とあるオタク女の受難(ジョジョの奇妙な冒険編)。   作:SUN'S

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第60話(ブローノ・ブチャラティ)

トリッシュ・ウナの父親────。

 

俺達のボスが目の前で眠っている。ハヅキのスタンド能力の一部を応用し、僅かな時間だが眠らせることが出来るそうだ。

 

だが、ボスを殺るなら今しかない。そうジョルノは考えている。それだけは不味い。このボスはヴィネガー・ドッピオという『悪』の精神を押さえ付ける枷の役目を担っている。

 

もしも彼が肉体の所有権を失えばマジで一瞬のうちに俺達は殺される。それほどボスの〈キング・クリムゾン〉は恐ろしいスタンドだった。それを奪われるのだけは絶対に阻止しなければならない。

 

「ブローノ、そろそろ着くぞ」

 

「おい、待て。今、お前はつく(・・)と言ったのか?いったい何が来るというんだ!」

 

「そいつは私だ!」

 

そう言って現れたのは塔を彷彿とさせる銀髪のヘアスタイルが特徴的な男だった。ゆっくりと警戒させないように進んでくる男を見上げながらトリッシュたちを庇うように立つ。

 

「私の名前はJ・P・(ジャン=ピエール)ポルナレフ、そこのハヅキに呼ばれてきた凄腕のスタンド使いだ。さあ、安全なところへ案内しよう」

 

そう彼は俺たちに告げる。ハヅキはボスを背負いながらポルナレフと名乗った男に着いていく。ここで悩んでいるのは時間の無駄だ。

 

〈数日後〉

 

俺達はジョルノ・ジョバァーナとヴィネガー・ドッピオの対決を見守ることしか出来ない。かつてポルポの持っていたという『スタンドの矢』を回収したヴィネガー・ドッピオは強烈な自我を持ってしまい、ボスの肉体を奪うことに成功した。

 

いつもボスの傍らに居続けたヴィネガー・ドッピオは自分こそ主人格に相応しいと思うようになり、トリッシュの殺害を企てた。当然ながらトリッシュを傷つけることをボスは許さず、こうしてヴィネガー・ドッピオ諸とも自害すると選んだ。

 

「なぜ、僕の邪魔をするんだァ!」

 

「なぜ、なぜですって?僕が『許せない』と思ったからですよ」

 

ふたりがお互いのラッシュを防ぎつつ言葉を交わす。しかし、俺の時のように『時間を吹っ飛ばす』能力は使えない。俺の隣に腰かけて「本」を開いているハヅキの能力のせいだ。

 

そして、俺の予感は確信へ変わった。

 

ジョルノ・ジョバァーナの黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)がポルナレフの与えた『スタンドの矢』でサナギから成虫へ脱皮するかのように生まれ変わった。

 

そう言えばポルナレフがジョルノに言っていた。ジョルノの血筋の生み出すスタンドは必ずと言っていいほど特殊な能力を持って進化を遂げる。

 

もしや、これがそうなのか!?

 

「私は、あの進化を鎮魂歌(レクイエム)と名付けた」

 

〈無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!〉

 

それは一瞬だけ見えた幻覚だったのか。ジョルノが〈キング・クリムゾン〉を叩き上げた瞬間、俺はボスの肉体から気弱そうな少年が抜け出ていくように見えた気がする。

 

〈WRYAAAAAAAAAAAA!!!〉

 

ドグシャアァッ!と炸裂する音と共に吹っ飛ぶボスの肉体は重力に従って地面に落ちていき、ゆっくりと動かなくなった。

 

「…ボ…ボス…いっ…ひとりは…さびしいよぉ…」

 

おそらく俺だけが辛うじて聞こえた。今のがいヴィネガー・ドッピオの本心からの言葉だ。か細くなっていく声を聞きながらジョルノを見る。

 

あいつも聞こえていたのか。

 

ジョルノはハヅキを呼び寄せて何かを囁いている。まだ、なにかするつもりなのかと二人を見守る。だが、ハヅキはボスを見下ろしながら、唐突にスタンドを出現させた。

 

「おい、それマジでやるのか!?」

 

「えぇ、そうです。責任は持ちます」

 

「くそが、テメー覚えてろよ。ヴィネガー・ドッピオ、お前へ『刑罰』を執行する。お前の『罰』は来世で幸せになることだ。ジョルノ、そういうわけだ。思いっきり、やってくれ」

 

「〈黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)〉!彼の遺伝子を掛け合わせ、新たな生命を産まれさせろ!」

 

おいおい、それってつまり────。

 

「あたしのパパがジョルノに寝取られた!?」

 

「その言い方はやめて下さい!」

 

まったく、なんと言うことを考えるんだ。いや、この一ヶ月の間にジョルノ・ジョバァーナの、そういうところを見てきたんだ。

 

こういう結末もあったのだろう。

 

 

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