巨蟲列島   作:ダーク・シリウス

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帰還

 

 

織部睦美side

 

 

あの日のうちに・・・私達は自衛隊に救出されるのを待たず、巨大なドラゴンと化したDさんが巡視船を運んで本土へと向かった。海軍基地に着くとDさんが船ごと私達を降ろしてくれたことで私達も本土に帰れた。そこで待っていたのは自衛隊の人達。Dさんを見上げて警戒と緊張の面持ちだったのは仕方がないと思う。

 

『・・・・・敵、攻撃、戦う?』

 

「ま、待ってください! 攻撃してはいけません!!」

 

「というか、その姿だから警戒されるっスよ」

 

「私もそう思うわ」

 

危うく無用な戦いが勃発しかけましたが、Dさんは最初からその気はなかったらしい。それから私達は自衛隊の人達に保護された。でも、たくさん事情聴取を受けました。何故かDさんと一緒に。相手は国防長官直々に。

 

「一つ訊かせてくれ。キミは人間を襲い、食べるかね」

 

「・・・・・食べない。ドラゴンに転生した元人間」

 

「この世界にキミのような種族は存在しているのか」

 

「・・・・・いない。俺一人のみ、異世界から来たドラゴン。元の世界、帰る方法、不明」

 

「この世界と人類に危害を加えることは」

 

「・・・・・理不尽、危害以外」

 

「私達の協力に応じてくれる気はあるかい」

 

「・・・・・半分、半分自由、拒絶あり」

 

「因みにだが、食べ物で何が一番好きかな」

 

「・・・・・アップルパイ」

 

色んな質問を答える中、途中で空間に穴を開けた中へ手を突っ込み取り出したアップルパイを食べて、狐の耳と九つの尾を生やす小さな男の子になったDさんに国防長官は啞然の表情は今も忘れない。

 

そして私達とDさんのそれからのことを話しましょう。成田空港でDさんはドラゴンの姿で総理大臣を手に乗せ・・・たくさんの記者や報道陣、数多のカメラに囲まれて世界に有効的な姿をアピールした。Dさんがドラゴンなのは辰野大島で知られている。天使の姿になって天候を操ることも知られたためか、西方教会=キリスト教のトップの方々が電撃来訪してきたのが日本に震撼を与えた。Dさんを会うためだ。日本政府は彼等を無視することが出来ないために会合の場を設けた。

 

天使の姿で神々しい聖なる光を放ち、西方教会の人達を感涙と感動させるだけでなく、天使の翼で作った白と金の二色の衣を着させ、創造した金色の一振りの剣を与えたことでヨーロッパと日本の間で強い結びつきができあがった。

 

さらに現代の医学では到底治せない、治療も出来ない難病の人達だけ天使の力で治し続けたことでDさんはたくさんの人から感謝されて「一縷の希望」とSNSで何時しかそう呼ばれるようになっていた。ただ、医学に人生を捧げた人達全員はDさんのやり方に納得できない人達が多い。でも今まで金銭を受け取らず「治せるから治している」の一言を言うDさんに何も言えなくなった。

 

他にもDさんは日本に貢献している。特に技術開発だ。

 

海水を飲める真水に換える機械装置は水不足で悩んでいる地域や国にとって、凄くありがたい物。無償で提供できないけれど、各国にDさんが作るその装置を送ったことで日本は影響力を高く得た。

 

深海の探索もそう。Dさんの不思議な力の源、魔力の結晶一つで空気のある水圧を受けつけない空間を作り出せるから、深海探査船の人達の手助けになったり、潜水士の影響力を与えた。

 

電力も言わずとも、無限に電力を作る機械を開発したDさん。異世界の技術を惜しみなく公開した。

 

空を飛ぶ車も例外ではない。火事による消火活動、人命の救助活動も地上からではなく空から移動できてしまえば、迅速的な活動がしやすくなった。

 

 

自然災害の活動に精を出すDさん。山火事は雨を降らして瞬く間に鎮火させて、外国で起きた津波で水没した町から水だけを集めて町の復興作業の手助けをした。

 

それとG県にもあると訊いたシンメイ製薬の研究施設の件―――無事に解決しました。Dさんと一緒にその場所へ赴くと私に蟲の知識を与えてくれた先生、一緒に行動を共にしていた大学生の人達と出会い、しばらく脱出せずに調査しました。

 

シンメイ製薬の、まんぷく計画を企てていた天宮さん達は犯罪者扱いにはならず、むしろ甲殻類の巨大化の立証をした功績者として虫が生息していない島で研究を続けるそうです。

 

親友の千歳ちゃん達とも再会しました。私達は喜び合いましたが、通っていた学校から離れることになってしまいました。私達以外の二学年の生徒達は死亡してしまったことと、世間の目からできるだけ逸らすためだとか。私と甲斐さん、真美さんは中々そうならないでしょうけれど仕方ありませんでした。

 

それと今まで氷漬けにした蟲達は、後に改修された特別な博物館で展示されることになりました。特に巨大なオオムカデは恐竜よりも迫力あって、見に来る人達の人気者です。それが影響をもたらしたのか、蟲に興味を持つ人達がたくさんいるようになり、蟲の研究をしていた人達も博物館に訪れる姿が見受けれるだとか。

 

東ノ小島と辰野大島と辰野神島・・・・・。既に巨蟲に支配されてしまった島は政府の決定により無人島扱いにされ人間が住めない島として封鎖されてしまいました。巨蟲達が自然に全滅するまでは。私とDさんの協力を加えて自衛隊の人達とまだ生存している人を助けましたが、一緒に活動した辰野神島に住む京介さん達は悔しい思いで胸がいっぱいだったでしょう。彼等は後に自衛隊になりました。職を失った鏡さん達はそれぞれ政府が斡旋してくれた仕事に就いて過ごしています。

 

それでもなお三つの島は時折、調査団を派遣して巨大化した蟲の生態と捕獲できる個体だけ確保して調べるそうです。食材の巨大化の研究に役立つかもしれないと。いや、無理ですそれは。

 

そして―――私達は学校を卒業しました。

 

千歳ちゃん達はそれぞれの道を歩んでいます。特に甲斐さんはDさんの異世界の技術に興味を持って開発技術センターに。真美さんは移籍した先の事務所でアイドルも卒業し、逞しい女優活動を。私は先の事件の功績により巨蟲化した蟲の調査団のリーダー兼、先生の虫博物館の従業員として生活を送っています。(Dさんが氷漬けにした蟲達はここで保管されています。先生は凄く喜んでいました。)

 

えっと・・・・・それと私はDさんに告白しました。今までDさんに対する気持ちを整理して、千歳ちゃんにも相談して決心しました。久しぶりに再会したDさんは私の告白に対して・・・・・。

 

「・・・・・何時か元の世界、帰還。人間とドラゴンのハーフの子供、後の世界、悪影響。作れない。それでも?」

 

と、問われました。それでも私は構わないと受け入れ、私はDさんとスピード結婚をした。それから私は密かにDさんと同じドラゴンに転生しました。これでDさんを残して先に死んでしまうことないようになりました。だから・・・・・。

 

「Dさん、Dさん! 愛してます!」

 

「・・・・・俺も」

 

大好きになった人と末永く幸せに生きます。たとえ・・・いつかきっと私だけ残して元の世界に帰ってしまっても。

 

 

fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別ルート。

 

 

織部睦美達を本土に運んだ直後。俺は上空に出現した魔法陣の存在に目をやって悟った。

 

『・・・・・元の世界、帰還する』

 

「あれが、Dさんの元の世界に帰ることができるっスか?」

 

『・・・・・多分』

 

「また、会えるかな?」

 

『・・・・・多分』

 

「Dさん・・・・・今まで本当にありがとうございました。もう会えないかもしれませんが、また会える日を待っています」

 

『・・・・・俺も何時かこの世界に来れたら会う。また会おう』

 

今世の別れかも知れない皆の声を聴きながら天空の魔方陣へ目指して飛ぶ。そして視界が真っ白に染まって意識が一瞬だけ失った感覚がした。

 

・・・・・ここが、元の世界?

 

戻った意識と今立っている場の光景を見回していたら、鰐を彷彿させるバケモノと共にいる白いワイシャツを着た少年がこっちを見るや襲ってきた。鰐のバケモノは凶悪な牙を生え揃えている大顎を開いて、俊敏の動きで迫る。跳躍して上へ逃げると全身に魔力を纏い鎧に具現化させた。鎧を纏った状態で鰐のバケモノへ凄まじい勢いで落ちて足で粉砕。いきなり襲われて訳も分からないまま倒してみた。地に伏していた少年は謎の発光現象―――転移式魔方陣の光に包まれ一瞬の閃光が止んだあとで、その場を見やるとそこには少年の姿はなかった。元の世界に戻っていきなり初戦闘で得た勝利は何とも言えなかった。

 

・・・・・なに、今の?

 

―――そして。

 

「あれ、あなた・・・・・誰?」

 

「・・・・・」

 

鷹のような鳥を従える謎の少女と出会った。

 

「ねえ、ここにバケモノと人がいたりしなかった?」

 

「・・・・・(コク)」

 

「もしかして、倒した?」

 

「・・・・・(コクコク)」

 

「じゃあ、仲間かな?」

 

「・・・・・(フルフル)」

 

魔力を放つ姿勢で臨戦態勢すると、ちょっと待った!と両手を前に突き出して制止の言葉を掛けてくる。

 

「敵でも味方でもないなら、話だけでも聞いて!」

 

「・・・・・」

 

まだ警戒する俺に謎の少女は困惑の顔で悩む。こっちもどうしようかと悩む。いきなり信用してもらうのは難しいし、話の真実や事実を証明出来るものは今持っていない。どうしようと悩み続けると助け船が出された。

 

「話を聞くだけでもよかろう。そこな娘から敵意も悪意も感じはせん。それぐらいは気づいておろう」

 

「へっ?」

 

俺の背中から肩に身を乗り出す子狐が人語を語る。子狐の言葉に少年は魔力を消して警戒を解く。ほっと安堵で胸を撫で下ろす少女は、子狐を異質な物を見るではなく奇異的な目で見つめると話しかけられた。

 

「ああ、腹話術じゃ」

 

「腹話術かい!」

 

「こやつはある事情であまり喋れないのじゃ。代わりにこうして妾で話をすることにした」

 

「・・・・・その設定は無理があるわよ。狐ちゃんから不思議な気配を感じるもの」

 

「ほう、わかるか。ならばその鳥もただの鳥ではないことを言ってやる。しかも妖怪の類じゃ」

 

妖怪? 自分の相棒を見つめても妖怪のような風貌ではない。羽毛を生やす体や翼に鳥として特徴的な嘴は見紛うこともなく鳥であり鷹だ。

 

「どこをどう見てもグリフォンちゃんは鷹しか見えないわよ」

 

「・・・・・お主、グリフォンとはどういう生物なのか知っていて名付けたのか」

 

「え? 知ってるけれど格好いいじゃない名前」

 

素で言われてしまった。それ以上の追及は面倒臭くなり話の本題に戻してもらった。

 

「先ほどの異形を知っておるようじゃが、事件に巻き込まれている、事件を追いかけていると推測する」

 

「両方とも正解よ。あのバケモノを倒すのにグリフォンちゃんが必要で、仲間も集めているところなの」

 

「事態の把握は?」

 

まだ教えられてないから全然、という彼女は思い出したかのように名乗り上げた。

 

「私、皆川夏梅。貴方は?」

 

名前・・・・・どうしようかと狐と視線を交わし合う。

 

「(前にいた世界の名前で通せばよいじゃろう)」

 

「(・・・・・わかった)」

 

狐と顔を向き合い視線を交えること数秒後「D」と呼ぶようにお願いしてもらった。

 

「わかった。じゃDと狐ちゃん、あなたの名前は?」

 

「九の桜と書いて九桜くようと言う」

 

 

数ヶ月後―――。

 

 

「D、何見てるの?」

 

「・・・・・蟲」

 

「意外、Dって虫が好きなの?」

 

「・・・・・否、この世界、別の世界、思い出してた」

 

「は?」

 

「Dは別の世界で過ごしたことを思い出しておるのじゃ。その世界では巨大化した蟲が島を支配しておっての、生存者と脱出してたのじゃ」

 

「へぇ、巨大な蟲かよ。一度は見てみてぇもんだな」

 

「いやいや、恐怖しかないって。人を襲う虫なら一般人は逃げるしかないよ鮫ちゃん」

 

「蝶々でも人を襲うのかな?」

 

「ふっ、白龍皇の私の前では同じ虫だがな。お前もそう思うだろう鳶雄」

 

「うーん、巨大なアリだったら結構大変かも」

 

「大丈夫なのです鳶雄。全部凍らせれば問題ありません」

 

「可愛い虫が大きくなるなら触ってみたいわ」

 

ネコザメの希望通り、氷漬けにした蟲達を取り出したらなぜか驚きの声を上げられた。おかしい。見たいって言ったのに過剰に驚く? でも、織部睦美達・・・・・元気してるかな。

 

数年後、ある種族のトレーナーになるなんてこの時は思いもしなかった俺は、今の仲間達と今の事件の解決に臨んだ。

 

「ねぇD。前の世界にいた子達のこと教えてくれない?」

 

「・・・・・ん、構わない。織部睦美・・・高校生、蟲の生態に詳しい女子―――」

 

また何時か会ってみたい。会う時が来たなら、たくさん話をしよう。織部睦美達・・・・・俺の友達。




今まで駄作を呼んでいただきありがとうございました。次も新作を投稿するか現作を投稿し続けるかで活動します。どうか見守っていただけると幸いです。
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