俺が関東魔法協会と接触した次の日俺は学園長に呼び出されていた。
「よく来てくれたの。すまんが確認しなければならん事が多々あっての」
「確認することですか?」
「うむ。おぬしの世界に気をとられていて忘れておったがおぬしのP53偏喰因子や神機についてもわしらの知識はほとんどない。おぬしの記憶のおかげである程度理解しておるがの。
言ってしまえば確認じゃ。おぬしの危険性がないということのじゃがな」
確かに昨日の俺の記憶はアラガミと俺の行動ばかりで俺の体の根本的なことも伝えきれてなかったしな。
「そういうことですか。確かに俺の体のことを知っておかないとまずいですからね」
「そういうことじゃな」
「俺の体は今現在P83偏喰因子と呼ばれるものが存在します」
「53ではなく83?」
「ええ。ほかの因子と違いこの因子の場合よりアラガミに近づくことを可能とし強大な力の解放と利用が可能になります。
例えば、ほかのゴッドイーターと違い俺はそこらにあるものを捕喰するだけでバースト状態になれます。ただ、エネルギー量の多い物を捕喰した方がバースト時間は長いですが。
また、体内での因子の製造が可能となり、アラガミ化の危険性はゴッドイーターのなかでも一番低くなれます」
「聞いているとすごいのう」
確かにこれだけ聞けばすぐれた因子だと思うが欠点が多い。この因子には
「そうでもありません。まずこの因子は俺以外に適応できないことが分かっています。
また、体の五割以上は最低でもアラガミに変わってしまいます。
こう言った欠点があるため、俺以外にとって無用の長物なんです」
その言葉に学園長はうなずき、俺に言った。
「なるほどの。ではおぬしがもう二度とアラガミに飲み込まれることはないと」
「ペイラー博士によると俺の精神が少しでも弱る等の原因でオラクル細胞のバランスが崩れるとそうなるそうですが」
「ふむ、茨木君か。彼女のおかげでこうなったということか。
皮肉じゃの。酒呑童子が死なず、茨木童子が死ぬ。茨木童子の腕がなくならず、酒呑童子が腕を失うとは」
その伝説は俺たちの間では何度も読み返した。
「うむ。分かった。さっそくで悪いがおぬしにいろいろな実験の協力をしてもらうぞ?
何より最後の時間がいつ来るか分からんからな」
そういい、学園長と俺は地下に潜っていく。関東魔法協会の地下に。
広い空間のような場所だが、これはまるで訓練所のようだが。
「ここは魔法使いの訓練所じゃ。
ここでおぬしのデータを取らせてもらう。
そのデータをもとにオラクル細胞が人体に与える影響を判断する」
つまりは、比較実験によって、オラクル細胞と一般人の身体能力の差とそこから発生する違いの原因を調べるということか。
「ではまず、体力の測定からじゃ」
この後に数十種類の実験を終えた俺だが、今日最後の実験をこれから行う。
「用意はいいかな? それじゃ悪魔の召喚を行うよ」
担当している魔法使いの声に反応し俺は準備を終える。
それを見た魔法使いの詠唱が終わると俺の目の前から魔法陣が現れて異形の怪物が出てくる。
「うし、行くか」
神機を片手に悪魔との距離を離して中距離へ移動し、相手の攻撃方法を見極めようとする。
どうやら、相手の武器は片手で持っているあの剣のようだ。
近づき、剣をふるってくる悪魔の攻撃をステップで避けた後、剣形態で攻撃をする。
「おりゃあ」
短い気合いの音とともに振り下ろされた神機に対応できずに、悪魔は消える。
「まだまだ悪魔を召還していくからね。気を付けて」
複数の召喚陣が現れてそこから悪魔たちが召喚されてくる。
それを俺は今度は自分から襲いかかる。
一振り、二振り、この時点で悪魔を二体切り捨てて三撃目の変わりにコンボ捕喰を決める。
「
体中のオラクル細胞が活性化し、身体能力がさらに跳ね上がる。
その身体能力で敵からの攻撃を避け一撃ずつ悪魔にたたきこんでいく。
「様子はどうじゃ?」
「すごいですね。気も魔力も使わずにここまで戦えるなんて信じられません」
わしの尋ねたことに研究者である彼も信じられないようだ。
「特に活性化した体の身体能力は目を張るものがあります」
アラガミを駆逐するために作り変えられた体の。
彼らが感じたことはわしには分からんが、せめて彼らに少しの幸せがあることを願おう。
救われない世界で戦い続けるゴッドイーターたちに。