たきなの代わりにフキが出向する話   作:沼田もんざえもん

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その2

 

 

 

 

 

 

「珍しいじゃん、新しい服揃えるとか。どっか出かけるの?」

「ああ、ちょっとな」

「ふぅん?」

 

「このチケットよく取れたね~!何で当てたの?抽選?」

「くじ引きだとよ。当てたヤツが興味ないってんで私の所にまで回ってきた」

「へえぇ」

 

「・・・急に水族館とかどしたの?こういう所、あんま興味無いでしょ」

「まあな。ただ一回ぐらい行ってみたらどうだって言われてよ」

「誰に?」

「誰だっていいだろ」

 

「・・・・・・これさあ、普段聞かない感じの曲ばっかだよね」

「ちょっと勧められてな。思ってたより良い感じの曲だったな」

「・・・誰から?」

「誰でもいいだろ」

 

 

 

「日本一のハッカーを浮気調査に使うとは、千束は贅沢な女だな」

「だから違うって言ってんじゃん!!」

 

 ミズキに押入れから引っ張り出されカウンター席に着くクルミは煎餅を頬張りつつ、テーブルをバンバン叩き抗議する千束の主張に同意する。

 

「まあ言わんとすることも分かる。パートナーの不貞など信じたくもないのは当然だ。確たる証拠もなしに浮気と決めつけるのも良くない。ではどうするか。まず手始めにドローンで尾行し証拠写真をだな」

「話を聞けえいこのリスっ!」

 

 勝手にフキが借りている部屋と通勤ルートの割り出しを始めた訳知り顔で語るクルミのタブレットを奪い千束は一つ一つ訂正していく。

 

「まず初めに、これは浮気調査の相談ではありません」

「ほうほう」

「次に私とフキはそういう関係ではありません」

「え?」

「え?」

 

 

 

「終わったぜ」

「ありがとーって、シンク周りもやっちゃったの?」

「お前がやらないからだろ。折角良いキッチン使ってんだからちゃんと綺麗にしとけ」

「はいはい、すみませんでした~。あ、お風呂沸いたから先入っていいよ」

「いや、今日はもう帰る」

「・・・えっ、泊まらないの?」

「泊まるつもりなら最初に言ってるし色々用意もしてる」

「使い捨てのアメニティもあるし着替えなら新品の貸すよ?」

「いやいいって、帰るから。それにそろそろ時間が「何の時間?誰との時間?!私との時間は!?」・・・メンドクセェ彼女かお前は・・・」

 

 

 

「「メンドクサイ彼女なんだろ?」」

「だ~か~ら~」

 

 厨房の冷蔵庫からアイスをくすねようとするクルミを見付け追いかけてきた板前姿なキッチン担当の新入り、ハツも交えて始まったのは千束の悩みの相談ではなく勘違いの訂正だった。

 

「どうしてみんな私とフキをくっ付けたがるかな~~」

 

 悩みの解決どころか増えてく一方の千束はテーブルに突っ伏してしまう。

 

「私がお店でフキからどんな扱い受けてるか知ってるでしょ~」

 

 押し入れと厨房に居ることの多い二人の耳にも客と喋り続ける千束の尻をフキが引っ叩き口喧嘩に発展するというパターン化した騒ぎは確かに届いてはいる。

 しかし、根本から千束の主張に疑問を抱いてる二人には届かない。

 

「てっきりそういうカモフラージュかと。あと女性客の時が多いから隠し切れてないぞ?」

「俺達相手に立ち回ってた時の息ピッタリ具合を知ってる側としちゃ違和感バリバリだからな」

「ええぇ~~??」

「というか結構頻繁に泊まりに来てるんだな。二人きりだとそういう感じなのか」

「あんまり無理して演技する必要ないぜ?この業界、そういうヤツは多いし俺等にも気にしてる様な偏見はねえ。そうだろ」

 

 同意を求めるハツにクルミもうんうんと頷く。

 いよいよ冗談ではなく本気で勘違いされていることに気が付く千束はどうしようとミズキに助けを求めるも。

 

「ま、リコリスのパートナーってのは大体どこもこんなもんだから気にしなくていいわよ」

「ああ、パートナーってやっぱりそういう(神聖隊的な)・・・」

「組織が無理矢理決めてるとかじゃなくてちゃんと双方合意の上なら俺からは口出ししねえよ。どうかとは思うがな・・・」

「ミ~ズ~~キ~~~!!」

 

 援護する気のないミズキの発言により誤解は深まるばかりだった。












待ちきれず本屋で買おうかと思って探しても全く見つからないの本当に凄いな。
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