とあるオタク女の受難(ジョジョの奇妙な冒険編)。 作:SUN'S
◇月£日
アタシとシーザーは幸運にもワムウとの戦いでた生き残った。もっともアタシは囮をしたり、蜘蛛の糸を使って事前に援護しただけだ。
無意識にシーザーの身体を引き寄せて瓦礫に押し潰されるのを防いだのも本当にまぐれ。あの時の記憶は曖昧で、あまり覚えていない。
ワムウはアタシたちが生きていることに気づいていたのに敢えて殺さず、アタシたちを置いていったのは戦士としての誇りか、シーザーへの敬意だったのかもしれない。
そう率直に思ったことをシーザーに伝える。
だが、シーザーはアタシの話よりもジョセフの戦車戦に夢中だ。アタシもリサリサ先生の隣に腰かけ、ジョセフを応援する。
この間合いならカーズを殺せる。
しかし、それは戦士への冒涜だ。ジョセフを鼓舞するシーザーの掛け声、それに答えるようにワムウと互角に渡り合うジョセフ、素晴らしい友情だ。
はじめて出会った頃はいがみ合って、自分が先に「柱の男」を倒すのだと競っていた二人の心が一つになっている。
ジョセフの取り出した手袋を見て、驚愕と喜びに打ち震えるシーザー。あれは応急手当を受けているとき、シーザーがジョセフに託したものだ。
今のジョセフなら使える。
そう確信しての行動だ。現にジョセフは波紋入りのシャボン玉をワムウへ弾き出した。しかも植物油の詰まった特製のシャボン玉だ。
シーザーは本当に抜け目のないやつだとワムウの神砂嵐をシャボン玉と波紋を流した手綱で防いだジョセフを笑う。
◇月₩日
カーズの作った吸血鬼の軍勢を〈レヴィー・ブレイク〉から出てきたスーパーマンが吹き飛ばしながら、シーザーとジョセフをリサリサ先生のところへ連れていく。
シュトロハイムやロバートお祖父ちゃん、スピードワゴン財団、ドイツ軍の親衛隊、ロギンズ先生とメッシーナ先生、みんながカーズを追いつめる。
これで終わりだ。
そう思っていたのにカーズはリサリサ先生からエイジャの赤石をすでに奪い、紫外線照射装置を利用して究極生命体へと進化を遂げた。
誰も勝てないと諦めるロバートお祖父ちゃんを支えながら、ジョセフを追いかけるカーズを見つめる。もうアタシに出来るのは祈ることだけなのか。
◇月√日
ジョセフ・ジョースター。アタシの大切な兄貴分、いい加減なところもあるけど、正義感の強さは人一倍のお人好し。
そんな彼は、もういない。
シュトロハイムの大気圏外へ岩盤ごと吹き飛ばされたという話を聞いたとき、アタシの能力では助けられないと悟った。
シーザーはやるせない気持ちを押さえ込むように墓標を見下ろす。ロバートお祖父ちゃんは、もっと自分が若ければと悔やんでいる。
リサリサ先生、ロギンズ先生、メッシーナ先生、三人の誰もがジョセフの死を受け入れられるずにいる。アタシもそうだ、あいつならひょっこりと帰ってくるんじゃないかと思ってしまう。
それこそ希望的な考えだ。
死んだ人は生き返らない、アタシの能力でも蘇生は不可能だった。ジョセフの髪の毛を使って、クローンを作ろうとしてシーザーに止められた。
はあ、と溜め息を吐く。もう、墓標を見るのも辛い。そう思って後ろに振り返った瞬間、アタシは自分の目を疑った。
そこには生きているはずのないジョセフが、スージーQと仲睦まじくやって来たのだ。シーザーの顔を無理やり動かし、彼に松葉杖をつくジョセフを見せるとマンマミーアと叫んだ。
そりゃあ、当然だ。
ジョセフが生きてるんだもの。