簡単に言うと五月は単純に優しく、超はある理由があって、働くのを認めました。
今日私は酒呑さんと一緒に帰ることになりました。
夜もだいぶ進み、確かに女の子一人で帰るには少々危ない時間帯です。
私を送ってくれる酒呑さん。
半月前に行き倒れていて、おなかをすかしていた人。
おなかがすいている人がいるって悲しいんですよね。
だから私超さんに頼みこみ、酒呑さんの住込みのアルバイトを認めてもらいました。
この半月で酒呑さんは優しい、いい人だということが分かりました。
一生懸命毎日仕事を頑張っています。それに私たちが困っているとさりげなく助けてくれます。
また、すごい力持ちです。
古さんが持てないような重い物も簡単にもっていましたから。
そんな彼と夜道を歩いていると安心と緊張が胸を過ぎます。
あれ、なんで緊張するんだろう?
その疑問を思い浮かべた瞬間、胸がドキドキし始めて、何故だかわかりませんが酒呑さんに今の私を知られたくないと思いました。
酒呑さんの気をごまかそうと先ほどから酒呑さんが持っているアタッシュケースについて聞いてみました。
どうやら酒呑さんは私の変化に気づいてないようで安心しました。
そうやって歩いていたら、突然酒呑さんは立ち止まってしまいました。
-どうしたんですか?
「シッ!少し静かにしてくれ」
今までにない酒呑さんの引きしまった顔。その顔を見るとなんだか体が熱くなってきました。
「五月、悪い。少しここで待っていてくれるか」
-わかりました
私は酒呑さんの真剣な顔に、きっと何かあったんだろうと思いながらも素直に従おうと思いました。
そのあと、酒呑さんはすごい速さで森の中に入っていきました。
そのあと五分くらいでしょうか。酒呑さんを待っていると、
酒呑さんが向かった方から、道に近づくように人影のようなものが見えました。
「こりゃ、参った。女子供は殺したくはないんだが、嬢ちゃんあきらめてくれい」
まるで、昔話に出てくる鬼のような厳つい体に牙を持つ何かに会いました。
その鬼のような、幻のような何かがこちらへ一歩一歩歩いてくるのに恐怖を感じ、
キャアアアアアアアアア
悲鳴を上げ、腰を抜かしてしまいました。
走る。走る。
残りわずかなバースト時間を全力で走り続ける。
コンボ捕喰のバースト時間は本来の捕喰と比べて一度に喰える量が少ないのかバースト時間が半分しかない。
それでも俺は走り続ける。
五月の身に何かあったのは明白だ。もしかしたら、虫か何かに驚いたのかもしれない。
しかし、あの悲鳴は死への恐怖から出た声だ。
間に合ってくれ。そう思い続け、先ほど来た道を全力で引き返す。
そして、森を出た瞬間。
あの鬼と同じヤツが五月をめがけて、手にした棍棒を振り下ろしていた。
「おおおおおおおお!!」
ギリギリのところを俺は間に合った。
五月と鬼の間に割り込み、シールドを展開することができた。
赫い錆びついた様な鉄を何重にも重ねた、まるで亀の甲羅のようなシールドだ。
「おお!?なんや、これは?」
鬼は突然目の前に現れ、視界を遮ったシールドに驚き、それでも棍棒を振り下ろしてきた。
ガンと体中を奔りぬける衝撃を耐えて支え、俺はシールドの展開をやめる。
「五月、大丈夫か?」
-は、はい
五月に安否を尋ねる。
呆けたような五月だがちらりと後ろを見ると特にケガはないようだ。
「か~、固った。どんな防具や。鬼の一撃を受けても壊れない金属なんて聞いたことあらへんぞ」
鬼が何か言っているが俺は聞いちゃいない
「なあ、五月」
-は、はい
「悪い、目をつぶっていてくれないか?」
-目、ですか?
「ああ、お前に恐怖を持ってほしくはないんだよ。喰うということに」
そう俺は言い放ち、目の前の鬼に集中していく。
「お前さんが相手かい?鬼の一撃を受け止めたんだ。楽しみだ」
この鬼はどうやらわかっていないようだ。
これから行われるのは闘争じゃあない。
ただ、俺に喰われるという現実だけだということに。
目の前の鬼めがけて剣を振る。
だが、バックステップで、鬼は避けると
「これならどうだい」
棍棒を地面にたたきつけ、石のつぶてを弾丸にし攻撃してきた。
俺はステップでよけながら、どうしても当たりそうなものだけをガードしていく。
ステップで敵の懐に入り剣を振り下ろすが、全くこちらの攻撃は当たらない。
この鬼は先ほどの奴と比べると早いようだ。
「ふははは、楽しいの」
鬼が笑う。
だが、もうつかめた。
戦闘で最も重要なものはなんだ?
これは俺が戦闘訓練を終えた後ツバキ上官に尋ねられたことだ。
俺にとってこの質問は簡単だった。
観察あるいは洞察力。
敵の攻撃を喰らわないために動きをよく見る。
攻撃をあてるために敵の回避の仕方を観察する。
そして、敵の隙を見つけそこに最大の一撃をぶち込む。
この鬼の回避の方法はバックステップ。
攻撃する際その直前に言葉を発するという癖がある。
そして最大の隙は、その速度で行動に移る際に起きる重心の移動にかかる時間だ。
ここまでわかればもう様子見は必要ない。
「はああ!」
隙の少ない横ぶりで攻撃する。
「おっと」
バックステップでよけ
「今度はこちらからだ」
攻撃をしてくる。
それに合わせ俺は剣を振る。
「血迷ったか!その間合いじゃ届かんぞ」
確かにこのままなら俺の攻撃は当たらない。
だが、これは剣形態でトップクラスの破壊力とリーチを秘めた一撃だ。
俺の体中にあるオラクル細胞と神機の機構が剣を伸ばす。
赤黒い光を放ち、その攻撃は振り下ろされる。
「なっ!!」
突然伸びた剣に驚いたのか鬼は驚きの声を上げ俺の攻撃を受ける。
チャージクラッシュ
それが俺のした攻撃。バスターと呼ばれる神機の最大の攻撃だ。
俺の一撃を受け鬼は消滅した。
「大丈夫だったか?五月」
俺は五月を守れたことに喜び。そして、
「悪いが、君の身柄を拘束させてもらう」
どうでしょうか?
良い点など感想で教えてくださると作者として助かります。