修学旅行から数日が立ち俺は今渋谷というところにいる。なぜだか超がここにいてほしいと言ったのだ。
-こんにちは、酒呑さん
俺にかけられた声に反応して振り向くとそこには私服に着替えた五月がいた。
普段は制服か白衣を着て厨房に立っていたため私服を初めて見た。
「ああ。こんにちは、五月。ところで何でここに?」
-超さんに頼まれてここに来てくれって。それからここら辺のお店で食事をしないかと言われまして。
「あれ? 俺も超にここに来てくれと頼まれたんだが」
そう話しているところ電話が鳴る。
「酒呑ですが?」
「おお、酒呑さん。いいところにつながったネ。申し訳ないけど急に用が入ってしまったネ。五月も一緒においしい料理をご馳走しようと思ったんだけど、そちらに行けなくなってしまったから二人でどこか遊びに行ってくれないカ? もちろんお代は後でこちらが払うネ」
その話を聞きながら俺は五月に尋ねる。
「超からなんだが急用で行けなくなったから二人で遊んでくれって」
-そうですか。せっかくここまで来たんです。二人で遊びに行きましょうか?
「じゃあ、お代は超持ちだから気兼ねなく遊んでみるか」
こうして俺たちは街中に繰り出した。
はやりの服屋では俺がどっかのアニメにも出そうな服を着させられた。恥ずかしかったが五月のクラスメイトの千雨という子がなぜだか似たような服を着ていて話しかけられ二人して驚いていた。何やらよくわからないがゲームに出てくる無口な隊長とそっくりなそうだ。どれくらい無口かというとストーリーの最後にわずかにしゃべる程度らしい。そのキャラクターのコスプレと間違えられたようだ。なんだかわからないが去り際に同類じゃないのかと言っていたが。ほかにも屋台で始めて食べるアイスの食べ方を教わったり人気の飲食店で料理を食べた。その時は五月が饒舌になっていろいろな説明をしてくれた。五月は五月で今の時間を楽しんでいてくれたようだ。
「そろそろ帰らないと五月の寮の帰宅時間に間に合わないな」
-そうですね。
あ、あの一緒に帰りませんか?
「うん? もちろん一緒に帰るさ」
なぜだか顔を赤くした五月と二人して麻帆良までの切符を買い、列車に乗る。俺たちの世界では鉄道なんて使われないから新鮮な経験だ。独特な音が車内に響く中五月はまだ顔を赤くしたまま時折俺の顔を盗み見てくる。俺の顔に何かついているのか? そう思い俺は五月に尋ねる。
「俺の顔に何かついてるか?」
-い、いえ。なんにもついていませんよ。
慌てて顔をそむけられ俺何かしたっけと考え込む。
今日は特に何か彼女に対してしていなかったはずなんだが?
「なあ、五月。俺五月が嫌なこととかしたかな?」
-え? そんなことありませんけど?
「そっか。そうならいいんだけど」
俺がそう言ったあと少したって五月が俺の方を向く。
-酒呑さん、こんなこと突然言われたら困るかもしれませんが私はあなた「次は麻帆良学園都市~、麻帆良学園都市。お乗りの……」
「すまん、五月。なんていたか聞き取れなかった。悪いけどもう一度言ってくれないか?」
-何でもありません。気にしないでください。忘れてください!
「えっ、いやでも。ナンデモアリマセン」
あまりにも恐ろしいオーラで思わず片言になってしまったがいつものコアラではなく熊のようなオーラが発散されていてすごい怖いんだ!! 下手すると大型のアラガミより怖い!
今日は凄い楽しかったです。超さんがこれなくなったというのは残念でしたがそれでも酒呑さんと一緒に遊びに行くことができました。普段は酒呑さんはお店の仕事に関東魔法教会の仕事で忙しいですからこういった機会がないとゆっくりと遊べません。ですから私は普段より活発的に遊びました。普段の私なら男の人と遊ぶ事もないでしょうがそれでもこうして遊んだのは私は酒呑さんに恋をしているからでしょう。あの時鬼から私を助けてくれたかっこ良かった酒呑さん。私のことを気遣ってくれた優しい酒呑さん。ほかにもいろいろな酒呑さんが私の心の中でぐるぐるとまわり続けています。私はこんなとても楽しい日が続けばいいなと思いました。だから私は電車の中で大切なことを話そうとしました。
けれど、なんででしょうか。私が勇気を振り絞ってこ、告白しようとしたのに何であのタイミングでアナウンスが流れるんですか。理不尽です。そう思いながらも私は酒呑さんに寮まで送ってもらいました。告白できなかったとしてもせめて今度の麻帆良際の時に私と一緒に回れるか聞いてみました。
-酒呑さん。今度行われる麻帆良際ですが一緒に回りませんか?
「え? ああ、いいよ。けど、友達と行くもんじゃないのか?」
-いいんです。友達ともまわりますが酒呑さんともまわりたいんです
私としては珍しく我を通しましたがそれでも彼と麻帆良祭を一緒に回りたかったんです。私はそのあと彼と別れ自室で恥ずかしさから唸っていました。ですがまだ知らなかったんです。このころが人生において一番輝いてて一番悲しい別れが近づいていることに。
千雨はたまたまきていました。その中で酒呑と会い、同類かと思い勇気を振り絞って話しかけました。