怪しことやってるアホが一人と割とマジでマトモかもしれん一人が行動を開始!!
「姫様も動く?」
「あぁ、あちらは将軍閣下を抑えるとよ」
「振らぬが正しき錦の御旗をふるうか・・・趨勢をみきった判断だな」
「毎度のことながら、うちの姫様の思い切りの良さには驚かされる」
本格的な戦闘の開始からすでに4時間、各地からの報告を受けてそれら全てに現状うてる最善手をうち、俺達は作戦の推移を遠隔地でそれぞれ見ていた
師匠はとある場所にある邸宅に向かい、俺は基地内の格納庫で自分の使う機体のメンテナンスをしている
「通信切るぞ。ここから先は俺も仕事だしな」
「好きにしろ。俺もこれから本格的に仕事だ」
「了解、通信終了」
師匠が通信を切り、俺は機体を見る
クアンタフルセイバーからクアンタ仕様に再調整は完了し出撃を待つだけだ
「上手く事を運んでくれよ師匠、運ばなかったら後の仕事すべて押し付けるからな」
俺はそう言って、一時的に仮眠を取ることにした。出撃時にはアラートが鳴るからすぐに起きれる
同時刻、東京都内某所
「で、私の邸宅に何か用事でもあったのかね、森谷准将」
「用事も何も、おたくの子飼いの部下達に邪魔させんなって言いに来ただけだよ。
「ほう・・・?その様子では、既に我々のことを知っているようだな?」
「知ってるも何も、似たような奴らを過去にぶっ潰した事もあるんでな。違いはおたくが内政特化型で過去に潰した奴らは外務特化という違いか」
大道寺一派。WW2の終わった後に誕生した日本の政財界の裏にいる組織だ
その行動理念は唯一つ、日本国の存続のみである
そのために様々な小グループが存在しており、今回は直接戦闘を行うグループと資金援助を行うグループに分かれて行動していた。
俺は前々からこの一派の存在こそ知っていたがこれまでコンタクトを取っていなかった。それは単純に障害ではなく目的だけは一致していたからである
「邪魔などいつしたかね?」
「とぼけるのはまだ早くねぇか?白狼了賢の事だ。いつ雇い入れたかはしらねぇがよくもまぁやってくれたものだな?」
「君に嘘は通じないようだ。では、我々に君は何を求める?」
「引きげさせるか共闘させろ。どちらも嫌ならこの場で壊滅させる。この邸宅の外には偽装した俺の部下達が山のようにいる。灰燼にするのにそう時間は必要ない」
俺はいきなり最後通牒を叩きつけ、更に続ける
「俺としてはおたくらと理念は共有できると思っている。守るべきもののために名も捨てる覚悟を持った者達だ。その高潔なる理念は叶えられねばならぬし、そのためには粉骨砕身の努力も必要だろう」
「では、我々はこうしよう。白狼了賢に任せた部隊は小松航空基地を襲撃する。そこの司令官がどのような人物であるかは知っているだろう?」
「あぁ内憂外患のクソ野郎だ。今のを共闘の合意を考えさせてもらっていいな?」
「構わぬよ。君が外から招き入れた者達にも伝えたまえ」
「分かっている」
そう言って俺は自らが司令を務める基地にいる弟子、カズマにGoサインを出す。俺もすぐに出撃するが、ここからでは多少距離があるからだ
「帰るのかね?」
「何かと忙しい身でね。御老体に構っている時間がないのだよ」
「君とはいずれ、お茶を共にしたいものだ」
「その時があればいずれ」
ほぼ同時刻、国会議事堂(御休所)
「このような場を、ご自身の個人的な理由で使われたのですか?」
「えぇ、貴方と確実に話せるのは、この国会議事堂において他ありませんから」
私は滅多に来ない国会議事堂、その中でも皇族のみが使える御休所という部屋で将軍閣下と呼ばれることの多い足利正義議員を呼びつけていた
目的は彼の真意を知るため。彼の経歴を見て、今回の件を起こすように思えないからだ
起こすにしても何か別の意図が隠されているはず・・・
「挨拶など抜きで単刀直入に聞かせていただきます。此度の件、私利私欲のためではありませんね?」
「・・・」
無言の間が生まれた。時間にして10秒ほどなのに、それが1時間に感じるほどに感じるほどの
「失礼と思われても仕方ありませんが、経歴を調べさせていただきました。そのうえで貴方が私利私欲のために動く人ではないと確信しています。堅苦しい言葉などは使わなくて結構です。真意を、教えていだきませんか?」
「小娘が・・・頭の回る」
「小娘なりに、頑張ってますから」
私と彼では親子ほどの年の差がある。言われても当然だ
「私だ、お二人を御休所にお連れしろ」
「やはり、貴方が保護してくれていたのですね?」
「ココに来るまでは多少時間がある。その間だけ答えてやる」
そう言って彼は私の対面の椅子に座った、議員は部下に電話して私の秘書二名を連れてくるように指示していた
誘拐されていたのは知っていたが、誘拐したのが議員の配下と知り、保護してくれたのだと理解していた
「貴様がこの国に戻るまで。誰が守り抜いたと思う?」
「外国のものを含めて、貴方を中心とした旧政府議員連の方々です。その件に関しましては、いくら言葉を出しても感謝しきれません。だから私も、行動で示し続けるつもりですしそうしています」
「・・・」
そう、私はこの国が壊れそうになっていたその時、外にいた
壊れそうになっていたその時、頑張ってくれた彼らにはいくら言葉を出しても感謝しきれない
だから私も、自分が出来ることをし続けるだけだ
そのためなら、自らの血を流す覚悟もできている。
「それが、貴様の覚悟か」
議員からでた言葉は、私の覚悟を悟ったものだった
そして、本心を語ってくれる
「外国と繋がり、この国の理念を曲げようとする者達がいる・・・私はその者達を許すわけには行かない。この国の理念は、たとえ最後の一人になろうとも曲げてはならない。」
「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、また争いへ介入しない。戦力の保持は国土防衛の最低限とし、副次的に海上における治安維持及び国際平和協力活動を行う。専守国土防衛・・・私の父の打ち出した理念ですね」
「そうだ。そして今、その理念が曲げられようとしている。外患を誘致される形で」
「だから行動をするしかなかった。と?」
私は自分でも驚くほどドスの利いた声で返していた。それほどに怒りを覚えた。議員にではない。何よりも私自身に。
私も、外患誘致の事は知っていた。だが、表立った問題になっていない事を良いことに後回しにしていた
その結果が今のこの事態を招いたのなら、それは私の罪であり議員の罪ではない
「どうして、私や私と繋がりのあるあの二人にその事を言わなかったのですか!?私は、私はそんなに不甲斐ないですか!?」
「いいや違う。コレはあくまで私の独断専行だ」
「だから気にするなと言われて、はいそうですね。と私が言うと思いますか?」
その質問に、議員は無言を貫く
議員の言いたいことは既に分かっている。理解しなくても良いが納得しろと言いたいのだろう
だが、それで引き下がるほど私は大人ではない
「そうやって全てを自分の責任と思うからこそ。余計に負担をさせたくないのだ。言っておくが二心はない、議員としてこの国を思う心は国家代表首長代行である貴様と同じだ」
「私が働きすぎ。と暗に言っていませんか?」
「明言してやろう。他のものにも働かせろ。代行とは言え首長が働きすぎでは、下々の者達の心が休まらん」
それを言われて、私は肩を下ろした。まさかそう思われていたとは思えなかったからだ
「それとも、自分が気張ればどうにかなると思っているのか?」
「思ってんなどいません。私にも限界がありますから・・・」
「ならばこそ、今ですら既に限界だと思わんのか?」
今度は私が何も言い返せない状況になった。困ったことに言葉が浮かばない
「コレが私の決意だ、受け取らぬとは言うまいな?」
そう言って出されたのは議員辞職の封筒だった、目の前に出されると同時に扉が開いて秘書の二人が入ってくる
「では、帰らせてもらおう」
「待ってください」
帰ろうとする議員を呼び止め、私は目の前で封筒を破り捨て、灰皿の中で燃やした
「つっ!?」
その大胆極まる行動に議員が驚く、秘書ですら驚いていた
「どういう意味だ?貴様は犯罪を犯した者を見過ごすというのか!?」
「ここに犯罪者はいました?」
議員の言葉に、彼ではなく秘書二人にわざと聞く。私の意図を察した二人は口々に、知りませんね?と言ったり、どこにいるんです?とトボけた
そこで議員が私の意図を悟る
「私を、見過ごすというのか?」
「罪の重さと得られる益で鑑みれば、貴方のやろうとしたことは益が大きく勝ります。そのような功労者をどのようにして罰することが出来ましょう?」
私はそう言って、そういえば・・・と思い出す。
現在、政府の重要ポストが一つ空白のままになっているのだ。それも最重要なポストである防衛大臣のポストだ
「それでも何か責任を負いたいと仰られるのであれば。今日このときこの瞬間より、防衛大臣に貴方を任命します。まさか、出来ません!!とは言わないですね?」
議員は目を見開いて驚いていた、まさか私から、最重要ポストを任せられるとは思っていなかったからだ
「貴方は議員とは言え元は軍人。本来は文民統制がベストですが今現在の状況から鑑み、勝手をよく知る者による統制強化の必要から任命します」
「承知いたしました。その大任、謹んでお受けいたします」
秘書がすぐに用意した任命の紙に直筆で彼のフルネームを書き入れ、私のサインも付ける
政府ではなく私個人からの勅命とあれば、いくら硬い頭をした老人共でも反対はできない
私という後ろ盾を得て、彼の目的である外患誘致の馬鹿共を根絶やしに出来る大義名分を与える
つまり、犯罪行為となっていたことが完全合法の軍事行動になるのだ
「では、早速。仕事に当たらせていただきます」
「えぇ、ご武運を」
そう言って彼は退室した、おそらくこれから直接防衛省に乗り込んで仕事を行ってくれるだろう
緊張の解けた私は、情けないが椅子にだらんと座り直した
「お疲れ様です、姫様」
「すこし、休んでいいかしら?」
「えぇ、ゆっくりお休みください」
そして私はしばらく寝ることにした。あの二人に、大臣に任命したあの人ならば事態を集結させると信じて
次話、ヤベェ奴がヤベェ武器で大暴れ