白金の竜王に転生した人間の日記   作:美味しいラムネ

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そもそもアンデッドは夢を見るのだろうか?
心とは、魂とはなんなのだろうか?

ただ、言えることがあるとすれば


この戦いは、善も悪もない、生存競争だ。


全ての生あるものの戦い

毒は、じわじわと染み込んでいた。

一国の、それも端の寒村。ほぼ外界と交流のないような村が、誰にも気づかれずに消えていたところで誰が気づくだろうか?

 

闇は影で胎動していた。

そして、ある程度の大きさへ育った時、ついに弾けた。

 

 

『死の騎士』というアンデッドがいる。

このモンスターは、どんな攻撃もHPを1残して耐えると言う性質からタンクとしてカンストプレイヤーにすら愛用される能力を持っている。しかし、大半のプレイヤーは死の騎士の持つもう一つの、ある意味では最大の能力には興味を向けない。

 

その能力は、『数に限りはあるが、殺した相手を『従者の動死体』へと変容させて使役する』と言うもの。その相手が死の騎士の半分以上の強さを持っていれば生前の能力をそのままに、それ以下であっても死の騎士の半分の能力まで引き上げられた力を持つ動死体を使役できるこの能力は、平均レベルの低いこの世界では十分脅威であり、最低でもオリハルコン級冒険者でなければ相対することさえ難しい。

その上、この『従者の動死体』は、殺した相手を際限なしに動死体化させて使役できてしまう。

 

死の騎士…いや、従者の動死体を一体、寒村へ放てばどうなるか。

簡単なことだ。あっという間に不死の兵隊の出来上がりだ。

 

もし仮に、そんな恐ろしい存在である死の騎士を、アンデッドを無限に使役できる存在がいたとしたら?

かの死の支配者は、それを可能にする。いや、それだけではない。『死者の大魔法使い』『骨の多頭竜』『屍収集家』『星幽界の切り裂き魔』『蠢く疫病』など、単騎で小規模な都市であれば滅ぼしかねない不死者たち。

それを、死体を触媒に無限に生み出すことが出来てしまう。

村人など、彼からすればどうでもいい存在の死体は中位のアンデッドへ、魔法や技術を使えるものは、強さによれば『従者の動死体』へ、弱ければ『亡者のもがき』のパーツとして利用する。

 

人が外敵から身を守るために鍛えた力がそのまま人へ振われる。

それだけではない。丘隆の亜人たちが、大森林に住まう魔獣たちが。あらゆる生あるものに死が齎され、それでありながらも休息は訪れない。

偽りの生を齎された不死の軍勢は、見えないところでその数を増やし、ほんの数日、1週間すらかけずに、人間種国家全てを同時に相手できるだけの数へと膨張した。

 

これが、かつてアインズだったものが講じた策の一つ。

 

これだけではない。

帝国、王国、竜王国、聖王国。

これらの国々の中規模の都市内の墓地に罠を仕掛けておいた。

時限式で作動する魔封じの水晶。かつてエ・ランテルで行ったマッチポンプのように、墓地内で第七位階魔法《不死の軍勢》を発動させ、不死の軍勢を街中へ解き放つ。

そもそもが罠に使用されるアイテムでないこともあり、探知魔法にも引っかかり辛い魔封じの水晶を、さらに墓地の地下に埋めて仕舞えば、発見される可能性は低い。何より、全ての人間種国家の全ての都市を監視するなど不可能。

 

外から、そして内部からもアンデッドの軍勢で攻め立てる。

ただ、これだけでは法国の聖典をはじめとした強者により一瞬で殲滅されてもおかしくはない。

 

だから、その強者を上回る強者を用意した。

生き残った魔将をはじめとしたシモベ達の中でも特に高レベルの者達──アルベドのドリームチームのメンバーなどに、デメリットが大きすぎるためユグドラシルでは八階層のあれら以外には終ぞ使われることのなかったボス化アイテムをふんだんに使用する。

白金の竜王への対抗策を模索する中での実験で死の支配者は、この世界ではシモベのような召喚NPCもボス化アイテムが使用可能であることを知った。それをおしげもなく活用してゆく。

そのほかにも、グレーター・グレイブヤードや地下聖堂の王のような、一点ものの特殊な存在さえも出し惜しみせずに解放してゆく。

 

いや待て、私はなぜこんなことをしているんだ?

 

 

これらの軍勢を使い、少しでも敵の戦力を釘付けにする。

そして、敵の主戦力は──指輪の力で、第八階層となったナザリック表層へ誘い込み、竜王を除く戦力はルベト、パンドラ、マーレで押さえ込み、竜神には、既に完全解放状態へなっているあれらをぶつける。

 

勝ち目はないわけではない。

たとえ零に近い勝率であったとしても、勝たねばならない。私が私である限り。

 

私はもう、死から目を逸らさない。

ここまで積み重ねた屍も、これから齎す死も、全て背負ってやる。私は、死の支配者だ。

 

 

 

 

 

 

 

王国・王都リ・エスティーゼにて──

 

静かな、とても静かな夜だった。

王都の外壁の見張り、と言っても特にすることはない。ここまでモンスターが来ることなど殆どないし、まさかいきなりここまで帝国兵が来るなど現実的ではない。悪魔が襲ってくる大事件もあったが、結局は冒険者がなんとかしてくれたうえ、王都内部でいきなり発生したらしいから見張っても意味がない、と自分に言い訳する。

 

そんなこともあって、城壁の見張り兵の一人であるマケテイヤーは、突っ立って見張りをするふりをしながらうつらうつらとしていた。

見張りを始めて1時間少しした時、急に隣で見張りをしていた真面目な兵士が急にマケテイヤーの肩を揺すり、叩き起こしてきた。

 

「なぁ、……お前、あれが見えるか、と言うかなんだあれ?俺の見間違いか?」

 

急に起こしてきたかと思えば、要領を得ないことを宣う同僚を軽く睨みつけた後、城壁の先を見据える。

あまりにも非現実的な光景が広がっていた為、もう一度、今度は1日に一度だけ視力を1.1倍すると言う微妙なタレントを使用しながら見る。

 

「おい、嘘だろ…嘘だろ、なんなんだよ、なんなんだよあれ!」

 

その先には大地を埋め尽くすほどの数の不死者が蠢いていた。

 

「おい、…おい!マケテイヤー、一応この区域で一番偉いのお前だろ、今すぐ冒険者組合に行ってこい!上の判断待ってたら俺ら死ぬぞ!」

 

「あ、あぁ!」

 

急いで階段を駆け降り、冒険者組合の方へ向かおうとして、マケテイヤーは気づいた。気づいてしまった。

街外れの集団墓地、そこから火の手が上がっていることに。

 

それだけではない。

少し前の悪魔騒動のように、街の一部は炎の壁に包まれている。

 

「おい、なんなんだよ!どうなってるんだよ!どうなってるんだよ!

 

急に、自分の隣に何か硬いものが吹き飛んでくる。

隣を見ると、吹き飛ばされてきたのは人間だとわかる。そして、その首にかかっているのは、銀色のプレート。

 

そして、それを成したのは、複数のアンデッドが合わさったような見た目をした巨人。

集合する死体の巨人(ネクロスウォームジャイアント)。それの放った、自分よりも圧倒的に強いであろう冒険者を吹き飛ばした一撃を見て、腰を抜かしてしまう。

 

「く、来るな、来るなぁ!」

 

手に持った槍を振り回して近寄らせまいと暴れるが、巨人の拳は、今度はマケテイヤー目掛けて降り注いだ。

万事休すか、あぁ、こんなことなら兵士になんてなるんじゃなかったと後悔したその時、目の前の巨人が一撃で炭化して、消滅した。

 

「《雷撃》!…兵士さん、あちらへ避難を!そこでバリケードが構築されています!少しでも戦えるならそこへ行って協力をお願いします!」

 

そこにいたのは、杖を手に持った少年。

その首に輝くプレートは、オリハルコン。

 

「おいニニャ!なんか外もやばいっぽいぞ!?城壁の外にもアンデッドがみっちりだ!」

 

「今すぐ撤退するのである。この門からの脱出は無理である!」

 

城壁の方から、老け顔の男と金髪の青年が駆けて来る。

そうだ、ついこの間も似たような騒動があって、それを冒険者が解決したじゃないか。今回も、なんとかなるかもしれない。

自分では到底敵わなさそうなモンスターを簡単に蹴散らしながらバリケードまで撤退したオリハルコン級の冒険者達を見てそう思う。

 

しかし、事態は冒険者の手で終息させられる規模をとうの昔に逸脱していた。

死者の大魔法使いや骨の竜などは一対一であればなんとかなるが、それが数百といった数で攻めて来る。それだけでなく、死の騎士のような僅かな情報しかない上に、オリハルコン級冒険者数パーティでようやく討伐できる存在が百近い数攻めて来る。

二つのアダマンタイト級冒険者がこれらを殲滅しているうちはなんとかなっていたが、アダマンタイト級冒険者が、突如として現れた強力なモンスターに釘付けにされてからは一気に戦線が崩壊しつつあった。

 

そんなことが、人間種国家全てで発生していた。

竜王国では大量のビーストマンだったナニかが、聖王国ではかつて亜人だったナニかが、大量のアンデッドの軍勢と共に襲いかかって来る。

そんな中、評議国や法国は全力で抗った。

早々に国内の敵の殲滅に成功したこの二国はすぐさま他国への支援を開始した。

漆黒聖典が、亜人の英雄達が、現代の竜王達が敵を殲滅した。その数は数十万を下らないだろう。しかし、それでもその数は全体の数%。それもそうだ。

相手は魔法で、自然発生で、無限に数を増やし、それにある程度の強さまでは自然発生のアンデッドは強くなり続ける。

 

かつて悪魔を討ち倒した竜神は、魔神を討ち倒した英雄は、人類の守護者となった国を建国した女神は、この不死の軍勢の親玉と戦っている為この場には現れない。

都合の良い神様は現れない。救いの手は現れない。

 

本当に?

あぁ、そうだ。神は現れないかもしれない。だからと言って、救いの手が現れないわけではない。

 

王都の郊外に、突如として天を裂くほどの大きさの大樹が出現する。

それは、一撃で数百のアンデッドを薙ぎ払い、数秒で数千の敵を踏み潰す。

突如として現れた乱入者に、感情のないはずのアンデッドが慌てたように見える。

 

その大樹からは、アンデッド目掛けてのたうつ竜の雷が、荒れ狂う炎の嵐が放たれる。

神話に唄われる『破滅の竜王』『魔樹の竜王』。

ザイクロトルの守護神たる魔樹が、古巣を破壊した不死者達を殲滅する。

 

殆どの攻撃は分厚い木の皮に防がれ、図体がでかい分当たりやすい魔法攻撃は、内部に何者かが入っているかのように何かに打ち消されて無効化される。

本来なら知恵があまり無いはずの魔樹が、歴戦の指揮官に指示されたかのように敵を追い詰めながら殲滅する。

 

フェルンオストが『族長』。ザイトルクワエと共に戦う最強の一角。

その力が、別の星に置いて守護神として崇められた化け物の力が、別の世界では世界を滅ぼすと言われた力が世界を守るために振われる。

 

冒険者達は、何が起きているかは理解していないが、これが好機だと、次々と不死者達を殲滅し、前線を押し戻す。

文字通り死力を尽くし、全ての存在が戦う。最低位の銅級の冒険者でさえ、英雄譚の主人公のように勇敢に戦う。

 

誰もが理解しているのだ。

 

 

これは全ての生あるものの戦いだと。

 

 

 

 

帝国・帝都アーウィンタールにて──

 

 

帝国は、他国と比べて多少はマシな状態であった。

精強な騎士団や、空からの爆撃を可能にする皇室空護兵団、そして、()()()()までの魔法を使える逸脱者たるフールーダ。

この大量にアンデッドの湧いた現状を逆に利用し、強力なアンデッドを多数使役したフールーダの尽力、闘技場の武王の活躍、そして皇帝であるジルクニフの素早い対応により、早々に内部に沸いたアンデッドを殲滅できた為、他国と比べればマシな戦況であった。

それでも厳しいことには変わりない。敵を全て殲滅することなど夢のまた夢だ。

それに、徐々に城壁内部への侵入も許しつつある。

 

かの帝国でさえ滅んでしまうのか。

帝城で皇帝は頭を毟りながら必死に考える。帝国を救う手立てはないかと。

 

 

 

 

 

第三位階までの魔法を操る優秀な魔法詠唱師である、ワーカーのアルシェ・イーブ・リイル・フルトは、妹を連れて必死に逃げていた。

もうこの区域はダメだ。いや、もうこの国はダメかもしれない。

先程から《飛行》の魔法を使い必死に逃げているが、後を追いかける死者の大魔法使いからは全く逃げきれない。

周辺地理に詳しいことを利用して、路地を使って撒こうとするが、それも敵わない。

 

「《魔法の矢》《幻惑》…流石に効かないか!」

 

路地を曲がり、家屋を超え、必死に飛び回り逃げ続ける。

その中でも、街のあちこちで戦闘が発生しているのを見て、あぁ、もうこの国はダメかもしれないと再認識させられる。

 

「《魔法最強化・火球》」

 

「《魔法盾》がっ!」

 

死者の大魔法使いから放たれた魔法を、防御魔法で防ごうとするが防ぎきれずに被弾してしまう。

余波だけで吹き飛ばされ、しかし妹だけは傷つけさせない。

何がなんでも妹達を守ろうと、起きあがろうとして気づく。

 

囲まれた。後ろには漆黒の鎧に身を包んだアンデッド、目の前には死者の大魔法使いが数体。

仲間達とも逸れた。あぁ、ここが私の終わりか。妹さえ守れずに、死んでゆくのか。

 

せめて、最後の一瞬まで妹を守ろうと、二人の妹をぎゅっと抱きしめたその瞬間、とても暖かい気配が、目の前を通り過ぎた気がした。

恐る恐る目を開けると、そこには神父姿の男がいた。

 

「家族愛、家族愛、実に良いことです!あぁ、こんな素晴らしい光景を汚す下賤な輩は、私が殲滅して差し上げましょう!」

 

男の体がブレる。

次の瞬間には、漆黒の騎士も、死者の大魔法使いも、その両者が一瞬で消し去られていた。

 

「白金の竜神教、『神官長』。さぁ、お逃げなさい。あとは任せなさい。」

 

「私は怒っているのですよ。我が神の愛した世界をここまで壊して…」

 

 

白金の竜神教。その中でも、フェルンオストに住まう頭のイカれた信徒達が、三つの白金の職業へ至った者達が戦闘を開始する。

世界最強の戦力が、暴力装置達がついに解放される。

 

その拳で、生やした爪牙で、大木のごとき尾で、白金の吐息で敵を殲滅し続ける。

伝説級の不死者たちが、塵芥のように殲滅される。そんななかで、まるでそれすらも予想していたかのように、難度240は超えるであろう強力なモンスターが投入される。

 

死の騎士の頭蓋を踏み砕きながら、神官長は眼前の敵を見据える。

 

「なるほど。ボス化した具現した死の神(グリムリーパータナトス)ですか…なぁに、この程度の敵。1000年の間に無限に経験してきたわ!」

 

『神官長』。歴戦の強者が、その力を解放する。

1日に一度だけ、自身の討伐してきた竜の力を解放するというもの。かつての強敵である神竜の力を纏った神官長は、一時的に超越者の領域を逸脱する。

 

「さぁ、異形ども。ロリも、ショタも、全ての命は私がいる限り壊すことはできないものと思え!全ては我が神とほんの少しの欲の元に!」

 

 

限りなく竜へ近づいた体で、神官長が化け物たちへ突撃する。

死を恐れぬ戦士として、聖職者でありながら、誰よりも欲望に塗れ、だからこそ全てを愛する神官が、その胸に怒りの炎を湛えながら、突撃した。

 

「■■■■…■■■!」

 

音速を超え、ただ振るうだけで周囲に衝撃波を撒き散らす鎌の圧倒的暴虐を、白金の拳で逸らす。

そのまま喰らえば一撃で腕を断たれるような一撃を、逸らし、流し、いなす。

 

「《苦痛の波動》」

 

「《浄化の波動》」

 

二条の光線が交錯し、光の粒子を戦場に降り注がせる。

 

「ここだと被害が大きいですね…場所を変えますよ!『白金の大咆哮』」

 

強烈な吹き飛ばし効果を持つ音波系攻撃を発動し、死神を大きく吹き飛ばす。

 

「『炎爆掌』『雷爆掌』『ドラゴンブレス《浄化》』」

 

第九位階魔法《核爆発》を超える威力の吹き飛ばしに思わず体勢を崩しかけた死神目掛けてここが好機と一気呵成に攻め立てる。

浄化の力で一時的に体が痺れた死神の肋骨を掴み、空いた腕でその肩を殴りつける。

そのまま掴んだ腕を離し、両の腕を交互に突き出し、息を持つかせぬ連打をお見舞いする。

1発打ち込むごとに死神の体は岩盤を沈ませ、数秒の間でまるで隕石がぶつかったかのようなクレーターを形成していた。

 

(押してはいるが…硬いッ!)

 

骨の体だというのに何という硬さ。

殴りつけた体よりも、背後の大地の方が先に崩れている。軽い体が、こんなにも硬いとは…!

 

風圧だけでアダマンタイトさえ塵と化す暴風の中で、死神は錆びついたブリキ人形のようにギチギチと少しずつ腕を動かし、神官長の首を刎ねようと鎌を振るう。

 

バキン

 

その鎌を、自らの頭を竜に変えた神官長が牙で受け止め、そのまま竜の圧倒的咬合力で刃を砕く。

 

「鈍が…首を落としたくば、七色鉱でも持ってこい!」

 

死神の放った複数の魔法を迎撃しながら、神官長は叫ぶ。

 

 

 

 

時を同じくして、世界中で急に戦況がひっくり返り始めた。

かつてのこの星の旧支配者達が、竜王達が、その圧倒的な力で敵を殲滅し始める。

 

竜王国を囲んでいたビーストマンだったもの達が、聖王国に群がっていた亜人だったもの達が。

かつては敵でしかなかった竜王という生物が、元々友好派であったとはいえ、世界を守るために戦っている。

 

竜王も、人も。共に生者という面では同じ。

想像以上に強力だった敵に不覚をとりかけた竜王を人間が助け、聖剣を携えた聖騎士を背に乗せて、竜が敵を喰らい尽くす。

人間の魔法詠唱師達が竜王へ支援魔法を使い、竜王が敵の守りを崩したところを人間の冒険者達が突破する。

 

オークと聖騎士が背中合わせで戦い、生き残ったビーストマンの戦士が、同胞を不死者へ変えた存在へ一矢報いるために竜の女王と協力する。

生きとし生けるものが手を組み、未曾有の事態に立ち向かう。

 

夜明けはまだ遠く。

それでもこれでようやく五分。全てを合わせてようやく悪意の軍勢へ追いついた。

それほどまでに敵は強大で、強力で、あまりにも醜悪で。

 

戦いは、始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









「あぁ、本当に、本当になんて愉快なのでしょう」

「人間は、ほんの少し猜疑心やら恐怖やらを駆り立ててやれば簡単に選択肢を誤る。ほんの少し、ほんの少し心的外傷(トラウマ)と向き合う機会を作ってあげただけなのに。」

「慈母。あれが人間だと?」

「えぇ、そうよ。あれらの本質は所詮人間。あぁ、あぁ、本当に楽しみだわ…私の愛しい息子が、真の意味で竜帝として覚醒するのが。」

「あの子には期待できないと思って、その子孫に期待を託そうとちょっかいをかけたこともあったけど…意味なかったわね。」

「しかし…彼は、本当にアレに勝てるのですか?」

「勝てるわよ。」


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感想、評価などありがとうございます!励みになります!

なんでこいつらここにいるの?とかは次回。
別に作者はオバロアンチではなくオバロめっちゃ好きだということだけは信じて欲しい。
というかこれ本当に完結できるか不安になってきた。誰か才能を分けてくれ。現役高二病作者の小さい脳みそじゃ賢者は書けないんだ



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