灰色の烏   作:つちのこ。

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第14話 特訓

 

 

 

 

「...それじゃあ始めましょうか。」

「うん。」

 

 

円形の場所に案内された私は早速黒い大剣を生成する。ルシアの方も刀の柄に右手を置き、構えている。

 

 

「...。」

「...。」

 

 

ルシアと戦うのはこれで4回目。1、2回目はアッシュを通して、3回目は追い詰められて予備の剣で戦った。

 

 

「...どうしたの?来ないならこちらから行くわよ。」

「...いいよ。」

 

 

──今回は本気。サブ武器とはいえ得意な大剣での勝負。アッシュを通さない純粋な勝負。

 

 

「ふッ...!」

 

──ギィィンッ!!

 

「はァッ...!」

 

 

10何mもあった距離を一瞬にしてゼロにしたルシアの上段から振り下ろされる刀を左腕に擦らせて逸らし、右手に握る大剣を真横に振り抜く。

 

 

「甘い」

 

──ドゴンッ!!

 

「うにゅっ!?」

 

──ガギィィッッ!!!

 

 

当然避けられ、大剣を下から蹴りあげられる。さらにそのできた隙を突いてさっきよりも断然重い一撃を繰り出してくる。なんとか大剣の腹に隠れて防ぐが重すぎて結構弾かれちゃった。

 

 

「...良く見えているようね。」

「ありがと。」

「でももっと動けるはずよ。」

「...がんばる。」

 

 

もっと動ける...もはや瞬間移動してるルシアみたいに動けるかな...?私は受け身だからあんまり動かないし素早く動くのには慣れない。

 

「...。」

「...分かった。」

 

 

納刀して指をクイッと曲げるルシア。これはチョーハツというもので合ってるよね?初めて挑発されたかもしれない。ならば期待に応えてこちらから攻めるべきだろう。それが多分クンレンなのだから。

 

 

「ふッ!!」

 

──ギィィンッ!!ギィィィンッッ!!

 

「いいわ、その調子。」

 

 

もはや刀すら抜かず金属製の鞘で受け流されている。鋭くなるように造ったから攻撃力はあると思うんだけどなぁ?やっぱり技術の差ってやつ?

 

「パニシングの力を使えば体を軽くしてルナみたいに浮くこともできるわ。...まぁルナが例外で殆どは私たちのように素早く動ける程度だけれども。」

「...だから、まだ速く、動ける、と?」

「えぇ。」

 

 

大剣を縦横斜め、適当に振り回してその回転率を上げようとする。しかし、ルシアの言う体を軽くするというのが分からない。どうやってパニシングを使って軽くするんだろう...

 

 

「貴女が創り出している剣を体に置き換えるだけよ。」

「む、むぃ...。」

「そうかしら?体にパニシングを巡らせるだけなのに。」

 

 

剣は形が変わらないからパニシングをその形に固めちゃえばそれでいい。でも体は固めちゃったら動かなくなっちゃう。

 

 

「固めなくてもいいのよ。そうね......イメージとしては自分という人形をパニシングで操る...かしら。そこまで行かないにしろ補助でも十分よ。」

「...にんぎょう...。」

 

 

...アッシュのような体だけの存在をパニシングを通して操るように私の体もそうすればいいのか。...でも、どうやって...?

 

 

──ギャィィンッッ!!...ガギンッ...

 

「あっ...」

「今日はここまでね。」

 

 

鞘に弾かれて私の大剣は床に落とされる。私はそのまま大剣をパニシングに戻して体内に回収した。

 

 

「...貴女が暮らす場所に案内するわ。」

「ありがと。」

 

 

 

今日は色々あった。これまでにも色々あったけどここまで生活が変わるのは初めてのことだ。でも全てはアッシュを空中庭園から奪い返すために。世界をキレイなモノがない、キタナイモノにするために。

 

 

「...ガンバら、なきゃ...。」

「...シア?どうかしたのかしら?」

「なんでもない。」

 

 

私のシアワセのために。

 

 




今日はずっと幻塔とパニグレをやってました...。

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