俺に話しかけた男はいきなりこの場に現れた。
さっきまで確かにこの場にこんな男は存在していなかった。
あまりにも異様なこの男から五月を守れる位置を取り、
-高畑先生
その言葉に虚をつかれた。
「へっ!?先生!?」
その男を見るとうなずき、
「悪いけど事情を聴きたいんだよ、僕たちも。さっき高音君から君のことが伝わってね。拘束とはいえ手荒な真似はしないし、どうか一緒に来てくれないか?」
俺は考え五月に尋ねる。
「あの男は信用できるのか?」
-は、はい。高畑先生は信用できる人ですよ
五月にそう返された俺はその言葉を信じ
「わかりました。貴方についていきましょう」
「ありがとう。それじゃ悪いけどそれを渡してもらえるかい?」
そう高畑と五月が呼んだ男は俺の神機を指さし片方の手を差し出す。
渡せてという意思表示だが神機は渡せない。
「悪いが、これは渡せない。貴方が死ぬから」
「物騒なことを言うね。魔剣か何かかい?」
高畑は俺の言葉を信じてない。だがそれでも渡せば高畑が喰われるだけだ。
「魔剣?その程度なら渡していたさ。
これは神剣。神を殺すために神を剣にした物だ。
資格を持たない者が持ったらどうなるか知りたくないだろう」
俺はそう言い、高畑の目を見る。
「君がそこまで言うならわかったよ。ただし、その剣はしまってくれないかい?」
高畑のいうことに従い、許可を得て俺は神機を収納するアタッシュケースを高畑の監視をこみで拾いに戻る。
「そういえば、先ほどの彼女たちは」
俺が思い出しつぶやいたが
「ああ、あの子たちなら無事だよ」
高畑と彼女たちはどうやら近い関係のようだ。
おっと、ようやくあった。
神機を収納し、俺と五月は高畑の案内に従い彼ら関東魔法教会との初接触を行った。
「ふむ。きおったか」
わしの言葉にこの場にいる人間は反応し顔を上げる。
正体不明の何者かを報告してくれた高音君に愛衣君、それに刹那君、エヴァ、茶々丸君、刀子先生それに、今来たタカミチ君を含め、一斉にその男に目を向ける。
そこにいた男は何とも不思議な格好をしておった。
まるで軍人が着るような緑色の服を着てその右腕にごっつい機械の腕輪みたいなものを付けておった。
「学園長、彼が報告にあった人物です」
タカミチ君がわしに報告し、この場の雰囲気は引き締まる。
まあ、最初は友好的に接するとしよう。
「ようこそ、関東魔法教会へ。客人よ」
わしの言葉に男は落ち着いて返す。
「フェンリル極東支部第一部隊隊長酒呑一鬼、階級は中尉です。こちらこそよろしくお願いします」
この対応だけでかなりの胆力だと分かる。
こちらも気を引き締めねばならんじゃろう。
それにどうやらミスリードかもしれんが軍人の可能性が高くなったの。
「うむ。わしは近衛近衛門じゃ」
出だしは上々。
こちらへの警戒はあれど、敵意はないの。
「すまぬの。わざわざ来てもらい。先ほど高音君から見ず知らずの男に助けてもらった。と報告されての。感謝を示したくてタカミチ君に迎えに行ってもらったのじゃ」
酒呑といったあの若者には五月君、高音君、愛衣君を助けてもらった恩がある。
それに自身に何の利益もなく人助けに戦えるというのは良識ある人間という証明にもなる。
わしはこちらから本題を聞こうとし、
「まどろっこしい、ジジイ。さっさと要件をいえ」
今言おうとしたのじゃが。
わしの茶飲み仲間であり、囲碁仲間である金髪のよう、ゴホン。少女、エヴァが割り込んできおった。
ちっ、このKYが。
そんな感情を心でつぶやき、表に出さず彼に尋ねる。
「やれやれ、おぬしに感謝はあるが一つ訪ねなければならんのでな」
わしは息を吸い
「おぬしは何者じゃ」
今夜最大の威圧とともに尋ねる。
この年にもなるとこの程度の威圧をだすのもちとキツイかの。
「俺が何者かですか?簡単に言えば神を喰らう者です。ここでは伝わらないでしょうが」
何らかのコードネームかの?
とはいえ、これではわからんか。
「ジジイ。埒がつかん。さっさと記憶でも見るなり、吐かせるなりしろ。こちらも忙しんだ」
「マスター、さすがにそれは」
やれやれ、そう言った方法は使いたくないからこうしているというのに。
「学園に危害を加えたわけでもないし、高音君たちを救ってくれた者にそんな方法行うわけ」
「いえ、よくわかりませんが、記憶を覗けるなら記憶を覗いてください」
「ふぉ!?おぬし、自分が何を言っているのかわかっているのか!?わし一人ではなくこの場にいる全員に記憶を覗かれるのじゃぞ!?」
わしが驚き聞き返すと、
「ええ、説明するのにそちらの方が楽ですし、俺からも貴方達に協力してもらいたいことがありますから。そういった機械があるなら使った方が労力が少なくていいでしょう。ただ、俺の記憶は血なまぐさいので見たくない人は見ないようにしてもらえませんか?」
彼が協力してほしいことじゃと? あまりにも無茶じゃなければこちらも協力できるかの。
「では、おぬしの記憶を覗くがプライバシーを守るために見られたくないことを思い浮かべ、誰にも見せないと強く思ってくれんかの。そしてこの場にいる全ての者は記憶を見ることに耐えられる者のみ近寄ってくれ」
難しいことじゃが、こうでもしないと記憶を覗いたとき気まずい物を見る羽目になることもあるからの。
そして、この場にいる全員がわしに近づいてきた。っていうか、五月君も来たんじゃが。まあ、無理そうだったら途中で中断すればよいか。
「できました」
短い間じゃがどうやら準備ができたようじゃ。
「夜の女神と知恵の泉の賢者よ。我らにかの者の知識と経験を。我らを歴史の海に誘いたまえ」
相手が協力してくれるという前提がないと使えんこの魔法じゃが魔力の消費が少なく、簡単に使える魔法じゃ。これにより、この場にいる全員に魔法をかける。
そして一瞬、意識が薄くなり
次に意識がはっきりした時には見慣れない場所にわしらはいた。
ええ、記憶を覗かせた主人公ですが抵抗ないのかよという質問が着そうなのでいうと、ペイラーならそれくらいの機械作っているはず!!(他力本願)
2073年の未来だし、技術力も今より高いから記憶を覗ける装置があるという設定です。
また、主人公とアリサやリンドウとの感応現象で記憶を覗いたり心の中に入ったりしているので忌避感があまりありません。
次回は主人公の記憶を見ていく彼らのことを書いていきます。またその際におそらくですが、次話だけ地の文を三人称で進めます。