とあるオタク女の受難(ジョジョの奇妙な冒険編)。 作:SUN'S
俺たちが不規則に消失と出現を繰り返すDIOと戦っている最中、四宮が自ら命を絶ったとアヴドゥルが叫んだ。DIOにスタンドの核ともいえる「本」を奪われたことで自暴自棄になったのか。
いや、あいつのことだ。俺たちの誰かがDIOに負ける可能性を考えて、自分のスタンドを死ぬことで封じ込めようとしたのだろう。
「四宮文月の『昨日へ戻る』という能力は実に厄介きわまりなかったが、このDIOを更なる高みへ押し上げる鍵となったのも事実だ」
「テメー、なにを言っていやがる」
「フン、この際だ。特別に教えてやろう、我が野望を悉く打ち砕いてきたジョースター。それを手助けるように現れるツェペリとエインズ!」
やたらと仰々しく振る舞うDIOとの間合いを詰める。おそらく気づいているだろうが、お構いなしに話を続けているDIOを見上げる。
「ジョナサン・ジョースター、かつて俺を殺す寸前まで追い詰めた男!しかし、その
こつ、こつ、と歩み寄ってくるDIOと射程距離が重なる。俺のラッシュは当たる。だが、俺はやつの言葉に耳を傾けている。なぜか、この話を聞かなくてはいけないと思っているのだ。
それを知っているのか。
それとも知らずに話しかけているのかは分からんが、俺は間合いで余裕を見せるDIOを睨み付け、一瞬の隙をついて〈
「そして、この本はエインズの女たちが脈々と受け継いできたスタンドだ。幾千人もの強者と戦ってきた歴史を持つ本を、我が最強のスタンド〈
「なにっ!?」
先程まで後ろに佇んでいたDIOの〈
こいつは、ちと不味いかもしれない。
「〈
「〈
〈オオォォラァッ!!〉
おいおい、どうなってやがる。
確実にDIOの頭を砕いた感触はある。だが、DIOは何事もなかったかのように俺の前で首を回しながら肩凝りを確かめている。
「いま、ゾッとしたな。このDIOの能力に」
「テメー、四宮の能力を……」
「もはや、これは四宮文月の能力ではない!我が〈
「やれやれ、こいつだけは使いたくなかったが、どうも使わざるを得ないようだ」
スーーーッと息を吸い込む。
かつて、じじいやシーザーのじじいを諌めるため、四宮の祖母が「本」の応用編として使った、とっておきの技だ。俺にも多少のダメージは残るが、今は緊急事態だ。
「ジョースター家の誇りを示せ!」
「それで、なにが起こっ!?」
DIOの身体がボコボコと膨れ上がる。それに呼応するかのように〈
「アシュリー・ツェペリのとっておき、そいつは俺たちジョースター家、その関係者の幻像を出現させること。ただし、ちょいと厄介な幻像だ。一度でも「本」と関わったジョースターたちを全盛期の姿で再現する」
「ジョ…ジョジョ、アレクシアもか!?」
「少し悪ふざけが過ぎるよ」
「ディオ、やはり君は……」
こつり、と一歩前へ出る。
それと同時に勢揃いだった幻像たちが俺の中へ流れ込む。おいおい、ちょいとパワーを込めすぎじゃあねえか?それに流石のDIOも死んだ知り合いとの再会にはド胆を抜かれるようだ。
「さあ、第2ラウンドだ」
「小癪なッ」
〈無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!〉
〈オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラア!〉
DIOの肉体は『昨日』へ戻りながら〈
「ジョジョが現れたときは驚いたが、所詮は猿の浅知恵よ。このDIOを倒すことは出来ん!」
「確かにテメーのスタンドは強い。どれだけ策を練ろうと勝てんかもしれん。しかし、
〈オオォラアァ!!〉
「何度〈
「俺もようやく馴染んできたぜ、今のはアレクシア・エインズの『文章の意味を他者に与える』能力だ。テメーのオーバーヘブンは『一瞬だけ過去へ戻り、すべてをなかった』ことにする能力、そいつを『一瞬』だけ
ゆっくりと両手をだらしなく下ろし、俺を睨み付けるDIOの前に立つ。三秒、いや再生するまで五秒は掛かりそうな傷だ。
「三秒か、四秒か、どっちでも構わねえが、テメーの傷が治ると同時に〈
そう地べたに膝をつくDIOに告げた瞬間、片腕を振るって血しぶきを飛ばしてきた。ちっ、最後の最後で生き汚ねえ野郎だな!
「俺の勝ちだ、死ねい承太郎っ!!」
「〈オォォラアァ!!〉」
「このDIOが、世界の支配者となる俺が、古臭い波紋なんぞに、よりにもよってジョジョの波紋でエェェェ!!」
ようやく粉々に消え去ったDIOの死体から四宮の「本」を拾う。俺の〈
「やれやれ、面倒事はこりごりだぜ」
そう呟きながら〈
「これで元通りだ」
パタン、と「本」を閉じる。