『佐鳥賢』
アライメント:秩序・善
イメージカラー:マリーゴールド
イメージ曲:テオ
今作の三人目の主人公、佐鳥です。
まず、彼は「樹里のパートナー役」として抜擢した存在です。
女主人公をやるなら、そのパートナーとなる異性役を選んだ方が映える、と考えた為その選定を行いました。
香取隊には二人の男性隊員がいますが、双方共に原作時点で想いを寄せる相手がいる上に、どうにも樹里の相手役としてしっくり来なかったんです。
両名とも主体性が低く、「自分から物事を引っ張る力が弱い」というのが理由ですね。
三浦は性格上、若村は未熟さ故に自分から何かを変えようとする熱量が足りず、主役級に抜擢するのは無理があると判断しました。
そこで選んだのが、佐鳥です。
佐鳥はあの東さんと同じ時期から狙撃手をやっている狙撃手黎明期を潜り抜けた人物であり、広報部隊をやっている関係上社会経験もあって精神的にも大人に近く、それでいてツイン
良く三枚目として描かれる佐鳥ですが、あれある程度はポーズというか、「広報部隊としての佐鳥」として演じている部分もあると思うんですよね。
嵐山隊は顔役の嵐山さんが一番目立っていて人気もあるのは周知ですが、かといって彼のような完璧に見える人間だけでは距離を感じ、「遠い世界の人間」として敬遠される場合もあるでしょう。
ですが佐鳥という「下の目線」を持った人間がそのグループにいる事で親しみが生まれ、根付さんのメディア対策もやり易くなるのではないでしょうか。
なので佐鳥は見た目通りのひょうきんな人間ではなく色々考えながらも敢えて道化を演じる事が出来るキャラクター、として解像しました。
しかしそんな佐鳥も樹里と出会った当時は思春期真っただ中の中学三年生、彼女の浮世離れした美貌や纏う雰囲気に一発でやられて惚れちゃうのも無理はないでしょう。
但し佐鳥は広報部隊で社会経験を積んでいる上に根が真摯でどうしようもない善人なので、どれだけのラキスケイベントを喰らっても鋼の理性を保ち続けるので、ラキスケを誘発する樹里と噛み合う事で微笑ましいシーンの数々を作る事に成功しました。
男の主役は女性にがっつき過ぎない方がヘイトコントロールをし易いというか、清廉な人物であり尚且つ苦労人属性が着くと読者受けもし易いので、佐鳥は丁度良い塩梅のキャラクターでした。
ラキスケにドキドキしながらも絶対に手を出さないあたり、往年のラノベ主人公みを感じますね。
私自身シャナやゼロ魔で育った世代の人種なので、このあたりは王道でもあります。
本編では黒トリガー争奪戦や樹里の加入騒動の時は印象が大きかったですが、ランク戦中は基本裏方に回っていました。
ランク戦はどうしてもチームだけで戦う舞台なので、チームメイトではない佐鳥では応援するくらいしか出来なかったという理由もあります。
そんな彼が本格的に主役級として輝くのは、矢張り過去編からでしょう。
それまで裏方に回っていた彼の思惑や樹里との原点、抱える想い等に焦点を当てて全力で描写しました。
丁度一年前の出来事なので佐鳥は中学三年であり、社会経験も今よりは未熟という事で敢えて拙い部分も出しながら、ボーイミーツガールの主役として描きました。
今思い出しても過去編の章は我ながら良い出来に仕上がったと思っていますし、佐鳥もちゃんと主人公してたと思います。
それまでは言うなれば前作主人公みたいなムーブをしてた佐鳥でしたが、彼もまた今作の主人公の一人である、という事を知らしめる事が出来たのではないかと思います。
ちなみに樹里が記憶処理を受けて以降は誓って佐鳥は彼女のマンションに泊まってはいませんが、止む無く遅い時間までいたりする事はちょくちょくありました。
樹里に押し切られて合鍵も作らされていたので、それを口実に引き留められた結果です。
ちなみに当然樹里側は確信犯であり、あわよくばそのまま泊まらせようと画策していましたが、少なくとも最終話時点では叶っていません。
それ以降は樹里の攻勢が強まるので、何処まで持ち堪えられるかですね。
なんだかんだ記憶が曖昧な事と忘れてはいても自分の中に地雷が埋まっている事を無意識下で感じていたので樹里も遠慮していた部分もあったのですが、最終章を得てそれらが全てクリアされた為樹里の障害となるものは何一つありません。
此処からは完全攻勢に出た樹里相手に、佐鳥が理性の耐久限界を迫られる事になっていくでしょう。
遠慮した状態であれだったので、本気になったらどうなるかは言わずもがなです。
もう告白もしちゃったので佐鳥側に言い逃れる隙が無いのも、ポイントの一つですね。
当分は「身体を大事にしないと」と押し切る覚悟の佐鳥ですが、さてどうなる事やら。
そんな彼のイメージカラーは、マリーゴールド。
平たく言えば、鮮やかなオレンジ色ですね、
そのまんまのオレンジというよりは、彼の持つ未来を向く前向きさを現した色調です。
要所要所でちゃんと主人公をしてた佐鳥にとっては、ぴったりの色ではないでしょうか。
今作の佐鳥のアライメントは、秩序・善。
前作では茜ちゃんが該当する属性ですが、社会規範はしっかりと守り自分のルールも守り抜く佐鳥は、この属性でしょう。
中立・中庸でどっちつかずの樹里とは対照的ですが、だからこそ巧く行っている部分もあると思います。
そんな佐鳥のイメージ曲は、「テオ」。
「見落としたあの日のサインが 少しずつ溶けても」「きっと大丈夫だよ こうやってぼくらまた会えるから」の所なんかは、記憶を消されても佐鳥への想いを忘れなかった樹里に対しての、佐鳥のアンサーのような感じがします。
他にも「ひとつだって残さない 全てを取り戻すだけさ」「ぼくたちはもう 止まらないよ」「魔法が解けるそれまで 繋いでいてよ 手を」の所は樹里の暴走に際して「必ず取り戻す」と決意を露にした佐鳥の心情を現しているようで、とても合っていると思っています。
最後には二人のラブラブ攻撃で怨敵を討ち果たし、想い人と結ばれた佐鳥には幸せな明日が待っているでしょう。
たとえそれが、様々な苦労を背負い込む茨の道だろうと、彼は進み続ける筈です。
彼は樹里を最後まで支え続けた、主人公なのですから。
『染井華』
アライメント:中立・善
イメージカラー:ワインレッド
イメージ曲:君の神様になりたい
今作で主人公とまではいかずとも主人公チームを陰から支え続けたMVP、華さんです。
今作の華さんは香取同様、樹里という幼馴染の存在によって少々根本となる部分に変化が生じています。
原作での華さんは部隊の問題点に気付きながらも敢えて放置し、進言をする事もしませんでした。
私はこれを幼少期の父親に束縛されて来た体験が「世の中自由になる事の方が少ないだろう」という無意識の諦観に繋がり、更に言えば変化を望む事でより悪い方向に転がってしまう事への恐れがあった為ではないかと考えています。
華さんは口数は少ないですが情深いキャラであり、理性で動くように見えて本質的には二宮さんと同様感情的な人間なのではないか、と思うのです。
原作遠征試験編で修に香取への対処を聞かれた時に「わたしが」話したくないと言って断ったように、重要な場面では感情の方を優先するキャラクターである気がします。
だから変化への恐れが強く、相手を尊重し過ぎてしまう傾向もあるのであの状態の香取隊を放置したのではないかと思います。
ですが、原作で香取がボーダー止めると言い出した時に三浦の一言が切っ掛けで考えが変わった様子を見て内に秘めていた言葉を告げたように、何かしら自分の考えはしっかりと持っているキャラでもあります。
基本的に相手を立てるので自ら進言する事は滅多にありませんが、前に進もうとする人間を止める事もしませんし、求められれば助言もします。
だから根幹が変わったというよりは、変化した香取を肯定しそれに追随した、と言う方が正しいでしょう。
今作での香取は最初は樹里と昔みたいな関係に戻る事を第一目標とし、それが叶った後は不吉な影が見える樹里の未来を護る、という最優先目標が出来た為、それをサポートする事に全力を尽くします。
明確な到達地点が定まった以上、華さんが動かない理由はありません。
元々決断力も行動力もあって、主体性だけが足りないのが華さんなので、彼女のパートナーである香取が進むと決めた以上はノンストップです。
樹里の入隊騒動の際に彼女の中に得体の知れない爆弾が眠っていると示唆されればそれを探る為に舌戦に乗り出し、将来の利益になると踏んで玉狛第二との交渉の矢面に立ったりと、八面六臂の大活躍でした。
基本感情的な面を隠さない香取では交渉の場に立つのは荷が重いので、ロジカルに相手を詰める事が出来る華さんが必須でした。
香取のような発想力や直感こそありませんが、香取隊の中で全うな形で頭が最も回るのは彼女なので、裏方としての仕事を全力でこなしていたと言えます。
並列思考が苦手とありますが、逆に言えば一つの事に対する集中は凄まじいので、頭脳労働を香取と二分すれば充分に回す事が出来ます。
香取もあれで頭は良い方、というかとんでもなく要領が良いので、指揮の時は二人で役割分担しながら回していました。
華さんが各所数値の報告とデータ上の分析を行い、それを香取がフィードバックし臨機応変に作戦に組み込む。
そんなバディで、今作の香取隊は回っていました。
本来なら銃手である若村が担当するべき役目でもあるのですが、残念ながら彼はマルチタスクには向いておらず、言われた事を淡々とこなす方が適性があるので、女性陣二人に指揮は任せる事となりました。
それでも香取の成長で華さんの負担は大分軽減されているので、本編のような躍進が可能だったと言えます。
華さんは自分の両親よりも香取を選ぶくらいに幼馴染へ向ける感情が重いので、そういった内面も描写したいという思惑もあり、割と描く機会が多かったような気がします。
普通理性で判断出来たとしても幼い子供に自分の両親を見捨てて友達を選ぶ選択が出来るというのは、並大抵の事じゃないです。
なので当然彼女が香取に向ける感情は相当に重く、そこはしっかりと描写したいと思っていました。
父親によって香取と引き離された後、香取がわざわざ窓を作ってまで自分との時間を作ってくれた時、彼女の脳は鮮やかに焼かれたのでしょうし。
香取へそれだけの感情を向けるのなら、当然同じく幼馴染である樹里への感情も重いです。
生憎香取との間に起きたような劇的な出来事はありませんでし、なんなら香取が無理やり自分達の輪に入れて来た樹里の事を最初は鬱陶しく思っていたりもしました。
ですが接している内に樹里の案外物怖じしない面や天然が過ぎる厄介な不思議ちゃん属性、その他諸々の奇行に振り回される内に親愛を感じるようになり、大切な幼馴染へと認識が変化しました。
まあ、当時から樹里は寡黙なだけで行動は腕白で奔放だったので、華さんはそれの後始末をする母親目線でもあったでしょう。
幼い時分であれば香取がメンチを切って華さんが理詰めで言い含めれば、大抵の問題は力づくで片付くでしょうしね。
そんな華さんのアライメントは、中立・善。
社会規範は基本的には従うが、自分ルールと抵触した場合は割と躊躇なく足蹴にしますし、自分のルールはまず貫き通します。
特に彼女は自分ルールがしっかりと厳しいタイプであり、自他共にそれを冒す事を認めません。
他人の行動は強要しませんが、自分の振る舞いに関しては自分でルールを作って縛っています。
なので、このアライメントで正解でしょう。
イメージカラーは、ワインレッド。
深い鮮やかな赤であり、理性的な人間に見えて根は感情的な部分が大きい為にこの色が丁度良いでしょう。
上品なイメージもある色なので、彼女の落ち着きある振る舞いとも親和性が高いです。
イメージ曲は、「君の神様になりたい」
「そんな事を言って 本心は欲しかったのは共感だけ」「欲に塗れた 常人の成り損ないがぼくだった」あたりは口では色々言いながらも諦観に塗れており、常人の振りをして出来なかった幼少期の感性を物語っています。
何度も「ぼくは無力だ」と謳うのも、自分の無力さや世界の残酷さを知るが故のものだと思うとなんだかカッチリ嵌まります。
「がむしゃらに叫んだって ぼくがスッキリするだけだ」「欲しかったのは共感だけ でも君も救いたかった」の所も、何とかしたいけれどそれが出来ない無力感が出ている気がします。
「でも所詮君は強い 君はきっと一人で前を向いて行くんだ」のあたりからは、結局の所人が変わるにはその人自身が変わる意識を持たなければならない、という華さんの価値観が出ているようで、ピッタリだと思います。
地味ながら活躍し、隊を支え切った影の立役者、華さんでした。
次回は残る香取隊の二人のキャラ語りとなります。