久しぶりでちょっと空気感が変かもです。
「・・・なーんか、空気悪くない?」
「「コこのイ人ツの所為ッですス!!」」
「フキぃ~」
「お前等三人の任務中態度 C 判定で上げといたからな」
「「何で?!」」
「息ピッタリだねえ君た・・・私も?」
「作戦外で無許可発砲してっからだドアホ」
千束とフキ、それに alpha 隊の八名を乗せ揺れる大型バス内の空気は重かった。
というのも。
「現場で取っ組み合いの喧嘩なんざ訓練生でもしねえってのに何考えてんだお前ら??それともあれか?!マジで何も考えてねえのか!?馬鹿か!!」
「・・・・・・すみません」
「・・・・・・すんませんした」
「激詰めじゃん」
腫れた頬と痣の出来た目元を晒す二人を前に、眉間に深い皺を作るフキは組んだ足を苛々と揺する。四人は半数以上空いた席を無視し、態々向かい合わせになる様に座席を反転させ膝を突き合わせていた。
降り始めた雨粒を窓越しに眺め、千束は「今度こそ一番乗り~!」と外での気まずさを誤魔化す騒々しさで安易に中央部分の席を選んでしまった数十分前の自分に後悔していた。
( 何で窓側選んじゃったかなぁ・・・ )
順次乗り込み後ろの席に着くサードの四人と出発を促し目的地を告げるフキが自身の隣に座り「直通でも貸し切りでもねえんだから詰めやがれ。デケェ尻がはみ出てんぞ無駄飯食らい」「だから太ってないって!」「耳元で叫ぶんじゃねえよ!」等々、何時もと変わらないひと悶着を入れつつバスが発車するまでは良かった。
問題は廃ビル前で大柄な成人男性を難なく容れられそうなほど巨大なボストンバックを不自然に五つも並べ待っていた紺色の制服姿の少女達が恐る恐るとバスの出入り口から顔を覗かせてからである。
出発するバスの窓から千束が荷入れまで手伝ってくれたクリーナー達へ手を振る傍ら、フキのセカンド二人に対する詰問は始まっていた。
それが途切れることなく早数十分。
他所でも同様の任務があったのであろう、都度都度停まるバスに乗り込むのは制服の数にバラつきがある面々であり、大荷物をトランクルームへ蹴り入れ投げ込み鞄の角で殴り付け唾を吐きかける姿を黙って見詰めていた千束は静かに瞳を伏せ深く座席に沈み込む。
「ねえ、そろそろ止めたら?皆も疲れてるんだし騒いでたんじゃ休めないでしょ」
「お前も騒がしくさせてた原因なんだけどな」
「あ゛ぁ゛~~~もぉ・・・・・・ごめん」
「先生にも無駄弾の件は報告しとくからな」
「へーい」
その一言を最後に千束は窓へ頭を押し付け瞼と口を閉じてしまう。フキが項垂れたままのセカンド二人に声を掛けることもなく説教を切り上げ目の前の座席を元に戻したのをボンヤリと耳の奥で理解した。
( ・・・早く帰ろう )
暗闇の中、千束の脳裏に映るのは赤ん坊を抱いて集まる店内での集合写真。
もう二度と写すことのない、リコリコから欠けた小さなメンバー。
寂しくはあれど小さな仲間の新たな門出を祝えた、大切な思い出の増えた大事な居場所を想う。
( しばらく寝て、お店に着く頃にはフキが起こしてくれる )
頭を叩くなり怒鳴るなり、手荒な目覚ましになることを予期するも今はそれすらも快く受け入れることが出来るだろうと、周囲の音を遠ざける様に窓を叩く雨音だけに集中する。
微かに響く啜り泣きも。
傷口を押さえ付ける呻きも。
嗚咽を噛み殺し震える吐息からさえも、遠く離れようとして ───
( ─── あ。歯軋り
「何で
「店出る前に話したろ」
「お店は!?」
「・・・オッサンの家族連中が手伝うって聞いたろ」
「二度目じゃん!!」
「だから全部言ったッつってんだろ!!」
このまま三話目の予定です。