白金の竜王に転生した人間の日記   作:美味しいラムネ

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滅国の魔女が怖いので初投稿です


神竜の十五冊目

あれは、何だ。

一体何なんだ。

 

白金の鎧と入れ替わるように現れた竜。

いや、あれを竜と呼んで良いのだろうか。

 

名の知れた剣豪であれば、その体から立ち昇る闘気が。

悠久の時を歩む伝説の大魔法使いであればその身に纏う濃密な魔力が、その者の強さを語る。

 

しかし、あの竜からは一切の闘気も、一切の魔力も感じることが出来ないのだ。

いや、無いわけではない。

この世界で英雄と呼ばれるものでさえ、それを超えた逸脱者でさえも捉えきれない、完全覚醒した神人でなんとか捉えられるほどの圧倒的な力。

あまりにも大きすぎるそれは、視界を覆い尽くし、何も無いように錯覚させる。だから何も感じることが出来ない。

 

その力を理解した者は、光さえ吸い込む暗黒孔(ブラックホール)のように、深く、どこまでも落ちて行く。そんな感覚を覚えた。

自分に向けられている訳でもないのに、崩れ落ちるような圧力(プレッシャー)を感じる。

 

で、あれば。その圧力を直接受けている敵は、一体何を感じるのだろうか?

 

 

 

神竜は、ある意味では不遇な存在だった。

中規模キャンペーンシナリオのボス。世界征服を狙う竜王を討伐するありきたりなそれは、プレイヤーにとって美味しいクエストとして有名なものであった。

シナリオの序盤に出てくる強化個体の雑魚は、同レベル帯の他のモンスターの数倍の経験値を持つため序盤のレベリングに利用でき、中盤以降のシナリオは難易度に対して報酬が美味しい。そしてラスボスである神竜は、同レベル帯の他のボスよりは圧倒的に強いが、大量に要求される希少素材をドロップする上に、報酬で入手できるデータクリスタルは需要は高いが流通量が少ないものばかり。

受注制限はあるものの、人気クエストだったそれは、殆どのプレイヤーに受注され、その度に神竜は殺された。

 

ある時は41人の異形種の集団に、ある時は8人の戦士に、ある時は災厄をばら撒く魔法職の集団に、ある時は6人の骨と愉快な仲間たちに殺された。

何度も殺されつづけたが、異世界に転移したことでようやくその悲願を達成できると思った。

そのタイミングでこれだ。

 

何なんだ。あんな存在がいて良いのか。

まさか、あれが、あれこそが伝説に謳われるワールドエネミーだとでも言うのか!

 

何故あんな化け物が人の中に紛れている。

あれは竜などではない。もはや別のナニカだ。あんな悍ましいものを同じ竜だと認めたくはない。

 

「──まぁ、本気を見せると言ったわけだし。」

 

化け物が、優しげな微笑みを浮かべて誘う。

 

「さぁ、異界の竜王よ。決死の覚悟でかかってきなさい」

 

汗が噴き出す。今すぐにでも逃げ出してしまいたい。だが背中を見せれば最後次の瞬間には胴と首が分かれているだろう。

であれば、死中に活を求めるしかない!

何としても生き残り、私は世界を支配する。そして全ての財をこの手に収め、生きとし生けるものに恐怖を齎すのだ!

 

 

 

 

 

「舐めるなぁ!『炎爆掌』《魔法三重最強化・朱の新星》」

 

肥大化した肉塊が腕の形を形成し、炎を纏い炸裂する。

通過するだけで周囲の大気は一瞬で燃え尽き、大地はひび割れる。何かに拳が炸裂した瞬間、天まで届くほどの火柱が上がる。

 

「もう1発だ!『雷爆掌』《魔法三重最強化・万雷の撃滅》!」

 

燃え尽きた大気の中を、見ていられないほど眩しい光が炸裂(スパーク)する。蓄積されたエネルギーはそのまま破壊力へと転化され、放出される。

扇形上に地面が抉られ、焦げた匂いが辺りに漂う。

 

数多のプレイヤーを屠ってきた、魔法とスキルの四連続攻撃。

倒せないまでも、相当なダメージが入った。その場にいる大半がそう思った。

 

 

「『構築・無敵要塞』」

 

現実はどうだ。

化け物は傷一つ負っていない。数十枚の盾が壁のように立ちはだかり、全ての攻撃を受け止めた。

鱗の一枚、肉の一欠片さえ傷つけることは叶わず。

 

「…仲間に被害がいくと困るからね。防御だけは本当に全力でやらせて貰ったよ。…じゃあ、今度はこちらの番だ。」

 

「『雷槌(トール)』」

 

神竜の体を、影が覆った。

人の数倍の大きさのある槌が、竜の体を叩く。刹那、何本にも束ねられた雷が竜の肉を貫通する。

 

「『旋風(ハスター)』」

 

苦悶の叫びを上げた神竜を、風を纏った太刀が薙ぐ。

咄嗟に差し込まれた竜の尾ごと、半身をバッサリと切り捨てる。傷口から竜巻が発生し、傷は何倍にも広がる。

 

「『吹雪(ハデス)』」

 

その傷口を、冷気を纏った槍が貫く。

接触した面から肉は腐食を始め、その後瞬時に凍りつき、柱上に凍りついた血液がさらに傷を深くする。

そのまま神竜の全身が霜に覆われる。

 

「舐め、るなぁ!『ドラゴンブレス《火炎》』」

 

「『焔剣(アグネヤストラ)』」

 

火はより大きな炎に焼き尽くされる。

大剣が凍りついた面に触れる。次の瞬間、神竜の体が崩壊する。

魔法的力により無理やり引き起こされた温度変化に耐えられなかった体はボロボロと崩れ落ちる。

 

「…ぁ、が…ま、ダダ…まだだぁ!『眷属召喚』!《魔法二重最強化・極地の爪》《魔法三重最強化・穿つ氷弾》」

 

神竜だったものが叫ぶ。

地面から這い出てきた青ざめた肌を持つヒトガタの何かが裂け、中から蜘蛛のような化け物が溢れ出す。

ギチギチと鋏角を鳴らしながら、悍ましき者たちは雪崩のように殺到する。

 

そして氷撃は、竜神ではなく─それを見守る者たちへ向かって放たれる。

そして全て撃ち落とされた。

 

「…別にいらなかったとは思うけど、一応念のため、ね?」

 

神竜は気づく。

あの竜のような化け物以外にも、化け物がもう1人いた。

多分あれは私に近しい、ボスと呼ばれる存在だろう。

 

「助かったよ、スルシャーナ。」

 

「別に?油断して後ろ抜かれる間抜けさんだったら困るから念のため割り込んだだけよ。」

 

勝ち目などなかったのだ。

かの白金の竜神に敵対した存在は悉くが滅せられる。

 

リーダーは思った。

仮に俺が、レベル百の万全の状態だとして、ツアーに勝てるだろうか?弱点は?他の攻撃方法は?武器の入手経路は?魔法は使う?ビルドは?耐性は?

いや…無理だな。

あれを倒したいなら…ギルドでもぶつけるしかないだろうな。

本当に、

 

「味方でよかッ……たァ!」

 

 

暗黒騎士は思った。

何あの技欲しい。と。この男、何も考えていないのである。

 

 

神竜が吠える。

 

「何故だ、何故貴様のような化け物が人に紛れていた!貴様のような化け物が、人のフリをした化け物が、いつまでも人の世にいられると思うなよ!貴様は所詮一人だ!その女でさえ、貴様には遠く及ばない!本質的には貴様は永遠に一人なんだ!あぁ、予言してやろう!お前はその力量の差が原因でいつか滅び去るだろ…ガッ!」

 

神竜の首に、白金の短剣が機関銃のように突き刺さる。

 

 

じゃあ…これで、終わりにしようか。

 

全ての武器が仕舞われ、代わりに竜神はその爪を構える。

 

「滅び去れ!『気爆掌』《魔法最強化・隕石落下》!」

 

 

 

 

『次元断切』

 

 

斬撃が星を切り裂き、そのまま竜の体に到達する。

神竜の体が、眷属もろとも真っ二つに裂ける。

 

 

「そうそう、聞こえてないと思うけど。私、本当は攻撃系の武技も、魔法も使えるんだよ。なんなら超位もね。まぁ…君は、私が魔法を使ってまで戦う相手ではなかったということさ。」

 

竜神は、神竜に背を向け立ち去ろうとする。

 

「あ、そいつ食いしばり持ってるね、これ」

 

 

やっべ。誰かが呟いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

219311日目

 

どうして私は素直に双空斬とかとセットで次元断切しなかったのだろうか。食いしばりぐらい予想しておくべきだった。私だって食いしばりできるから奴だってできてもおかしくなかったしな…

神竜、早めに殺して置いて正解だったな。放って置いたら不味いタイプの奴だった。

 

で、肝心のトドメは神官長に持ってかれたよ!「我が神よ!それはそれとしてトドメは貰っていきますぞ!」って。あの野郎!

今までの神官長ならトドメは難しかっただろうが、この戦いの中で難度210相当の竜にトドメを刺しているから、タレントが強化されて最後の一撃を加えられるようになっていた。はぁ。いやまぁ良いんだけどさ、カッコよく出た割に最後が締まらないというかなんというか…

 

魔法無し、始原の魔法無し、武技も一部のものしか使わない、その上でスキルも縛ってても異世界の敵相手にこれぐらいは戦えることがわかって何よりだ。まぁ妙なバフがかかってた気がしないでもないが。

 

で、だ。少し調子に乗りすぎて素材が欲しかったのに体を半分以上吹き飛ばしてしまった。血とか肉片は蒸発したおかげでスプラッターにはなっていないが。いや、本当にやり過ぎたと思う。なんか引かれてないか…?ちょ、なんで後退りするんだよ?おい!

 

 

219319日目

 

あれ?いじられキャラから脱却できていなくないか?「冷静に考えたらまぁツアーだし別にあれぐらいやるか。」ってなんだよイジャニーヤ。そして何故スルシャーナは少し自慢気なんだ。

 

神竜を倒し、まぁ一応旅は終わったわけなのだが、よくある英雄譚とは違っていつまでも近くの宿場町で駄弁っている。もうだめだよこの英雄たち。まぁ私もなんだが。流石に鎧だが?竜で町に突撃するほど馬鹿じゃない。

 

今日は神竜の肉体を解体して素材の仕分けをしていた。竜の解体は私に任せておけ。この道千年のプロだぞ!

そうしていたら、体の中から水晶のようなものが見つかった。リーダーとスルシャーナ曰く、データクリスタルというものらしい。私も何度か使用したことはあるが、実際にドロップしたのは初めて見たな。異世界の生物の体内にはこんなものがあるのか…今まで異世界から転移してきたモンスターの体内にはなかったが、やはりこいつは特別なのだろうか?

 

 

219514日目

 

リーダーが、最後にフェルンオストに行ってみたい!と言っていた。

…ここからあそこまで歩いたら一体何ヶ月かかるのだろうか。下手したら一年かかるぞ?まぁ私がいるから転移魔法で1発なんだがな!

風情がないって?折角だし転移魔法なしで向かいたいって?しょうがないなぁ…

 

…あれ?空路か転移でしか行ったことないから行き方よくわからないぞ!?あ、神官長は知ってるのね…

 

おいリグリット。魂喰らい(ソウルイーター)に乗っていこうとするな。スキル切っててもすれ違う旅人がビビるだろ。というかいつの間に召喚できるようになったんだ?

あぁ、死の宝珠マークIIに溜まったエネルギーと、魔法との組み合わせで創造したと。この1匹で限界だとはいえ、もうそれ英雄の域を逸脱していないか?

 

そして暗黒騎士とジュゲムは二人だけドラゴンに乗って楽をしようとするな。だったら最初から転移で…あぁ、そういう問題じゃないと。

 

 

219690日目

 

半年近くたって、ようやく我が領地へ帰ってきたぞ!まぁ本体は領地内なんだが。

外からは結界で見えないようになっているから、何もないように見えるが、内部に入るとあら不思議、領主の私でもよくわからない構造をしている都市が見えてくるぞ!自然と都市のコラボレーション。というか多種族が暮らしやすい環境を目指した結果、ダンジョンもかくやというなかなか混沌な事になりつつあるんだよな…水が下から上に流れているのはザラである。これも全部魔法が便利なのが悪い。まぁ混沌なのは見た目だけで、実際に都市内に入ると移動は滅茶苦茶楽だがな。

 

上に見えるのがオーちゃんとスーちゃんの巣で、隣に見えるのが、熾天使が先生をしている学校です。奥に見える森を突き抜けて見えている巨木はザイトルクワエと言って森の守り神です。もうどこまで成長するかは誰にも分かりません。最近全長が1000mを突破しそうになったそうです。日照問題は魔法で解決!あの大神殿はなんかいつのまにか生えてました。何故か私を信仰する神官たちが建てたらしいです。私なんて信仰しても良いことないのにね。天使が自然湧きするらしいですね理屈は知らん!

 

リーダーが「ギルド拠点みたいだな…」と言っていたがそれは誉め言葉なのか?

 

 

219691日目

 

今日は仲間にフェルンオスト産の食材で作った料理をご馳走した。この世界で唯一…かはどうかは知らないが、レベル60代の食材を使用できる料理人の作った最高品質の品だ!

…バフを殺して良いなら別だが、殺さずに料理できる料理人は他にはいないんじゃないか?料理バフは偉大である。なにせ魔法と重複して無効化されないものが多い。不死者や一部の異形種以外であればバフ料理を食べてから戦いに挑むのが望ましいだろう。まぁバフ食材をこんなに用意できるのはうちぐらいなんじゃないかな?周辺国家には農業大国で通ってるし。

 

 

219730日目

 

流石に仲間達も故郷に帰り始めた。ルーン工王?あいついつまでも帰ろうとしなかったけど無理やり国に帰したよ。国王が逃亡とか前代未聞すぎるぞ。

ただ…リーダーと暗黒騎士。他にも風巨人に魔法剣士。お前らいつここを出るつもりだ。

居心地がいいから永住したい?しょ、しょうがにゃいなぁ…

 

帰る場所なんてないからとか言われると何て反応していいか分からなくて困るのだが。

 

 

219900日目

 

ルーン工王からスルシャーナ経由で近況報告の手紙が届いた。

なんでも、国に帰ったらいつのまにか霜の竜と同盟を結んでいたとかなんとか。しかし少し調子に乗ってたのでボコってやったぜ、と。

まぁ神竜という圧倒的格上を撃破したせいかあの場にいた全員軒並み逸脱者の域に至るかそれを超えているし、あの山脈の竜ぐらいならボコれるだろう。

 

…いや待て冷静に考えるとあの傲慢不遜が本質なドラゴンとドワーフが同盟って何事だ!?

あとは、王城の内部に騎士型ゴーレムを増やしただとか、刻めるルーンの数が増えたとかそんな話が書かれていた。

 

 

219934日目

 

今度はイジャニーヤから近況報告の影分身が送られてきた。さすがイジャニーヤだ。

なんでも、捨て子や恵まれない境遇の子供を集めてニンジャ教室のようなものを始めたらしい。ニンジャ教室ってなんだよ。

 

あと、修行を怠ってはいないか、と釘を刺された。

旅の途中、結局忍術を諦めきれず、イジャニーヤから教えを受けていたのだ。

御庭番衆に手伝って貰っても忍術は一生無理な気もするが、気配遮断や気配察知は得意になったぞ!いや元々周囲1キロ近くは完全不可知化しててもなんとなくわかるレベルの気配察知力はあったが。あと粘性のある液体を生成できるようになった。まぁ使うことは無いだろうが。日常生活で少し便利な程度である。

 

おい待て神官長。これは別にいかがわしい目的に使うものじゃなくてただの足止め用の接着剤で…おい待て!神官長止まれ!止まれッ!

 

 

220000日目

 

私たちの冒険が英雄譚として語られているらしいが、スルシャーナが聖女扱いなのが納得いかない。

そして白銀として語られる私が、本当にごく一部とはいえロリコンとして扱われているのも納得がいかない。どうしてくれようか。

 

ポッターに言ったら大爆笑された。ところでお前いつに間にか魔法の神として世界中で信仰されてるらしいが大丈夫か?なんでも「名前を言ってはいけないあの神」だとかなんだとか…

 

 

220134日目

 

ジュゲム。やっぱあいつ転生主人公なんじゃないか?なんで一人だけ別の大冒険を始めているんだ。

ふらふらと世界中を彷徨ううちに、水晶の城の話を聞いたからそれを見に行こうと旅を始めたと。その途中でフードを被った老人に、心閉ざした姫の話と、その姫を救ってほしいというお願いをされて、そのまま成り行きで助けることになった。どういうことなんだ。

 

水晶でできた城の中で十二体の水晶の騎士と激闘を繰り広げ、心閉ざした美しい人間の姫の心を開いたと。そしてその姫が魔王に攫われたから十二人の姫に忠実な水晶の騎士と、赤竜の背に乗って助けに行ったと。

死闘の末救い出し、そしてついに姫と結ばれたと。そして人間の姫との間に子をもうけたと。

 

一人だけテンプレ的なヒロイック・ファンタジーしてるじゃないか。なんなんだ。やっぱお前転生者なんじゃないか!?

リーダーはその話を聞いて「多分その城、ダンジョンの一種だよ俺知ってるよ…派生クエストでそんな依頼あったわ。ジュゲム、お前何者なんだよ…」と頭を抱えていた。大丈夫だ。私もあいつがなんなのかよく分からん。

 

 

220658日目

 

スルシャーナから、「武器を作りたいの!」と頼まれた。いやそのレベルの武器を作るの楽じゃないんだが。

素材は用意する?報酬も用意する?いや、スルシャーナ相手に報酬取るわけには…

 

しょうがにゃいなぁ…私に任せておきなさい。

ほうほう、幾億の刃を再現した槍を作りたいと。…いや無理だが!?

 

 

221000日目

 

頑張った…武器、ようやく完成したぞ…

力を失ったネコさま大王国のギルド武器を核に、槍を四層構造に分けて、それぞれの段に《二重》を付与。攻撃命中時にギミックが作動することでヒット数が合計八回になる!…、まぁ、一撃目以降は50%、25%、12.5%…と減っていくのだが。これでも作るのが相当大変だったぞ…その他にも《魔法蓄積》が一層ずつ付与されていたり、多種多様な魔法がこもっている。

それにしても、この槍、滅茶苦茶デカいなぁ。まぁスルシャーナの要望で肩から接続するタイプにしていたから問題ないのだが。

薄装甲の戦士が、武器の部分だけゴツいのってロマンあるよな。

 

あと、あのあとにもう一本頼まれていた武器も完成した。

超希少アイテム『時の宝玉』が嵌め込まれた戦鎌。ファーインという、法国『漆黒聖典』最強の存在専用の武器になる。寸法のために何度か会ったが、難度210はあったな。

スルシャーナ曰く、ファーインは戦鎌が得意武器だが、戦鎌がなかったから新しく作って欲しかったそうだ。スルシャーナが骨だった頃使っていた鎌が無いわけじゃないが、あれはロールプレイ用で強くないから戦闘用のが必要だったそう。

 

なかなかいいものができたぞ。時を操る力を持った、会心の一振りだ。時を操ると言っても、時間停止というより時間を破壊する方向性だが。

 

時の宝玉…あれは相当な魔力を持っていたな。根源の時精霊の召喚と、低位の時間系魔法の行使能力付きと。

なんでもこれは宝玉の真の力ではなく、同シリーズの宝玉を七つ集めると真の力を解放できるらしい。ドラゴンボールじゃないんだから。

 

ポッター曰く、噂では『火の宝玉であれは《朱の新星》などその宝玉の属性にあった高位魔法の行使』、『召喚される精霊の強化』、『自動迎撃システムの解放』、『装備者に通常の神器級アイテムを大きく逸脱した、世界級と呼んでもいいレベルにバフを与える』etc…と。

まぁ、あまりにも入手難度が高すぎて、七つ揃えたプレイヤーはほぼいないらしいがな。仮に七つ揃えたプレイヤーがいたらそいつは頭おかしいのでなるべく戦わない方がいいそうだ。そりゃそうだろうな。廃人が恐ろしいのは世界の常識だ。

 

ネコさま大王国として、他にもスルシャーナたちは陽と月の宝玉を持っていたそうだ。それぞれスルシャーナの小手とアーラの冠に使われている。

最初は七つ集めたかったらしいが、二年半で三つしか集まらず諦めたそうだ。二年半で三つ!?

 

そういえばかつてじゃがいも馬鹿から貰った杖の先端にはまってるこれって宝玉だよな…?それも火の。

ポッターは風の宝玉を持っているようだし、これで七つ揃…わないな全部合わせて五個だ。奇跡的に被ってはいないが。

 

 

221220日目

 

宝玉を再現しようとしたが無理だなこれ。

この、闇の炎を纏った宝石、どうしようか。一応難度150台前半の闇炎の上位精霊は呼べるが…

まぁ、いつかこういうのが好きそうなやつに会うまで取っておくか。暗黒騎士の方向性とは違うっぽいし。

 

 

221451日目

 

エルフの少女──ホウガンから、「最近父の様子がおかしいから気をつけて」との連絡がきた。

その父と私にどんな関係があるかは知らないが、一応覚えておこう。

 

そういえば、送った果物は美味しかったか?美味しかったのか。それは良かった。

というかホウガン、最近リーダーとちょっといい雰囲気じゃないか?ほーん、ふーん。へー。

 

 

221512日目

 

ザイトルクワエは、全長が1000メートルになってようやく成長が止まったらしい。

いやぁ、うん。いくらなんでも高すぎでは!?HPも大きさに比例して上昇していた。ちょっとした要塞である。

 

ちなみにザイトルクワエから取れる木の実はあんまり好きな味ではなかった。

あまり鍛えてない人が食べるとSAN値チェックが入るから注意である。

 

 

221560日目

 

エルフの王がスレイン法国に襲撃をかけたらしい。

別に何かを盗ったりするわけでもなく、何故か一直線に漆黒聖典に突撃して、そのままファーインと一騎討ちになってそのまま捕縛されたらしい。いや本当に何がしたかったんだ!?というか何が起きたんだ!?

 

ファーインは、「かなり強かったので、自分の実力を試したいとか思ったんじゃないですかね?戦闘狂って奴でしょうね。なかなか楽しかったですよ」と言っていた。いや本当にどういうことなんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









ツアーの本気(敵が90レベル台だからそれに合わせて弱体化)vs神竜

エルフ王の身に何があったのか、なぜ暴走したのかは次回。


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ここから先は蛇足

やっぱ八階層のあれら調整ミスってるよ。
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