香取隊の狙撃手   作:デスイーター

250 / 492
総評/ROUND5

 

 

部隊得点生存点合計
香取隊325
影浦隊202
東隊10 1

 

「決着。5:2:1で香取隊の勝利ね」

 

 月見の試合終了宣告に、会場が沸き上がる。

 

 最後の一連の攻防の鮮やかさもあり、観客は大盛り上がりだった。

 

「手に汗握る攻防でしたが、最後は香取隊の策が綺麗に嵌まりましたね」

「ええ、あれには驚きました。まさか、カゲをあんな方法で攻略するとは」

「取り敢えず、何が起こったかを簡潔に纏めていきましょうか。二人とも」

 

 了解です、と村上と奈良坂は頷く。

 

 二人は基本的に寡黙なタイプなので、こうやって促さないと説明をある程度省いてしまう懸念があるのだ。

 

 そのあたりはしっかり理解しているので、月見の操縦は慣れたものである。

 

「まず、影浦先輩と戦っていた香取が路地に入りましたね。そして、影浦先輩はそれを迷いなく追いました」

「罠だった事は分かっていたんでしょうが、その罠ごと食い破るつもりだったんでしょうね。事実として、大抵の罠であればその通りになるでしょうから」

「あそこで香取を見失うと、ゲリラ戦法に切り替えられる恐れがありましたからね。それを嫌ったという面もあるでしょう」

 

 まず、影浦は罠と承知で逃げた香取を追った。

 

 大抵の罠は影浦相手には無意味だし、相手がその場にいる時点で何かしらの感情を抱けば察知される。

 

 少なくとも、多少の奇襲程度では影浦に傷を負わせる事は出来ないからだから追っても構わない、という目算だったワケだ。

 

「身を隠してのゲリラ戦をやられるよりは、罠を真っ向から打ち破った方が良い。そういう判断でもあったのでしょう」

「香取は、ゲリラ戦法が得意ですからね。機動力の高さも相俟って、障害物の多い地形ならば相応に厄介です」

 

 加えて、香取の姿を一度見失えばゲリラ戦法に切り替えられる恐れがあった。

 

 機動力が高く身の軽い香取は、ゲリラ戦法との相性がすこぶる良い。

 

 時間を稼げばそれだけ多くの仕込みが出来るし、戦術の幅も広がっていく。

 

 そうなる事を防ぐ為に、影浦は罠に跳び込む事を選択したのだ。

 

 影浦は自分の方が香取より強いと感じているが、だからといって油断はしない。

 

 既に影浦の中では、彼女に対する侮りなどとうに消えていたのだから。

 

「また、無策というワケでもありませんでした。影浦隊は近くまで来ていた北添先輩を呼び寄せて、連携して仕留めにかかっていますから」

「あの狭い路地では、ゾエの銃撃を躱すのは至難の業ですからね。一度捕まってしまえば、そのまま削り殺されていたでしょう」

 

 更に、近くまで来ていた北添のいる所まで追い込み、連携して仕留めるつもりでもあった。

 

 北添は豊富なトリオンを持つ重銃手(ヘビーガンナー)であり、生半可な防御であれば容易く貫通する火力がある。

 

 彼は足が遅く的が大きいと言う以外目立った欠点が何もない、優秀な銃手であるのだ。

 

 特に閉所での火力は凄まじく、一度捕まればその時点で終わりだったと言っても過言ではなかっただろう。

 

「北添先輩はランク戦では早期に落とされがちですが、それはあくまでも戦術上攻撃目標(ヘイト)を集め易いからであって、本人の能力が低いワケではありません。むしろ、銃手の中でもトップクラスに近い位置にいると言っても過言ではないでしょう」

 

 北添は奈良坂の言う通り、能力の高い銃手である。

 

 ランク戦では早期に落とされる事が多いが、それはB級上位という魔境で積極的にヘイトを買う立ち回りを行っているからだ。

 

 開幕早々無差別爆撃を敢行するのが常なので、それを止める為に強力な刺客が送られて来るのである。

 

 相手からしても放置するとどんどん不利になっていくのは自明なので、全力で殺しにかかるのだ。

 

 だからこそ生存率が低いワケだが、それは同時に彼の優秀さの証明でもある。

 

 むしろあそこまで派手に立ち回っておきながら一定の生存率がある時点で、その能力の高さが伺えるというものだろう。

 

「ですが、彼がやって来る事まで香取隊は織り込んでいた。挟撃されたと見せかけて、スパイダーの張ってある巣まで誘導してのけたワケですからね」

「ええ、もぐら爪(モールクロー)を始めとした奇襲も、全てはそれを隠す為だった。香取隊の本当の狙いは、ワイヤー陣の場所まで影浦隊を誘導する事。この一点だったのですから」

 

 だが、その北添という伏せ札すら香取隊は読んでいた。

 

 その香取隊の本当の狙いこそ、ワイヤー陣のある場所まで影浦隊を誘導する事だったのだから。

 

「北添先輩は優秀な銃手ですが、足が遅く的が大きいという欠点があります。一度奇襲を凌がれた上で香取クラスに肉薄されれば、流石に為す術なかったでしょう」

「ゾエは戦闘スタイルとしてはスタンダードな銃手ですからね。流石に香取に一気に近付かれては、抗する手段はありませんでした。身体(まと)が大きいという事は、それだけ小回りが利かないという事でもありますから」

 

 北添の欠点は機動力の低さと大柄な体格故の的の大きさにあるが、今回はそこを突かれた形だ。

 

 香取のような小柄な相手に懐に入り込まれればあのゴツい突撃銃での迎撃は困難だし、そもそもあそこまで近付かれた時点で香取にとっては確殺圏内である。

 

 最初の奇襲が凌がれ隙が出来た時点で、北添の命運は決まっていたというワケだ。

 

「北添先輩がやられて一人きりになった影浦先輩は、マンティスでワイヤーを斬り裂きつつ香取に接近すべく行動を起こしましたが、そこで木岐坂の誘導炸裂弾(サラマンダー)が炸裂しましたね」

「ええ、カゲは恐らく追尾弾(ハウンド)を予想していたでしょうが、その思い込みを利用されて奇襲された形になります。カゲでなければ、恐らくあの時点で詰みだったでしょう」

 

 北添が敗退し、攻勢をかけようとした影浦には樹里の爆撃が降り注いだ。

 

 最初はハウンドだと考えていた影浦だが、直前でそうではない事に気が付き、防御が間に合った。

 

 彼でなければ、あの時点で爆発に呑まれてやられていても何らおかしくはなかっただろう。

 

「まさか、有利な布陣であるワイヤー陣ごと吹き飛ばす攻撃が来るとは思っていなかったでしょうからね。香取隊にしても、あれは博打に近かったでしょうし」

「ですが、だからこそ不意を突けたのは事実です。あそこで定石通りハウンドを選択していれば、以降は千日手になって決着がつかない恐れもありましたからね」

 

 影浦が驚いたのは、香取隊がワイヤー陣という有利を自ら捨てるような行動に出たからだ。

 

 あの時、影浦は香取隊が張ったワイヤー陣の中にいた。

 

 それだけで行動は制限され、影浦としては戦い難い条件が揃っていた。

 

 スパイダーによる罠は、影浦の副作用(サイドエフェクト)の感知対象外だ。

 

 リアルタイムで向けて来る感情を察知する影浦の能力では、既に設置済みの無機物には反応出来ない。

 

 だからこそ北添への咄嗟のフォローも出来なかったし、行動に制限がかかっていた。

 

 それを理解しているだろう香取隊が自らの優位性を投げ捨てるような博打をするとは、流石に影浦も予想していなかったのである。

 

「ワイヤー陣は確かに影浦先輩の行動を制限しますが、マンティスを繰り返し振るえば障害となるワイヤーを根こそぎ斬り落とされる危険がありました。そうなれば影浦先輩は自由に動けるようになるので、下手をするとそのままの勢いで香取が落とされていたでしょう」

「前衛の香取が落とされれば、香取隊側がカゲを落とすのは至難になりますからね。強力な前衛がいなければ、遠距離攻撃は容易く防ぐ事が出来るようになるでしょうし」

「最後の攻撃が通ったのも、近くに香取がいたが為でしょうからね。彼女に意識を割く事を強要されていなければ、あの奇襲も凌がれていた可能性が高かったでしょう」

 

 だが、単純な話あのまま香取隊が影浦を落とせる可能性はそこまで高いワケではなかったという事情があった。

 

 ワイヤー陣は香取隊を有利にはするが、影浦の確殺を約束出来るというものでもない。

 

 むしろ力技で突破されて、そのまま香取を落とされる危険すらあった。

 

 強力な前衛である香取を失えば、影浦を止める者がいなくなる。

 

 そうなると残った三浦と樹里だけで彼の相手をせねばならず、三浦単独では流石に影浦を止めきる事が出来ない。

 

 下手をするとその勢いで負けかねなかった為、あれは英断だったと言える。

 

「だからこそ、最後の奇襲が刺さったというワケですね。カゲの能力の高さが、そのまま敗因になったと言えます」

「影浦先輩もまさか、三浦がイーグレットを持ち込んでいたとは思っていなかったでしょうからね。肩に当たったのは偶然でしょうし、本来あれはあくまでも最後の一撃を通す為の陽動だったのでしょう。でなければ、狙撃の素人である彼に狙撃銃を持たせるという真似をするのは博打が過ぎますから」

 

 戦局を決定付けたのは、三浦に依る狙撃だった。

 

 影浦の副作用(サイドエフェクト)は、相手の感情を察知する。

 

 戦闘に於いてはそのお陰で相手の攻撃の軌道を感知出来るのだが、彼が察知出来るのはあくまでも相手が攻撃を()()()()()()()()()軌道だ。

 

 本人の技量が足りなければその通りに攻撃が通るとは限らず、結果として三浦の狙撃は影浦の肩に直撃した。

 

 要は相手が真実と思い込んでいるものであれば結果的にそれが偽りだったとしても見抜けない、といった種類の引っかけと言える。

 

「狙撃は、一朝一夕でモノになるものではありません。ボーダーの狙撃銃は通常のそれよりも撃ち易く設計されていますが、それでも遠くの的に正確に当てる為には日々の鍛錬と反復練習、感覚の洗練が必須となります。恐らく今回初めて狙撃銃を扱った三浦が標的に狙って当てる事は、最初から不可能だったでしょう」

「だからこそ、カゲにはそれを見抜けなかった。狙撃の素人に狙撃銃を持たせるという発想自体、まず出て来ないでしょうからね」

 

 奈良坂の言うように、狙撃は一朝一夕で扱えるような技術ではない。

 

 遠くの的に正確に当てられるだけの精密動作の技術と、狙撃手として必須な立ち回りの学習。

 

 それらには時間が幾らあっても足りない為、基本的に狙撃手の面々はサイドアームを持つ事をしないのだ。

 

 他の武器にかまけている暇があったら、ひたすらに狙撃の技量を磨く。

 

 それが、狙撃手として在るべき姿なのだから。

 

 だからこそ、三浦に狙撃銃を持たせる、という奇策を見通す事が出来なかった。

 

 ハッキリ言って無謀の極みであり、今回弾が当たったのも単なるラッキーヒットだったのだから。

 

「影浦隊は無理をせず、香取を追わずに持久戦を仕掛けるべきだったかもしれませんね。もしくは香取隊のワイヤー陣を失念せず、もっと慎重に動いていれば結果は違っていたかもしれません」

 

 

 

 

「悪ぃな、確かにありゃあ俺が悪い。まんまとやられちまったぜ」

 

 影浦はチームの面々に対し、そう言って頭を下げた。

 

 常ならばまず見ないそのしおらしさに、彼等は困惑する。

 

 中でも一番戸惑っていたのは、ユズルだった。

 

「そんな、オレ達だって誰も反対しなかったし影浦先輩の所為じゃないって」

「俺がそう思ってんだよ。あそこで欲張ってなけりゃあ、きちんと勝ててたかもしんねぇだろ。おめぇの力になるっつっといてこれじゃあ、恰好がつかねぇだろうが」

「あ…………」

 

 そんな影浦の態度に困惑していたユズルだが、その言葉で気付く。

 

 彼がこんな事を言いだしたのは、間違いなくユズルが遠征を目指したいと口にしていたからだ。

 

 あの場で力になる事を確約していた影浦としては、今回の事は失態だったのだろう。

 

 口は悪いが義理人情に厚く、仲間に対しては甘いのが影浦という少年なのだから。

 

「っても、それならまんまと落とされたゾエも同罪だろ。なあゾエ」

「うーん、そうだね。ゾエさんもやられちゃったし、少なくとも責任がカゲだけにあるってワケじゃないと思うよ」

「こういう時、責任(ケツ)持つのが隊長(おれ)の仕事だろうが。ウダウダ言ってんじゃねぇ。俺の責任っつったら俺の責任なんだよ」

 

 ふん、と鼻で笑ってみせる影浦だが、視線を彷徨わせているので照れ隠しなのが分かる。

 

 そんな仲間思いの猛獣を見て、ニヤリと光は笑みを零した。

 

「いちいち固いぞー。もうちょいゾエみてーに柔らかくなれって」

「いやいや、なんでそこでお腹突くのかなって」

「柔らかいだろー。こんくらい柔らかくなれって事だよ」

 

 がっはっは、と大袈裟に笑う光に毒気を抜かれ、影浦と北添は揃ってため息を吐いた。

 

 そして影浦はユズルに向き直り、改めて口を開いた。

 

「これで終わりじゃねーぞ。やりてぇ事、見つかったんだろが」

「…………! うん…………!」

 

 ユズルは勢い良く頷き、影浦は笑みを浮かべてそれを見守る。

 

 影浦隊の絆には、一片の曇りもなかった。

 

 

 

 

「東隊は、結局のところ序盤で奥寺が捕まってしまったのが痛かったですね。それを利用した奇襲も凌がれて、一点止まりでしたし」

「そうですね。奥寺と小荒井は連携すれば強いですけど、そうでない時は左程強力な駒ではありませんから。今回は、そこを相手に突かれてしまいましたからね」

 

 東隊は二人の言うように、奥寺が序盤で捕まってしまったのが痛過ぎた。

 

 連携を軸とする彼等にとって、あんな最序盤での単独での遭遇は計算外にも程があっただろうからだ。

 

「奇襲は潰され、残った奥寺も絵馬の手で落とされた。唯一の得点が東さんによる狙撃ですが、これも仕事を終えた後の絵馬を狙ったワケですからある意味では手遅れだったとも言えます」

「それでもきちんと仕留めるあたり、東さんらしいですね。その東さんも、最終的に撤退を選ばざるを得なくなりましたが」

「東さんは卓越した狙撃手ですが、だからこそ物理的に隠れ場所がなくなればどうしようもありませんからね。ああなった時点で、もう選択肢は一つしかなかったでしょう」

 

 最後に東が一点をもぎ取ったが、それも仕事を完了した後のユズルを狙ったものだ。

 

 既に仕事を完遂した狙撃手が落とされるのはあくまでも予定調和の一環とも言えるので、それ自体は左程おかしな事ではない。

 

 最後は爆撃を敢行されて撤退を選ばざるを得なくなったのも、仕方のない事と言える。

 

「東さんが生きていれば、その後の試合展開も大分変わったでしょうからね。ですが、あそこで絵馬を落としていなければ東隊は0点で終わる可能性が高かった。そういう意味でも、あれ以外の選択肢はなかったと思います」

「そうですね。だからこそ、あそこで即座に爆撃を選択した香取隊は英断と言えるでしょう。少しでも時間を与えれば、東さんは普通に姿を晦ましていたでしょうから」

 

 そうですね、と村上は頷く。

 

「東隊は、孤立した場合の奥寺・小荒井両名の立ち回りが今後の課題となるでしょうね。とは言っても最低限やるべき事はやっていたので、後は慣れだと思いますが」

 

 

 

 

「改めてすまん。オレが序盤に捕まってさえいなければ」

「あんなん仕方ねーって。村上先輩の言う通り、ここは切り替えていこうぜ」

 

 奥寺の謝罪に、小荒井はそう言って彼の肩をバンバンと叩いた。

 

 けど、と言い募ろうとする奥寺に東が待ったをかけた。

 

「まあ待て。今回のあれは、確かに致し方なかった面もある。むしろ、香取隊の動きが早過ぎたとも言えるな」

「まさか若村先輩があんな近くにいたとは思わねーって。前と違って普通に脅威になってたし、香取隊が変わったってのもマジだったんだなあ」

「…………成長したって事だろ。俺達も負けてられないって事か」

 

 分かってんじゃん、と笑う小荒井に奥寺はふん、と眼を逸らす。

 

 此処で腐っても意味はない事は、奥寺とて分かっている。

 

 だとしても口に出さずにはいられないくらい、今回の試合は反省点が多かったのだ。

 

 生真面目な彼がこうなるのも、無理からぬ事と言える。

 

「とはいえ、改善点が見つかったのは良い事だ。充分成長が見えて来たし、次の試合の結果次第で、サブトリガーを解禁しても良いと思ってる。じゃあ、今回の反省点の洗い出しから始めようか」

「…………! はい…………!」

 

 奥寺は小荒井と共に東の言葉に聞き入り、姿勢を正した。

 

 東塾の現行生徒は、こうして講師の指導を改めて受けるのであった。

 

 

 

 

「香取隊は、今回も鮮やかな立ち回りだったな。最後まで、無駄なく自分の駒を活かし切ったと言える」

「カゲを仕留めた手際や手段も、大したものでしたからね。流石、今期のダークホースと呼ばれるだけの事はありますか」

 

 二人は口々に、香取隊の称賛を述べる。

 

 今回もまた、彼女達の手並みは鮮やかだった。

 

 各々の駒を活かし切った立ち回りに、感心するのも無理からぬ事だろう。

 

「改めて、木岐坂の脅威度の高さが伺えますね。狙撃手としても射手としても動けるので自由度が高い上に、高トリオンの暴威がある。彼女がいるだけで、相手は相当戦い難いと思います」

「そうですね。以前はおざなりにしていた狙撃手としての立ち回りもこなれて来ていますし、狙撃手としての自覚が芽生えて来たようで何よりです。対応可能だからって、狙撃手が隠密を捨てては存在意義が疑われますからね」

 

 以前の樹里は、奈良坂の言う通り狙撃手としての立ち回りをあまり重視していなかった。

 

 近付かれても射撃でどうにかなるからと、隠密を疎かにしていた面があったのだ。

 

 佐鳥による誘導がなければ、恐らくこの悪癖は改善されなかっただろう。

 

 そういう意味でも、佐鳥の存在は地味に大きかったりするのであった。

 

「香取隊の立ち回りは今まで散々説明しましたし、このあたりで良いですかね。今回は影浦隊と東隊を相手に5点も取れたのですから、充分な戦果と言えるでしょう」

「どちらも、隊長の生存力の高い部隊ですからね。それを相手に5点は、確かに凄い事だと思います」

「ありがとう。総評はこのへんでいいわね」

 

 そう言って、月見は総評を切り上げた。

 

 香取隊については今までで充分解説をしているので、このあたりで構わないだろうという判断である。

 

「ランクの変動は、夜の部の結果次第で確定するわ。夜の部は中位だけだけど、そちらの得点によっては上位入りする部隊も出て来るかもしれないからね」

 

 さて、と月見は会場を見回し、告げる。

 

「これで、B級ランク戦ROUND5を終了するわ。お疲れ様でした」

 

 その言葉を最後に、ROUND5昼の部は終わりを迎えた。

 

 波乱続きの第五試合は、こうして幕を閉じたのである。

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