香取隊の狙撃手   作:デスイーター

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キャラ語り/若村・三浦

 

 

 『若村麓郎』

 

 アライメント:秩序・中庸

 

 イメージカラー:マスタード

 

 イメージ曲:ゴーストルール

 

 原作遠征試験編でピックアップされたキャラクターにして、今作の成長枠。

 

 それがこの、若村くんです。

 

 原作の方である程度説明されましたが、当初の若村は自分の問題点すら分からず、香取の粗探しをする事でそれを誤魔化していました。

 

 基本的に若村は自分で責任を取りたくない、という思考が根付いていました。

 

 それは自分への自信のなさから来るものですが、正直な話これは誰しもが経験がある事なのではないでしょうか。

 

 自分で責任を取りたくない、責任の重い役割を任せられたくない。

 

 それは何故か。

 

 責任を取るようなケースになった時、「ちゃんと取れるかが不安」だからです。

 

 もし責任を負った時にそれを負い切れず、周囲から白い目で見られたらどうしよう。

 

 自分の所為で迷惑をかけて、取り返しのつかない事になりはしないか。

 

 そんな不安は、社会経験の少ない内は、特に学生時代は誰もが思う筈です。

 

 クラスの委員なんかは罰ゲームだし、何かの役職を持つなんて以ての外。

 

 そういうものを選ぶ時には、誰かが生け贄になって(手を挙げて)くれないかと黙り込む、そういう経験のある人は多いでしょう。

 

 若村はそういう意味で、典型的な年相応の男子高校生と言えます。

 

 劣等生ではないけれど秀才というワケではなく、悪人ではないが進んで善行を行うだけの勇気が持てない。

 

 そんな、等身大の少年が若村です。

 

 傍目から見れば責任を負いたがらない、いい加減な人間にも映るでしょう。

 

 特に「責任感が強過ぎて他者が努力を怠る事を堕落として見ている」意識高い系の人間にとっては、若村の人間性は格好の攻撃対象になると思います。

 

 ですが、原作で若村がヒュースによりズタボロに折られた後で読者から「心が苦しい」「耳に痛過ぎた」等と阿鼻叫喚になった事からも分かる通り、彼は等身大の少年なのです。

 

 ボーダーの面々は基本的に年齢不相応に精神が成熟しているキャラクターばかりの中、若村は特に「年相応」の人間だというだけなのです。

 

 なので、彼が成長する為にはまず、現実を知り徹底的に折られなければなりません。

 

 今作ではそれを、初期の樹里戦での惨敗で実行しました。

 

 東さんでもない狙撃手に至近距離まで迫っておいて返り討ち、というのは明らかな失態であり、あの場面で冒してはならなかった失敗です。

 

 いつもなら「香取が独断専行したから」と誤魔化せたでしょうが、あの時は香取はしっかりと指揮を執っており、明確に若村の過失が敗北の一因となっています。

 

 こうなると言い訳も出来ず黙り込むしかないのですが、そんな若村を見て香取が諦観の表情のまま無言で立ち去ったのを見て、彼は現実を直視します。

 

 もしかして、本当に駄目だったのは文句ばかりで具体的な解決策一つ出せなかった自分の方ではないのか、と。

 

 香取でさえちゃんと指揮をしていたのに、自分は何をしていたのか。

 

 そんな自問自答が、彼の中で繰り返された筈です。

 

 そこにすかさず犬飼からのフォローが入る事でドン底まで落ちる前に踏み止まり、適切な指導を受ける事で再起が出来たワケです。

 

 若村の成長の第一歩は、まず自分の駄目さ加減を直視させる事。

 

 これに尽きます。

 

 その為に一切容赦してはいけませんし、生温いやり方では言い訳に逃げます。

 

 なので言い訳不能の状態で失態を冒した後、すかさず指導を入れるのが正解だったワケですね。

 

 今回の場合、「香取はちゃんと指揮を執っていた」というのも大きいです。

 

 いつものように勝手にやるのではなく、きちんと指揮を執った上でしっかり指示も出していた。

 

 その上で明確に若村が失態を冒して脱落したワケですから、文句の出しようもないワケです。

 

 落ち度は完全に自分の方にあり、相手はちゃんとやっていた。

 

 このくらい分かり易い状況であれば、彼はしっかりと現実を見れます。

 

 見るしかない、とも言えますが。

 

 勿論それだけではネガティブ思考の彼はどんどん落ち込んでいくので、信頼出来る相手からのフォローが必須です。

 

 厳しくする所はしなきゃいけませんが、鞭だけでどうにかなる程若村のメンタルは図太くないです。

 

 なので、追い詰め過ぎてもいけません。

 

 基本的に若村は自分から何かを変えよう、という意識が薄く、変化を恐れます。

 

 明日に対して希望ではなく諦観や恐れを持ち、目を瞑って「今日」をやり過ごす。

 

 それが、ボーダーでは珍しく年相応の精神をした若村の処世術でした。

 

 自分に自信が持てないから、「明日」や「変化」は恐怖でしかない。

 

 だからこそ色々な事に眼を瞑り、当たり障りのない方法で「自分はちゃんとやっている、自分は努力している」と()()()()

 

 そういった臆病さが、若村の現実逃避の根幹です。

 

 それでも自分の駄目さ加減を直視すれば「このままでいる方が怖い」と思わせる事が出来るので意識変革の切っ掛けになるのですが、放っておくとどんどん迷走して酷い事になります。

 

 なので信頼出来る師匠の他に近い目線で支えてあげる相手、つまり三浦のような相方が必須です。

 

 二宮隊室に突撃した際も、近くに三浦がいたからこそ二宮さん相手に啖呵を切れた、と言えます。

 

 情けないと思うかもしれませんが、彼はあくまでも等身大の男子高校生。

 

 周りの環境の方がおかしいのだと、覚えておきましょう。

 

 但し、自分の駄目さ加減を自覚し意識変革をしただけで急激に強くなれる程ワートリは甘い世界ではありません。

 

 前に進む意識は必須ですが、それはあくまで大前提。

 

 その意思がなければそもそも進むという選択肢自体取れませんが、想い一つで何もかもどうにかなるような甘い話はありません。

 

 ワートリではそれまでの積み重ねと具体的な戦術と機転、チームの連携が勝敗を分かつのであり、想いでどうにかなるのは実力が伯仲している時の一押しくらいです。

 

 そして当然、B級上位の中で下の方から数えた方が早い若村が急激に強くなって無双する、というのは有り得ません。

 

 彼が手っ取り早くランク戦で活躍するには、「一つの駒に徹する」事を覚える事が最優先です。

 

 これまで若村はそれすら出来ていない状態であり、個人としての能力はB級中位程度はあるもののチーム戦の基礎が一切出来ていない状態です。

 

 原作でヒュースが言った通り、「チームでどう動くかを考えられる段階にない」んです。

 

 こればかりはランク戦を戦う中で壁にぶつかりながら練り上げていくしかないのですが、悪い事に彼のチームには香取という自動的なB級上位シード権とでも言うべき存在がいた為、一切壁にぶつかる事なくB級上位まで上がってしまっています。

 

 普通の部隊がその過程で経るべき経験を一切していないので、チーム戦のノウハウを覚えようがなかったのです。

 

 こればかりは経験が物を言うので、急にどうこうするのは無理があります。

 

 なので彼が手っ取り早くチームに貢献するには、「指示された内容をしっかりとこなす」事を徹底する事以外にありません。

 

 見るからにマルチタスクな苦手な彼に指揮の真似事は荷が重く、自分の動きと他者の動きを同時に把握しながら動けるのはまだ先です。

 

 なので若村には「場合によっては捨て身になってでも作戦行動を遂行する」事を徹底させるよう指導しました。

 

 実はこれだけで、ランク戦ではある種の初見殺しになります。

 

 前期までの若村を見ている面々は「行き当たりばったりで喚き散らすだけの何も出来ない」状態の彼を知っているので、その先入観もあって有り体に言えば彼を舐めてかかっています。

 

 そこに若村が作戦通りに黙々と指示をこなして、捨て身すら厭わない姿勢を取ればどうなるか。

 

 要するに、相手の虚を突けるワケですね。

 

 どっかの長男も言っていましたが、「一番弱い者が戦場では最も勝利に繋がる可能性がある」という事です。

 

 B級の面々は原作でユズルが言っているように「見えている弱点は防ごうとする。真面目な人が多い」ので、相手の戦力分析はしっかりと行っています。

 

 だからこそ若村の戦術レベルを低く見積もっている面々にとっては、彼がきちんと駒の一つに徹するだけで目算を崩す事が出来るワケです。

 

 作中でもそのあたりは軽く説明しましたが、前期までの負債を武器に替えた結果、とも言えますね。

 

 そのくらいしないと若村がB級上位でやっていくのは厳しいので、このくらいのハンデはあって然るべきでしょう。

 

 当たり前の事を、当たり前にこなす。

 

 銃手は基本、これが出来ていれば奇策も何も必要ありません。

 

 奇策は下剋上を狙う側が行うものであり、意表を突けはしますがその分リスキーでもあります。

 

 香取という絶対的エースがいるのですから、若村の役目はそのエースを如何に活躍させるか、に尽きます。

 

 今作では樹里という二枚目のエースも加わっているワケですから、玉狛第二と同じく「エースの使い方で勝敗が分かつ」チームなのは明白なので、若村はどれだけ香取達を負担なく動かせる手伝いが出来るかが全てなんです。

 

 そもそも、銃手は基本的にはサポーターです。

 

 味方の援護や敵の攪乱が真骨頂であり、ポイントゲッターである必要はありません。

 

 一見地味で堅実な立ち回りこそ銃手のあるべき姿であり、そのハイエンドが犬飼です。

 

 そんな人物を師匠にしているのですから、銃手としての基礎自体は出来てはいた筈です。

 

 後は彼の無駄なプライドを潰し、チームの駒として動く事を徹底させればそれだけでチームに貢献出来る、という寸法です。

 

 まずは粉々になるまで折って、そこから適切なフォローで再スタートを切らせる。

 

 これが、若村麓郎の成長プランです。

 

 今作ではそれを意識して、序盤は徹底的に虐め抜きました。

 

 その甲斐もあって調子に乗って彼を舐めていた樹里の敗因になる事が出来ましたし、大規模侵攻でもしっかりと活躍出来ました。

 

 ですが樹里との確執は解決していませんでしたが、あれは主に樹里側の問題なので、彼の場合は試合後の香取の叱咤激励で立ち直っています。

 

 そこからはチームの駒に徹する事を覚えたので、要所要所で活躍出来たワケです。

 

 ですがそのままだと地味な動きしかしていない事から「もしかして自分だけ役に立ててないんじゃ」とネガティブになるので、香取が要所要所で「よくやった」と褒めていたのです。

 

 ROUND2の失敗は眼に見える成果がなければ成長を実感出来ない若村側のメンタルにも問題があったので、それを理解した香取は試合後にきちんと褒める事を徹底しています。

 

 鞭だけではなく飴も使い分けないと若村はちゃんと動かないので、そこは気を遣った形です。

 

 香取は樹里が入ってテンションが際限なく上がっており、「このチームを強くチームとして成長させたい」という想いが強く、そういった配慮も行うようになっていました。

 

 これは風間さんから言われた通り「隊長の役目を果たす」為のものであり、樹里の為にならプライドも投げ捨てられる香取がアドバイスを素直に聞いた結果とも言えます。

 

 そんなこんなでチームメイトにも恵まれ、今作でちゃんと成長出来た若村でした。

 

 最終決戦ではワイヤー張りを中心とした地味な役目でしたが、それでも要所要所で成長が垣間見えたと思えるので、描きたい事は書けたと思います。

 

 そんな若村のアライメントは、秩序・中庸。

 

 社会規範は絶対守る、というか破る事を思いつけない彼ですが、同時に流され易くもあるので中庸属性です。

 

 凡庸を絵に描いたようなキャラとしては、適切なアライメントでしょう。

 

 イメージカラーは、マスタード。

 

 要は、くすんだ黄色ですね。

 

 茶色に近い黄色であり、見せかけのプライドに頼っていた過去を踏まえた上で泥臭いやり方を覚えて初めて成長が見られた若村としては、ピッタリな色かと思います。

 

 イメージ曲は、「ゴーストルール」。

 

 「今日だって叶わない 思ったように騙せない」「腐っている僕には 腐ったものが分からない」のあたりは、自分の事を直視出来ず、言い訳ばかりをしていた過去の若村みがあります。

 

 「メーデー、僕を叱ってよ 正直者が夢見たいなら」「HEY メーデー僕を裁いてよ 最後まで甘えてしまうのは」のあたりは自分の現実を直視して自己嫌悪しつつも、前に進もうとする後半の若村みたいで良いな、と思います。

 

 色々語りましたが、矢張り未熟なキャラというのは描き甲斐がありました。

 

 皆様も是非、自分なりの若村成長企画を立ててみて下さい。

 

 

 

 

 『三浦雄太』

 

 アライメント:秩序・善

 

 イメージカラー:サックスブルー

 

 イメージ曲:ロストワンの号哭

 

 最後は香取隊のもう一人のサポーター、苦労人体質の三浦です。

 

 彼は能力自体は悪くないどころか機動力8評価と結構高く、気配りも機転も利くので「駒として動く」事自体は出来ていたのですが、如何せん当時の香取隊は作戦らしい作戦もなく、ただ香取が暴れてそれをフォローしていくうちに処理能力に限界が来て落とされる、というパターンが多発して能力を発揮するどころではありませんでした。

 

 以前の香取隊は若村が戦力になっておらず、香取はそんな彼に対して「何を言っても無駄」と割り切り「自分が思う最善」を尽くす為に指示すら投げ出して突貫する、といった有り様でした。

 

 ぶっちゃけると若村が停滞していた分の負債を一手に引き受けていた所為で自分の生存すら二の次になり、潰れてしまったワケですね。

 

 三浦自身、「変化を齎す」事に消極的な性格な事もあって今のままでは駄目な事は分かっているが、変化を望むという事は若村を糾弾する事とイコールに等しく、人に気を遣い過ぎてしまう彼ではそれは出来なかったんですね。

 

 なので彼の場合、若村の現状が改善されれば本来の能力を活かせるようになり、縁の下の力持ちとして輝くワケです。

 

 なので若村が成長して以降は一気に負担が軽くなり、自分の仕事がきっちりと出来るようになったのです。

 

 その気の弱さや配慮をし過ぎる点がこれまで仇になって来ましたが、逆に言えば前のギスギス状態の香取隊を何とか空中分解させずに保たせて来た功労者でもあります。

 

 今後はそのスキルを活かして、部隊の屋台骨となってくれる事でしょう。

 

 彼と若村に新たに採用したトリガーとなるスパイダーですが、これは本来活躍の場が限定されてしまう二人に役割を持たせる為に持たせたものでもあります。

 

 ここぞという時でワイヤーの仕込みが出来れば試合を有利に運べるので、持ち運び出来るギミックとしてスパイダーは優秀なんですね。

 

 何よりも香取隊には香取というワイヤーを十全に使えるエースがいるので、ワイヤー地帯を作ってそこに誘い込み、香取を投入するだけで雑に点が狙えます。

 

 何より若村には「きちんと仕事をしている」実感を与える事も出来るので、一石二鳥です。

 

 三浦もこうした地味な作業を苦とするタイプではないので、ピタリと嵌まったというワケです。

 

 そんな彼のアライメントは、秩序・善。

 

 まあ、普通の良い子ちゃんですね。

 

 流され易いようで自分の芯はしっかりと持っているので、中庸ではなく善属性になっています。

 

 自分ルールという程我が強いワケではないですが、自分の方針自体はちゃんとしていたので。

 

 イメージカラーは、サックスブルー。

 

 くすんだ青色ですね。

 

 爽やかな青色の系統でありながら、色々と苦労が重なってくすんでいるあたりに三浦みが出ているのではないかと思います。

 

 イメージ曲は、「ロストワンの号哭」。

 

 「本日の宿題は 無個性な僕の事」「過不足ない不自由ない 最近に生きていて」「でもどうして僕達は時々に いや毎日に」「悲しいって言うんだ 淋しいって言うんだ」のあたりは、隊の問題点に気付きながらも自分のスタイルから口出しも出来ずただ負担が積み重なっていた過去の三浦の事を指しているみたいで、ピッタリかなと思いました。

 

 「そろばんでこの式が解けますか あの子の首の輪も解けますか」「僕達このまんまで良いんですか おいどうすんだよ おいどうすんだよ」のあたりで彼の葛藤が垣間見えるみたいで、なんか良いなと思ってます。

 

 これでキャラ語りは終わりましたので、本格的にアフターストーリーを描いていこうと思います。

 

 まずは最終回後の樹里から書いてみようかな、と思ってますのでお楽しみに。

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