ライゼクスの子はこの世に生を受けた時から強くあらねばならない。
卵から出てきた際、頭の中には強くあれと念仏のように声が響いたのだ。
正に天啓。まさに使命。
強く在ることこそが、モンスターとしての至上命題。
それからは寝る間も惜しんで修行ばかり。
初めは岩も壊せぬ雑魚だったが、身体のポテンシャルが高くすぐに大きくなった。
それに比例して力も増えた。
そのためか全身が肥大化し、強力な電流を常に纏うようになってしまった。
異常すぎるこの身をハンターに狙われたこともあるが、返り討ちにしてやった。
また刃向かうようなら容赦なく殺す。
そうして5年が経った頃、俺のナワバリである森丘に侵入者が現れた。
最近はハンターがナワバリに侵入してくることが多い。
今回は4匹か、ちと多いな。
いつもは2匹だが。
「エルナはペイント、シザーズは閃光、ザザリックは俺と一緒に乗るチャンスを作るぞ!」
「いくぜライゼクスっ!」
「ペイントOKよ」
「閃光玉、投げます!」
「飛翔せよ、我が蟲よ……」
相変わらず煩わしい。
そんな小細工は効かないというのに。
一吠えすると全員が耳を塞いだ。
隙が出来たな。では攻撃させてもらおう。
翼を乱雑に振るった。
「こいつ、咆哮しながら攻撃だと」
「耳栓じゃダメだ!」
「高級耳栓を持ってない私達では…………ひとまず撤退を」
「くるぞっ!!」
遅い。止まって見える。
ふんっ、ザコめ。
空を飛び、弱者を見下ろし、一言吠える。
糧にもならないモノは
『滅べ』
圧倒的な優越感を感じながら。
雷を纏い、威圧のオーラがエリアを支配した。
「特異個体……!」
「馬鹿な、ギルドは何を──」
爪で全員の体を貫いた。
何度も、何度も突き立てて。
防具など俺にとっては玩具の類よ。
ただ、Gの称号を冠する者。あやつらは別格だ。
お目にかかったのは一度のみ、されどその一度で力の差を理解した。
また逢う日に必ず負けないよう、鍛錬の毎日。
この覚悟を忘れたことはこの生で一度もなし。
待っていろGの者よ、この森丘の主ライゼクスが必ず屠り喰らってやる。
それまで弱者と戯れておけ。
そんな決意を再確認しつつも、ハンターだった4人の残骸はライゼクスが喰らった。
防具も、武器も呑み込んで。
「上位で、しかも手練と名高いハンターたちが瞬殺か。特異個体で間違いはないな」
気球から双眼鏡で森丘の様子を眺めながら、眼鏡を掛けてひょろっとした研究者気質の男が呟いた。
「先生。もしやと思いますが、あのライゼクスはもしかして……」
「……ああ、あれが特異個体、そして君の仇。イビルジョーと並ぶ程の力を持つライゼクスだ。野放しにしていると危ない、報告しなければ」
ライゼクスを双眼鏡で見つめたままの彼は弟子。
三年前、あのライゼクスに両親を殺された過去を持つ者。
「必ず、屠る」
小さく呟いた彼が見習いを卒業するのは、まだまだ先のお話。