『よくできたな...普通なら習得に5年はかかるものだが...次はこれだけどやってみるか?』
『ん。』
『おいおいマジかよ...お前『シア』...シアは天才だな...。これもできちまうのかよ...自信なくすぜ全く...。』
『...やらない方がいい?』
『そんな訳ねぇだろ。お...シアのやりたい通りにやればいいさ。...シアは俺の娘みたいなもんだからな。』
「う、...ん...?」
懐かしい夢を見た気がする。とても心地よくてキレイで...私にはもったいなくて...惨たらしくぐっちゃぐちゃにしたくなる...そんな夢。
「起きたかしら?」
「っ!?」
体を無理やり起こして声の人物と距離を取る。私は警戒しながら声の人物...ルシアに問いかけた。
「...私をどうするつもり?」
「別にとって食おうって訳じゃないわ。ルナが気に入ったもの。」
「るな...って誰?」
「...貴女と似た存在よ。」
少し言い淀んだのを聞き逃さない。きっと彼女の弱点がそのルナとやらなのだろう。それよりもここはどこだろう...?
「ここは私達の拠点。貴女、私達の仲間にならないかしら?」
「...無理やり連れてきたくせに?」
「それもそうね。」
「...貴女の目的は?」
「私はルナがいればそれでいいわ。」
「...そう。」
家族愛ってやつか。...キレイなモノだね。ぐちゃぐちゃにしたくなっちゃう。家族と言えば私のアッシュはどうしたんだろう。ルシアのことだから一緒に持って帰ってきたと思うんだけど近くに反応がない。
「...アッシュをどこにやったの?」
「アッシュ?あぁあのオモチャね。さぁ?知らないわ。私が戻った時にはもう居なくなっていたもの。」
「っ、っ...!?」
アッシュがいない...?じゃ、じゃあどこにいったの...?わ、私のアッシュ...あっしゅ...
「あ、ぁぁ...」
「落ち着きなさい。パニシングが漏れてるわよ。」
「...。」
動揺でパニシングが漏れ出してしまうがそんな事はどうでもいい。アッシュを探さないと...
扉の前に立つルシアを睨みつける。
「そこを、どいて...!」
「退いたらどうするの?」
「決まってるでしょ。探しに行く。」
「なら駄目よ。アッシュとやらの居場所には心当たりがあるわ。」
「だったら──!」
「──空中庭園。」
「っ...ま、まさか...」
「そうそのまさかよ。今の貴女じゃ到底行けない場所にあるの。」
「あ、ぁぅ...ァッシュ...」
「...私たちの計画に『空中庭園を落とす』ものがあるわ。」
「...。」
「もう一度問うわ。私たちの仲間にならないかしら?」
「............分かった。」
アッシュ...アッシュ......待ってて...。今助けに行くから。
「...それで?私は何をすればいい?」
「ふふ...そう焦らなくても仕事は与えるわ。貴女には整備をやってもらうわ。今はガブリエルに頼んでいるけれど貴女も知識と技量はあるでしょう?」
「分かった。そのガブリエルとやらの場所に案内して。」
「もちろんよ。その代わりと言ってはなんだけど報酬として私は貴女に剣を教えるわ。」
「っ...ほんとに?」
「確かにあのオモチャ...アッシュは強かったわ。...でも硬いだけ。ただ大きい剣を振り回してるだけだったわ。」
「うっ...。」
「生憎、私は刀しか振れないから実戦形式でしか教えられないけれどね。」
「...それでも助かる。」
「...取引成立ね。」
きっと私は...私達は空中庭園と戦うことになるだろう。その時のために、少しでも実力は付けておかなければならない。アッシュのためにも...。
「貴女の名前は?」
「...シア。」
「シアね、よろしく。」
「うん。」
気持ちの整理ができてから整備をする施設がどれほど整っているのかを楽しみにする余裕ができた。これからしばらくは仕事と自分の成長に時間を使おう。
「まずはルナに挨拶ね。」
「...はやく整備室行きたいんだけど...?」
「仲間になったんだから挨拶はしなさい。敵と看做されて攻撃されたくはないでしょう?」
「う、分かった...。」
楽しみが減った...。
元天才整備士だったヒジムの技術を全て受け継いだシアちゃんは悪役サイド(?)で整備士として働くことになりました。