とあるオタク女の受難(ジョジョの奇妙な冒険編)。 作:SUN'S
○月≦日
いそいそとカートを押しながら病室へやって来たエリナ・ペンドルトンから食事を受けとり、今日もありがとうと伝えて、外の楽しそうな声を聞きながらパンを千切って食べる。
お父様のお仕事の成功を祈って、お父様やジョースター卿からのお見舞い品を眺める。その中にジョナサンのものはなく、代わりにディオ・ブランドーのものがあるのだ。
しかし、どれもこれも着飾るようなものばかり。私はネックレスやイヤリングはお父様のお願いでつけるつもりはないので箱の中には仕舞っている。
私は栞を挟んでいた本を開き、今朝の続きを静かに読む。この本の秘密はお父様と私しか知らない。そして、本当の使い方は私だけしか知らない。
この本は読み手に物語の力、才能を与える。
そのデメリットは不明、それでも私に走れる力を与えてくれた。私の何かを代償としているのか、あるいは何も必要としないものなのかは分からない。
○月⇔日
早朝、お父様が病室へ来てくれた。
お仕事は滞ることなく終わり、ジョースター卿に現場の指揮を頼んできたと教えてくれた。私の頬を撫でながらお家に帰ろうと言うお父様に従う。
お屋敷を出るときはお父様や爺やと一緒にします。でも、お屋敷に帰る前にエリナにお別れを言ってもいい?と聞く。
少し悩むようなそぶりを見せて、あまり身体を動かさないようにと言って車椅子を押してくれる。本当なら車椅子に座る必要なんてないけれど。
お父様との走らないという約束を守れるのなら、これも必要なことだと割り切れる。ただ、お父様に押してもらうのは申し訳ない。
そう伝えると問題ないよと笑って、パタパタと小走りで働くエリナを引き留めて、退院とお別れの挨拶を交わし、また会おうねと約束する。
エリナは寂しくなるけど、退院は良いことだから気を付けてねと抱き締めてくれた。うん、エリナも怪我や病気をしないように気を付けてね。
○月$日
今朝、爺やからディオ・ブランドーから手紙が届いていますと教えてもらった。私に付きまとっているのか、自分の汚点を消そうとしているのか。
それは分からないけれど。
一度会って話したいと書かれている。彼と、ディオ・ブランドーと会うのは怖い。でも、手紙を送ってまで話したいことがあるということは、重要な、とても大事なお話があるのではないだろうか。
しかし、私は彼に会いたくない。爺やに相談して公共の場所、人の行き交う場所を指定する。私の付添人は爺やがしてくれる。だが、もしものためにと爺やが護身用に何かしら持つべきですと言う。
確かに爺やの言う通りだ。
それでも人と話すときに危険なものを持つなど淑女として、それだけは絶対に有り得ない。それに、私の傍には爺やがいる。だから、なにがあっても私は安心して話し合える。