総武高校2年F組女子会   作:やってやる!やぁ~ってやるぜ!

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第Ⅲ回

 

すると宇佐美が最初に名乗りを上げた

 

「では私から行ってみてもよろしいでしょうか?」

「いいよ~♪審査員はみんなだからね!皆に刺さるシチュで!!」

「では、八幡様の心の声。精一杯妄想させていただきます!」

 

トップバッターは情報通の宇佐美のようだ。そしてそれが始ま......え?ナレーション占拠する感じ?そんな銀魂のラストじゃないんだから無理に決まって—

 

「取り敢えずパソコンいじってこっちからでも操作できるようにしてっと」

 

あれ......これマジっぽい

 

 

 

 

 

 

 

皆ご存じ比企谷八幡と申しますが現在よくわからない目に遭っています。

 

「............」

 

向こうは隠れてるつもりなんだろう、気配が薄い。が、小中で友達づくりの為に必死に人間観察スキルを磨いた俺から見たら粗末なものだ。おそらくはあの塀の裏からカーブミラーで覗いているのだろう。俺に見つかってタダで済むと思うなよ?......と俺はコツコツと歩を早める。そして一本道のギリギリまで来たところで角を曲がり

 

「いや怖い怖い怖い怖い!!!」

 

全速力で逃げた。いやだって......カツアゲしようとしてるチンピラとかだったら怖いじゃん。でもあの視線......

 

「あのねっとりした視線......向けられた覚えがないな。中三の時に折本の件で強請ろうとついて来てた座間もこんな視線じゃなかった。もっとこう値踏みするような感じだった。でもあれは......こちらを見ているだけで満足しているような......」

 

だとしたら俺はそんな状況にあう言葉を一つしか持ち合わせていない。

 

「視姦?いやまさかな......」

 

そう思いながら家に帰り、そして何事もなく一週間過ごしてからはもう記憶の片隅にすらその出来事は残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふああ......」

 

昨日はちょっとアニメ一気見したからつらいな......1クールなら行けると思うじゃんか。

俺が机に伏せながらHRをやり過ごそうとしていると......

 

「はいはい、こっち向いて!今日は転校生を紹介するぞ!」

「「「うおぉぉぉぉぉ!!!!!」」」

「喜べ男子!女子だぞ!!」

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」」」」」

 

う、うるせぇ......そういえば先週あたりで転校生が来るとか言ってたな。周りを見れば男子だけでなく女子もこそこそ話をしている。まあ代り映えのない生活に分かりやすい変化が訪れるのだから当然か。俺は興味ないがな!と机に寝なおすと

 

「じゃあ宇佐美さん入ってきて!」

「はい、宇佐美 綾瀬(あやせ)と申します。これからどうぞよろしくお願いします」

「じゃあ宇佐美さんの席は......」

 

ああ、適当に空席に座らせるのだろうな。と思い俺はふと思い出した。俺の隣って空席じゃね?

 

「あそこのアホ毛の生えた奴の隣だ。比企谷!宇佐美さんはまだまだ分からないこともあるし、教科書も持ってないから見せてやってくれ」

「よろしくお願いしますね?」

 

なんてこった。男子の恨みがましい視線が次々に突き刺さる。つややかな黒髪を肩甲骨ほどまで伸ばし、温和な表情でメガネの耳掛けの部分に髪を掛けながらそう挨拶する彼女は控えめに言ってすごくかわいいのでしょうがないと言えばしょうがない。俺もうっかり告白して振られるところだった、って振られんの確定かよ。

 

「一時間目は......数学か」

「教科書見せてもらいたいので机をくっつけても?」

 

うっほ!これは密着するチャンス!

 

「いやその必要はない」

 

と、言えるような精神構造は残念ながらしていない。

 

「と、いうと?」

「俺はこの時間寝る。だから教科書は使わない、のでアンタにそのまま貸す。それで解決だ」

「......授業はちゃんと受けないとダメですよ?」

「あ、ああ......」

 

上目づかいでいうな!可愛いなこの野郎!!

結局俺は押し流されるまま一緒に教科書を見たのだが......いやね?この子清楚そうに見えてパーソナルスペース狭い!腕に男の夢がのっかって全然集中できなかった!

 

 

「はぁ......このままじゃ身が持たねぇぞ」

 

自らの内からあふれそうな衝動を抑え込み、何とか家路についた俺はそういえば今日は家に誰もいないんだったかと思い出す。

 

「夕飯どうすっかな......って、何の用だ?宇佐美」

「......!?ばれて、しまったのですね」

 

曲がり角の死角から気まずそうに出てくる宇佐美。

正直勘づいてはいた。先週浴びた視線と今日、教室でこいつから浴びた視線は酷似していたからだ。まあ気配は全くと言っていいほど感じ取れなかったのでほぼほぼカマをかけたようなものだったのだが。

 

「お前は何が目的だ?初めに行っておくが金なら持ってないぞ」

「いえ、目的はお金というより......八幡くん自身なんです」

「は?」

 

いやホントに“は?”と自然に出てくる。目的が俺自身って......つーかちゃっかり名前呼びだし

 

「実は私、コンビニで八幡くんに助けられて以来ずっとあなたの事ばかり考えてしまって。仕事も勉強も食事も睡眠もおぼつかない状態だったのでいっそ来てしまったんです」

 

コンビニでというと......めんどくさそうなおっさんに絡まれてた女子店員をちょっと凄んで黙らせたんだっけ?あの後、俺の目はそんな怖いかと沈んだものだが

 

「それでその......一目惚れをしてしまったわけなんですが。ごめんなさい!気持ち悪かったですよね!これからはストーカー行為も話しかけることも止めますので隠し撮りした写真だけは!どうか見逃してほしいです!」

「あ~......」

 

 

 正直、こんなかわいい子に言われて悪い気分はしない。それどころかむしろ喜んで受けたいところだ。

 

 だが俺といてもこの子に幸せが訪れることはない、俺はこの目のせいでどこに行ってもはみ出し者。この社会に適応できていないのだ。たかが容姿といっても同じことを言っていても見目が良い方が悪い方より好かれるといったことが至極当然のこの世の中だ。人好きされない容姿というのはそれだけで足枷になる。だから俺は彼女の思いには—

 

「あ、あの本当にすいませんでした!!もう、ちかっ...よらないので」

「おい待て」

「え?」

 

涙を流して見つめる彼女、あんなことを頭では考えていても俺という人間は意外と冷静でいられないたちのようで泣きながら俺に背を向け足早に立ち去ろうとする彼女をみたらつい腕を握り引き留めてしまった。

 

「なんで俺なんだ?他にもアンタの見た目なら優しくしてくれた奴なんていただろうに」

「私......今までずっと、この性格のせいで気持ち悪いって言われて、人を信じることが出来なくて、でも貴方は何の見返りもなく助けてくれて!その、私は......!貴方に気持ち悪いなんて言われたら......」

 

何をビビってたんだ俺は。そんなに裏切られるのが怖いか?またすべてを踏みにじられるのが怖いか?目の前のこいつを見ろよ、何のことはねぇ......

 

「同じ———だな」

「え......?」

「俺もお前も社会からのはみ出しもんだ。特殊......英語で言えばスペシャルだ。悪くないだろ?」

 

そう言って俺はニヤリと笑う。しかし宇佐美はまだ不安なのか食い下がる。

 

「で、でも......私の行動は一歩間違えれば犯罪のような!」

「お前がそれだけ好いてくれてるってことなんだよな?」

「そ、そうともいいますが......//」

「今まで人から嫌われ続けた俺にとって100%愛してくれる相手ってのは家族くらいしかいなかった。お前みたいな可愛い奴に、その...愛されてたら嬉しいに決まってんだろ......」

 

あれ?途中まで普通に気にすんなくらいで終わらそうとしてたのに何言ってんの俺!?何言っちゃってんの!?

......いや、もう本当はわかっていた。コイツしかいない、俺もこいつも目の前の相手しか自分を満たせないことを多分本能で理解している。他の誰とでも無理な事でもコイツとなら......

 

「......か、可愛いって」

「俺たちは一人なら社会のはみ出しもんだ、このまま押し流されるか、反抗するしかない。でも二人なら、きっと何かほかにもっとマシな選択肢が......いや最高の選択肢が選べる気がするんだ」

「............」

「お前しかいないなんて会ってそんなに経たない人に言う言葉じゃないかもしれないが、俺と一緒に歩んでくれないか?」

 

そういって俺は右手を差し出した。すると彼女は涙ぐみながらも心底嬉しそうに

 

「はい......私の心はすでにあなたと一緒です」

 

その手を握り返した。

 

 

 

 

ということがありめでたく結ばれた二人はそのまま口づけをし少女は少年の家で一夜を共に———」

「はいそこまで、この小説は全年齢対象だから」

「......ここからが良いところなのですが」

 

中々のアレな展開になる直前で佐藤は話の流れを切り、採点審査員へと回す。

 

「は~い、じゃあ審査員のドキドキPt担当!八重樫青葉!!」

「はい、異常性までまるッと包み込んでくれる八幡くんのおおらかさ。そしてそこからのお前となら宣言、自分に言われたらと考えるとキュンキュンするセリフばかりです♪なので8Ptでお願いします♪」

「お!いきなり10点満点中8点!かなりの高得点じゃない?」

 

八重樫はフリップに大きく8と書いて上げ、それに司会の佐藤が反応する。

 

「次、ラブラブPt担当!加藤真鶴(まなづる)!」

「ん~と......最後のギュっと宇佐美さんが手を握り返すシーンでぐっと来たんだけど、出会いから始まってたからそんなにラブラブな感じはなかったかな~?6Pt!」

「ちょっと接触が足りなかったかな~、でも好みは人それぞれ!」

 

加藤も6とフリップに書いて上げる。

 

「最後、ジンジンPt担当!佐々木柏陽(はくよう)!」

(ジンジンPt......?by川崎)

「分かりました。手を握りしめあい仲睦まじく見つめ合った二人、そして誰一人いない家、これから一体どんなことが始まるのか、初々しい二人の初めてはどうなるのか。そんな期待感を込めて10Ptで確定とさせていただきます」

「ジンジンPt10点!!いきなり最高得点だぁ!!」

 

妙に恍惚とした表情で10と書いてあるフリップを右手だけで持ち上げる佐々木......すると川崎が違和感に気が付いた。

 

「ちょ、ちょっと待って!ジンジンPtってまさか......!!」

「その通り、佐々木の下腹部にどれだけジンジン来たかで決めるPtだよ」

「ギリギリアウトなんじゃないのソレ......」

 

じと目で佐々木を見る川崎。が、すぐに佐藤が明るく話題を変える。

 

「はい次!誰が行くの?」

「じゃ、じゃあ私たちが行きますっ!!」

「はい黒瀬ちゃん!頑張ってね!!......って私たち?」

 

 

「じゃあお兄ちゃん、小町たちは行ってくるけど無理しちゃだめだからね!無理そうだったら沙希さんの力も借りるんだよ?」

「俺は子供か。俺は大丈夫だから楽しんで来いよ」

 

今日から一週間、俺を除く家族はハワイに旅行に行くことになっている。

なぜ俺だけ除け者なのかというと、福引でハワイ旅行を当てたのは良いものの三人分の旅行券で、それならば俺は後々の為にと一人残ることにしたのだ。もちろん両親も小町も止めたのだが俺は(専業主婦という)夢の為、家事技術を向上させなくてはならないのだ!!

 

 

「ふ~......取り敢えず掃除も終わりかな」

 

養ってもらうのだ、掃除炊事洗濯に手抜きはしたくない。それに女性進出が進んでいると言ってもまだまだ女性に負担がかかることは多い。そんな奥さんに家でまで嫌な思いはさせたくないからな。せめて幼馴染である沙希以上の家事スキルは身につけねば。

 

「後は......特にすることねぇな。夕飯の材料でも買い出しに行くか」

 

大体家の中の家事も区切りがついたのでスーパーに買い出しに行く。この時にタイムセール、おひとり様一つまでのお買い得商品、五の市火曜市などは嬉しい。

と、買い出しの為にドアを開けると......

 

「あ、あの!追われてるんです!助けてください!!」

「は?」

 

一人の茶髪でメガネをかけた女子が泣きそうな顔で俺に助けを求めてきた。

 

 

この時、俺は知らなかった。この出会いがあんな壮大な物語の序幕となるだなんて。

 

 

さ~が~し~にゆ~く~ん~だ、そ~こへ~♪

 

 

追われていた地下アイドル、黒瀬きりえ

 

「あ、あの......助けてくれて、ありがとう!」

 

五歳の時に親が離婚し父親に引き取られたものの、成長するにつれ母親の面影が顕著に表れ“その顔を俺に見せるな”と半ば育児放棄されてしまう。

そして生活に困っていた所で地下アイドルにスカウトされデビュー。はじめはお金の為にしょうがなくだったのが段々と生きがいになっていく。

路上で身バレし、無理やり犯されそうになった時に逃げてきて、その先の八幡の家に隠れていたら流れで居候することに

 

「は、八幡くんは不思議ですね。みんな私の素性を聞くと少しは嫌そうな顔をするんですけど......嬉しいです、否定されないってことは、受け入れてもらえるってことは私にとって一番幸せなことだから」

 

「私、気づいたんです。アイドルが好きだって......八幡くんにこの自分を認めてもらえて、たくさんの人にライブで喜んでもらえて。ああ、やっててよかったなぁ......って」

 

「私は、貴方のことが......」

 

 

家庭的な幼馴染、川崎沙希

 

「まったくもう......すぐはーちゃんは無茶するんだから」

 

赤ちゃんの頃から八幡と家族ぐるみでの付き合いがあり、兄弟のような距離感となっていて“はーちゃん”呼びをしている。それでも本人は兄弟という枠組みから外れたいがこの関係を壊したくもない。どうすればいいのか分からない。そんな時に八幡の家にきりえが居候することになり彼女の焦りは加速することに。

 

「はーちゃん、私はもう女の子なんだからそういう目で見てくれないとダメだよ」

 

「はーちゃんがいてくれたから私は、ここまで生きてこれたの。はーちゃんと一緒だったから、頑張って勉強して総武高校にも入ったの。はーちゃんと離れたくなかったから......はーちゃんと生きていきたいから、今の私があるの」

 

「はーちゃん、一緒に生きていきたいです」

 

 

 

隣の席のクラスメイト、相模南

 

「あんたバカァ?」

 

少々毒舌なところがあるものの根は良い子、ナンパされている所を八幡に助けられてから話しかけるようになった。いつもは遥とゆっこと一緒に行動している。

 

「比企谷のバカ!な、なんでそんなとこに居んのよ!着替え中じゃないの!!」

 

「あんたって変なとこで純粋よね......ま、まあそこが良いっていうか、って!か、勘違いしないでよね!別にアンタのことが好きとかそんなのゼンゼンないんだからね!!」

 

「比企谷のバカ......こんなにやっても気づかないの?私はあんたのことが———」

 

 

三人組の一人、遥

 

「ごめんなさい、こういう時どんな顔をすればいいか分からないの」

 

幼い頃に交通事故で目の前で母親を亡くしたのが原因で感情が薄くなったものの、本当は可愛いもの好きのJK。部屋には無数の蔵書と八幡がくれたボコのぬいぐるみしかない。

 

「大丈夫よ八幡くん、私が貴方の盾になるから」

 

「八幡くんといると心がポカポカする、これが好きという気持ち?」

 

「私は八幡くんが好き。もっとたくさん本が読みたい、もっとたくさんネコと遊びたい、赤ちゃん抱っこしてみたい、でもぜんぶ八幡くんが一緒じゃないと......嫌」

 

 

三人組最後の一人、ゆっこ

 

「だーれだ?正解は胸のデカいいい女でした~♪」

 

なんだかんだ言って最後に全取りしそうなポジションについたしたたかな少女。非常にまったりとした性格をしており、そのマイペースさ加減はさながら猫。目隠しされたら意識しちゃうレベルのEカップ

 

「ん~?私の胸になんかついてる?」

 

「私?私は後回しでいいよ、南たちにかまってあげて」

 

「ふ~......もうすっかり色男になっちゃって............南たちに譲る、そのつもりだったのにそんなこと言われちゃ、本気になっちゃうじゃん//」

 

 

 

彼女らに囲まれた彼の女難が......

 

「はぁ......これじゃまるでラブコメ主人公じゃねーか」

 

今、始まる!

 

 

遥「八幡くん」

相模「比企谷、起きなさいよ!」

川崎「はーちゃ-ん」

ゆっこ「ひっきがーやくーん!!」

黒瀬「八幡くん起きて......?」

「よーろこーびもー♪」

「よーろこーびーも♪」

 

「はいそこまでー!!流石に収集付かないから!!終わり!!」

「ええー!!!」

 

突如止めた佐藤へ相模が非難の声をあげる。

 

「今良いトコだったじゃん~」

「いや他作品からもらいすぎ!!せめて五等分なら五等分で、ヱヴァならヱヴァで統一して!?あとボコって何ボコって!普通にパンさんとかでいいじゃん!!後なんでギャルゲーのPVみたいなことになってんの!?」

「こっちの方がイメージしやすいかなって」

 

流石にいつも平静を保って不敵に笑う佐藤も取り乱す。それは何故か?

 

「それに何で川崎さんもこんな茶番に参加してんの!?止める側だよね!?一緒に突っ込んでくれる側だったよね!?」

 

ツッコミ役であるはずの川崎まで参加しているからである。

 

「良い役貰えそうだったから」

「欲に忠実......ッ!!もういいや、時間も押してるしさっさと採点して!!」

 

すると審査員たちはもうセリフを考えるのがめんどくさくなってきたのでただただフリップをあげた。

 

「キュンキュンPtは6点かな。八幡くんのセリフが無かったのが痛いね」

「ドキドキPtは8点......ゆっこが八幡くんに目隠ししてるところと川崎さんの“一緒に生きていきたいです“がぐっと来た」

「中々核心に迫らせてくれないこのもどかしさ......焦らしプレイでしょうか?ジンジンPtは10点です」

「もう佐々木は八幡くんが出てくるんなら何でもいいんじゃないの?」

 

そしてコレで二つのシチュが終わったわけだがもう人がいない、佐藤も困り果ててしまった。

 

「もうやる人いないね。まさか黒瀬ちゃんたちが組むとはね~物足りない上にこのままじゃ同点だよ......」

 

すると相模が何言ってんだ?というように佐藤を見る。

 

「あんたねぇ......まだ発表してない奴がいるでしょうが」

「嘘!?だれだれ?」

 

ジト目で見てくる相模にあえて大げさに答えて見せる佐藤、誤魔化そうとしているが誤魔化せない。

 

「アンタよアンタ。一人だけ案出さないとか冗談じゃないからね?」

「それもそうだね、じゃあやろっか」

 

拒否していた割にはやけに素直にナレーションに入るのを意外そうに相模が見つめる。って、ナレーション奪取は必須なのね......

 

 

 

 

 

 

 

「あーやばやば☆!遅刻遅刻~☆!!」

 

私、佐藤泉!高校二年生!なんやかんやあって今遅刻しそうになっている!!

すると腐った眼をした背の高い人が後ろから私の頭に手を伸ばしていった!!

 

「頭にきゅうり、着いてるぞ」

「ど、ドキッ☆」

 

コレが、彼と私の出会いだった☆!

 

 

 

 

 

 

 

「え......終わり?」

「うん、そーだね」

 

すると相模は数舜硬直してから

 

「いや違うでしょ!?今時遅刻遅刻~☆なんて少女漫画でも使わないわよ!?それを何?頭にきゅうりついてたよ!?芋けんぴぶっ差してやろうか!?」

「良く一息で言えるねーって、机倒れる!!」

 

立ち上がり一息でツッコむ。まあ短すぎて内容もないのだが。

さて、今この教室の机は会議用に並べられていてさらに相模の向かいには誰もいない。つまり......

 

「あ~あ、ぶちまけちゃった」

「あ、ごめん!」

 

反対側の机の中に入っていたものが全部出てくるわけだ。相模は謝りながら落ちたものを拾い集める。

 

「あ~......てかこれ佐藤の机じゃん。ごめんね~」

「別にいいy——ちょっと待って」

「ん?なにこれ?開いちゃってるけど日記?」

 

別にいいよと笑顔で言い切るか言いきらないかのところで相模が落ちた衝撃で開いた日記のようなものを見てしまい、佐藤は笑みのまま硬直する。

 

「こ、これ......!」

「ま、まってよぉ......それ読まれちゃったら私、私......!」

「これはみんなで見た方が良い......」

「ま、まってぇ!!それだけはやめてぇ!!」

 

いつもの余裕のある笑みは崩れ涙目で日記を取り返そうとする佐藤。相模も相模で譲らない。

 

「だってこの内容がホントならアンタはずっと......!!」

「............私は、八幡くんが幸せならそれでいいの」

 

そう、それは......二人の始まりの物語

 

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