あれから酒呑と茨木は三年間の歳月を過ごした。
そして、ゴッドイーターとなるための適性試験を受け、第一部隊に配属され多くの経験をした。
別れと出会いを繰り返し彼らは『最強の神殺し』とまで呼ばれるほどまでにのぼりつめていった。
「あっ、酒呑さん特務が来ています」
「特務?」
「はい、酒呑さんと茨木さんのペアによる第一種接触禁忌アラガミスサノオの討伐です」
かつての神機使いたちのなれの果てであると推測されているアラガミ。それがスサノオ。
接触することすら禁忌とされるほどの力を持つ。
「そうか、茨木の方は?」
「すでに準備が終わって酒呑さんを待っています。こちらが本任務の資料です。
気を付けてください」
「わかった。ありがとうな」
酒呑はそう言い、任務の準備を進める。
「あっ、酒呑。任務のことは聞いた?」
「ああ、聞いた。スサノオか、ガードが重要になるな」
茨木は話しながら酒呑の準備を終えるまで待っている。
「よし、こっちはこれでOKだ」
「じゃ、出動しましょうか」
二人はゲートを抜けスサノオの確認がされたエイジスへと向かっていく。
「こちら、特務チーム01どうぞ」
「こちら、特務チーム02インカムもOK。どうぞ」
「よし、支給されている装備も大丈夫だな」
「さあ、エイジスの中に入ろうか」
二人はエイジスの中に入っていく。
奥へ進み、かつてアルダノーヴァと戦った場所にまで来ると彼らの前にサソリを大きくしたような姿のスサノオがいた。
こちらに気づくと同時に威嚇し襲いかかってくる。
「いくぞ」
「ええ!」
バスターを構えた酒呑とロングを構えた茨木。
この二人による神との喰らいあいが始まった。
「ふう。何とか倒せたか」
「ええ、本当にようやく倒せたわ。神機もそろそろ強化しなきゃダメかしら?」
スサノオの倒れた地点で二人は落ち着いて話している。
戦い終わり、わずかな気の緩み。
「えっ?」
酒呑の前でいきなり茨木の胸が血に染まっていく。
いや、そうじゃない。胸を貫いている“蒼い触手”があった。
「けほ? ゴフ! ゴホッ」
その光景を酒呑は見ることができなかった。
半身と言っても良かった茨木が胸を貫かれ死んでいく。
それに耐えられなかった。
「お、おい!? しっかりしろ。い、今リンクエイドを!」
リンクエイドしようと伸ばした手を茨木は抑え、息も切れ切れに
「も、もう無理みたい。体力は残しておきなよ。あいつを相手にするのにも」
「な、何言ってるんだ。まだ、まだ助かるかもしれないんだぞ!!」
悲痛な悲鳴と言っても良いその声を聴きながら茨木は
「私ね、ずっと昔から自分との約束があったんだ。
アンタとしたおなか一杯ご飯を食べるっていう約束のほかに」
「しゃべるな! 約束なら後でできるさ。後で腹いっぱい飯を食わせてやる。
だから!」
「ふふ、自分とした約束はね。あ、あんたの・・・お嫁さんになることだったんだ」
そこまで言い、茨城の手は崩れ落ち力尽きる。
ここまで鮮明に記憶を映していた魔法が乱れ始める。
歪み、光彩が狂ったような見え方に代わっていく。
「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
悲鳴とも取れる雄たけびをあげ、ただがむしゃらに剣を振り回し、アラガミを攻撃する。
だがそんな攻撃がアラガミに通じるわけがない。
アラガミが光を集めていく。自身の弱点でありながら最大の攻撃を放てる機関に。
だが、それでも酒呑は攻撃を与えていく。茨木の敵を討とうと。
そして、放たれたレーザーにより、左手が吹き飛んだ。
それを確認したアラガミは追撃を加えようとし、腕を喰いちぎられた。
「ggggggるぁあああああああああああああああああ」
吹き飛んだはずの左手には黒い何かが伸びそこから咢が飛び出していた。
「!??!」
アラガミは突然の攻撃に驚きすぐさま攻撃を加えてゆく。
よけようともしない酒呑に何度も攻撃が加わるが、欠けた体を補うように黒いオラクルが侵喰していく。
喰らうためではなく殺すために剣を振るうさまは、伝説にある酒呑童子と同じようだった。
「ここか!」
ソーマとリンドウが茨木の生命反応がなくなると、救出任務とし今動ける神機使いである彼らが出動要請を受けた。
二人とも急いでエイジスへ向かい、そして、
「ggggggggggggggggggaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
そこにいたのは体の七割以上を黒いオラクル細胞に侵喰された酒呑一鬼の姿だった。
次回で過去編は終わります。