あの後、俺たちは本山に移動し、ネギ君たちと俺は分かれた。
俺のことや体のことについて気になっていたみたいだがもっと落ち着いてから話したほうがよいだろう。
そう思ったのと西の長が話がしたいと俺を呼び止めたのもある。
「お待たせしました。酒呑様」
巫女さんが俺を長のところまで案内する。
「初めまして。関西呪術協会の長、近衛詠春です」
「こちらこそ。関東魔法協会の要請により救援に来ました酒呑一鬼です」
俺と向うの長はそう言い、挨拶する。
「あなたのおかげでネギ君たちと木乃香。それにスクナを封印することができました」
「いや、俺だけではないですよ。エヴァだって協力したんですから」
長の間違いを正すが、それを聞いた長は何かを思い出すようにクスリと笑った。
「失礼。あなたがあまりにも知り合いに似ていたもので」
「知り合いですか?」
「ええ。腐れ縁の馬鹿にそっくりです」
そのバカについても気になるが俺がなぜここにとどまるよう言われたほうが気になる。
「ところで、なぜ俺をここにととどまるように言ったんですか?」
「本当は助けてくださった方にこのようなことしたくはありませんが、ほかの方々が騒いでいるんです。
あなたは本当に人間かと」
なるほど。
なぜ知っているかは知らないが俺の体の再生を何らかの形で知ったのだろう。
「貴方の体について話してもらえませんか?」
まあ、本当は隠すべきなのだろうが隠したってしょうがないか。
「俺の体について話すのはいいのですが、ネギ君たちにも説明したいのですが。
申し訳ありませんが彼らを呼び戻してもらっても?」
「それなら大丈夫ですよ。これから彼らととある場所で待ち合わせしていますから」
そういうと彼は立ち上がり、
「では、その場で話してもらっても構いませんね?
でしたらまずは服を着替えてもらわないと」
言われて思い出したが、俺の服はあの時確かに破けたからな。
「あの申し訳ありませんが服を借りても?」
「もちろんです。というより、せっかくですからもらってください」
「いや、それはさすがに」
「お礼のようなものです。どうか受け取ってください」
そう言われるとこちらも断れずに結局もらってしまった。
「こちらでお着替えください」
また先ほどの巫女さんの案内で部屋を通された。
渡された服は薄い青地のシャツに黒いジーパンと言ったように普通の服だ。
まあ、フェンリルできていた服は学園にあるし、せっかくだ、いただくとしよう。
そう思い服を着替える。
「用意はできましたか?」
服を着替え終えたときにふすまの向こうから声が聞こえた。俺はそれに答え、
「ええ、大丈夫です」
やれやれ、ネギ君のことはよく知らないがネギ君のお父さんの家ね。ずいぶん立派なもんだな。それともこの世界ではこれが普通なのか?
「さて、この場にいる全員はエヴァと刹那を除いて俺のことを知りたいんだろう?」
「おう。いくらなんでもあの再生は吸血鬼や特殊な種族しかもたない再生力だったしな」
カモだったか。オコジョ妖精の言うことにほかのみんなもうなずく。
「じゃあ、俺のことを話そう。ただ俺の話は大前提として俺がこの世界の住民ではないことを理解してくれ」
「えっ? どういう意味ですか?」
ネギが俺に聞く。
「俺のいた世界は西暦2073年なんだ」
「「「「はっ?」」」」
まあ、驚くよな。突然こんなことを言われても。
「その世界では俺のような存在をゴッドイーターと呼んでいた」
「神を喰う、ですか?」
「ああ。この世界ではあくまでも神は神だが、俺のいた世界の神はアラガミと言われていた」
「アラガミですか?
詠春の質問に俺は答える。
「いや、全然違うだろうな。
アラガミの名はそもそもいつしか人々が極東地域の荒ぶる神々からとってつけられた名前だからな」
「極東地域ですか」
「ああ、アラガミは正しく言うとオラクル細胞と呼ばれる細胞によって形作られている。お互いの強固な結合により形を作った、群生する一個の体を持つ。iPS細胞に似てそれぞれが担当する部位の細胞に変質する特徴がある」
「そんな細胞があるんですか?」
確かにこんな細胞はオラクル以外には存在しないからな。
「ある。それにこの細胞の最大の特徴はまだある。
オラクル細胞の最大の特徴は考え、喰らうことにある」
「考えて食べる?」
アスナが疑問に思ったのか質問する。
「そうだ。喰らったものの構造を理解し学習する能力がオラクル細胞にはあった。
それにより、発見から二十年もしないうちにオラクル細胞は進化していった」
「そんなあり得ないでしょう。生物は何千という歳月をかけて進化していったのに」
詠春のいった事は確かにそうだがオラクル細胞には通用しない概念だ。
「言い方が悪かった。正しく言うと細胞自体は発見当初から一切構造は変わっていない。オラクルは体をどういう風に構成するのがいいか学習していっただけだ」
その内容にネギとアスナ、木乃香と詠春は愕然とする。
長い年月で効率化していった体をわずか数十年で理解し真似することができるのかと。
「そしてそのオラクル細胞が集まったのがアラガミだ」