白金の竜王に転生した人間の日記   作:美味しいラムネ

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初投稿です


建国の二冊目

367日目

 

我が領地の騎士団も順調に成長している。

武技の研究も進み、本当に、本当にごく一部だけど、炎刃だったり氷刃のような、魔法じみた武技も使える者が出てきた。

私も最近飛ぶ斬撃を放てるようになってとても楽しい。空斬!

 

しかし、肝心の魔法なんですけど、誰一人使えるようになることはありませんでした。残念ながら。はい。一人くらいできるようになるやろうなーと思ってたんですけども、………私は一体何を書いているんだ。

 

そもそも魔法と武技や一部の個人が持つ特殊な異能力には隔絶した差がある。

「世界との接続」があるかないかと言う差が。

始原の魔法を使えるのは生まれつき世界と接続している竜王だけ。どうやら位階魔法も世界と接続しているっぽい存在、現状はポッターしか使えないようだ。

いくら鍛えたところで、武技で魔法っぽいことができる奴は出て来ても、魔法を使えるようになる奴は一人も生まれなかった。

…残念だなぁ。魔法という特権が竜王以外にも広がれば世界に革命が起きると思ったのに。

 

 

401日目

 

領地の近くに魔獣の群れが接近したらしい。

風車を見たらビビって退散したそうだ。役に立ってるようで何より。あの糞蜥蜴どももきっと大いなる流れの中で喜んでいる事だろう。

…あぁ、そういえば奴らの魂は私が持っているから大いなる流れに戻っていないんだった。うっかりうっかり。

 

そう簡単に逝けると思うなよ

 

439日目

 

何故プレイヤーだけが位階魔法を使えるのか。

ポッターと研究しているが答えはまったくわからん。多分糞親父にこの世界に引き摺り込まれるタイミングで世界と接続しちゃったとかそんな感じだろう。

ちなみにポッターが世界そのものと見間違うほどの魔力を秘めたアイテムを持っていたので、それのせいかとも思ったが全然違った。

 

あの糞親父が言っていた秘宝ってこれのことだったのか。じゃがいも馬鹿はこんなアイテム持ってる素振り見せなかったから気づかなかったぞ。

ちなみにじゃがいも馬鹿も持っていた。そのアイテムの効果は、「所属するコミュニティの作物が常に大豊作になる」

 

だから我が領地は常に豊作だったのか!とも思ったが違った。

ずっと起動するのを忘れていたらしい。…まぁ、豊作にする代わりに周りから凄い勢いで栄養を吸い上げて我が領地以外死の大地になるとかだったら嫌だしそれでよかったのかもな。魔法も万能ではないのは100年も生きればわかる。

 

581日目

 

領地の学者集団が、人型の中に定期的に生まれる異能力者の持つ能力が規格的に見れば全て同じ性質であることを突き止めた。

水面を三歩だけ歩ける能力と口から火を吐ける能力が同じ性質のものとは思えないが…彼らの出した論文は理路整然としていたし、多分そうなんだろう。

 

彼らはその異能を、生まれながらの異能(タレント)と呼ぶことにしたそうだ。

 

じゃがいも馬鹿は、「イネ科穀物の収穫時期を数日早める」というぶっちゃけハズレ異能をとても羨ましがっていた。

なんでも彼らの元いた世界には数日で収穫できるイネ科穀物があるそうで。土壌の栄養とか大丈夫なのか?それ。

 

…彼らの元いた世界は地球かと思ったけど多分違うな。たまたま冒険者的な立ち位置の人物が「プレイヤー」と呼ばれていただけなのだろう。そうであってくれ

 

 

666日目

 

隣の隣のそのまた隣の領地に新しい竜王が生まれたらしい。

魂の吸い上げや死体を不死者にして操作する術に長けているそうだ…不愉快だな。キュアイリームか。その名前覚えておこう。

 

追記:キュアイリームではなくキュアイーリムだった。名前間違えるとか…

 

 

719日目

 

最近は実に平和だ。

ポッターも我が領地で算術を教える教師的なことをやっているし、随分と馴染んでいる。

じゃがいも馬鹿は相変わらず鍛冶屋なのか農家なのかよくわかんないな。

 

ちなみに例のキュアなんちゃらは特に暴れていないので無視することにした。竜王にしては臆病そうだし、これは長生きするだろうな。

臆病な奴と、圧倒的な強者、それと先に進み続ける者だけが生き残る。それがこの世界だ。

 

 

1071日目

 

なんと、なんと!魔法を使える領民が誕生した!

領民の中でも、オーガという種族に一人誕生したのだ!

 

生まれながらの異能に起因するようだが、これは革命だぞ!世界が変わるぞ!

 

 

1080日目

 

解散。

魔法が使えるわけではなかった紛らわしい。どうやら魔法を一個だけ吸収して、好きな時に解放できるだけなようだ。つまり世界と接続したわけではないらしい。

これが見た魔法をストックして自分の魔法のように使えるとかだったらチートなんだがな。

…いや待て君その異能どうやって気づいたんだい。魔法を吸収する機会なんてそう簡単にないだろう。

 

あぁ、野生の竜から喰らったと。

……野生の竜!?どこから忍び込んだ!捕まえろ!捕まえてドラゴンステーキにしてやれ!

 

 

1081日目

 

碌な魔法も使えない野良の若竜ぐらいなら人型でも勝てるんだなぁ。

それにしてもただ魔法乱打してくるだけだったから異能で吸収してはめ殺し余裕とはどれだけ馬鹿なんだその竜。若竜を育ち切る前に放逐するとか余程余裕のない竜王がいたようだな。肉は解体して領民と美味しくいただきました。

 

ドラゴンの肉は筋肉質で美味しくないイメージがあるだろうが普通に美味しい。世界七不思議のうちの一つだ。

共食い?知らんな。というか同じドラゴンのはずなのに明らかに全員別種族かってレベルで見た目が違うからあんま考えたことなかったな。

 

じゃがいも馬鹿がデザートに提供してくれた林檎はとてもおいしかった。

おいしかったが、うん。明らかに調理する時その林檎喋ってたよね。故郷の林檎って言ってたけどどんな魔境なんだ?

インテリジェンスアップルってそのままじゃないか…

 

これで出身地が地球だったら明らかに並行世界か何かだろう。少なくとも私の前世の林檎は喋らん。

 

 

1201日目

 

最近ポッターの学校的な寺子屋的なアレも、生徒が増えてきて一人じゃ手が回らなくて困っていると言っていた。

…流石に私が先生やるわけにもいかないしな。少しぐらいなら体を縮めれるとはいえ流石に街に入るのは無理がありすぎる。

自分で自分の領地を破壊するとか馬鹿すぎるだろ。

そのせいで定例会議もわざわざ外でやることになってるし、なんとかならないものか。例えば操作可能なゴーレムとか。

 

 

1202日目

 

なんでもありだなプレイヤー。

金貨をそれこそ山のように消費する代わりに、異世界から下僕を呼び寄せると。

傭兵モンスター。すさまじいな。

位階魔法を使うことのできる、知恵を司る天使だそうだ。

 

対象の強さを数値化できる異能を持つ領民にそいつの強さを測らせたところ、240という数値が朧げながら浮かんできたそうだ。

ちなみに私は250で、じゃがいも馬鹿とポッターは共に300…え、私じゃがいも馬鹿より弱いのか!?

 

 

1218日目

 

学者集団が、異能を使うことで朧げながら浮かんでくる数値を「難度」と呼ぶことにし、強さの指標に使うことに決定したそうだ。

参考までに、我が領地で時々見かけられる危険な魔獣の難度は、石化巨大蜥蜴で83、ジャンボジャンガリアンハムスターで93、黒騎士で105。伝説級のほぼ出現しない奴だと、戦車の悪魔で160、魂喰らう死霊の馬で140らしい。

 

この話をしていたところ、ポッターが、「これらの魔物は俺の故郷にもいた」と言っていた。

そこでは石化巨大蜥蜴を「ギガントバジリスク」、黒騎士を「デスナイト」、魂喰らう死霊の馬を「ソウルイーター」と呼んでいたらしい。

戦車の悪魔はそのまま戦車の悪魔だそうだ。ジャンボジャンガリアンハムスターは知らないと言われた。

 

…できればこいつらには二度とうちの領地に来てほしくないな。特に不死者系と悪魔は湧くな。

こいつらが湧くだけで、万が一私が気づかなければ相当な犠牲者がでる。

 

とはいえ、こいつらは喰らうと通常の魔獣よりも多くの魂の経験が得られるから今後数百年で竜王に狩り尽くされるんじゃないか?

 

 

1301日目

 

じゃがいも馬鹿に負けていたのが悔しいので特訓に特訓を重ねて難度270まで上り詰めたぞ!もうちょっと頑張れば次元を断つ一撃とか放てるようになる気がする!

 

しかし、いくら頑張っても私が位階魔法が使えるようになる兆候はない。

ポッターも忙しく、つきっきりで教えることなど不可能なのもあってなかなか進まない。

 

そうぼやいていたら、ポッターが傭兵モンスターを召喚するアイテムを分けてくれた。

召喚には私の持つ財の1割が必要だが、まぁ、必要経費だろう。

 

難度220の森司祭の力を操る竜。うん。今日からお前の名前はスーちゃんだ!

 

 

2004日目

 

領地、領地とずっと呼んでいたが、この領地に名前をつけることにした。

大陸の東の果てだし、ジパングとかにしようと思ったがポッターに止められた。ちなみにポッターに「さてはおめー地球人だな」って疑われたが、ポッターが昔ジパングという国が出てくる物語を語っていたのでそれで思いついたと誤魔化した。

 

どうしようかなぁ。

異種族動b………一体何を書こうとしているんだ私は。

東…オスト…いや、フェルンオストとかどうだろうか!決定!

 

 

2103日目

 

学者たちや、スーちゃん、天ちゃん、ポッターのアドバイスも受けて、フェルンオストは頂点に私を置き、各種族から選ばれた評議員からなる議会で政治を行う半議会制を取ることとなった。

 

ちなみに天ちゃんというのはポッターの召喚した天使のことだ。

それにしてもスーちゃんと天ちゃん、召喚されたモンスターとは思えないほど賢いな。召喚モンスターって言ったら意思のない人形的なイメージか強かったけど。

 

スーちゃんも天ちゃんも異形だから寿命はなさそうだし、ずっと助けてくれると嬉しいな。

スーちゃんなんかはいつか領地が広がっていったら一部の運営を任せてもいいかもな。

 

 

そういえば、じゃがいも馬鹿とポッターはいつまで生きられるのだろうか…

別れたく、ないなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 








感想、評価などありがとうございます!励みになります!
…アーグランド評議国建国まで900年近くあるのか。

ちなみにこのツアーは転生の影響でレベル制限が吹き飛んでます。その影響で原作知識も吹き飛びました。そんな設定です。


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