ペルソナ3 ~愚者と破壊者は旅をする~   作:Third+s

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お久しぶりです、いやホントに

携帯復活してどうにか連載再開、そしていつの間にかご評価頂いていたのが嬉しい限りです!


間章~人と悪魔の境

4月22日(水)

 

全校朝礼で美鶴が超人的なスピーチを披露した後の放課後、部活の入部時期であるというので、色々と見学をしていた綾だったが…

 

 

サッカー部

 

「止めろぉぉぉぉ!!一人に何人抜かれてやがる!」

 

「生憎苦手なものがなくてね!」

 

「なっ!?あの体勢はまさか!」

 

「オーバーヘッドだと!?」

 

 

バスケ部

 

「ちっ!さっきから嫌なとこばっかにマーク取りやがって!」

 

「バカ!そこは囮だ!」

 

「しまっ」

 

「ご苦労さん!」

 

「一人でダンク何回決めてやがる…」

 

「あの新入生、デキる!」

 

 

将棋部

 

「王手」

 

《参りました…》

 

 

とまあ無駄に完璧なスペックで、見学のくせにハットトリック取ったり、一人でダンクと3ポイントだけで40点取ったり、挙げ句4人同時に投了させたりと大盤振舞していた

 

そして寮に帰るか寄り道するかを綾、順平、考えてないが湊の三人で考えていた所

 

 

「なあ綾、お前って何者?」

 

「いや、正直俺にも分かんねえんだわ…何つーかやり切らないと気が済まないというか」

 

「それにしたって限度があんでしょうに!?お前が見学に行った部活みんな早上がりで帰っちまったんだぞ!?」

 

「いや、ホントごめん…」

 

 

綾は呆れる順平に苦笑いで応じ、その際自分が行った所業を振り返る

 

 

(おっかしいな~、俺今までスポーツとかやったこと無いのに、何をすれば勝てるか一瞬で分かっちまう。まさかコレもライダーに関係してるのか?)

 

 

自分がまるで"自分でない"錯覚を抱いた綾は、その表情の裏で不安を浮かべる。いつ何が起こるか分からない今、少しの変化も見逃せない現状に、ただただ溜め息を吐くしかなかった

 

すると綾は黄色い歓声を背に歩く明彦の姿を捉えた

 

 

「来たわよ、真田先輩!」

 

「待って下さぁーい!」

 

「いいよなぁ、アレ。真田さんの周り、いつもあんなんらしいぜ?全戦全勝のボクシング部主将。たしかにカッコイイと思うけどさ…」

 

「うわぁ、えげつけないな。その記録」

 

「多分、綾は言えないと思う…」

 

 

至極真っ当な返事が湊から返ってきた

 

 

「だよなぁー、てか早速ウワサになるんじゃねえの?スポーツ、文学部両刀使いの天才児!みたいな」

 

「それはそれで嫌だ…後先考えなさすぎた」

 

 

もし自分がアレになったら…そう思うと辟易してしまう綾は失礼なのか、はたまた真っ当な反応なのか

 

 

「今からどっか遊びに行くんかなー。あんな風に一度はなってみてぇよ」

 

「多分、二度となりたくなくなるだろ。見切れない花は飾ってても良さに気付けない、そんな感じだろ」

 

「またワケの分かんねえ事を…」

 

 

すると明彦が三人に気付き、歩み寄ってきた

 

 

「おいお前達、これからヒマか?」

 

「え、あ、俺らっスか!?」

 

「まあ、やることはありませんが」

 

「なら、今からポロニアンモールに来てくれ。全員な」

 

「…何の用件で?」

 

「それは後で話す。場所は知ってるだろ?そこの交番で会おう」

 

「というと黒沢さんですか?いいですが…真田さんは大丈夫なんですか?」

 

 

そう言って綾が目で明彦の後ろを示すと、明彦はあぁ、と気付いたように言葉を続けた

 

 

「名前も知らないし、友達でもない。正直うるさくてかなわん…とにかく、俺は先に行くからな。必ず来いよ」

 

 

だが明彦は正面からあんまりな言葉でバッサリ彼女らの好意を切ると、呆気なくその場を去った。女子生徒に追い回されながら

 

 

「名前も知らないって、一人も!?そりゃねぇっしょ、普通」

 

「まぁ…ホトホト困ってるんじゃないか?断り方は問題有りだけどさ」

 

「どうでもいい…」

 

 

明彦に対して様々な反応を見せる三人は、結局明彦の指示通りポロニアンモールへ向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

特に寄り道もせず、ポロニアンモールの交番に到着した綾たちは、黒沢と話す明彦の背を見つけた

 

 

「じゃあ黒沢さん、これ戴いていきます。あと、さっきの話、コイツ等の事です」

 

「そうか。っと、何だお前もいたか」

 

「どうも、黒沢さん」

 

 

グロンギとの一件から会っていなかった綾は、若干久々な気分で黒沢に挨拶を交わす。だが初対面の順平と湊は誰なのか知らず、とりあえず話題が振られるまで待った

 

 

「紹介しよう、この人は黒沢巡査。俺たちの活動に協力してくれている。あと、コレは幾月さんからだ」

 

 

そう言って明彦は湊に五千円札を渡した

 

 

「え、マジいいんすかっ!?」

 

「手ぶらじゃ戦えんからな、ここで装備品の準備をしろ。黒沢さんは仕事のコネで装備品を揃えてくれている。今後とも世話になる方だ。挨拶はしっかりしておけ。ま、タダにはしてくれないがな」

 

「当たり前だ。世の中にタダのものなど無い」

 

「まぁ、こんな物騒なもの公務員が学生に流してるなんて知れたらスキャンダルだしな。その手間賃含めてもタダはダメでしょ流石に」

 

「そういう事だ。それじゃ、俺はこれで」

 

 

明彦はそう一言かけてから、交番を立ち去った

 

 

「君たちの事は聞いている。それに、八笠に関しては実際に世話になったしな」

 

「それって、例の怪死事件のことですか?」

 

「あぁ、超常の生物を直に見たからこそ、君たちのしようしている事への信憑性が一気に上がった。これからも、出来る限りの協力は惜しまない」

 

「ホント、何から何まですいません」

 

「実際に戦ってくれてるのはお前たちだ。礼はいらない」

 

 

本心から言う黒沢の言葉を聞くほど、綾は適わないなぁ、と苦笑いで思ってしまう。ここまで正義を貫ける人間を、見たことがないから

 

 

「俺は俺の正義を貫く、それだけだ」

 

「カッケェ…警察官ってスゲェんだな」

 

「いや、これぐらい言える人がなるんだよ」

 

「…装備品を見せてもらっても?」

 

 

盛り上がる二人をよそに、湊は黒沢に武器や防具を見せてもらい、どれを買うかを吟味した

 

 

 

 

 

 

 

 

「八笠、少し待て」

 

「はい?」

 

 

装備品の買い物を済ませ、三人で交番を出ようとした時、綾は黒沢に呼び止められ一人交番に残った

 

 

「伝えておこうと思ってな。近々、ここポロニアンモールと巌戸台を含んだ区域を重点とした、対未確認生命体捜査機関が急設されることになった」

 

「っ!それってグロンギのことですか?」

 

「ああ、それに聞けばグロンギという生命体に限らず、様々な化け物がウヨウヨしているそうじゃないか。それを警視庁に報告してみれば、不可能犯罪や謎の失踪事件、怪死事件などここ数ヶ月で多発しているという返事が返って来た。警察はこれを重く捉え、『未確認生命体関連事件特別合同捜査本部』を巌戸台に設立し、警察各課のスペシャリスト、専門組織を巻き込んで本腰入れて事件の早期解決を図ることにした」

 

 

そういうと黒沢はデスクから一枚の書類を取り出し、綾に見せた

 

 

「そこには桐条も出資している。恐らく今世紀で最も大掛かりな組織になるだろう」

 

「……」

 

 

綾は出資企業、参加組織を一通り目を通すと、紙をソッと黒沢の前に置く

 

 

「大体分かりました。あなたがこれを話したのは、俺の協力についてですよね?」

 

「そうだ、お前の助力があると無いではかなり違ってくる…のだがな」

 

 

しかし黒沢はイマイチ歯切れの悪い口調になると、申し訳無さそうに告げる

 

 

「警視庁は君、正確には仮面ライダーを危険視している」

 

「え?」

 

 

その言葉は綾を驚かせるには十分な威力を秘めていた

 

 

「君について伏せた情報を送ると、幹部たちはライダーを"身元不明の未確認"として捕縛対象とする旨を伝えられた…協力してほしいと言いながらこんな事になって、すまない」

 

 

黒沢は己の無力に憤りを感じつつ、頭を下げた

 

 

「…頭を上げてください。あなたの気持ちは、良く分かりました」

 

「しかしだな」

 

「まずは疑うってことは、それだけ慎重に事を進めないといけないって判断なんでしょ?なら、俺は疑われて当然ですよ。それくらいで、俺は協力を断るつもりもありませんから」

 

「…何故そこまで言い切れる」

 

 

純粋な疑問が黒沢から浮かぶが、綾はそれを平然と笑みを見せてこう返す

 

 

「誰にも出来ない力を持ったなら、守れる力があるなら、俺は進んで戦う。それが俺の…信じた道だから」

 

「っ!…そうか」

 

 

その言葉の中には、黒沢にとって共感でき、そして実際に行ってきた信念と重なった。とても年の離れた学生に見えない彼を見て、自然と固い表情が緩む

 

 

「で、さっき言ってた事件について聞かせてもらっても?」

 

「いいだろう、こちらも出来る限りサポート出来るよう、準備しておく」

 

「ありがとうございます」

 

「礼を言うなら此方の方だろう…」

 

 

苦笑する黒沢を見て首を傾げた綾は、そのまま事件についての話を聞いていった

 

 

 

ー我は汝、汝は我

 

  汝、"正義"の仮面を纏う時、失われた力を与えん

 

 

 

その頭の片隅で新たな覚醒の予兆を耳にしながら

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は既に夕刻を過ぎ、綾は一人巌戸台を歩いていた

 

 

(失踪者の衣服と残った灰、か…手繰り寄せられる連中はやっぱり)

 

 

最近で起きた失踪事件。その概要にあった、残された衣服と灰に大方の見当をつけた彼は、その名を口にする

 

 

「『オルフェノク』か」

 

 

再び書き込まれた敵の情報を、慣れもあって相応に対応すると、一度短く溜め息を吐く

 

 

「グロンギにファントム、お次は人類の進化系か。前途多難にしちゃ忙しすぎる」

 

 

それに加えて警察には目を付けられるし、と内心グチを零した彼は、ソッと街を照らす夕日を眺めた

 

 

(敵は日を追う毎に行動が大胆になってる。いよいよ本腰入れないと、被害者が増える一方だ)

 

「これも破壊者の苦悩ってやつか。退屈しないな」

 

 

そう言ってのける綾の目には、強い意志が宿っていた

 

 

 

 

 

「自らの存在が苦悩を増幅させているというのに、嘆かわしいぞディケイド」

 

「…またアンタか」

 

 

しかし、そんな彼の意志を砕こうと、男は再び綾の元へ現れた

 

 

「鳴滝、先日はやってくれやがって。どの面下げて出てきやがった」

 

「しぶとさは"奴"レベルだな。あそこで息絶えておけば楽になれたものを」

 

 

綾の非難を諸共せず、鳴滝は不気味に歪めた笑みを怒りのソレに変えた

 

 

「貴様が長く残れば、それだけ世界の破滅は加速する!今にも世界は侵蝕されていることに、まだ気付かないのか!」

 

「気付くも何も、俺は世界の事情も、俺自身のこともまるで分からないんだぞ?何を言われようが、俺にとっちゃただの言い掛かりだ」

 

「果たして本当にそうかな?」

 

 

その言葉を受けた綾は一層目を細め、鳴滝を睨み付けた

 

 

「貴様は気付いているはずだ。この世界で歩む者と近しくなる程、お前は"お前でなくなる"感覚が支配していくことを」

 

「……」

 

「沈黙は肯定と取って良さそうだな」

 

 

鳴滝の言う異変、確かに綾はそれに心当たりがあった。それは力と共にひき出される、"誰かの記憶"

 

 

「お前は…知ってるのか?俺を…いや、前のディケイドが誰なのか」

 

「知っていたとして、私が教えるとでも?」

 

「だろうな…聞いてみただけさ」

 

 

綾は溜め息を吐いた後、鳴滝を見据えると、ゆっくりと言葉を紡いだ

 

 

「まあ、答えを今知ったかどうかはどうでもいい…だが言っておく。俺は今の歩みを止めるつもりはない」

 

「それが意味する結末に後悔してもか?」

 

「後悔ってのは後にするもんだろ?何もしないで悔やむ方がよっぽど後悔するからな…それにもし、俺がお前の言うように、世界に害悪な存在なのなら」

 

 

綾は自分の手のひらを見つめ、握り込むと、明確な意思を乗せて

 

 

 

 

「俺は、俺自身を破壊する」

 

 

 

 

そこにどれだけの思いと、決意が込められていたのかは誰にも分からない。それは、目の前の鳴滝も同じである

 

 

「そうか…ならば精々後悔するがいい。私は一刻も早い、君の破滅を願っているよ」

 

 

それだけ告げた鳴滝は、今回は何もすることなく、銀のカーテンの奥へ消えた

 

 

「…鳴滝、あんたの言葉と、俺の道…どっちが正しくて、"正義"何だろな」

 

 

その問いに答えは無い、その答えもまた…旅の先にあるのだから

 

 

 

 

 

 

 

4月23日(木)

 

早朝の巌戸台寮の一階にて、綾は何故か新聞を見て唸っていた

 

 

「おはよう、八笠」

 

「あ、おはようございます…」

 

 

そこへ現れたのは、朝の仕度を済ませた美鶴。階段から降りてくる姿が様になっているのは、育ちによるものなのか

 

 

「?どうした、ぼーっとして」

 

「あ、いや何も…」

 

 

それ故に若干見惚れていた彼の反応は、ある意味正しいのかもしれない。まあ、決して口に出して言えないのだが

 

 

「今日は早いな、珍しい」

 

「今日から珍しくなくなると思いますよ?」

 

 

そう言って彼は新しくページを捲り、最近の事件についての一覧に目を通す。といっても、内容は汚職や食品偽造、轢き逃げやら川で河童を見たなど、世の中は大衆からすれば平和そのものである

 

 

「何を調べているんだ?」

 

「昨日、黒沢さんが言ってまして。怪事件が頻発してるらしいんですよ。なら俺だって調べておいて損は無いと思って」

 

「そうか…すまない」

 

「何に謝ってるんで?」

 

「シャドウとの戦いに協力してくれているだけでなく、今この時間で起きている事件までも解決してくれている君にだよ。我々は君に…何一つ返せていない」

 

 

そう言う美鶴の表情は、暗く儚い

 

 

「礼とか、謝罪とかが欲しくてやってんじゃありませんよ」

 

「え?」

 

「俺は、失うことが嫌なんです。だからこそ、赤の他人だとしても、俺はその人たちの大事なモノを守りたい…要は自己満足なんですよ」

 

「それは…君のご両親のことを言っているのかい?」

 

「…そういうことです」

 

 

その言葉を聞いた美鶴の顔は、あからさまに歪み、綾から目を逸らした。今の彼の顔は、苦痛や怒りではなく諦めに似たものだった

 

 

「さ、て!この話は終わりです。湿っぽいのは嫌いなんで」

 

 

そう切り上げて立ち上がると、綾は鞄を手に扉へ向かう

 

 

「桐条さん、ホントのこと言うと、俺は桐条全てを恨んでた時期がありました」

 

「っ!?」

 

「でも俺、教えられたんです。"例え一人で生きて行けても、限界はある。だから人は繋がって、助け合う。俺も救われる日があって、救う日が来る。その日まで、生きろ"…そう言われて、今の俺に繋がって、そして何時しか…桐条の恨みと、自分への不様さが消えていたんです。…俺は今、それでも残った思いと、新しく宿した信念で自分の道を作ってるんです。そこにあなたを、当事者以外の桐条を恨む感情は、全くない」

 

 

優しく微笑む彼からは、嘘が無く、美鶴は彼の言葉に振り回され、返す言葉が見つからずにいた

 

 

「…何故」

 

 

だが、それでも尚紡いだ言葉が、綾を引き止めた

 

 

「何故そこまで打ち明けてくれるんだ?」

 

「…あなた、変に嘘つかれない方が踏ん切り着けやすいでしょ?」

 

 

そう言って綾は片目を指でトントンと叩き、今度こそ扉をくぐった

 

 

「…く、ふふっ」

 

 

残された美鶴は、突然片手で軽く拳を作り、控えめに笑い出した

 

 

「アイツは…どこまでお人好しなんだか」

 

 

そして笑いとは裏腹に、頬に流れる一筋の輝きは、彼女が綾へ抱えていた後ろめたさを静かに洗い流した

 

 

 

ありがとうーー

 

 

 

 

 

 

 

1日は嫌でも流れるもので、今日とて学校は鐘の音と共に終わりを迎えた

 

 

「おーい綾~!」

 

「そんな呼ばんでも聞こえてるっての!何だよ順平」

 

 

放課後に呼び出して来たのは、隣のクラスの順平だった

 

 

「いやさ、今日暇か?だったら飯行かねえか?てか行こうぜ!」

 

「人に許可も確認も無く予定を埋めるな」

 

「そう言うなって!奢るからよ!」

 

「まあ、ならゴチになるかね」

 

 

そう言って綾は席を立った

 

 

 

 

 

 

 

ラーメン屋『はがくれ』

 

巌戸台駅前の商店街にあるラーメン屋、そこに綾と順平がカウンターで隣り合って座っている

 

 

「へぇ、こんな店があったんだ」

 

「へへ、この辺りでオススメの店なんだ。美味くて驚くぜきっと!」

 

 

そう言って自慢げに話す順平が、何だか可笑しく見えた綾は少し笑ってしまった

 

 

「ん、何だよ急に?」

 

「いや、自分の事みたいに話してるから、可笑しくてさ」

 

「い、いいじゃんかよ!それくらいさ~!」

 

 

少し反論を返して来た順平の声の後、丁度店員から運ばれたラーメンが二人の前に置かれ、彼らの鼻をくすぐった

 

 

「お、来た来た!ほ~うんまそ~!」

 

「テンション高いなお前、でも美味そうなのはホントだな」

 

 

そして二人は箸を取り、早速口にした

 

 

「か~!やっぱここのラーメンは最高だぜ!」

 

「……」

 

「どした綾?」

 

「…美味い、こんなラーメンがあったなんて…!」

 

 

衝撃を受けた綾はその後勢いが止まらず箸を進め出し、あっという間にどんぶりを空にした

 

 

「お、お前…そんなに気に入ったのか?」

 

「…順平、ここのラーメンは至高の一品だった。本気で感謝してるよ」

 

 

神妙な顔つきでラーメンの感想を言う綾は、下手をするとライダーの戦い以上に真剣だった

 

 

「あ、そう…何だよ、思ったより元気そうじゃんか」

 

「え…?」

 

 

すると突然、順平から思わぬ言葉が発せられ、思わず綾は彼を見やった

 

 

「お前さ、昨日帰って来てから、何か様子可笑しかったから心配だったっつーか、まあそのあれだ!どうせだから元気づけてみようと思ったんだよ」

 

 

順平は恥ずかしそうに頬をかきながら苦笑いを見せると言葉を続けた

 

 

「お前すげぇよ、唯でさえ転校して間もないのにバケモンと戦って、普通の生活もこなして…挙げ句にゃ影時間でシャドウ退治やってんだから、かなわねえわホント」

 

「順平…」

 

「お前、気付いてねえのか?昨日、すっげえ辛気臭え顔してたんだぜ?何かありましたって諸に分かったっつうの」

 

 

順平はそう軽く言ってのけると、綾の肩を叩きながらガキの様な笑みを見せた。その姿は純粋そのもので、綾はそれがとても大切な何かに繋がるものであると、頭とは別の場所で感じ取った

 

 

「…はは、まさか順平からそんな事を心配されるなんて思わなかったよ」

 

「俺だって考える時ぐらいあんだよ!どうよ、見直したろ?」

 

「お前さ?せっかく格好付いてたのに一言足すから台無しになんだよ」

 

「うぐっ!?ウ、うっせえやい!余計なお世話だっての!」

 

「はははは!はあ…あんがとな」

 

「ん。気にすんなよ、俺たち仲間じゃん?」

 

 

何となしに交わした軽口のに中に、二人が培った確かな信頼が込められていたのは、最早言うまでもなかった

 

 

 

ー我は汝、汝は我

 

汝、"魔術師"の仮面を纏う時、失われた力を与えん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う…こんなの、違うっ!」

 

 

そして時を同じくして、巌戸台の夕日の中、1つの惨劇が起きた

 

その者の前に広がり、風に浚われていく"人だった灰"が、罪悪感と後悔で一人の異形の身動きをがんじがらめにしたまま、物語はまたも…始まる

 

 

 

 

 

ー夢の無い男は、戦う理由を求めた

 

男は戦いで心と体を傷つけ、それでも立ち上がり、人を守り続けた

 

闇を切り裂く赤き閃光、彼は夢を探し、夢を守る




とりあえずはここまで

色々突っ込んだ気がしますが頑張ってフラグは集めます

そして別作品であるハイスクールDDの閲覧数が五万を超えていましたので、この場を使いお礼申し上げます!

これからも末永くお付き合い下さい。では、これにて
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