「中原さーん。二階席のテーブル空きましたから片付けお願いしまーす」
「・・・はっ、はぁーい」
「中原ァ。こっち手ぇ離せねえからレジやっとけ」
「・・・はぁぁぃい」
「中原先輩。ホットケーキ焼けたから出してくれ」
「・・・・・・ふぁぃぃ」
「どしたの、あれ?」
「なんか、ドッキリ仕掛けて怒らせたって聞きましたけど」
「あ~~。ミズキさん、変に子供っぽいことする時あるから・・・」
「先週末からずっとこんな感じらしいですよ」
「まじか。今回は長くなりそうね」
「はい。ところで、新しいスタッフの方ですよね?」
「おう。新入りのキッチン担当だ。よろしく」
リコリコ店内。
小柄な人なら一人で食べ切るのは難しそうな、大きなホットケーキをカウンター席に並んでシェアして食べる伊藤と北村は常連客にしか分かりそうにない僅かな違いを敏感に感じ取っていた。
「新入りさんも大変な時にきちゃいましたね」
「ああ。というか俺もそのドッキリに巻き込まれて散々な目にあってな」
「もしかしてあの写真もその仕返し?」
伊藤が指さす先にはカウンター端に立てかけられたミズキの写真とその両サイドに活けられた菊の花が。
「あれは見合い写真を錦木が、花は春川がそれぞれ何時の間にか用意してたな」
「ちょっとやり過ぎじゃ「そうよねっ!!あなた達もそう思うわよねっ?!」・・・あの、必死過ぎてちょっと怖いです」
常連以外の客が捌けて手の空いたミズキが三人の会話へ強引に割り込んでくる。
「あの写真にはミズキ呼びで親し気に話しかけるクセにここに居るミズキにはさも『あれ?初対面ですよね??』『どこかで会ったことありましたっけ??』みたいな接し方すんのよ!!しかもかれこれもう三日よ三日!!」
これはもう完璧にイジメよと叫ぶミズキからそれぞれ一席分移動する二人はカウンター向こうで松葉杖を突く浅黒い肌の男に止めて下さいよと目を向けるもすげなく首を振られてしまう。
「正直、俺もあのドッキリはないと思った」
「い、一体どんなドッキリだったんですか?」
「というか聞いても大丈夫なヤツ?」
「中原先輩が救急車に乗せられて泣く錦木を春川が慰めつつ病院に直行するようなドッキリ」
「「うっわぁ~~・・・」」
「ちょっ?!違うからね?!ドッキリ仕掛ける為に態々救急車呼んじゃったとかそういうんじゃないからね?!ていうか半分位はアンタが原因でしょ新入りぃ!!あっ、待って待ってそんな目で見ないでぇぇ!!」
救急車をタクシー代わりに呼んじゃう様な人を見る目で二人は更に一席ズレる。
「ミズキさーん。一口お裾分けです」
「シロップもお供えしときますねー」
「やーめーてー・・・」
カウンターに突っ伏すミズキに流石にやり過ぎたかなと思うも、あれからなし崩し的にリコリコで働く事になった男はあの救急車内で隣に座っていた二人と、今もそれぞれの職場で騒がしくしているであろう家族達の姿を思い出し。
「まあ、いくら仕事中に蔑ろにされたからって軽い気持ちであんだけ妹分泣かせたんだ。暫くは我慢したらどうよ先輩」
「だから、アンタだけには言われたくないっつうの~・・・」
何時の間にやら引っ張り出した酒を呑み早くもくだを巻き始めるミズキに男はやれやれと息を吐く。
「おーい、バイト二人。また先輩が仕事中に呑み始めたぞ」
「うっせえ、態々バイト強調すんな。中原、暇なら二つ向こうの通りに出来たカフェの偵察に行ってこい」
「あ、折角だし制服のまま行って来たらどうですか中原さん?」
「うぅ・・・チックショーーっ!!」
酒瓶を抱えたまま「もうこんなお店出てってやるー-!!」と捨て台詞を吐きミズキは外へ。
追い打ちをかける千束の「人数分のケーキ、テイクアウトお願いしますねー」という声が店の奥にまで届く。
「なかなか賑やかな所だな」
「気に入ってくれたかな?」
押入れの改装を手伝っていたミカは畳の上で寛ぐクルミの方を向き微笑む。
「僕の分のケーキも貰えるならね」
「なら、ミズキに期待だな」
新たな仲間を二人も迎え更に騒がしくなる千束とフキの居場所に、次は普通の
名前考えてるんですが多分声優さんのを片仮名で当てると思います。