灰色の烏   作:つちのこ。

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間に合った...(間に合ってない)


第8話 15号都市

 

 

 

 

「...指揮官...。パニシング抑制血清は、まだありますか...?」

「ごめんもうない...。」

「...計算通りですね。このままでは為す術なくやられてしまいます。指揮官...痛覚遮断の許可をお願いします。」

「......どうしても?」

「どうしてもです!」

「...わかった許可する。」

 

 

百数十体の侵蝕体を屠り、私の目の前で倒れた黒髪ロングの構造体、ルシア。彼女の横腹からとめどなく流れる循環液は彼女の黒い服にシミをつけ、地面にも流れ出す。苦痛な顔がとても心苦しいが痛覚遮断は人間モデルから離れてしまうため最終手段であった。まさかここで使うとは思わなかったけど...。

 

「...さぁてルシアが起きるまで頑張りますか...。」

 

 

意識リンクして痛覚遮断をするため少しの間ルシアは気絶する。その間も絶えず侵蝕体は襲ってくる。今いるのは私とルシアだけ。 動けるのは私しかいない。

 

──パァンッ!!

 

もう撃ちきった銃に再び弾薬を装填し発砲。

 

 

 

 

「ギャァァッ!!」

 

「ちっ...。」

 

 

少し仰け反らせることはできたがそれでも進行が止まることは無い。

 

「ギャァァッッ!!!」

「っ...!ふっ!」

 

──パンパンッッ!!

 

飛びついてきた侵蝕体をギリギリで避けて横から体当たりする。大きく仰け反った侵蝕体に再び発砲。

 

 

「「ギャァァッ!!!!」」

「まずっ...!?」

 

「──指揮官はやらせない...!!」

 

 

──ズバンッッ!!

 

黒い刀を振るい、私の背後から襲ってきた侵蝕体を一刀両断するルシア。その鬼神と言ってもいいような顔付きは私でも少し怖かった。

 

「はァッ!!」

 

──ズババンッ!!

 

「ぬるいッ!!」

 

──ズシャッ!!

 

──────

 

「ルシア!...ルシア!!」

「っ...指揮官...。」

「もう敵はいないよ?落ち着いた?」

「はい...申し訳ございませんでした。」

「ううん私は助かったからいいんだけどね...?」

 

 

我を失ったルシアをなんとか宥め、リーフ達に連絡を取る。

 

「リーフ。そっちは大丈夫?」

『はい指揮官。そろそろ合流しましょうか。...リーもそれで良いですよね?』

『はい。』

「分かった。」

 

 

別行動していたリーフ達と合流して次の目標地点に向かわなければならない。今回与えられた任務は15号都市の奪還。地球奪還作戦の拠点としてこの都市が1番都合がいいのだ。だから失敗する訳にはいかない。

 

 

 

「ルシア...!酷い傷ですね...。」

「えぇ。ですが痛覚遮断をしているので大丈夫です。」

「そこまでしたのですか...。」

「はぁ...作戦を変えた方がいいのでは?指揮官?」

「リー...」

「ううん。このままで行く。もう少しだけ付き合ってくれる?」

「もちろんです指揮官。」

 

 

都市の中心部に向かう。補給部隊と合流できればいいが期待はできない。しかしルシアと対照的なリーフの真っ白な長い髪が揺れるのを見て私はほっと息を着く。俄然として危ない状況だが張り詰めていても危ない。...落ち着かないと。それに最近はなにやらここ第15都市で暴れ回る何かがいるらしいからね。先輩と別行動してるからもし遭遇したら撤退しろって聞いている。

 

 

 

「ここなら小休憩できそうですね。」

「うん。リーフ、ルシアの傷見てくれない?」

「分かりました。ルシア、患部を見せてください。」

「本当に大丈夫なんですが...指揮官の言う通りにします。」

 

 

「──あら、仲良くお医者さんごっこかしら?」

「誰ですか...!!」

 

 

コツコツと音を立てながらやって来たのは腰まで伸びる白髪の女性。救援部隊がやって来たのかと一瞬思ったが、あんな構造体は見たことがない。

 

「パニシングの反応があります!あれは侵蝕体です!!」

「指揮官下がってください...!」

「...ルシア。」

「っ!なぜ私の名前を...」

「過ちはここで潰さなければ...。」

「過ち?一体なんのこと───」

 

 

───ガギィィイインッッ!!!

 

「くっ...!」

 

 

敵の真っ赤な刀とルシアの黒い刀が金切り声を上げながらぶつかる。

 

 

「なぜ貴女の顔が見えないのですか...!」

 

「僕達は見えているんですがルシアは違うのですか?」

「パニシング濃度の上昇による影響ではないみたいですがルシアの意識海が揺れています...!」

 

 

「弱いわね。」

「あぐっ...!?」

 

 

敵はルシアの刀を弾いたと思ったらその刀を掴んでルシアの左腕を貫いた。瓦礫に縫い付けられたルシアはもがいて脱出しようとするも抜けれなかった。

 

 

「痛覚遮断させられたのね。なんて哀れな。」

「ルシアから離れて...!」

 

──パンッ!!

──ギィィンッ!!

 

撃った弾が刀で斬られ、瓦礫と中に消えていく。

 

 

「...貴女はこの子の代わりに前に出れるのかしら?」

「出れるに決まってる!」

 

 

サバイバルナイフを抜いて、敵と相対する。

 

「何やってるんですか指揮官!下がってください!!」

「ごめんねリー!」

 

「勇気は認めるわ。」

 

 

一瞬で距離を詰められ、あっという間にナイフを奪われる。

 

 

「ああああッッ!?!!?」

「あの子と同じ痛み...それでも?」

「ぐぅぅっ...!」

 

 

ルシアと同じ場所にナイフを刺される。

 

 

「それでも、やってやる!!」

「っ!!」

 

根性でナイフを抜いて敵に斬り掛かる。それでも普通に受け流されるが私が叶うとは思っていない。

 

 

「指揮官と私達は繋がっています!!」

「ちッ...なるほど...ね。」

 

 

私の時間稼ぎが役に立ったようでなんとか抜け出したルシアが敵の背後から斬りつける。しかしそれでも傷1つ与えられぬまま距離を取られてしまった。そうして彼女は暫く無言で私達を見たと思えば壊れた窓から何処かに消えていった。いったいなんだったんだろう...。

 

 

 

「それにしても...」

「言いたいことは分かります。」

「リーも?さっきの彼女...瓜二つだったよね」

 

 

 

 

 

「──ルシアに」

 

 

 

 




ゲームのストーリーとは会話の内容が全く違いますが本筋は一緒です。


この頃のチームはゲームで言えばルシア・紅蓮(Bルシア)、リーフ・闇蝕(Bリーフ)、リー・異火(Aリー)です。紅蓮や闇蝕、異火はキャラの機体名でBやAはキャラのclass(ランク)。単純な強さはB<A<S(<SS<SSS<SSS+)となっています。(カッコ内は強化のみ)

なぜ機体名が必要なのかというと同じキャラでも違う機体のキャラがいるからです。例えば同じルシアでも物理・火属性の機体であるルシア・紅蓮や物理・雷属性のルシア・黎明、物理・氷属性のルシア・鴉羽など人間の意識を機械に埋め込むからこそこういった方法も取れるんですよね。

ちなみにBルシアは初心者でも使いやすい刀キャラで攻撃型、Bリーフは回復が得意な浮遊長銃を使うキャラで補助型、Aリーは両手拳銃で乱射しまくる攻撃型となっています。

度々こういったゲーム知識を挟むと思います...笑
まぁ読まなくても影響は(以下略
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