『第十三幕~B級ランク戦ROUND7/Seven Rank Battle of White Girl』
ROUND7の章、解説と裏話をやっていきたいと思います。
今回の対戦相手は影浦隊、東隊、弓場隊となります。
どれも一度は戦っている相手であり、なんならその対戦で下してもいます。
しかし、一度勝ったからといって易々と攻略出来る相手ではありません。
今回は今シーズン初の四つ巴という事もあり、中々に激しい試合となりました。
解説役として草壁ちゃんを呼んだのは、ぶっちゃけると諏訪さんと並べてみたかったってのがあります。
諏訪さんは香取への評価が高いのは分かっているので香取隊の解説を一度やらせておきたかったので、丁度良いという事で草壁ちゃん共々呼びました。
里見は弓場さんファンという事と、草壁ちゃんの傍付きとして配置しました。
口では色々言いつつも慕っている諏訪さんと、普段から接しているチームメイトを並べる事でその対応の差を分かり易くした、という狙いがあります。
良いですよね、大人の渋めの男と年頃の少女が並ぶ絵って。
同年代同士の関係とはまた違った良さがあるので、この二人の組み合わせは結構好きです。
そして今回扱うMAPの展示場は、原作では「東隊の得意なMAP」として言及のみをされていたものです。
最終ラウンドの解説の時に王子がROUND7で展示場MAPの戦闘を体験し、大まかな図が描かれましたが端的に言うとそれだけの情報しかありません。
ですが、「東隊が得意とするMAP」という事、そして「展示場」というMAP名から内容を推測し、実装する事と致しました。
まず、東隊が得意としているという事は、狙撃手にとって都合が良いMAPという事になります。
そして、「展示場」という事は要するに展示物が並ぶ博物館のような建物を中心とするMAPであり、強制的に屋内戦闘を強いるような構造なのは想像に難くありません。
博物館はその性質上硝子張りになっている部屋が多く、尚且つ一部屋一部屋も広い事から射線が通り易く、東さんのように最上級の隠密能力を持っている狙撃手にとっては格好の舞台である事は言うまでもありません。
展示物はそのまま障害物としても利用出来るので、それらの影に隠れて至近距離からの狙撃を敢行する、などといった戦術も取れる筈です。
以上の推測から展示場は「規模の大きい博物館」のMAPである、という結論を以て今回の実装に至りました。
ランク戦編は原作で既に終了しているのでこの展示場MAPが直接描写される可能性は皆無に近いと思われるので、問題は無いと思います。
試合解説の方に戻りますが、今回は東隊が展示場MAPを選ぶだろうというのは他の部隊からも推測されていました。
ですが奥寺達は逆にそれを利用せんと戦術を組み、試合に臨んでいます。
これはポイント的にも東隊には後がなく、これ以外の選択肢がないからこそ開き直った、という面もあります。
今回の試合の参加チームは、何処も強力な面子が揃っています。
香取と樹里の二枚看板のエースを中心として強化された香取隊は言うまでもなく、弓場隊はB級上位に相応しい機転と能力を持ったメンバーが揃っています。
影浦隊に関しては前章で天羽が言及した通り、少々戦い方が変わっています。
彼が若村に「影浦隊のログを見ろ」と言ったのは、影浦隊の戦い方が以前と比べ洗練されたものになっていたからです。
ROUND6で影浦隊は二宮隊、生駒隊、弓場隊との四つ巴の中で二宮隊の得点阻止を第一に動き、その裏で獲れる駒を静かに狩って行きました。
MAP選択権は弓場隊が握っていたのですが、弓場隊は市街地Bを選び天候は弄りませんでした。
弓場隊は基本的に余程の事がない限りはMAP選択権を持つ時は市街地Bを選ぶので、順当な選択とは言えます。
それは影浦隊も経験上分かっており、普段なら即断で北添の適当メテオラが炸裂していたでしょう。
ですが敢えてそれをせず、二宮が水上を狙った際に横槍を入れる形でユズルが水上を撃破。
この狙撃の成功は普段と異なり影浦がすぐに出て来る事がなく、他の部隊の狙撃手が索敵を満足に行えなかった事も起因します。
影浦は狙撃手キラーの性質を持ち、彼の居場所が判明していない段階での索敵はかなりリスクが大きいです。
ですが、言うまでもなくとうの影浦隊にそんな縛りはなく、ユズルは悠々と索敵を実行して標的に狙いを定めていたのです。
敢えて二宮が水上を発見するまで待ったのは、先に水上を撃ってしまうとその時点でユズル側がターゲットになってしまうからです。
言うまでもなく二宮の弾幕は派手で、目を引きます。
なので二宮が水上を狙ってハウンドを撃った段階で、他の部隊にはその位置が露見するワケです。
そうなるとタイマンでぶつかればまず勝てない二宮相手に真っ向勝負を挑む者など早々いる筈もなく、二宮は他の部隊の位置が殆ど分からない状態で警戒され他チームから距離を置かれてしまう事になります。
とはいえユズルの位置は判明したのでそれを追うワケですが、ユズルは全力で逃げ回ります。
元々それなりに距離が離れていたので何とか時間を稼ぐ事が出来、その間に北添が爆撃を敢行。
南沢、帯島といった面子が炙り出されてしまい、二人が影浦に倒されます。
その後二宮はユズルと北添を撃破しますが、その間に弓場が犬飼を撃破。
隠岐が弓場さんを狙撃し足を削られますが、外岡がカウンター
生駒さんが機動力の低下した弓場さんを家ごと両断し、その後辻と接敵し撃破。
影浦は二宮とのタイマンで善戦しますが惜しくも敗れ、外岡はそのまま姿を晦ましタイムアウト。
結果は二宮隊と影浦隊が3点の同点となり、波乱に満ちた試合となりました。
こういったクレバーな戦略が出来るようになったのだと伝える為に、天羽は若村にアドバイスしたワケですね。
作中ではサラっとしか描写しませんでしたが、ROUND6での影浦隊の活躍は以上となります。
今回の試合の話になりますが、展示場は屋内MAPであり射線が通り易いという都合上、各所に爆撃を落とす為にはどうしても射線が通り捲る屋上まで行かなければなりません。
なので適当メテオラはリスキーなので、初手から実行する事はありませんでした。
ですがユズルだけが索敵を遠慮なく行えるというアドバンテージは今回も変わらないので、各部隊は各々のエースを敢えて発見され易くする事で影浦の釣り出しを狙います。
特に前回の試合で影浦隊の動きを見ていた弓場隊は、これまでとは違うのだと警戒していたでしょう。
結果的に香取と影浦がまずぶつかる事となり、弓場さんがそこに待ち構える形で乱入。
早期に香取の片腕を奪う事に成功しますが、その裏では奥寺と小荒井が合流を成功させていました。
単騎ではB級上位の中だと見劣りする二人ですが、連携の練度はあの風間さんが褒める程なので組んだ場合は当然脅威です。
そして今の香取隊のやり口は経験しているので、三浦を発見した際にはワイヤーを警戒して初手で旋空を放ちます。
しかし、これが罠でした。
初手でワイヤーを狙って来るであろう事を推測していた香取隊は、ワイヤーメテオラの
以前のROUND3の解説でワイヤーメテオラは使い難い面が多いと言いましたが、今回は屋内戦闘である点に加え、「狭い通路から広い部屋に出た先の入り口の傍」という通路側から死角になる場所に置きメテオラを設置する事でその問題を解決しました。
当然ながら千佳よりも練度の高い二人は爆発で落とされる事はありませんでしたが、隙を晒してしまった事に変わりありません。
何よりこの起爆は香取隊が仕組んだ事なので、三浦がその隙を逃がさず突きます。
結果として小荒井が落とされ、奥寺が一人残る事になりました。
前回のやり口を知っているという事実そのものを利用した作戦が、巧く嵌まった形ですね。
こういう風に「既知の情報を利用して罠にかける」というのは、ランク戦に於いては重要です。
初見殺しは強力ですが、それで嵌められるのは文字通り初見の一度のみ。
次からは当然に警戒されるワケですが、その警戒を利用して罠を仕掛ける事で更なる初見殺しが可能なのです。
初見殺しは当然ながら対策しなければ嵌められてしまう凶悪なものであり、それを見た相手は当然対策します。
ですがその対策を対策すれば、逆に相手を嵌める事が出来るワケです。
ランク戦を描く上ではこういった駆け引きを描くのは必須であると同時に醍醐味なので、実際に書いていく内に楽しくなっていくと思います。
コツはありますが、私の場合脳内でシミュレーターを回してランク戦の情景を想像しながらその感想を文字として出力する、という形式を取っているので難易度はそこまで高くはありませんでした。
葦原先生が「集団戦の方が書き易い」と仰っていましたが、この理由は幾つかあると思います。
まず、個人戦では結局の所個と個の力のぶつかり合いであり、無茶な覚醒でもなければ格上相手にはまず勝てません。
ですが、「集団戦」は違います。
修のように個人の戦力としては最弱であっても、自分を囮に敵を釣り出して伏せていた味方に仕留めさせる。
或いはエース同士の戦う最中、第三者の横槍を誘発させて隙を作る。
連携で相手を一ヵ所に押し留め、隙を見て不意打ちで仕留める。
このように、個人戦では個々の力で打倒出来ない相手であっても、集団戦であれば格上殺しは容易に行えるようになるのです。
それはバトル展開のマンネリ回避にも繋がり、ワートリのランク戦が多くの人を惹き付けるのはこういった駆け引きの面白さがあるからだと思います。
精神論や覚醒でどうにかするのではなく、あくまでもロジカルに相手を追い詰め打倒する。
こういった理論的な戦闘が、私がワートリを好きになった大きな要因と言えます。
また、ランク戦はあくまでも点取り合戦なので、必ずしも格上を打倒する必要はありません。
事実追い詰められた奥寺は帯島に捨て身で特攻し、相打ちの形で落とす事に成功します。
誰を落としても得点は変わらないので、戦力的に追い詰められた駒であっても出来る事があるというのは、ワートリならではだと思います。
今回は小荒井が不意打ちで落とされて新しくセットしていたハウンドを使う暇がなかった事を逆に利用し、初見殺しのハウンドで帯島を撃破しています。
このように、何も出来ず落ちてしまったというマイナス要素すら戦略に組み込めるので、集団戦は面白いのです。
そして、それは次の北添の捨て身の適当メテオラも当て嵌まります。
前述の通り屋内戦闘が主であるこのMAPでは、
しかしそれは狙撃手に無防備を晒す事と同義で、案の定外岡に撃たれてしまいます。
ですがそれでも尚東さんに撤退して貰うには、この爆撃は必須でした。
それは弓場隊としても同様であり、放置すればトリオン漏出過多で
目論み通り東さんは形勢不利と見て、外岡を落として撤退します。
この時外岡を狙ったのは彼が東さんの60メートル以内にいたからであり、一定区間内に他の部隊の隊員がいる場合自己
今回も東さんは撤退という形になりましたが、無理に東さんを落とそうとすれば他の部隊が根こそぎやられてしまいかねないので、正しい判断でしょう。
東さんを落とすというのは、そういう事ですから。
一方爆撃によって部屋に閉じ込められた三浦はユズルに狙われますが、カメレオンとダミービーコンの組み合わせで脱出に成功します。
ダミービーコンはオペレーターが操作する事も可能であり、敵に偽りの位置情報を与える事が出来るので、一度姿を隠した上で徐にビーコンを移動させればそこにカメレオンを使った隊員がいると誤認させる事が出来るので、今回のような芸当が可能なワケです。
カメレオンは使用中は他のトリガーが使えないという厳しい縛りがありますが、あくまでも本人のセットしているトリガーが使用出来ないだけで、第三者のトリガーや地形は活用出来るので、そこを活かした形です。
追う側と追われる側が逆転した事でユズルは逃走しますが、若村が追撃に現れます。
こういう場合、攻撃までにタイムラグがある射手よりも引き金を引くだけで弾をバラ撒ける銃手の方が狙撃手狩りには向いています。
あの二宮さんでさえユズルを落とすのには時間がかかっているので、攻撃速度の差というのは侮れない要素です。
基本狙撃手は東さんを除き寄られれば詰みなのですが、上位の狙撃手はそこからでも仕事をやり遂げるパターンもあるので、油断なく采配した形です。
事実、爆撃で生じた隙を突いてユズルは若村に大ダメージを与える事には成功しています。
結果的に落とされはしましたが、トリオン漏出で脱落した北添同様仕事は充分果たしたと言えるでしょう。
ですが位置が不明な隊員が一人もいなくなった事で、樹里の爆撃が解禁されます。
樹里には
北添の爆撃で建物はかなり破損していたので、射線が通り易くなったという事もあります。
エース同士の三つ巴も状況が変化し、弓場に負傷を抱えた若村が挑みます。
此処では若村がカメレオンを活用して、格上の弓場相手に善戦しています。
言うまでもなく弱い駒が強い駒を足止め出来ているというだけで充分仕事を果たしている事になるので、この場での若村の貢献度は計り知れません。
弓場さんは確かに攻撃手に対しては優位性がありますが、反面射程を切り詰めているので純粋な銃手に対しては射程の面で分が悪いです。
それでも本人の機動力が高いので普段なら問題になりませんが、爆撃が続けられる中でしかも相手が爆煙に紛れて姿を消して来るとなれば、かなり厄介でしょう。
加えて若村は、ビーコンを用いて自分がカメレオンを使っていると誤認させる事に成功しました。
この戦術はユズル相手に披露したものですが、当然他部隊の弓場はそれを知りません。
なのでこの初見殺しは成立し、最後は隙を突いた爆撃によって落とされます。
弓場さんは攻撃手にとっては相性の悪い駒ですが、反面射程で勝る相手には不利になります。
銃を持った攻撃手、というのが彼を表すには的確な言葉であり、戦術上の有利不利も銃手よりも攻撃手に近い、というのは覚えておきましょう。
最後は、部隊総出での影浦戦となります。
奇しくもこの時点で香取隊全員が生き残っており圧倒的有利に見えますが、相手は影浦です。
前回のような初見殺しもなしに易々と勝てる程、甘い相手ではありません。
若村は途中でトリオン漏出の為脱落し、三浦も腕を斬られ無力化されます。
もしもこのまま香取まで倒されれば狙撃手である樹里一人では影浦に勝つ術はなく、自己
ですが三浦の機転と香取の策によって、弧月をグラスホッパーで飛ばすという奇襲で勝利します。
ここでのポイントは両腕を失い攻撃手段を喪失した三浦を戦力外としてカウントしていた事を利用して、三浦が弧月を蹴り飛ばす事でグラスホッパーに乗せる事に成功した事です。
この場合三浦が狙ったのはあくまでもグラスホッパーの座標であり、影浦本人ではありません。
最終的に影浦を狙うので察知はされるのですが、直接狙うよりも警戒は遅れるでしょう。
また、四人がかりの連携で影浦の処理能力を圧迫していた事も、勝因に挙げられると思います。
そして試合後、「玉狛第二が二宮隊に完勝した」という驚くべき事実が告げられます。
これについては千佳が人を狙って撃てるようになった上に、ヒュースのエスクードで封鎖からのアイビス砲撃でドカン、という凶悪なコンボが生まれた事も起因します。
また、二宮さんに関しては原作最終ラウンドでやったような内容を修と遊真がやった、という認識で構いません。
ですがこれで玉狛第二は他の部隊から最大限警戒され的をかけられる事になったので、最終戦の立ち回りが重要となりました。
ただの無双では終わらない、という事ですね。
その後佐鳥と歓談の最中、樹里が何かを思い出しかけますが、あれは佐鳥とのファーストコンタクトの時の記憶を垣間見ただけです。
記憶処理を受けたとはいえブラックボックスの多い彼女はふとした切っ掛けで記憶が蘇る可能性があり、ボーダーの上層部を始めとした面々はそれを警戒しています。
今回のこれは後に起こる暴走の兆候のようなもので、彼女の記憶が蘇りつつある証左でもあります。
佐鳥が嵐山隊に数日は手が離せなくなると言ったのは、迅さん経由で樹里の暴走が大体いつくらいに起きるのかが分かったからです。
最終戦の後あたりが怪しいという事で、予め断りに行った形ですね。
佐鳥としては「その瞬間」は樹里から眼を離したくはないので、当然の処置ではあります。
話を持って行った時点では佐鳥は嵐山隊に直接的な「協力」を要請するつもりはなく、せめてもの誠意として事情を説明した後も可能な限り手を借りるつもりはありませんでした。
事実樹里の暴走時はすぐに嵐山隊には声をかけず、どうにか彼等の力なしで出来ないかと苦心した様子が伺えます。
ただでさえ日頃から樹里関連で迷惑をかけているのにこれ以上は、という意識があった為ですね。
迅さんもXデイが近いので、色々と動いています。
城戸さんもその動きには気付いていますが、彼が直接動くとどうしても樹里の処遇について再検討せざるを得ない可能性が高く、止む無く黙認のスタンスを取っている形になります。
組織の長として私情で判断がブレるワケにはいかないので、城戸さんなりの配慮と言えるでしょう。
城戸さんは冷徹な命令も下せますが、情がないワケではありません。
「近界民排斥を掲げる組織の長」という立場があるので色々言動や行動にも気を付けていますが、可能な範囲でなら便宜を図ってくれます。
色々言いつつも迅さんの事は信頼しているでしょうし、今回の対応はその証左ですね。
最後にククロセアトロの本星が迫っている描写が差し込まれましたが、これはぶっちゃけると最終決戦の場を用意する為の仕込みです。
流石に警戒区域であの規模の怪獣大決戦をやるワケにはいかないので、舞台装置として用意しました。
次はいよいよ、最終ラウンドの章の解説となりますのでお楽しみに。