ペルソナ3 ~愚者と破壊者は旅をする~   作:Third+s

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何とか投稿、そして過去最短ではないかと(汗


人の先を行く者ども

4月24日(金)

 

今日も1日を終えるチャイムの下、生徒たちは思い思いに行動を開始する。部活、遊び、帰宅とバラバラな動きをする教室の中、綾は椅子に座りながら伸びをしていた

 

 

「あぁぁ~、疲れたー…!」

 

「明日が終われば休みだから、もう少し頑張っていこうね」

 

 

風花はそんな綾の姿に、励ましの言葉をかける。一見すれば殴りたくなるイチャつきようだが、残念ながら他意は無い

 

するとふと思い出したように彼女はある話を持ち掛けた

 

 

「そういえば八笠くんは部活は決めたの?」

 

「部活?一応無所属だな。写真部でも入ろうかと思ったけど、やっぱ今の気ままな感じで良いと思ってさ」

 

「ふーん、だとすると気をつけた方がいいかも。うちの運動部ってどこも優秀な人材を欲しがってるから、運動神経良くて無所属の八笠くんなんて絶好の的だもん」

 

 

そう言われて何だか背筋が寒くなった綾がチラッとドアの方を覗いてみると…そこには目を光らせるユニフォーム姿の方々が

 

 

「…ありがとな、お蔭で餌食にならずに済みそう」

 

 

綾は静かに鞄を手に風花へ礼を言うと

 

 

 

 

 

全速力で教室から逃げた

 

 

《待てやカモ!!!》

 

「誰が待つかああああ!!」

 

 

ムーの大移動のような砂埃を上げて、E組に群がっていた暑苦しい集団は去っていく

 

 

「あ、あはは…頑張ってね」

 

 

それをただ苦笑いで送るしか出来ない風花だった…つまりは平常運転である

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ…撒けたか?」

 

 

どうにか校舎から脱出し、敢えて人気の無い校内に隠れた綾は、死角からコッソリ周囲を警戒していた

 

 

「畜生、ぜってぇ昨日の部活見学の時に目ぇつけられただろ…はぁ、出来るなら早めに部活決めねえと」

 

「あら、こんな所にいた」

 

 

すると突然の声にビクゥッ!となる綾の背後から、一人の女教師が歩み寄ってきた

 

 

「貴方は確か…『叶先生』?」

 

「そ、こうして話すのは初めてかしら?八笠綾くん」

 

 

妖艶な大人の色気を出す彼女、叶は面白そうに綾を見ると、口を開く

 

 

「実は貴方にお願いがあって探してたのよ〜。聞いてくれない?」

 

「え?いや、実は俺…」

 

 

だが綾はその頼みを聞く前に断りを申し出た。理由としては、何となく彼女の目から嘘臭さと面倒ごとの予感を感じたからだ

 

 

「あら〜残念、だったら今走り回ってるあの子達にここの事でも話して…」

 

「慎んでお受けします先生」

 

 

だが現実は無情であった

 

 

 

 

 

 

「は〜い皆さん注も〜く!今日からこのテニス部の"マネージャー"になる八笠くんよ。分からない事だらけだろうから、よろしくしてあげてね〜」

 

 

何故、こうなった…。今まさに感じれる感想はこれに尽きる

 

叶先生の"お話"に強制連行された綾が送られた先が、何故かテニス部でマネージャーをやれという謎の指令だった。だが、まだそれならマシだった…何故なら

 

 

「わあ、八笠くんだ!」

 

「今一年生で注目男子の1人!マネージャーが来るとは聞いてたけど期待以上じゃん!」

 

「叶先生やる〜!」

 

 

そう、目の前で騒いでいるのは女子、女子、女子。綾は奇しくも"女子テニス部"に強制入部させられたのだ

 

 

「…あの先生?俺はある部を手伝ってくれって話を聞いたんですが?」

 

「あら、だとしたらマネージャーも立派な"お手伝い"でしょ?」

 

 

綾のジト目に飄々と言葉を返した叶を見て、彼は相手が確信犯であることを悟った

 

 

「大丈夫よ、やることにしたってこの部でまともな活動はほぼ無いんだし。飲み物配ったりする位で構わないわ~」

 

 

いやダメだろ、と口では返さないがそう考える綾。何故その考えに至ったのかと言えば…先程から彼に送られる1つの視線にある

 

回りの女子が色めき、騒ぎながら此方を見てくるその目からは"興味"の感情しか感じ取れなかったのだが、1つだけ、殺気と呼んでも相違無い"敵意"の視線を送るポニーテールの女子を捉えた綾は、嫌な汗を浮かべているのだ

 

 

「それじゃあ細かい話は~、『岩崎』さ~ん!お願いできる?」

 

「……はい」

 

 

絶対にお願いされたくないのが丸わかりな間を開けて返事を返すのは、正しく敵意を送ってきたポニーテールの少女その人だった。状況的に考えて、彼女がこの部活の主将なのだろう

 

 

「それじゃ、私は別の用があるから戻るわね~」

 

「え、ちょ」

 

 

そして今にも人を殺せそうな視線をぶつけてくる少女を知ってか知らずか、叶先生はフラフラ~と校舎の方へ戻っていった

 

 

「…はぁ、大体分かった」

 

「何が分かったのかしら?」

 

 

遠ざかる叶先生の背中、今でも色めき立つ女子の練習への姿勢、主将たる岩崎の不満げな目、それらを総計して立てた仮説が、あながち間違いでは無いと確信した綾は、岩崎の言葉の後に溜め息を吐いた

 

 

「なに、少しこの部をテコ入れしないとな、と思って」

 

「あなたに頼らなくても、私だけで出来るわ!」

 

「なら何でそんな顔してるんだ?」

 

「っ!」

 

 

図星を突かれて目線を逸らした岩崎に、呆れに近い心境で苦笑した彼は、早速キラキラとした視線を送ってくる女子へ目線をやる

 

 

「よし、ならやるからには全力でマネージメントさせてもらう。早速練習だ!」

 

《は~~い!》

 

「ちょ、勝手に仕切らないで!」

 

「まずは各々の実力や癖を見たい。キャプテン、練習メニューはいつも通りで構わないから、指示出しよろしく」

 

「あ、え!?」

 

 

そこから早速、八笠式マネージメントが始まるが、それも中々に出来た内容で、ラケットの振り方や返球の癖、体の使い方や部員それぞれのウィークポイントを推測ながらもノートに書き留めて練習メニューを調整していく。それをまとめた後、本日の練習終了時、着替えを終えた岩崎へ報告と提案を促した

 

 

「…八笠くん、テニスの経験あったの?」

 

「いや、特に」

 

「嘘言わないで!どうしてこんな正確に部員の癖や練習メニューの調整、挙げ句それを初見でやってのけるのよ!?貴方何者!?」

 

 

確かに、岩崎の言い分も尤もな程八笠の作ったノートの内容は非が無かった。強いて言うなら、出来すぎたことに非があったと言うべきか

 

 

「通りすがりのマネージャー、かな」

 

「…貴方、馬鹿にしてるの?」

 

「別に岩崎を馬鹿にしてんじゃねえって。…ちょい癖で」

 

 

ついライダーの戦いで癖になったセリフがこぼれて目を逸らした綾だが、岩崎はさほど気にしてないようで溜め息を吐く

 

 

「どんな癖よ…まあいいわ。貴方、思ったより頑張ってくれそうだし」

 

「はは、頑張るよ。部活に熱の無い部員と顧問を奮い立たせる、どこぞの馬の骨とも知らない男子生徒としてな」

 

「…気付いてたの?」

 

「そりゃあんだけ睨まれりゃ察しは付くだろ。周りに対しても厳しい目になってたしな…そういうとこも、表情に出るなら、大体分かっちまう」

 

「…そう」

 

 

綾の横顔を見た岩崎は何かを察したのか、軽い返事の後、沈黙を保った

 

 

 

 

 

「た、助けて……ぁ"」

 

 

だがその沈黙は唐突に破られ、悪夢が始まる

 

 

「え?」

 

「っ!」

 

 

スーツを着た男が突然倒れ、所々から青い炎を上げた後、スーツを残して灰に変わった。余りの光景に理解が追い付かない岩崎に対し、綾は即座に彼女を後ろ手に隠し、気配のする方へ目を細めた

 

 

「フゥゥ"ゥ"…」

 

 

そして現れたのは、人型ながらも屈強な体躯をした灰色の異形。その容姿は硬く、アルマジロを彷彿とさせるものだった

 

 

「ひっ…!」

 

「ちっ、逃げるぞ!」

 

 

綾は変身しようと懐に一度手を伸ばしたが、後ろにいる岩崎を気にかけた事で諦め、逃げに入った

 

人気のある方へは行けず、出来るだけ被害を抑える方法を考えながら、細い道をくぐり、暗い道へと走る。だが路地裏へ入った瞬間、それが罠である事を知った

 

 

「っ!?ここにも!」

 

「ブフォォォォ!」

 

 

正面から現れた牛を彷彿とさせる灰色の怪人が、巨大な拳を叩き付けて二人を威嚇し、行方を阻んだ

 

 

「フン"…」

 

 

更に後ろを取ったアルマジロと型の怪人がゆっくりと近付き、行動範囲を狭めていく

 

 

「…はあ、やるしかないか」

 

「や、八笠くん?」

 

 

壁際に岩崎を隠していた綾は、観念したように息を吐くと、路地の真ん中に立ち、バックルを装着した

 

 

「あんまり言い触らさないでくれよ?…変身」

 

『kamenride!decade!』

 

 

15のシルエットが縦一列に展開すると、近付いていた2体の異形、オルフェノクは勢い良く弾き飛ばされ、綾は黒のスーツを纏い、ディケイドに変身する

 

 

「嘘…」

 

「……」

 

 

驚きの中固まってしまった岩崎を後ろ目に見るディケイドだったが、不意に襲い掛かるアルマジロ型、アルマジロオルフェノクの右手をいなし、回転しながら左肘でエルボーを後頭部に叩き込むと、牛型、オックスオルフェノクの元にまで吹き飛ばした

 

 

「人類の進化形だったか、にしては随分と野生的な暴れっぷりだな」

 

「貴様がディケイドか!」

 

 

するとオックスの影が突如人間の形になると、元の人間態だった姿となって言葉を発した。容姿は黄緑がかっていたが、それは正しく人である証拠だった

 

 

「どいつの入れ知恵か知らないが、出来ればそいつの事も吐いてもらうか!」

 

 

ディケイドはライドブッカーを剣へ変えると、剣先を拭って駆け出す

 

アルマジロのラリアットを掻い潜り、オックスがその進行先にアッパーを叩き込む。しかしディケイドはそれを剣を眼前に寝かせ、触れた瞬間に上に軌道を逸らし、回転を加えた袈裟斬りを繰り出した

 

 

「はあぁ!」

 

「グォォ!?」

 

 

オックスが剣撃に怯む間に、ディケイドは振り向き様のアルマジロへ蹴りを撃ち込み、一歩踏み込んで剣を縦に振り抜いた

 

 

「今日はこれで行く」

 

『kamenride!wizard!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!』

 

 

左手を横へ水平に伸ばし、展開した赤い魔方陣に身を任せると、ディケイドはその姿を赤く光輝く頭部と胸部、黒のロングコートを羽織った魔法使い、ウィザードへ二段階変身を遂げる

 

 

「ッ!ウオオ"オ"!」

 

「きゃぁ!」

 

 

するとアルマジロは丁度避難していた岩崎の方へ吹き飛ばされていたので、状況を打破しようと襲い掛かった

 

 

『attack ride!connect!』

 

「余所見かよ」

 

 

だがそれを許す程彼も甘くなく、ウィザードは起動した能力で空間に二つの魔方陣を展開した。一つは自分の正面に、もう一つは

 

 

「はぁ!」

 

「グフォッ!?」

 

 

アルマジロと岩崎の間に

 

ウィザードは目の前の魔方陣へ蹴りを放つと、転移先へ接続されていたアルマジロの眼前に転移されたウィザードの足が現れ、見事にカウンターの蹴りを貰い、彼の元へ引き戻された

 

 

「使わせてもらうぜ」

 

 

ここで彼はライドブッカーからカードを引き抜くと、そのまま装填してバックルを閉じる

 

 

『form ride!wizard warter!スイ~スイ~スイ~スイ~!』

 

 

気の抜けそうな音声の中、ウィザードは右手を頭上に翳すと、上から水を纏った青い魔方陣が展開され、ウィザードを通り抜けた

 

 

「さあ、ショータイムだ」

 

 

そしてウィザードの容姿は赤い装甲が青く、頭部の丸形が菱形に変化した水の形態、『ウォータースタイル』へと変化した

 

 

『attack ride!』

 

「ウォォォ"!」

 

「ンンン"ッ!」

 

 

ウィザードはフォームチェンジの後すかさずカードを取り出し、装填する。だがいつまでもペースを取られる訳にもいかないオルフェノク達は、ここぞとばかりにその豪腕をウィザード目掛けて振りかぶった

 

 

『liquid!』

 

 

そのアクションに対するウィザードの動きは単純で、バックルを閉じるのみだった

 

 

「ッ!!?」

 

「面白い程驚いてくれるな!」

 

 

そして2体の攻撃はウィザードを直撃した筈だった。だがその攻撃は驚く程手応えを残さず、そこにいた筈のウィザードは突然水になって上空へ登り、再び形を成した

 

 

『attack ride!light!』

 

「「グゥゥッ!?」」

 

 

その隙を見逃さなかったウィザードは、カードを即座に装填、起動すると、左手を真下にいるオルフェノクへ向けた。その瞬間、強烈な光が2体を襲い、視覚を奪う

 

 

「よっ、と…フィナーレだ」

 

『final attack ride!de de de decade!』

 

「はぁぁ!」

 

 

落ちる寸前に、アルマジロの肩を踏み台にして距離を取ったウィザードの体がブレた後、ディケイドに戻ると、彼は自分のマークが金色に描かれたカードを起動した。そして彼とオルフェノクの間に15のカード型のエネルギー体が並べられたと同時に真上に跳躍すると、ディケイドの必殺技、ディメンションキックを放つ

 

 

「「ガァァァァァ!!」」

 

 

跳躍に合わせてちょくせんじょうに直線上に並び続けたエネルギー体をテレポートするように通過し、その度に突き出した右足に蓄積されるエネルギーを、最後のエネルギー体を通過した瞬間に2体のオルフェノクへ叩き込むと、断末魔を上げたオルフェノクは爆発の後、青い炎を吹き上げながら形を崩して灰と化した

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああ!!」

 

「っ!!?岩崎!!」

 

 

だがディケイドが集中する間に、守るべき岩崎の身に危険が迫っていた

 

ディケイドが見た先には、岩崎の細い首をへし折らんとするオコゼ型オルフェノク、スティングフィッシュオルフェノクがさも愉快そうに岩崎を苦しませていた

 

 

「止めろ!っ!?何だ!?」

 

 

ディケイドもすぐに助けに向かおうとしたその時、突然彼の周りに黒い霧が立ちこめ、視界を遮った

 

 

「うわっ!」

 

 

更にその暗がりから何か鋭利なもので切り裂かれたディケイドは、体を仰け反らして後ろへ転がった

 

 

「いや…いや…」

 

「くくく、死ね!」

 

「うぅ"…!」

 

 

もう頃合いと見たのか、スティングフィッシュは更に岩崎を締め上げ、殺しに掛かった

 

 

 

 

 

「~~~ッ!」

 

「何っ!?」

 

 

だがその瞬間、岩崎の体に異変が起こる

 

ーー彼女の肌に模様のように浮かぶ痣

 

ーー瞳孔が真っ白に染まり、まるで死人のように開いた眼

 

ーーそして彼女は人から……進化する

 

 

「ァァアア"!!」

 

「グォォッ!」

 

 

太股の部分から光の翼が広がり、無数の光弾が放たれ、首を掴んでいたスティングフィッシュを牽制し、首を押さえながら咳き込んだ

 

 

「ハァ、ハァ…はっ!」

 

「岩崎が、オルフェノク…?」

 

 

そして、白い羽が舞い落ちる中そこにいる、ツルを象る彼女を目の当たりにしてしまったのは、今日知り合い、言葉を交わした…破壊者(八笠綾)だった




ふぃぃ、と息をつきたい今作でした

ウォーターで相手取るには相性悪そうでは?と思いつつ書きましたが、楽しんで頂けたでしょうか?

原作サブキャラが怪人化しちゃいました。つまりがっつり物語に参入して頂きます。ライダー側にですが!

これからの展開をより熱く設定させてもらいますので、また気が向いたら程度でも読んで下さい!

ではこれにて

※頭の日にちを改訂
4月23日(木)➡4月24日(金)
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