とあるオタク女の受難(ジョジョの奇妙な冒険編)。 作:SUN'S
ある日の出来事だ。
父さんのハンティングに付き添って出会った少女は触れれば壊れてしまいそうなほど儚げだった。彼女は父さんの友人の娘で心臓に重い病気を患っているそうだ。僕が彼女と会える機会は少なく、翌日の昼に外を眺める彼女を驚かせたのが初めての会話だ。
彼女と会うのは決まって彼女の寝室。紳士としてレディに失礼の無いように語らう。少し世間知らずなところのある彼女は僕の話を聞くたびに驚き、すごく瞳を輝かせて聞いてくれる。
しかし、その素敵な時間も長くは続かなかった。
父さんの恩人の息子であるディオ・ブランドーを見た彼女の父親が警戒心を剥き出しにしたのだ。一度として怒ったところの見たことのなかった彼女の父親が、まるで肉親の敵を見つけた時のような、そんな顔でディオを睨んだ。
「ジョジョ、どうたんだい?」
「…いや、なんでもないよ」
僕の顔を見て首を傾げるディオ。僕よりも礼節を正しく知り、父さんの厳しいレッスンも楽々と乗り越える彼を追い越すため、僕は密かにレッスンの内容を反復練習している。
それを知っているのか。ディオは定期的に部屋にやって来て、僕の部屋に飾ってある写真や本を読みながらレッスンする僕を見てくるのだ。
「なあ、ジョジョ。この子は誰なんだ?」
ディオの呼び掛けに気がつき、後ろに振り返る。彼女から届いた手紙を、ディオは勝手に開けた。ショックを受けると同時に、まだ自分が読んでいないものを先に読まれたことを悲しむ。
冷静さを取り戻すため呼吸を整え、ゆっくりとディオと向き合って彼女について話す。納得したのか、興味を無くしたのか、僕に手紙を渡して部屋を出ていくディオを見る。
「なっ、こ、これは!?」
手紙に視線を戻した僕は「お父様のお仕事を手伝うためにそちらへ行きます」という最後の文章に喜びを感じつつ、ディオが僕よりも先に手紙を読んだことを思い出す。
もし、もしも、ディオが彼女と話したら僕なんか忘れられるじゃあないのか?とてつもない不安を抱きながら手紙の返事を書く。
彼女は僕が守らなくてはいけない。
そう考えながら彼女と歩く姿を思い浮かべる。
いや、彼女の父親がそれを許すとは思えない。僕と彼女、それに付き添う彼女の父親と僕の父さん、そんな構図が出来上がるだろう。
だが、それも美しい光景だ。そこにディオも加われば、僕を貶めようとしないディオが混ざれば、どれだけ幸せなことか!
「ダニー、お前も会いたいのか?」
そっと床に横たわるダニーを撫でる。わん、と嬉しそうに吠える。あのときの彼女は生き生きとして、とても素敵だった。