友人「櫛田さんを優待者で撃つね」俺等『……はい?』 作:一汎人
俺の名前は生徒A。
高度育成高等学校になんとか入学してAクラスになっただけの、特別な才能とか隠された能力とかそういうのとは一切縁がないただの凡人だ。
あまりにも才能がなさすぎるものだから隣の席の坂柳からは憐憫の目で見られたりすることもよくあることだ。
そんな凡人オブ凡人な俺にはこの学校でたった1人の、それでいて常人とは一線を画している奇妙な友人がいる。
それが俺の隣の席にいる女子生徒、
本人曰く略称はロールなので俺はそう呼んでいる。
ロールという少女はとにかく不思議な存在で、例えば入学初日にこの学校のシステムについて先生に問い詰めたり、その答えを黙秘した先生を吊ろうとしたりと初日から奇行を取ったせいで入学初日に孤立した。
また度々自分のことを
そのせいでこの学校のシステムが初めて公表された時に一悶着起きたのだが、それもそれでかなり酷かった。
わかりやすくクラスの評価を下げるような行動をした彼女をみんなが責め立てると、ロールは「じゃあ投票で誰が悪いか決めようよ」と言ったので、クラス投票が行われることに。
するとなんということでしょう。
最多投票は確かにロールだった筈なのだが、気がつけば最多投票は俺とすり替わっていた。
何を言っているかわからないと思うが、俺もわからなかった。
結局隣にいてロールの奇行を止めれなかった俺のせいということになってしまった。
……理不尽だ。
その翌月にプライベートポイント、要するにはお小遣いがトラブルによって配られなかったのだが、その原因を彼女は即座に解明していた。
なんでも彼女はその現場に監視カメラを設置していたとのことで、その録画データを提出したことでこの件についてはすぐに解決した。
その結果Cクラスの生徒が数人停学処分を受けたのだが、今回は関わりがないのでスルーしておく。
しかしなんでそんなところに設置したのかクラスみんなが疑問に思い、もはや彼女の唯一の話し相手である俺が代表してそれを質問すると、彼女曰く「あんな人目のつかない場所はキルしやすい場所だからね。警戒のために置いて良かったよ」と。
キルって、何?
夏休みに入ってもロールの奇行は止まらなかった。
あれば確か豪華客船に乗っていた時の話だ。
クルージングの旅を満喫していた俺たちだったが、突然船を下ろされて無人島に上陸したかと思いきや、1週間のサバイバル生活をしろという無茶振りを言われてしまった。
おいおい、こんなにイベントが毎月押し寄せてくるなんてここはラノベの世界かなんかかよと思っていたが、まああるものは仕方ないと割り切って励もうとした時だ。
なんか俺の頭上にハートマークがあった。
何これ? と思って他の奴らに聞いたところ、どうやら他の人にはそれが見えないらしく、暑さでやられたかと可哀想な目で見られてしまった。
落ち込んでる俺の肩を叩いて慰めてくれたのは、やはり我がクラスが誇るトラブルメイカーことロールで、その彼女の頭上にもハートマークがあったから、原因お前じゃねえかと思い切り頭を叩いてやった。
どういうわけか謎のマークが現れてからロールは俺のそばを殆ど離れず、就寝時間になってようやく離れるようになったくらいだった。
1週間これが続くのかと辟易していたところ、4日目あたりになって突然一瞬ロールの姿が消えていた。
しかも直前まで目の前にいた状態でだ。
一体何が起こったのかまるでわからなかったが、周囲を探しても彼女が見つからなかったので仕方なく捜索を諦めたが、その数時間後にロールは戻ってきた。
ところで、この試験には各クラスのリーダーを当てたら点がもらえるというシステムがあったのだが、うちのクラスはそんなリスキーなことする必要ねえなとそれを無視していたところ、この奇行種は何処からか全てのクラスのリーダーの情報を持って帰ってきた。
どうやって持って帰ってきたのかというと、ロールは俺にだけ聞こえるように耳元で「透明になって他のクラスの様子を見てきた」とかいうよくわからないことを言っていた。
尚結果として彼女の情報収集能力によりDクラスとかCクラスとかの策を全てぶち壊しにしてしまったのだが、それはまあどうでもいいことだろう。
なんなら途中龍園という男子生徒が交渉を持ちかけにきて突っぱねられたのもどうでもいいことだろう。
そしていよいよ無人島生活も終わり、これでようやく元の快適な豪華客船の旅に戻れると安堵し、なんならハートマークも無事に消えたのでほっと胸を撫で下ろしていると、また次の試験とやらが始まってしまった。
次の試験は平たくいうと人狼ゲームみたいなもので、他クラスの人狼を当てれば勝利、みたいな内容だったと思う。
同じグループにいた坂柳や葛城、それにロールから懇切丁寧に教えられたけど、悲しいことに俺の低スペックな脳みそでは理解できなかった。
そして迎えた試験の時間。
どうやら俺のグループは俺以外が全員実力者のグループらしく、なんかおっかない人ばっかりいた。
ただあの櫛田って人は可愛かったな。
できればなんとかして連絡先とか交換したいなーと思いながら彼女を見ていると、隣の奴……ロールが肘で脇腹を突いてきやがった。
そしていざ話し合いが始まった瞬間、今後俺達の世代、特にあの時あの場にいた面々が何年経っても忘れることが出来ない光景が生まれてしまったのだ。
「それじゃあ、話し合いを始める前に自己紹介から始めようよ! 初めましての人もいると思うから、どうかな?」
「……そうだな。確かに円滑に議論を進める上では軽く自己紹介などをしておいた方がいいだろう」
同意したのは葛城だった。他クラスの面々も概ね同意らしく、ひとまずは自己紹介フェーズに入っていくことになった。
最初に自己紹介するのは、言い出しっぺの法則ということで、櫛田さんから始まった。
「もう知ってる人もいるけど、私は櫛田桔梗って言います。できればここにいるみんなとも仲良くなりたいなって思ってます」
「……へぇ、櫛田さんねぇ。あなたの名前は櫛田桔梗っていうの」
「うん、そうだよ。あなたの名前は、えっと……」
「そう、それじゃああなたを撃つね」
「……え?」
「櫛田さんを優待者で撃つね」
『…………はい?』
ロール以外の全員が困惑した次の瞬間、銃を撃つような仕草をロールがしたかと思いきや、突然櫛田さんが吹っ飛んだ。
「きゃぁぁぁぁっ!!??」
『………………!?!?!?』
突然部屋の外まで謎の斥力によって吹っ飛ばされた彼女を見て、残された者達は皆(正しくは俺以外の全員が)実力者だというのにも関わらず、揃いも揃って口をあんぐりと開けて呆けていた。
結局俺たちはあの後学校側のアナウンスが流れるまで、それをしでかした元凶を除き、誰1人として動くことはできなかった。
尚その日の夕食の時にロールを問い詰めたのだが、ロールは「私はナイスゲッサーだから、悪いことはしてないよ」と何食わぬ顔で言っていたので、軽くデコピンしてやった。
ナイスとは一体……
とまあこんな感じでいろんなイベントがあったり思わぬところで旧友に出会ったり先生から泣きつかれたりといろんなことがありながらも、俺たちの豪華客船の旅は終わったのだが、まだ夏休みは終わっていなかった。
学校に帰ってきて数日後、夏休みだし折角だから1人でカラオケでも歌いに行こうと思って寮を出たその時の事だった。
背後からポンと肩を叩かれ、誰かと思い振り返れば、そこにはなぜか輪郭がほんのり青く光っているロールの姿がそこにいた。
どうしたのかと尋ねたら、何処か喫茶店で飲みに行かないかと誘われた。
というか半ば強制だった。
またこいつに振り回されるのかと思うと、ほんの少しだけ頭が痛くなるような気がするけど、それでも1人悲しく過ごすよりは数倍マシかと前向きに考えて、今日も俺は彼女の隣を歩くことにした。
登場人物欄
・A君
坂柳から憐れみの目で見られるくらいには才能のない一般人にも関わらずなぜかいろんな人から妬まれてるゾ。例の彼女の隣になってしまったのが運の尽きで、いつのまにか彼女の手綱を担う係になっていた。好きな女の子のタイプは可愛くて胸が大きい子。
・ロール
今作のヤバい奴。さまざまな不可思議な行動は本人曰く1週間に一度変わる役職の力を使っているらしい。意味不である。唯一の友人はA君なのだが、実はA君は親以外で初めてまともに話してくれる人物であったりする。容姿は特に書かなかったが、APP17くらいの小柄な美少女でも想像しておいてほしい。なお胸部装甲はまな板の模様。
・坂柳
A君は忘れているどころか気づいていないのだが、実は小・中は同じ学校どころか常に隣の席なのである。なんなら幼稚園も同じなので完全に幼馴染なのであるがA君は気づいてない。高校に入ってから初めてに気づいた時、軽く自信を喪失したレベル。尚A君からは怖い人認定されてる。
・原作主人公
出番はなかったが実はA君と面識がある。何者かによって自分の策を破られた事により他クラスへの警戒心が原作よりも高まった。
・龍園
自らの策を全てロールに潰されたのでロールをすごい敵視してる。
・学校側の人達
最近は胃薬を服用するようになった。
ちょっとした補足
・Aクラス
ロールの奇行により原作よりもBクラスとの差が無いのでちょっと焦った結果対立してる場合じゃなくなった。その結果坂柳派と葛城派の生徒が手を取り合ったので原作よりも強化された。尚ロールの担当はA君に押し付けた。
・龍園との契約
話し合いの結果今回は縁がなかったという感じになった。というよりも約1名がやりたい放題やっているので、それどころではなかったというのもある。
・坂柳が舟にいる
不思議だね。これに関してはロールは無罪である。尚舟にいる理由は特にないし、なんなら無人島生活も原作通り不参加である。
・ロールの使った用語
なるべくA君の気持ちがわかるようにA君の視点以外では説明をつけなかったので、ピンとこない人には本当にA君のような気持ちになったと思う。わからなかった人はロールの本名をひらがなで検索すればいつかは元ネタが出ると思う。
気が向けばまた続きを書こうとは思います。数年後くらいに。
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ロールのデータベースっている?
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いらない
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どちらかというといらない
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必要ない
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ちくわ大明神