

だがその群れの中から、高速でディケイドに接近し、剣を振るうファントムが現れた

 

 

「よぉ、昨日ぶりってやつかぁ?」

 

「ちっ…お前か」

 

 

拮抗する剣の先にいたファントム、リザードマンは一つ目をギラギラと輝かせ、ディケイドを睨む。だがそれも長く保たず、互いは同時に前蹴りで距離を取る

 

 

「ォォォッ」

 

「くっ、面倒な!」

 

「テメェの足止めにゃ役不足なんでな!数で押させてもらうぜ?命令守れねえとコッチが殺されちまう」

 

「命令?」

 

 

ほぼ全角度から襲い来る槍を剣で、拳で捌くディケイドだが、数に押されるのは必然で、少しずつ攻撃が当たりだす。その中で、湊たちと通信を試みていた美鶴は不穏な言葉に声を上げた

 

 

「俺達ファントムの幹部ってやつだな。ソイツが今中のガキ共を始末してるんだよ。ま、ホントは俺がぶっ殺したかったが、優先させてぇのはガキの始末らしいからなぁ?」

 

「何だと!?」

 

「有里たちが危ない!今すぐに行くぞ、っ!?」

 

 

美鶴がすぐさま応援に行こうと入り口に向かうが、そこをグールたちが阻み、彼女は歯噛みする

 

 

「行かせる訳がねえだろ!それに、俺の役目はテメェ等を"絶望"させる事でもあるんだからな!」

 

「何…?」

 

「俺達ファントムは人間の絶望によって生まれる存在。まあ魔力がある人間限定だがな…そしてテメェ等は~、ペルソナだったか?そんな特異性を持つ人間なら、ファントムが生まれても可笑しく無いんだよ」

 

 

リザードマンは独り舞台でも演じるように悠々と剣を振り回し、余裕を持って美鶴たちペルソナ使いを見る。そして事前に綾から聞いていたファントムの知識を持つ彼女らは、その意味が何なのかを明確に知り、冷や汗を流した

 

 

「テメェ等には最低最悪の絶望を味わわせてやるよ!どうせ今頃向こうのガキ共も震えながら殺されてるんだろうからな!!」

 

 

リザードマンはそう告げると、ひたすら嗤う。凄惨に、心底愉快そうに、人の死を、希望を嘲笑うように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『attack ride!』

 

「大体分かった」

 

『illusion!』

 

 

その時、グールに押されていたはずのディケイドが反撃に出た

 

 

『『『『『『attack ride! blast!』』』』』』

 

「ふ、増えただと!?」

 

 

思わず口にしてしまった明彦の驚き様も無理からぬ事だろう。何せディケイドが突然"六人"に増えて、エネルギー弾を乱射しているのだから。美鶴に至っては開いた口が塞がらない様子だった

 

 

「はっ!」

 

《ォオオオォォォ!》

 

 

そしてエントランスを埋め尽くさんとしていたグールは一瞬で倒されてしまい、爆発の余波でリザードマンは片手で顔を庇う

 

 

「あぁ"!?クソが、何でもアリかよ!」

 

「数で袋叩きにしようとした奴の台詞か?」

 

 

ディケイドの新たなる力、『illusion』による分身は役目を終えて姿を消し、ディケイドは一人リザードマンに歩み寄る

 

 

「ファントムの幹部、か…となると他の連中も独自の幹部か親玉が統率してるって考えても良さそうだな」

 

「テメェ…その口振り、ワザとやられてるフリを!?」

 

「若干ヒヤヒヤしたけど、お前は口が軽そうだったから利用させてもらった」

 

 

そして口を動かしつつ、ディケイドはリザードマンへ一気に接近し、剣を振るう

 

 

「くっ!狡いじゃねえの、正義の味方が聞いて呆れるぜ!」

 

「正義なんて定義そのものに、基準なんか無い!」

 

「ぐあっ!」

 

 

ディケイドの剣が敵の胸を斬り裂き、仰け反る腹部へ蹴りを放つと、ディケイドは語る

 

 

「そしてお前らはある誤算を生んでいる。中の三人は、誰一人弱い奴なんていない!」

 

「ぐぅ…は、ははっ!テメェも見てただろうが!俺が生まれた瞬間に腰を抜かしたガキの姿を!」

 

 

傷を庇いながらここにいない男、順平を蔑むリザードマンを前にして、彼はそれでも堂々と張り合う

 

 

「恐怖を知らない人間が必ず強いとは限らない…」

 

 

左で握った拳を胸の前に置き、ディケイド…いや、八笠綾は仮面の内から強く敵を睨んだ

 

 

「本当に大切な強さは、自分で道を選択する力だ!人は正しいだけじゃ生きる事は出来ない。間違いだって必要なんだ!」

 

「はっ、間違って絶望することでファントムが生まれても構わねえってのかよ!」

 

「人は間違うからこそ進歩する。小さな間違いすら知らない人間は、より大きな困難に立ち向かえない!」

 

 

口に出さないながらも、綾は昨日の順平とのやり取りを思い出す

 

自分はあの時、順平を危険に晒したくなかった。少し浮かれてしまっている彼を戦場に立たせる事が、どれほど危険なのかを理解していたからこそ、順平に対して割り切って話を切り出した…

 

 

『 俺だってやる時はやるんだ!自分で決めた事を邪魔すんじゃねえ! 』

 

 

その言葉は怒りから来たのだろう、だが語るその目には"意思"を感じた。そしてここまで来る間に、漸く彼は彼なりの答えを導き出した

 

 

「大切だからこそ後ろに隠さない。"守ってやる"んじゃない、"支えてやる"んだ。過ちを犯すなら叱ればいい、挫けそうなら励ませばいい…旅の先に答えなんかない。どうせなら、道連れにして強くなればいい!」

 

「さっきからベラベラと!テメェ何様だぁ!」

 

 

ディケイドの言葉にカッとしたリザードマンが吼える。だが彼はそれに対していつも通りの答えを返す

 

 

「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」

 

「黙れええ!」

 

 

その瞬間、再び異形と戦士は激突する!

 

 

「おら!食らえ!」

 

「ふっ!やあ!」

 

 

リザードマンの突きを剣で逸らし、横凪が繰り出される前に左のジャブをリザードマンの顔面に入れて体勢を崩すと、仰け反った隙に懐へ一歩踏み出して横凪の一閃を腹に刻む

 

 

「はぁ、はあ!グール!」

 

《オオオオォォッ!》

 

 

だが不利を感じたリザードマンは片手に大量の石を握り締め、それを空中にバラまくと再びグールの群れがディケイドに立ちはだかる

 

 

「そっちが数ならこっちは手数だ。変身!」

 

『kamen ride! kuuga!』

 

 

そしてディケイドはそれを打開する為に、カードを起動する

 

 

「よし!」

 

「あれは、グロンギと戦った時の…」

 

 

ディケイドが起動した力により、彼は再び赤いクワガタの戦士、クウガへと変身し、襲い掛かるグールに飛び込んだ

 

 

「はっ!はっ!おりゃっ!」

 

 

ディケイドよりも軽いフットワークでワンツーを叩き込み、グールの肩を掴むと、自分諸共地面を転がって群れの塊へ放り込んだ

 

 

「はっ!ふっ!はあ!」

 

 

ストレート、アッパー、ミドルキックと次々に攻撃を繰り出すクウガに為す術の無いグールだが、その数は相変わらず多い

 

 

「さっ、本番はここからだ」

 

『form ride! kuuga dragon!』

 

 

そしてクウガが新たなカードを起動すると、クウガの変身音が若干変わり、その姿が変わる

 

 

「青くなった!」

 

 

明彦と美鶴の前に立つクウガは、全体的なシルエットが細くなり、装甲も若干薄くなった青いクウガだった

 

 

「だったらどうした!行け!」

 

「おっと」

 

 

青いクウガ、『ドラゴンフォーム』の横からグールの槍が突き出されたが、それを逆に掴むと反撃に喉へ肘ウチをかまし、槍を奪い取った

 

 

「借りるぞ」

 

 

そして次の瞬間、グールの槍が突如変形し、青い棍棒に変化した

 

 

「武器を作り変えれるのか!?」

 

「フォームごとに条件を満たせば、どんな物でも武器になる。クウガの特徴です」

 

 

明彦の驚きに反し、クウガは冷静に説明しつつ、棍棒を二回回すと、棍棒の両端が更に伸び、全長2m程の長さに変わった

 

 

「そら、よ!」

 

 

クウガは棍棒、『ドラゴンロッド』を縦に振り下ろし、グールの脳天を殴りつけた後、流れる様にロッドを振るい、攻撃を加える

 

 

「速い…!」

 

 

更にクウガは赤の形態、『マイティーフォーム』に比べて格段とスピードが上がっており、敵の間を流れ、激流の如くロッドを叩き込む姿は、さながら水のようだった

 

 

「うりゃぁぁっ!」

 

 

両端を使って細かく周囲の敵を打ち払い、敵を攻撃する度に先端に入れられた鈴の音がエントランスに響く。そしてロッドを回転させ、先端を力強い一歩と共に前へ突き出し、グールの一体を吹き飛ばした

 

その直後、ロッドを叩き込まれたグール達は、打撃箇所から流れる封印エネルギーにもがき苦しみながら、一斉に爆発する

 

 

「っ!くっ!」

 

 

だがその一瞬の隙に、クウガを狙う無数の針が襲い掛かる

 

 

「オラオラぁ!」

 

「ふっ、らぁっ!」

 

 

リザードマンの目から放たれる針を、クウガはロッドを高速回転させることで弾き、その距離を詰め、次の瞬間には射程圏に収めたリザードマンへ突きを放った

 

 

「おっと危ねえ!」

 

 

だがその攻撃を大きく後退しつつ跳躍し、エントランスの壁に貼りついたリザードマンは、更に針を上からバラまく

 

 

「はっ!障害物がありゃこっちが有利だぜ?」

 

「お生憎だが…」

 

 

余裕を見せていたリザードマンだが、クウガの取った行動はそれを一瞬で覆す

 

 

「跳躍なら負けない!」

 

 

リザードマン目掛けて、高さ約11m程離れた壁へ地面から一足で跳び越し、その類稀なる跳躍と共にロッドを上段に構える彼は、正しく"如何なる技をも無に帰し、薙ぎ払う青"そのものだった

 

 

「はあああ!」

 

「ち、チクショーーーー!!」

 

 

そしてクウガはロッドを片手で突き出し、渾身の力を込めた一撃、『スプラッシュドラゴン』をリザードマンの目に突き刺し、急所から封印エネルギーを受けたリザードマンは断末魔と共に爆発した

 

 

「ふぅ…取り敢えず片付いて…はいないな」

 

 

ロッドを回し、一息ついたクウガだが、その口調は重い

 

 

《ォォォォ…》

 

「たく…次から次へと!」

 

 

何故なら眼前には、新たに数十ものグールが未だに彼を阻んでいたからだ

 

 

「「ペルソナ!」」

 

 

だがそんな厚い壁を一撃で砕き、道を切り開いたのは

 

 

「おい綾!いい加減俺を混ぜろ!一人で何でもやろうとするな!」

 

「若干聞き捨てならん言葉があったが、私も同意見だ」

 

 

如何にも暴れ足りなそうな先輩と、何か物申してやりたいとでも考えてそうな先輩だった

 

 

「八笠、お前は状況が状況だ。連戦になるだろうが有里達の援護に行ってもらわなければならない。少しでも消耗を抑えるんだ」

 

「だけど桐条さん!貴方はサポートに専念しなければ!それに真田さんだって」

 

「くどい、この程度…俺達なら朝飯前だ!」

 

 

明彦はそう告げると猪一番に飛び出し、クウガを狙うグールを殴りつけ、アッパーを顎に決めると、そのまま吹き飛ばす

 

 

「それにこれはお前が言った筈だ!"どうせなら道連れにして強くなればいい"と!」

 

「!!」

 

「八笠…私達が信用出来ないか?」

 

 

二人の言葉は、クウガ…いや綾の心にチクリと刺さる。そう、今自分が躊躇するということは、守ろうとする"傲慢"に他ならない事だと

 

 

「…すんません。また間違えました」

 

「なら今から直せ…俺達は、そうやって強くなるんだろう?」

 

「安心しろ、帰ったら処刑してやる」

 

 

だが一人の理不尽系女王様の発言で、今すぐ逃げたくなったクウガだった

 

 

「…帰って来なかったら、そっとしていて下さい」

 

「綾、真に受けるな!それにサッサと行け!」

 

「雑魚の足止めとサポートは任せろ!行け八笠!」

 

 

何故だろう、腑に落ちないのは。そう考えざるを得ないクウガだが、ふざけていられないのも事実

 

 

『kamen ride! kuuga!』

 

「なら、お願いします!」

 

『attack ride! trychaser!』

 

 

クウガはカードを装填すると、再びマイティーに戻り、新たにカードを起動した。そして直後彼の前に銀のカーテンが展開され、ディケイドの専用機『マシンディケイダー』が出現する

 

だがそれに留まらず、カーテンが一往復する事で再びマシンに接触すると、マシンは大型車から中型のオートバイク、パンテーラ250に類似したバイクへと姿を変えた

 

マシンの名は『トライチェイサー2000』。クウガが愛用した、警察による開発で生まれた試作機である

 

 

「ふっ!」

 

 

クウガはトライチェイサーに跨がると、見事なバランス感覚によるウィリーで走行し、道を阻むグールを蹴散らしながら迷宮へと突入していく

 

 

「全く、口は一丁前だがまだまだだな」

 

「どこかの戦闘狂並に手間がかかるな」

 

「何?そんな奴がいるのか、今度手合わせしてみようか!」

 

「…いや、もういい」

 

 

皮肉すらも脳筋には通じなかったが、上級生組も今は眼前の敵を睨む

 

 

「「ペルソナ!」」

 

 

戦いはまだ、終わりを見せない

 

 

 

 

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