「お、事件は解決したかねぇ」
事件の起きていた基地近くの市街地、人一人もいないはずの場所でそう呟いた男がいた
金髪に碧の瞳の男は呟いた後に杖を突きながら歩き出す
「さて、こちらも動きますか」
そして大通りに出て謎のパワードスーツを纏った者達を止める
「何者ダ、貴様ッ!!」
「パラデウスの諸君。君達の動きなど、全てお見通しなのだよ」
その瞬間、男は20メートルもの距離をまるで滑るような速さで敵に迫り、杖を振るった
「ぐっ!?がぁ!!」
木製であるはずの杖から激しい金属音を響かせながら、異常な速度で杖を振るい敵を圧倒して的確に攻撃していく
そして、飽きたのか杖を捨てて、パラデウスと呼んだ者達のリーダーと思われる敵と密着するような距離で猛烈な速度の拳のラッシュを叩き込んでいく
「オルァ!!」
「がぁぁ!!」
更には拳から猛速度の蹴りのラッシュに移行する、パワードスーツを素手の状態で破損させていくほどの強烈な連撃に敵は膝を折った
それを逃さず顔面に膝蹴りを叩き込み、強制的にパワードスーツを除装させ、告げる
「では、死にたまえ」
そう言って腰にかけていた剣を抜刀し、男は敵を一刀のもとに斬り伏せた
「一歩遅かったか」
「いや、お前はまだいいほうだよカズマ。あらかたの原因のあの人のツケを支払わされてんだからな」
「だが、あのクソ師匠ですら見抜けなかった別動を潰す役割をさせちまったからな」
「いや、あの人多分知ってて俺が対応するだろうとタカくくってるに違いねぇわ」
「ドツキ回す理由が増えたな」
そういって二人の男は車に乗り、戦地になっていた場所に向かう
戦闘終了後 基地
「で、どう落とし前つけてくれるか楽しみだなクソ師匠?」
「そうですよ森谷さん。責任重大ですからね?」
姫様とともに師匠を捕まえて一旦少しだけ協力者から離れて詰めることにした
師匠はいつもどおりにヘラヘラしている
「いやぁ、優秀な協力者でマジ助かったわぁ」
「マッパで市中引きずり回すぞ!?」
「ダメですよ藍澤さん!?」
ブチギレて叫ぶと内容が内容だったのか姫様が静止してきた
それで冷静になり、一旦落ち着く
「追加の報酬、アンタのポケットマネーから供出な」
「いやぁ、俺ってばお金ないんすわ」
「あ、コソッと貯めてたのは抑えてあるんで大丈夫ですね」
「や、止めてくださいお姫様ぁ!!それはあまりにも無慈悲でございますぅ!!」
「あ?テメェが100%悪いんだろうが、ガタガタ抜かしてんじゃねぇぞ?」
あ、今度は姫様の素が出た。育ちは良いのに元ヤンだからなぁ・・・
「姫様、素が出てるぞ、素が」
「気をつけないといけませんね?」
「ガンつける目も凛々しいで・・・何でもないですぅ」
ちゃちゃ入れようとした瞬間、鋭く睨まれて師匠が黙り込んだ
それを見て再びネコをかぶることにした姫様は決定を告げる
「藍澤さんが言う通り、追加報酬は森谷さんのポケットマネーから供出します。異議はありませんね?」
「ひゃい、ございましぇん」
流石にやばいと思い緊張しているのか言動が怪しいがまぁ良いだろう
「では、私は彼とお話してきます」
「しばらくしたら向かいます」
そういって姫様は協力者のところに向かった、俺はそこで再度師匠に目を向ける
「で、アレは出来てるのか?」
「あの子にあげるデバイスなら既に完成済みだ。しかし、お前もなかなか残酷なやつだな?」
「言われても構わん、嫌われても良い。だが、選択肢として残しておくにこしたことはない。それが血反吐を吐く思いをすることになろうともな」
そう、師匠とともに連れて帰ったときから制作するように依頼していたデバイス。彼女専用が戦うと覚悟したときに必要となる力を作らせていた
「名前は決めてるのか?」
「ネクサスドライバーシステムって付けた」
「ネクサスか、クソ師匠の割にはいい名前を付け・・・おい、これクソ仕様じゃね?」
渡された仕様を見て思わずそういう。強化パーツに何故かハザードトリガーらしきものがあったからだ
「使用はカードスキャン式か。強化パーツがメモリタイプって強奪されたらどうすんねん」
「あ、それは指定のシステムでないと使えないようにプロテクションしているから無問題。ドライバーシステムと俺等のデバイス以外では使用するデバイスにバカでかい過負荷を掛けてぶっ壊すようにしてある」
「鬼畜か?あぁすまん元から鬼畜だったわ」
「褒めんな」
「馬鹿にしてんだわ」
そう言って俺はさらなる追加デバイスを作るように告げる
「へぇ?それはまた面白いな。アーマードネクサスって言ったところか?」
「あぁ、必要になるはずだ」
「Ok、彼女が彼らと帰る頃までには仕上がるだろうよ」
「マジで頼むぞ、アンタの技術だけは信頼してんだからな」
俺がそう言うと、師匠はいつになく真剣な顔で言ってきた
「後悔はしないな?」
「それで腹刺される覚悟くらいならあるぞ」
「聞くまでもねぇか・・・俺も挨拶してから帰るわ」
「連れて行ってやるよ」
そう言って俺はクソ師匠の襟首を掴んで引きずりながら協力者のところに歩いて向かった
そしてクソ師匠に謝らせ、追加報酬の件も確定させて先に帰らせる
「彼は?」
「あぁ、クソ師匠なら先に帰らせた。このまま居させても互いに気分が悪くなるだけだしな」
「そ、そうか」
「まぁそれは表向きで、この子が何時か、自らの意志で戦うと決めたときに必要となるであろう力を作るように言ってある。これは保護したときから並行で作らせていたものだ」
ストレッチャーで寝かされている少女の頭を優しく撫でながら俺がそう言うと代表である
「イマイチ信用できないんだが?」
「まぁ、胡散臭さ120%で暗躍大好きクソ野郎だからな。そう思われても仕方ないだろう。だが、超一流の技術者でもある。そしてその技術は俺でも足元でウロチョロするのが限界のハイレベルにある。人間としては信頼や信用はおけないが、技術者としてだけはこの上なく、何よりも頼りになる人だよ。クッッッソ忌々しいことにな!!」
最後らへんはイラッとしていたが言った事自体は事実なのが最悪だ。俺自身人間としてはほとんど信頼してない、信頼しているのは技術者としての部分だけであり、それ以外は本当に反面教師の役にすらまともになってないのだから
「セントレアに着くまでには完成させて持ち込んでるだろうよ。あともう少しで出来る所までは着ていたからな」
「最終調整はしなくてもいいのか?」
「デバイス自体に自動的な調整機構が組み込んである、使用時に常に最適になるようにな。そこらへんを無理なく組み込む上に制作が爆速なのが師匠の特徴でもある」
「そこは優秀なのか・・・」
「人間としては最低最悪のレッテル貼ってもお釣りが来るくらいのクソだが」
そして数時間後、目的地であるセントレアに着いた
俺の予測通り師匠は既に着いておりラウンジで優雅に酒をかっ食らっていた
「マイペースなのは良いんがな、今度は飛行機に縛り付けてもらおうか?」
「高高度飛んだら死ぬんだが?」
「飛ばなくても死ぬんだわ」
俺はそう言って師匠からアタッシュケースをもぎ取り中を確認する
早速だが何ぞ知らないのがあった
「何だこの腕時計型デバイスは?」
「アクセルブースターと名付けた。お前が作ったプランが速度を犠牲にした増加装甲なら俺のは装甲を犠牲にした超加速ってところだな」
「あっそ、確認だが」
「変な小細工などしねぇよ。ましてやこちらの善意で贈る物にそのような不細工を施すわけねぇだろ」
「・・・たしかにな」
念押しで確認したらいつもの胡散臭さとチャラさが消し飛んだ真剣な顔になっていた
戦闘中ですら余裕の笑みを浮かべ続ける男が、である。それが意味するところは語るまでもないだろう
「無事に着けばいいがなぁ」
「それは問題ないだろう、うちの最精鋭の航空部隊を護衛にしてんだ、そこらの野良軍隊とはモノが違う」
「あぁ、それはそうだな」
「そろそろ動くのか?」
「おう、そろそろ欧州に出向くぞ」
俺が聞いたことに師匠はいつになく浮かれた様子で笑っていた
「で、欧州で何をするんだ?」
「とびっきり最悪の嫌がらせ?」
「殺されても俺は知らんぞ」
「まぁ大丈夫だろ。
この数年後、その優しいやつといった相手と最前線で遭遇して鬼畜な命令をされまくる事になるとは思っていない師匠であった
まぁ、俺も思っていなかったけど・・・
Q なんでこんなに長いこと掛かったんだ!!
A 贈るデバイスの仕様を考えてたらこんなに掛かってしまった