ある日、王の相を持った子が生まれた。
数百年の時の中で初めての経験だった。
その子は、他のどの子よりも強くなった。長い時間をかけて、外の世界で「英雄」や「逸脱者」と呼ばれるような能力まで到達した子をたった数年で追い抜かした。
その子は世界へと旅立った。その子はあろうことか白金の化け物と友誼を結んだ。そして、帰ってきた彼女は、父と同じ世界出身の人間となんかいい関係になっていた。
おいちょっと待て。無事に帰ってきてくれたのは嬉しい。嬉しいのだが。おい。いやちょっと待ってくれよ。
エルフを見限った…のか?
待て待て待て待て。数百年の時を経て、ようやく生まれた次代を任せられるあの子が、森の中に閉じ込められたエルフの歴史を進めれるであろうあの子が、か?もしかして、あれか。若かった頃の私のように、弱者に価値はない、だから強者についていく!みたいな感じなのか?
妻たちに相談したところ、「まぁ子供の成長は早いですし…」と言われた。あの子はまだ百歳にも満たないのだぞ!?
百歩譲って同じエルフならまだしも、人間相手とは…
半身であり、父の最大の遺産である
そして王はヤケ酒をした。
そして思った。
「私が人間の強者を倒せば、あの子は戻ってきてくれるんじゃないか」と。毒耐性を切ってまで酔ったことの弊害である。
そして王は急に武装を整えて、外へ向かって飛び出した────
「《人間種束縛》《人間種魅了》!あぁやっぱり抵抗されます!」
「どうせそっち系統の魔法は無効化されます!いっそのこと足の一本や二本吹き飛ばすつもりで行きなさい!《雷槍》《魔法二重化・魔法の矢》…全く効いてませんねこれ。無理じゃないですか?《第四位階怪物召喚》…あ、瞬殺されました。さすがはお父様!」
色とりどりの魔法が大森林の空を彩る。
遠目から見れば幻想的な風景だが、当事者になればそんなことは言ってられない。近くから見れば戦争でも起きてるように見えるが、ただの父と娘の喧嘩のようなものである。
「流石はお父様とか言ってる場合じゃないんですよ!どいてなさい!《魔法三重最強化・龍雷》《第六位階怪物召喚》!」
ほんの少し前までは、エルフの国で最強だった魔力系魔法詠唱師の最大の一撃。3発ののたうつ雷は龍へと姿を変え、周囲の木々を薙ぎ倒しながらエルフの王目掛けて迫る。
着弾したかに見えた次の瞬間、3発の雷は弾き飛ばされ、まるで龍に恨みでもあるかのように魔法はズタズタに引き裂かれ霧散する。
同時に召喚された砂塵の中位精霊は、一瞬だけ姿を表した巨獣に踏み潰され消滅する。
「あぁもう!私じゃ止められません!あの子はいないんですかあの子は!」
「あの子は、多分今頃あの人間の男とイチャイチャしてます!『アローレイン』あ、全部避けられた」
「あ゛あ゛あ゛!誰かお父様を止めてください!」
そのままエルフの王─ デケム・ホウガンは、森を抜けて駆けていった。そして辿り着いたのはスレイン法国。
そしてそこで出会った戦士に敗れた。大鎌を操る彼女に完全に敗北した。
鎖に縛られた状態─ その気になれば鎖からいつでも抜け出せるが、抜け出した瞬間殺されるのは確実なため抜け出すつもりはない─でデケムは考える。
(殺す気でかかっていたら、確実に殺されていたな)
と。
そして、ほんの少しだけ、そうほんの少しだけ胸によくわからない感情を覚える。
私の半身である根源の土精霊と同じ根源の精霊である根源の時精霊を操っていた彼女。
私の魔法を尽く打ち破ったあの武技。
『なかなか楽しかったわよ。少し鍛えてみてもいいかもしれないわね。じゃあ一旦さようなら。『
時を壊しながら振り下ろされたあの鎌。
あの『残念だけどこの子は明日の今頃ミンチになって肉屋で売られてるのね。』と言わんばかりの冷たい目。
それを思い出すと、ほんの少しだけ心臓の鼓動が早まるのだ。
単純な強さとしては自分と大して変わらないはずなのに、私を圧倒してきた彼女。
ミイラ取りがミイラになった瞬間である。
221564日目
エルフの王─ デケムとかいう奴が法国に突撃してそのまま捕獲された、と。そしてまだ捕獲中、と。
スルシャーナの所に、エルフの国…というかホウガンから、「殺さないならしばらくお父様そのままにしておいていいよ。」と心温まるメッセージが届いたとのこと。さようならデケム。顔も知らないけど君のことは忘れないよ。
本当に何がしたかったんだ…
221566日目
ほう。デケム、あいつ八王の血筋なのか…まぁ、世界盟約以前に外に出た子みたいだし、何かしようとかそういうつもりはないが。
大陸の端と端だから気づかなかったなぁ。そもそもあっちの方は、評議国と法国の話しか入ってこないから今どうなってるのかはよくわからん。超巨大な人間種国家が分裂したとかでスルシャーナが発狂していたのは覚えているが。発狂するのはいいが私の巣で暴れまわろうとするのはやめろ。
あとは…そういえば、七彩の変態、かなり前に半人半竜の娘に国を継がせていたっけな。覗いてみたら、女王はいつの間にか幼女になっていた。いや何事!?50年近く前にあった時は大人だったはずなのだが…あの変態、何かやったのか!?どこからか幼女攫ってきたな!?
難度30にも満たないであろう子供を国王にするとは…見損なったぞ変態。
普通は国王に強さ求めないんだよ、とポッターに突っ込まれた。私の知ってる国家は基本的に国王が最強なのだが、人間種の国家では違うのか。よくそれで滅ばないな。
八王。彼らは外の世界では八欲王と呼ばれ、多くの吟遊詩人達は彼らを悪役のように扱っているらしいが気に入らない。彼らは私たちの罪の証のようなものだから。
ちなみにデケムはファーインに毎日のように訓練という名目で調k…まぁとにかく毎日のようにボコされているらしい。強く生きろ。
221590日目
竜王国の女王、あいつ見た目は幼女だが幼女ではなかった。可変式だそうだ。
なんでも七彩の変態に『白金はロリコンだから幼女姿だと色々便宜を図ってくれるだろう』と言われたから幼女姿なんだそうで。あの変態殺してやろうか。
事実無根な噂を流す七彩の変態に抗議したら、「でもお前が変態なのは事実じゃないか。自分の種族と年齢考えてみろ」と言われた。解せぬ。
221670日目
何故だろうか。魔神討伐以降から、やけに世界中から信仰心のような謎パワーが流れ込んできている気がする。
いやまぁだからなんだという話なのだが。微弱なバフがかかっている気がしないでもないが、多分勘違いだろう。背中の光輪の後ろにさらに後光のようなものを出せるようになったが多分気のせいだろう。『希望のオーラ』とかいうスキルを出せるようになったが気の所為だろう。
きっとポッターなら何か知ってるんじゃないかと思い聞いたら、「知らん…何それ…怖」と言われた。百科事典を確認してもこのような事象はどこにも載っていなかった。本当に何が起きているのだろうか。
…空を飛ぼうとしたら光の軌跡みたいなのが出てきた。それに触れた死の騎士が消滅しかけてポッターが慌てて負の光線で回復させていた。何これ…怖…
そういえばこの死の騎士、いつからここにいたのだろうか。ポッターが召喚した傭兵モンスターなのは覚えているのだが。気づいたら生えてきていた気がする。ペットの猫又に遊ばれている所しか見ていない。そして毎回死にかけている。試作品の死の宝珠マークIVを胸にぶち込んでからは安定したが。
この死の騎士、一般的なやつと比べて15ほど難度が低いように感じるが、多分私のせいだろうな。でもこの光は知らん。どこから生えてきたんだ。
221700日目
私の体から生えてきた光について調べていたら、多分『純白の後光』という見た目エフェクトスキルと、『純光のオーラ』という周囲に光属性のダメージを与えるスキルであるということがわかった。
後者は威力が微妙すぎる上に第四位階相当の防御魔法でダメージの大半をカットされるから戦闘目的で使われることはあまり無いが、見た目がカッコいいから習得するプレイヤーも多かったそう。
微妙スキルが生えてきただけか。いやだから何故生えてきたんだ。
221890日目
ホウガンとリーダーは随分と仲がよろしいようで。うへぇ、砂を吐きそうだ。
デケムとファーインは毎日のように殺し合ってるそうだ。うへぇ、血を吐きそうだ。
あれか?エルフと人間は純愛か殺し愛しか許されない的なルールでもあるのか?
…ただ、その。一つだけ、怖い点があるとすれば…いや、多分大丈夫だろう。
221900日目
何故急に信仰的な何かが集まってきてスキルが生えてきたのかわかった。
神官長だ。
あいつ、旅の中で時々いなくなる事があったのだが、その間に孤児院を立てたり、飢餓に喘ぐ村では農法を伝授し、疫病で苦しむ村では薬草の効能を高める方法を教え、モンスターの害に怯える村では堅固な防塁の築き方を教えて、としていたそうだ。
そのついでに宣教活動をしていたら信者が滅茶苦茶増えた、と。
なんでも大陸中央部で3番か2番目ぐらいに信者数が多いそうだ。何故か私を信仰すると微弱なバフがかかるという直接的な恩恵もあるらしく、それも信者の増加に拍車をかけているらしい。噂では信者の多い地域では微妙に作物の収穫量が増えたそうだ。
大陸西部では六大神か四大神の信仰がメインでまだ私に毒されてはないらしいが。
いや、私のような一般人を信仰したところで何もいいことはないぞ…
ちなみに、教義の中には『ロリコンやショタコン、異種族でもどんな性癖でも迷惑をかけない限り受け入れるべし』というものがあるせいで『白金の竜神は変態』というのが一般常識になっているらしい。おい神官長、神官長!?
ただ、この教えのおかげで種族間の争いが減ったらしいからなんとも言えないんだよな…
この教えのせいで『英雄が一人、白銀は白金の竜王の使徒』が通説になっているそうだ。いやそれ本人。
「『白金の〇〇』系職業に至る信者はほぼゼロなんですけどねー。」と神官達は言っていたが、外の世界で増えられても困る。パワーバランスが崩壊する!
221978日目
ジュゲム、やっぱあいつ可笑しいよ。
この前、ルーン工王と山脈の支配者である霜の竜王、不死鳥の王と共に大裂け目の中にいる全長1キロを超える巨大生物と死闘を繰り広げたらしい。あれ?実は大陸西部って魔境だった?
馬鹿でかい蛇みたいな何かだったそうだ。ヨルムンガンドじゃないんだから…難度は210ほどだそう。
戦いの末、その巨大な蛇とは友好関係を結ぶ事ができたそうだ。一人だけ英雄譚を生成し続けてるな。
へぇ、世界中に子供がいると。千年以上前からこの世界にいると。え、異世界から来たわけじゃないのか。
その子供はネズミのような体に長い尻尾を持っている、と。あれ?もしかしてそれ、昔我が領内に生息していたジャンボジャンガリアンハムスターじゃないか?いやまさかこんな蛇からハムスターが生まれるわけ…
221980日目
ホウガンとリーダーが嬉しそうに薬指につけた指輪を見せてきた。
暗黒騎士、お前だけ非リアだなぁ!おいてかれたn…え、お前、え、既に既婚者?人間種の国家で、アインドラという人といい感じになった?マジで?
…マジで?
おい、スルシャーナ。何故憐れむような目で私の頭を撫でる。おい笑ったな、おい今笑ったな!
ポッターお前どこからそのタライ持ってきた!あっなんかじゃがいも馬鹿の百科事典が頭目掛けて飛んできた!?ポルターガイスト現象!?
222000日目
キーノがついに第七位階に到達したようだ。第七位階あたりから便利な魔法が増えるからな、ここからが魔法はどんどん楽しくなっていくぞ。《上位転移》のように失敗のない転移や、《上位道具創造》のようなQOLを大幅に上げる魔法とかな。
いやぁ、さすがはキーノだ!ただキーノよ。君何かに毒されてないか?
「我は邪眼…イビルアイだ!」と、厨二くさい感じで名乗り口上を上げて…魔法も《血晶騎士槍》とか《血晶大剣》みたいな、そういう時期の子が好きそうな魔法を開発してるし。いやまぁ、吸血姫であることを受け入れて克服したのは何よりなんだが。とりあえず暗黒騎士ちょっと表出ろ。
とりあえずこのカメラ型アイテムで録画しておこう。百年ぐらいして落ち着いたら目の前で上映してあげようかな?
厨二病が好きそうな拘束具みたいな見た目のマジックアイテムをプレゼントした。鎖がじゃらじゃらした感じの奴を。拘束具みたいな見た目のくせに拘束に対する完全耐性を与える巫山戯たアイテムだ。1日に一回だけ『鎖の大旋風』というスキルを使える攻防共に優れたアイテムだぞ!
「ふ…この程度の鎖で私の闇の力が封じられるとでも」みたいなことを言っていたが、その、なんだ。数年後が楽しみだな。
222010日目
リーダーから新婚旅行といって写真が送られてきたが…そこ本当にこの世界か?ゾス星とか言わないか?
それにしても、千年以上生きてもまだこの世界には知らない事が多いな。狐の神様と崇められている少女や、遠い国で勇者と呼ばれる戦士。どこかでまた世界中を旅するのもいいかもな。
写真に同封されていたタコの脚?みたいなやつはとても美味しかった。
222107日目
はぁ…あの糞蜥蜴、とんでもない置き土産を残していったな。
何が死の螺旋だ。何が究極の不死者に至る魔法だ。…思わず名前も聞かずに滅してしまったが、これは反省しなければ…これでは背後に誰がいるのかもわからないではないか。
ちっ。くだらないことを考える人間もいるものだな。
222700日目
スルシャーナ達が、「冒険者組合」とかいう国家に属さない対モンスター専用の組織を人間種国家に設立したそうだ。
あれか、前世のラノベとかゲームとかでよくあったアレか。
まぁ国家に属したら速攻で戦争に悪用されるのは目に見えているし、完全に独立した組織を作るのは必要だろうな。
アーラ曰く、「できれば各国には自分たちで脅威に打ち勝てるまで成長して欲しかったけど、どう頑張ってもこいつら勝手に内ゲバ始めたり戦争し始めたりするから無理だ!」とのこと。大変そうだなぁ。大陸中央部なんて毎日のようにどこかで争いが起きているが。
223000日目
も゛う゛に゛と゛と゛お゛そ゛と゛て゛な゛い゛!
久しぶりに空の旅をしていたら、なんか変なお爺さんに追いかけられた。
何か用があるのかな?と思って止まってみたら発狂して立ち止まって絡みついてきて足を舐めてきてああだめだ思い出すだけで怖気が走る!
いや、まぁ探知無効系の腕輪をうっかりつけ忘れた私が悪いのだが、それにしてもやべえ奴だったな…対象の使える魔力系魔法の位階数がわかる、と。私メインは信仰系だが一部魔力系も使えるからそのせいで絡まれたのかな?
とりあえずもう二度とあの辺には近寄らん!
フールーダか。忘れたい!こいつの名前は今すぐ忘れたい!
はっ!不味い、キーノは第七位階まで使える優れた魔法詠唱師だ、あの変態の魔の手にかかってしまうかもしれない!
とりあえず領地の結界を強化して、後キーノにはブザーを引いた瞬間《第六位階天使召喚》を狂ったように最大二十回まで発動し続ける防犯ブザーを渡しておこう。
おいポッター。変態はお前だろとはどういう意味だ。
226000日目
スルシャーナが発狂していた。最近やけに発狂しているな。
へぇ、ファーインが子供を産んだと。お相手はデケム、と…ま、まぁ10年近く毎日のように殺し合ってたらそうなるんじゃないか?
双子だそうだ。
白銀と漆黒の髪と瞳を持つ姉妹。ちょうど黒と白が左右逆になっている以外はそっくり、だそうだ。
アンティリーネ、とディートリーネ。か。元気に育つといいな。とりあえず出産祝いは何がいいだろうか…。無難に野菜とかでいいかな?レベル70ぐらいの。
229700日目
アンティリーネとディートリーネ。滅茶苦茶強くないか?まだ10歳とかなのに難度180は超えてるぞ。
アンティリーネは母と同じく戦鎌を使う戦士で、ディートリーネは父と同じ召喚士、と。そしてどっちも完全にチートなタレント持ちと。
アンティリーネは、『装備した武器の元々の所有者の切り札系スキルを使用可能』。試しに私の鎌を貸してみたら『次元断切』を放てていた。いやチートだな。しかもスルシャーナのネタ武器を持てば例の即死スキルを使えると。うん。チートだな。
武器に宿った霊を体に降ろす、みたいな感じらしい。
そしてディートリーネはディートリーネで同じぐらいチートだ。体内にギルドを内蔵しているような感じだ。
合計レベル400まで討伐したモンスターのデータをストック可能で、そして同じ見た目、能力をした半透明のコピーをNPC召喚可能、と。装備の能力は無視されるようだが。そして蘇生には金貨が要求されると。
試しにギリギリまで生命力を削った木星天の熾天使にとどめを刺させたら召喚可能になっていた。これまたチートである。何かの間違えでボスモンスターとか討伐できたらどうなるのだろうか。
229800日目
リーダーとホウガンのあの見るだけで砂を吐きそうになるカップルは、旅行を終えた後はエルフの国に住んでいる。エルフの国にホウガンが戻ってきたと聞いてデケムは泣いて喜んだそうだ。本人は未だに捕獲されたままだが。
リーダーとホウガン、その二人の間にもついに子供ができたそうだ。……ハーフエルフは強者になる決まりでもあるのか?
デヴァスティーネ。特にチートなタレントを持っているわけではないが、異常に能力の上がる速度が高い。経験値取得速度倍増とか持ってるんじゃないか、とリーダーは考察していた。
どこかのハムスターから、「子孫を作らねば生物として失格でござる」という電波が飛んできたが気にしない。前世が人なせいか、竜相手とか考えられないんだよな…というかそういう感情がそもそも存在していない。長く生きすぎたか?
†私には感情がない†……厨二病じゃないか!
229960日目
キーノ。落ち着け。
誰でも厨二病な時期はある。そしてそれを思い出してゴロゴロしたくなる時期もある。というかわたしにもあった。
そういえば邪眼使いの伝説が周辺国家に伝わってるらしいがキーノよ。一体何をしたのだ?
ところでここに痴態を録画したデータがあるのだが…
あ、待ってそういうつもりじゃないんだ、逃げないで!逃げないで!
領内で、「幼女を泣かせた鬼畜」という噂が広まっていた。待たれよ!これは罠だ!
おい待て広めたの誰だ。ポッターか。ポッターなのか!?私の頭がクルーシオ!
230000日目
そういえば、自身の使える魔法の位階を超えて魔法を使えるようする「魔法上昇」を超位魔法を使える私が使ったらどうなるのだろうか。
法国で研究されている「位階上昇」の技術である「魔法上昇」。なかなかにロマンがある。
……あ、これ表に出しちゃだめな奴だ。超位魔法が魔法の限界点なのにそれを超えて発動しようとしたらこうなるよなぁ…このクレーター、どうしようかな。バレたら不味いよな。周囲に誰も住んでない放棄された荒野だからしばらくは大丈夫だろうが…
と、とりあえず御庭番衆、周囲に誰も近づけるなよ、絶対に近寄らせるなよ!
第0位階魔法で土を作って埋め立てするか…あぁだめだ、さっきの実験でだいぶ魔力持ってかれたから辛いぞ!
231000日目
…クレーターを埋め立てた場所が花畑になっている。アレか。魔法でできた栄養たっぷりの土だったのが悪いのか。
フェルンオストから遠い荒野なのに、私がやったことがどこからかバレていた。そのせいで聖地扱いされているそうだ。いや何故そうなった。本当に何故バレたんだ!?
234010日目
久しぶりにイジャニーヤにあったが、幾つになっても元気な爺さんだな。…冷静に考えると、初めて出会った時点で爺さんだったのに元気すぎやしないか?
弟子の一人が忍術を全て使えるようになったから漸く安心して隠居できるよ、と朗らかに笑っていた。
私は一生使えるようになる気がしないがな!最近ようやく盗賊系職業の基本スキルである風景に溶け込み見つかりにくくなるスキルが使えるようになったぐらいだ。これ使うぐらいなら《完全不可知化》使った方がはやい。ただ、投剣の威力を上げるスキルは私の戦闘スタイル的に相性がいいから便利である。
やはり隠密系は私に向いてないな!力こそパワーで押し切るのが性に合っている。
あの時の礼だ、と言って忍術の全てが書かれた巻物を渡された。あの時ってどの時だ…?
234100日目
イジャニーヤが死んだらしい。
次代の育成が終わり、そのまま静かに息を引き取ったようだ。
巻物の中にも遺言のような物が一本のクナイと一緒に入っていたし、そういう事なのだろう。
…人は、すぐ死んでしまうな。
リグリット?あいつは例外だ。一定以上の魔法詠唱師には寿命はあってないような物だ。
…私はこうやって何度も別れを経験してきたが、ホウガンはこれに耐えられるのだろうか?彼女はエルフ基準でみたらまだまだ子供だ。
デケム?知らんよ。
234400日目
ファーインが息を引き取ったらしい。最後に「デケム、そういえばお前国に帰らなくていいのか」と言っていたそうだ。あ、これ完全に忘れていた感じだな。
デケムはデケムで、「子供達はちゃんと白金の変態から守るから安心して逝け」と言っていたそうな、いやちょっと待てそれどういう意味だ。
そういえば私デケムとは直接会ったことないんだよなぁ。まぁ、嫌われているのは当然だ。殺意を抱かれていないだけマシだな。
ん?どうしたスルシャーナ。…そうか。そういえばお前は、上司と部下の関係とはいえ、ファーインと仲が良かったな。
安心しろ。私がお前より先に死ぬことは無い。なにせ私は世界で最強だからな。
……ちょっと、誰かアーラさん呼んでくれませんかね?この娘家に連れて帰ってくれませんかね?絶対どこかの誰かが変態エピソードに仕立て上げて広めるシチュエーションだよこれ。おい待て着信拒否するな。そしてポッターは完全不可知化で逃げようとするな私不可知化看破持ってるから微妙に見えるんだぞ!
いやちょっと待てスルシャーナ泣くな泣くな!お前さては酔ってるな!やっぱりそうだ!
ああもう!ほら水飲め水!あぁ寝ちゃったよスルシャーナ…どうしよう…
原作の足音がする。
感想、評価などありがとうございます!励みになります!
ディートリーネの名前の由来は「deadly(致命的な)」
デヴァスティーネの名前の由来は「devastating(壊滅的な)」
最新刊の上巻で火滅聖典に倒された子みたいなのがちゃんと育てられていたらエルフの国はこうなっていたと思うんですよ。きっとこの世界のデケムは親から「自分も最初は1レベルの雑魚だった」ということを聞かされていたんじゃないんですかね?あくまでお前は例外だ、と。
多分白金の竜神教には四期で大活躍した某神官とか、某忍者姉妹とかが入信するんじゃないんですかね?
ここから先は蛇足
現状ツアーが追加で獲得したレベル(一部)
種族レベル
職業レベル
レッサーワールドチャンピオン-5lv
ソウルコネクター -3lv
ローグ -1lv
ポイズンメーカー -1lv
マジッククラフター -1lv 他
竜神は、ユグドラシル内の派閥に分かれて行われる系のイベントで使われた運営専用の神系のクラス。あくまでプレイヤー所属する派閥を管理するために使われたクラスであるため、他の種族レベルと違い能力の上昇はない。
そのかわり、自身の派閥に属した者に、その神の性質に合わせた微弱なバフが特典として付与される。あとは、派閥の人数やイベント中の派閥の活躍によって神自身にバフやスキルが追加されて行き、イベントの最終フェーズでの決戦で有利になる…みたいな設定がある。もちろんこの世界にイベントなんてないので最終フェーズなんてものもない。
ソウル・コネクターは文字通り魂の接続者。実は1話時点から所持していた。