香取隊の狙撃手   作:デスイーター

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各章解説・及び裏話/11章

 

 

 『第十一幕~ガロプラ侵攻/Bad Omen of White Girl』

 

 ガロプラ侵攻の章であり、英題は「白の少女と不吉な予兆」という意味になります。

 

 今回はガロプラ侵攻に際して起こったトリガーイベント、そこに焦点を当てた章になります。

 

 まず前提としてお話しますが、ガロプラ侵攻は単体として見れば「まず成功する防衛任務」です。

 

 何故ならガロプラのメンバーは精鋭揃いではあるものの、アフトクラトル程の初見殺し要素がなく、何よりもボーダーの人員が「アフトクラトルの最高峰の近界トリガー」による脅威を乗り越えた後の戦いとなっているからです。

 

 言うまでもなく、アフトクラトルのトリガーは使い手も含め初見殺しの塊でした。

 

 ノーマルトリガーの蝶の盾(ランビリス)雷の羽(ケリードーン)すら高い応用力や広範囲の殲滅能力に加え、機動力も併せ持つという反則的な能力を備えていました。

 

 黒トリガーになるとギミックを解き明かさない限りダメージそのものが通らず致死性の高い泥の王(ボルボロス)、アンチトリガーとでも言うべき能力を持つ卵の冠(アレクトール)、凶悪なサポート能力を持つ窓の影(スピラスキア)

 

 それに加え、使い手そのものが規格外であり広範囲に攻撃可能な致死の斬撃を放つ星の杖(オルガノン)と、1対1ではまず勝ち目が見出せず、ボーダーの総力と綿密な作戦指揮によりようやく勝ちを拾えた、という相手でした。

 

 翻って、ガロプラはどうか。

 

 確かに、強い事は強いです。

 

 ですが、作中で説明した通りアフトクラトル程の初見殺し性能はなく、使い手も「普通の強者」の範疇に収まっています。

 

 ガロプラのトリガーは良く言えば堅実で、いち兵士の持つトリガーとして見れば優秀です。

 

 しかし一騎当千の性能かと言われればそうではなく、多対一に持ち込んできちんと戦術を組めば攻略可能です。

 

 原作でも最も苦戦した処刑者(バシリッサ)でさえ、「堅くて鋭い斬撃武器」と「高威力の砲台」の組み合わせでしかなく、ハッキリ言って脅威度であれば断然雷の羽(ケリードーン)が上回ります。

 

 あちらは連射が可能且つ高威力であり、飛行能力まで有するというトンデモ性能なので比べる方が間違っていると言えばそうなのですが、単体の脅威度でどちらが上かは瞭然でしょう。

 

 なので、余程の事がない限りはガロプラの侵攻自体は問題なく片付ける事が出来ます。

 

 また、今回は迅の差配によってB級上位が纏めて使える状態になっている事も大きいです。

 

 更に、侵攻前の戦力調査でも正隊員の中でも最も下に位置するB級下位の戦闘しか見せていないので、B級の中でも上澄みの香取を見ている原作と比べてもガロプラ側の警戒度の面でも違っているでしょう。

 

 加えて今作では迅の采配によって警戒度がかなり高くなっているので、ガロプラ側は満足な情報収集が出来ていません。

 

 迅としては樹里が暴走する引き金が何かは分からないので、全てに警戒網を張る他なく、その煽りを喰らった形です。

 

 まあ、遠征艇の破壊など断じてさせるワケにはいかないので、ボーダー側としては問題はないのですが。

 

 更に今回、修は王子の教導を受けた事での内面の成長からエネドラッドからの情報を得た所感が異なり、とある事実に気付きます。

 

 それは、敵が遠征艇の破壊を狙っている可能性が高いという事です。

 

 修はエネドラッドから属国の扱いを聞き、それならばガロプラの立場としてはアフトクラトルの良いようにされるのは面白くないだろう、と考えます。

 

 しかし表立って命令に反抗するワケにはいかないので、遠征艇を狙うというやり方で表面上命令に従ったように見せてアフトクラトルの本当の狙いは達成させない、というやり方がベターだろうと考えたのです。

 

 これは忍田さんも充分有り得るとして、今回は最初から遠征艇狙いで来るだろうという事を前提に作戦が組まれました。

 

 なので最初から無駄のない配置を行う事が出来、順次撃破に繋がっていくワケです。

 

 ウェンは原作では那須さんくまちゃんコンビで撃退しましたが、今作では加古さんと黒江の連携での撃破となります。

 

 藁の兵(セルヴィトラ)はそこそこ初見殺し性能は高いですが、実のところ本体の能力に左右されるという面もあります。

 

 結局のところ「幻影を見せる」に留まっている能力であり、手数が増えるワケでも本体が無敵になるワケでもありません。

 

 なので、作中でやったように全方位攻撃には基本的に無力なのです。

 

 原作の場合は那須さんが既に負傷した状態でトリオンを無駄遣い出来なかっただろうという理由もありましたが、今作の加古さんの場合目立ったダメージを受けておらず、トリオンを温存する理由もありません。

 

 加えて、弾幕で追い込んで本体の位置さえ分かってしまえば黒江の韋駄天で仕留めれば良いだけです。

 

 韋駄天はグラスホッパーすら上回る加速が可能であり、一度発動すれば軌道変更が利かないというデメリットはあるものの、単純な速度で言えばノーマルトリガーの中でも随一です。

 

 ですので敵に生じた隙を突く事に対し、これ程適したトリガーはありません。

 

 考え無しに使えば原作の黒江の二の舞となりますが、反面有効に使う事が出来れば格上殺しすら可能となるピーキーなトリガーです。

 

 加古さんはその運用を黒江の能力や性格込みできっちりと把握していた為、このような結果になったワケですね。

 

 コスケロ戦は、三輪隊に弓場さんが助成する形でケリを着けました。

 

 黒壁(ニコキラ)も初見では厄介なトリガーですが、反面遠距離攻撃に対しては単なる壁でしかなく、足を削られた状態では回避も難しい為順当な結果と言えるでしょう。

 

 実の所弓場さんの早撃ちは初見殺し要素がかなり高く、弓場さん自身の隠密能力も低くはないので、三輪隊が追い詰めた先で待ち構えていればどうとでもなるでしょう。

 

 弓場さんはB級上位の中では上澄みのエースであり、このクラスの駒を自由に使えるようにすればこうなる、という事です。

 

 ガトリン戦の場合は、迅さんが来た時点でほぼ消化試合です。

 

 本来であれば太刀川という大駒と引き換えの勝利でしたが、迅さんが来た事でそもそもの趨勢が完全に決定されます。

 

 あのレベルの駒を迅さんの未来視込みでサポートすれば、遠距離攻撃の手段が連射出来ない砲撃のみのガトリンではどうしようもありません。

 

 この布陣でも勝てないのはヴィザのような規格外の相手くらいなので、こればかりは相手が悪かったと言うしかないでしょう。

 

 迅さんが此処に来たのは原作と異なりヒュースの単独行動が発生しない事もありますが、地上での戦闘に介入するよりもこちらに来て早期にガトリンを交渉の場に立たせた方が有意義だと判断した為です。

 

 この時点でガロプラの侵攻そのものは失敗する未来は確定しており、何がどうなっても負けはありません。

 

 ですがこの後起きる予想外(イレギュラー)への対処は迅速に行わなければならないので、敵の頭であるガトリンを早期に無力化して交渉の席につかせる必要があったワケです。

 

 誤算だったのは、迅さんが直接視認しておらず未来が視えていないヨミが「ククロセアトロの遺産と接触してそれを口実に作戦を終わらせる」事を目論んでいた事です。

 

 ヨミは冷静に彼我の戦力差を分析しており、ガトリン達が劣勢である時点で最早当初の作戦の失敗は確定であると判断しています。

 

 ですが何の成果もなく作戦を終えては、アフトクラトルからどんな理不尽な扱いをされるか分かったものではありません。

 

 なのでヨミは「作戦を中断するに相応しい理由」を作る為に、ククロセアトロの遺物である樹里との接触を第一目標としました。

 

 レギンデッツはそんなヨミからの命を受け、樹里との接触を目指します。

 

 こちらに関してもレギンデッツは迅さんから肉眼で視認されておらず、未来視の対象外でした。

 

 なのでこの二人の動きに関しては迅さんは予め察知する事が出来なかった事も、この後の「事故」が発生する要因となっています。

 

 もしも知っていれば何らかの対策は打てた筈ですが、こればかりは未来視の仕様上仕方ないでしょう。

 

 現場の駒であったレギンデッツに関しては緑川と黒江というスピードコンビで狙った上で遊真まで動員しているので、戦力的には充分ではあったのです。

 

 ただ、レギンデッツがヨミの操るアイドラを先へ進ませる為に捨て身の行動に出た事、ヨミが予想以上の執念を以て樹里への接触を果たそうとした事で時限爆弾の導火線に火がついてしまいます。

 

 この時ガロプラにロドクルーンより貸与されたアイドラの内複数体には、ククロセアトロの寄生型トリオン兵「アラフニ」が仕込まれていました。

 

 これはロドクルーンがククロセアトロと協力関係を結んでいた時分に開発したトリオン兵に仕込まれたもので、ロドクルーン側もその存在は知りませんでした。

 

 当時ロドクルーンはククロセアトロがあのアフトクラトルに苦渋を呑ませたという伝聞を知り、何とかその技術を取り込み反抗の切っ掛けにならないかと考えました。

 

 結局ククロセアトロの研究者を匿っていた事はアフトクラトルに露見し、厳しい搾取に晒されるという自業自得な結末を迎えます。

 

 なので今回の作戦でも戦力は可能な限り貸与したくはなかったのですが、ガロプラ側がアフトクラトルの名を盾に強引に戦力供与を迫ったので、意趣返しとして当時ククロセアトロと共同開発していた為にお蔵入りとなっていたトリオン兵を押し付ける事にしたんです。

 

 アフトクラトルに研究者の隠蔽がバレた際にククロセアトロの所業について散々聞かされたロドクルーンはそんな相手の手が入っているトリオン兵など何が仕込まれているか分かったものではないので軽々に使う事は出来ず、かといって無為に廃棄する程余裕があるワケでもないのでただ倉庫に死蔵する形となっていました。

 

 なのでガロプラの強引な要求を受けたロドクルーンは半ば自棄っぱちのような形で、そのトリオン兵を供与したのです。

 

 ちなみにアラフニはギリシャ語で「蜘蛛」の意味で、まあそのままですね。

 

 このトリオン兵は近界から攫ったトリガー使いの脳を核とした、「改造トリオン体」です。

 

 要するに根本は人間のトリオン体と同じ扱いですが、トリオン体が解除された際に残るのは容器に押し込められた生身の脳髄だけです。

 

 人間の脳を核とする事である程度複雑な命令も遂行する事が出来、トリオン兵の中でも際立って小型でありながらその開発コストは人倫を無視すればそこまで高くはありません。

 

 このトリオン兵の主な機能は寄生したトリオン兵の操作や改造、それに加えて被検体に異常が生じた際のサポートとなります。

 

 とはいえ近界各所に放っている寄生型とはそもそも規格が異なり、こちらは開発コストを水増しした分能力が底上げされています。

 

 通常のアラフニはトリオン兵を操作して鹵獲した人間やトリオン機関を掠め取るのが主な役割ですが、後期型にあたるこの機体は多機能な能力を備えています。

 

 それがトリオン兵の原型を留めないレベルの「改造」であり、これにより模倣躯体(タイプ)ラービットは生み出されました。

 

 機宿糸(パラシトス)はこの改造を行う為に傀儡糸(クローステール)を内蔵した独自の機構であり、このタイプのアラフニにのみ搭載されています。

 

 ちなみにパラシトスは「寄生虫」の意味であり、これもまんまですね。

 

 模倣躯体ラービットはアフトクラトルより入手したラービットの情報を元にアイドラを改造したものであり、装甲の強度はオリジナルに及びませんが、体内の装甲密度を操作する事で疑似的に硬度を上げる事が可能となっています。

 

 加えて傀儡糸(クローステール)を内蔵しているので、レギンデッツにやったようにトリオンの奪掠も可能です。

 

 レギンデッツを捕食しようとしたのは、以前説明した「捕食機能」の為であり、彼の要請を自分を「使用」して戦力を増強しろという歪曲解釈の下、彼をトリオンに変換して戦闘能力を強化するつもりでした。

 

 ククロセアトロの被造物には独自のアルゴリズムが組まれており、その判断の基準は基本的に常軌を逸したものである事が多く、彼等にとってこれは「意図的な拡大解釈」ですらありません。

 

 ただ命令(コマンド)に従っただけの行動であり、単にそこに人倫や倫理規範が一切存在せず独自の判断基準を用いて行動している、というだけです。

 

 なのでククロセアトロの被造物は一件有用そうに見えてもその機能はこの国の判断基準で搭載されたものであり、手を出せば最終的に不利益を齎すであろう事は言うまでもありません。

 

 今回アラフニが樹里を視認した瞬間発動したのは、被検体及びそれに搭載された機能代替(オルタナティブ)トリガーの状態解析機能です。

 

 現在樹里の機能代替(オルタナティブ)トリガーである真鍮瞳(コンプタドーラ)は機能停止の状態にあり、樹里自身も記憶処理を受けていたのですが、アラフニはそれを「不具合」と認識して「正常な状態」に戻す為に行動を開始した、というワケです。

 

 この時点で自業自得とはいえレギンデッツが絶体絶命の状態になった事でガトリンは迅の要請を受け入れ、情報提供と可能な範囲での協力を確約します。

 

 これが遅れると後々様々な支障が起こるので、迅の差配はベターであったと言えるでしょう。

 

 ちなみにサブタイトルの「シロノイト」は「白の糸」と「白の意図」のダブルミーニングです。

 

 白はアフトクラトルを象徴する色であり、糸もまた同じく。

 

 それらを組み合わせたものであり、不吉の象徴でもあります。

 

 その後は模倣躯体ラービットの対処を行うワケですが、作中で言及されている「核」は当然内部のアラフニの事です。

 

 アラフニは寄生をした時点でトリオン兵には電気信号で行動を操る楔を打ち込んでいる為、体内を自在に動き回る事で本体である己を狙われ難くするという行動ルーチンがありました。

 

 ちなみにこの楔こそが機宿糸(パラシトス)であり、アラフニからトリオン兵へと命令を伝達しその挙動をコントロールする役割を持っていました。

 

 この機宿糸(パラシトス)はアラフニの内部に親機、トリオン兵側に子機があり、子機の方は破壊されてもどうとでもなりますが、アラフニごと親機を破壊されれば修繕は出来ず機能停止します。

 

 その分寄生されたトリオン兵は傀儡糸(クローステール)によって多少の破損はトリオンが続く限り幾らでも修繕出来るので、核さえ破壊されなければ戦闘は続行出来ます。

 

 また、機宿糸(パラシトス)にはトリガーそのものを鹵獲しそれを自在に使用する能力もあるので、レギンデッツから収奪した剣竜(テュガテール)も武装として存分に使用しています。

 

 剣竜(テュガテール)は原作ではヒュースに瞬殺されましたが本来は攻防一帯の処刑者(バシリッサ)のような設計思想である事が見て取れるので、使い手次第では相応に厄介です。

 

 まあ、遊真という黒トリガー使いが相手なので、相手が悪かったというのはあります。

 

 他では二宮や影浦が対処に回っていますが、影浦が模倣躯体ラービットから感情が刺さったと感じたのは、当然生身を脳を使用しているからです。

 

 その脳の持ち主の自我はとうになくなっていますが、ククロセアトロの技術で疑似的な思考をさせているので、その微弱な感情を察知した結果となります。

 

 カゲさんはこの時点で嫌な予感しかしませんでしたが、真相を暴いても碌な事にはならないだろうと割り切って戦闘続行しました。

 

 まあ、遠征組のようにある程度耐性がなければキツイ事情なので、正解と言えるでしょう。

 

 模倣躯体ラービットは遊真に破壊されましたが、本体であるアラフニは離脱し、単独で樹里を狙います。

 

 当然樹里への接触は断固として阻止しなければならなかったので、遊真に加えヒュースと佐鳥を投入、全力で妨害します。

 

 ですが一瞬の隙を突き、アラフニは捨て身で樹里に糸を撃ち込みます。

 

 命令を解除されない限りプログラム通りに動き続けるのがトリオン兵なので、この執念深さとも言える行動は生身の脳を活用しているが故の応用性になります。

 

 アラフニは生身の脳を演算装置として使用し、機能性に幅を持たせる事に成功したトリオン兵です。

 

 事実上人間のトリオン体でもあるので、人間の脳にしか出来ない「咄嗟の機転」というものが利くワケです。

 

 とはいえこれに関してはククロセアトロは左程重要視しておらず、単に「多機能にした寄生型トリオン兵」としてしか見ていません。

 

 ククロセアトロにとってアラフニはあくまでも斥候、「物資」の調達役であり、主戦力ではないのでそのあたりの評価はおざなりになります。

 

 というよりもそもそも、ククロセアトロは自分達の作り出した物に関する「評価」を行いません。

 

 作る事そのものが目的であり、その性能を第三者に披露さえ出来れば自分達の仕事は終わりだとして、そのデータを元に次の開発に繋げる事はしますが、「反省」は行いません。

 

 あくまでも計測で得られたデータのみを記録し、サンプルデータとして次なる研究に取り掛かるのみ。

 

 極論自分達が産み出したものがどういう結果を齎すかは、彼等にとって興味がないのです。

 

 作る事そのものが目的と化しているので、こういった傾向になるのですね。

 

 ちなみにこの時樹里に撃ち込まれたのは機能代替(オルタナティブ)トリガーを正常な状態に戻し、検体のあらゆる後発的な干渉を解除するメンテナンスプログラムです。

 

 分類としてはワクチンプログラムに近いのですが、これの厄介な所は隠蔽に全力を注いだ事で開発室から見ても何が撃ち込まれたのか分からず、解除も不可能という点です。

 

 樹里の暴走の引き金は、基本的に本人の精神が著しく不安定になった時、要するに大幅な感情の発露をトリガーとします。

 

 なので記憶処理を解除される事はイコール過去の辛い記憶が一気にフラッシュバックする事となり、自動的に暴走の引き金が引かれるというワケです。

 

 この時撃ち込まれたプログラムには極論記憶処理の解除と機能代替(オルタナティブ)トリガーの調整以外の効果はなく、だからこそ致命的だったとも言えます。

 

 事が起こるまでは真鍮瞳(コンプタドーラ)と樹里の体内のスキャニングを実行し、充分なデータが得られて初めて記憶処理の解除に至るので、そうなるまでは兆候すらないので普通なら気付きようがありません。

 

 樹里の体内で何が起きているか分からないのですから、有効な対策など打てる筈もないのです。

 

 迅さんの未来視によって「いずれ何かが起きる」事は察知出来ましたが、その内容や引き金に関しては全く分からないという始末なので、迅さんの眼から見てもかなり厄介な事態になったと言えるでしょう。

 

 これを防ぐ為にヒュースの密かな配備や樹里を本部から離れた場所に置く等色々と差配したのですが、それでも防げなかったのですから痛恨の想いでしょう。

 

 ちなみにガロプラの下にククロセアトロから「仕様書」が届いたのは、完全な彼等なりの「行動指針」に則っているだけです。

 

 ククロセアトロは様々なものを開発していますが、既に目的と手段が逆転している彼等は「優れたものを作れればそれで良い。使うのは誰であっても構わない」という論理で動いている為、言葉通りこれは「説明書」として送り付けたものです。

 

 アラフニの稼働は彼等からしてみれば自分達の成果を発表する「デモンストレーション」の類であり、この仕様書送り付けは彼等なりの「プレゼン」のつもりなのです。

 

 傍目から見ると煽っているようにしか思えませんが、彼等の価値基準は常軌を逸しているのでこうした事も平然とやって来ます。

 

 相手をするだけ損になる、というのは彼等の為にある言葉ですね。

 

 迅さんは今回の作戦で失態を冒したという負い目もあり、尚且つ鬼怒田越しに伝える方が佐鳥が冷静に事態を受け止められると判断して姿を隠しますが、このあたり鬼怒田さん達に見透かされているので、後でお説教を受けた事は言うまでもありません。

 

 その後は次の対戦相手が決まり、玉狛第二と王子隊と戦う事が判明します。

 

 それを受けて樹里はかねてから気になっていた「既存以外の組み合わせでの合成弾は可能なのか」と出水に尋ね、誘導貫通弾(モスキート)開発に繋げる事になります。

 

 これについては次の章で詳しく解説します。

 

 その後は天羽が若村に接触したりしてますが、これは原作で天羽の若村への言動を見て接触させたくなった、という理由もありました。

 

 あの言い方からして若村とそれなりに親密な間柄に見えたので、感じたままに描写した次第です。

 

 この時は天羽側も最近上がり調子ではあれど以前の彼を知っているので心配になって口を出しに来ただけで、解説を引き受けたのも若村を気にしてという側面が大きいです。

 

 これまで色々謎だった天羽のパーソナルが開示されたからには、二次創作者としては使うしかなかったというのが本音です。

 

 さて、次はROUND6の章となりますのでお楽しみに。

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