友人「櫛田さんを優待者で撃つね」俺等『……はい?』   作:一汎人

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この物語の主役はロールです。


「「我々(ジャッカル)の勝利だ!」」

 

「…………」

 

 3月某日のこと、1人の少女が雪が降る中誰も居ない屋上で1人物思いに耽っていた。

 少女はしきりに携帯を取り出し確認しては落胆した様子でそれをしまうというのを幾度となく繰り返していた。

 

「…………」

「おや、こんなところに居ましたか」

「坂柳さん」

 

 声をかけられ振り返ると、少女と同じくらいの背丈の少女である坂柳が屋上の入り口にいた。

 彼女は一歩、また一歩少女の元へと近づきながら声をかけた。

 

「 Aクラスの総意は決まりました。今回の試験では彼に退学してもらうことになりました」

「それはっ……!」

「……私としても不本意です。ですが、それを覆せるだけの実力が彼にはありません。そのことはこの1年間ずっと隣にいたあなたもよくご存知でしょう?」

 

 坂柳の言うことは一理あり、彼の存在価値はAクラスという視点で見るのであれば相当低いというのを少女は理解していた。

 しかし、理性はそれを受け入れていたとしても、少女の感情がそれを許すはずもなかった。

 

「……そんなの、認めない。私がそれを覆す」

「流石に厳しいかと。そもそも、彼が退学を受け入れている以上はどうしようもありません」

「そんなの関係ない。私は私が望むようにやる。だって私は……」

 

 

 

「イビルスワッパーだから」

 

 

 

 

 

 

 3月が始まってから1週間が経過し、俺たちは今学年における最後の特別試験の説明を担任の真嶋先生から受けていた。

 この試験は要するに自分な得意なゲームを選んで、選ばれた計10のゲームの内7つの勝敗によって決着がつく試験だとロールから言われたが、まあ特に考えることは無いと思い、俺は民意に任せることにした。

 

 さて、その数日後、俺とロールは2人でショッピングモールに訪れていた。

 というのも坂柳の誕生日が近々あるようで、そのための誕生日プレゼントを買いに来たというわけだ。

 といっても俺は坂柳が何が好きなのかわからないし、ロールもロールでこういう経験は無いからプレゼント選びに難航していた。

 ひとまず大手通販サイトで1番人気のネックレスはどうかとロールに聞いたら、センスが無いと一刀両断されてしまった。

 解せぬ。

 散々悩んだ結果、俺はチェスの駒を模したキーホルダーを、ロールはシンプルなボールペンとメモ帳を買うことにした。

 

 それにしても、ロールがいてくれて本当に助かった。

 ロールがいなかったらそもそも坂柳の誕生日も知らなかっただろうし、まともな誕プレも選べず、何より、微妙に混んでるショッピングモールの中でも比較的人が少ない場所を通るルートを教えてくれたのだから。

 ちなみに何故わかったのかと聞いたら、ハッカーの能力でアドミン情報がどうたら言っていたので、俺は考えるのをやめた。

 ……アドミンって、何? 

 

 余談だが、後日送ったプレゼントは結構喜んでくれた。

 そしてその様子を見たロールは友人への贈り物がうまくいったからか珍しく年相応に嬉しそうだったので、それを見れただけでもこいつに付き合ってよかったと俺は密かに思った。

 

 そんなことがあった日から数日が経過したとある日のことだ。

 ロールが幼女になっていた。

 もう一度言おう、ロールが幼女になっていた。

 

 ロールともなんだかんだ1年近く付き合って来たので、大抵のことには驚かない自信があったのだが、今回の件は俺の許容範囲を完全に超えるものだった。

 朝登校したら隣の席のやつが5歳くらいになってるとか誰が予想できるよ……

 

 そしてロールから色々話を聞くと、なんでもナイスミニだからこうなってるだけで、しばらくしたら戻るとのことだった。

 なんなら体と共に小さくなっていた制服も大きくなるからそこら辺も安心とのことだ。

 ……ナイスミニって、何? 

 

 その後はやはりというか、ロールの世話係? は俺になってしまったので、ひとまずはロールに言われるままロールをおぶって学内を一緒に回っていた。

 

 回っている最中に2人で試験の競技について話している途中、俺たちはクラスメイトの葛城が他クラスの生徒たちと会話しているのを見かけた。

 何を話しているのか気になったロールが急かすので、俺は苦笑しつつも葛城達に挨拶することにした。

 どうやら彼らはただ世間話をしていただけだったらしく、気まずい気持ちになってしまった。

 この場にいるのは申し訳ないと思った俺は騒ぐロールを連れてその場を足速に去ることにした。

 ……背後から感じる奇異の視線は無視することにしよう。

 

 さて、そんな感じで日々を過ごしていると、ついに試験当日の日が訪れてしまった。

 俺たちが戦う相手はDクラ……いや、昇格してCクラスとなった生徒達との戦いだ。

 

 戦いが始まってからはまさに一進一退という様子で、どちらも引けを取らない勝負を見せ、坂柳の十八番であるチェスが選択される時点で3勝2敗とかなりの接戦だった。

 そのチェスの戦いもちょっと齧っただけの俺にすらわかるほど熾烈を極めており、決着がついたときには隣にいたロールと共に拍手すらしてしまったほどだ。

 

 これで3勝3敗となり次の種目で勝負が決まるといった状況になった。

 そんな中で選ばれたのは、ロールの超常の力を合法的に悪用でき、かつ誰しもが知っている単純な“遊び”……『鬼ごっこ』*1だった。

 参加するのは俺とロールを含めた計6人で、ロールが鬼、それ以外が逃げるということになっている。

 俺たちにできることはロールを信じて逃げることなので、この勝負はロールにかかっていると言っても過言ではなかった。

 

「……ねぇ」

「ロール」

「少し話そうよ。結構時間あるからさ」

 

 勝負が始まって皆が散開していく中、俺はロールに引き止められたので少し話をすることにした。

 なんでもこの学校に来てから友達ができたことだったり、いろんな馬鹿騒ぎをしては皆を振り回したり、この学校での様々な試験だったりといろんな思い出話をした。

 

 話をしていくうちに自然と頭の中に浮かんできたのが、これまで散々やってくれたことだとか、散々自分勝手に動いたり何より入学当初に全責任を俺に押し付けたりと、といったやらかしが浮かんできたので、ロールにデコピンしておく。

 しかし面白かったり楽しかったことも同時に頭の中に浮かんできた。

 最初の頃の暴力事件がロールの監視カメラによって一瞬で解決したこと。

 無人島で頭の上にハートがあったり唐突に姿を消したこと。

 船上試験で人が吹っ飛んだあの光景。

 体育祭の時に起こった時間の巻き戻り。

 テストの試験で他人に変身して他クラスの生徒の問題を盗み見したこと。

 屋上で囲まれた時に颯爽と現れて助けてくれたこと。

 どれも忘れることのできない大切な思い出だ。

 

「なあ、ロール。お前はこの学校に入学してからのこの一年間楽しかったか?」

「うん。いろんな特別試験やそれなりに強いライバル、何よりも最高の相棒(サイドキック)がいたからね」

「そりゃどうも」

 

 そんなことを悠長にしているからだろうか? 

 1人、また1人と俺たちのクラスの生徒は捕まっていき、Aクラスで逃げる生徒は俺だけとなっていた。

 

 残り時間は約20分。

 俺たちが勝つためにはこの間にロールがCクラスの生徒を5人全て捕まえなくてはならなかった。

 しかしそんな事はロールには容易い事だろう。

 

「行けるか?」

「私を誰だと思ってるの? あなたのご主人だよ?」

 

 ……ご主人って、何? 

 

「……行く前に、一つだけお願いしていい?」

「俺に出来ることならいいぞ」

「それじゃあ、一緒に行かない? ウイニングランにさ」

「…………ははっ」

「……笑うところあった?」

 

 自分が勝つことを信じて疑わない様子が面白かったので少しの間笑い、ちょっと落ち着いてから真面目にロールの方を向いて目を合わせた。

 普段と違い青く染まったロールの瞳には、自分の勝利を一欠片も疑っていない確かな確信に満ちていた。

 どうやらロールは本気で勝ちにいくらしかった。

 

「わかった。それじゃあ……行くか。俺の親友(あいぼう)

「うん、行こう。私の相棒(しんゆう)

 

 そう言ってロールが倒れ伏したCクラスの鬼を廊下の壁にもたれかからせると、俺たちは意気揚々と通気口に入っていった。

 

──5分後、Aクラスの勝利を告げる報告が通気口内に鳴り響いた。

 

*1
必要人数6人 時間50分 ルール:校舎内での鬼ごっこ。6人中1人を鬼とし、先に相手クラスの生徒全員を捕まえたクラスの勝利。時間切れの場合は捕まえた生徒の数によって判定。同数ならば先にどちらかのクラスの生徒を1人捕まえるまで続ける。 司令塔の関与:次クラスの生徒が捕まった時一度だけそれを無効にする。無効にされた生徒は10秒の間無敵となる。





登場人物欄

・A君
ここまで読めばわかる通り特別な関与は自発的には何もしていない一般人。これからもロールの力に振り回されながら付き合い続けることでしょう。尚スワッパー系列はややトラウマな模様。恋愛ゲームのキャラに例えるとタイトルで特定のコマンドを入力しなければいけない奴。

・ロール
予測不可能回避不可能な行動を様々繰り広げる少女。謎の力を散々に悪用した結果数名を除き他の同学年の他クラス生徒達の心を折った。最近は親友ができたり友人と仲が良くなったりと普通の学生生活を満喫しているそうな。恋愛ゲームで例えるとチョロイン(バグキャラ)。

・坂柳
Aクラスのリーダーにして作中トップクラスの実力を持つ天才。念願の相手とチェスで真剣勝負ができてすごい満足している。それはそれとして、その日の帰り際にはチェス相手に友人達からの誕プレでマウントを取ったそうな。恋愛ゲームで例えると一定以上のステータスが必要な奴。

・原作主人公
自分を退学させにきた刺客があっさりどっか行ってしまったので最善を超えた一手を繰り出しチェスの対決にて勝利を手にし、特別試験勝利にリーチをかけた。が……駄目っ……!流石にロールの力を見て匙を投げた。実はロールが幼女化した時にA君と出会ったのだが、完全に忘れ去られていて(´・ω・`)という風になった。恋愛ゲームで例えると隠しキャラ。

ちょっとした補足

・イビルスワッパー
前話での結末と原作でのあの試験を見ればおおよそ何が起こったかは想像できるだろう。それもこれも自吊りを誘導してくる奴が悪い(byロール)

・誕生日プレゼント
色々見返した結果約1名丁度いい時期に丁度いいキャラがいたので挿入しただけの話。ロールがA君以外の友人とも上手くやっている様子を見てA君も満足である。余談だが、本件の数日前にロールはA君の誕生日を初めて知ったそうな。

・AクラスVSCクラス
他の展開は基本的に原作と種目がちょっと違ったりするが結果は大体本編通り。少なくともAクラスのあの男はフラッシュ暗算に参加した。

・Bクラス対Dクラス
この世界線では最終スコア3対4でDクラスの勝利。原作との差はBクラスリーダーが原作よりも冷静だったことが功を成した。しかし最終競技にBクラスが最も危惧していた競技が選出された為敗北。残念無念また来年。 

・鬼ごっこ
大丈夫なのかどうか色々意見があるとは思うが、この世界線では罷り通ったということで納得して欲しい。Dクラスの参加者の名前がないのはどこぞの御曹司や白い部屋出身の天才クラスでなければ基本誰でも同じであり、Aクラスの参加者も同様に誰でもいいからという理由。本音はいちいち考えるのがめんどくs……()

・登場しなかったキャラクター達
原作で活躍していたとしても今作で名前が出なかったキャラクター達がいるのはご存知かとおもう。安心して欲しい事は、彼らもこの学校には入学しているという事である。出番が無いのはただ単純にロール達との接点が殆どなかったからである。

・アンケート結果
ちくわ大明神

☆注意事項☆
この小説は以下の要素を含みます。ご注意下さい。
・キャラ崩壊
・一部キャラ不遇
・世界観無視
・MOD役職
・ちくわ大明神
・雑クオリティ


RTAでも無いのに4話で一年生編が終わる作品があるらしいですね()
これにて今作は完結です。
次回作は勝手に増殖する設定が飽和したら作ります。


















★次回予告(嘘)★

この学校に入学してから1年が経過し、2年生になった俺たちに待ち受けていたのは南雲会長の考案したOAAシステムや新たに入学してきた1年生達、そして新たな特別試験だった。
どう動くか各クラスの思惑が渦巻く中、俺たちの学年におけるトリックスターことロールにもまた新たな交友関係ができたようだ。
「ほら先輩!そんなところで1人寂しく虚空に語りかけてないで一緒に行きますよ!」
「……はぁ、わかった」
やけに騒がしい、恵樟酉(エクストリ)という後輩に絡まれながらも俺たちの学校生活は続く。
この先どんなことが起こるのかは予想がつかないが、少なくとも退屈する事は無さそうだと思い、俺は歩を進めた。

「次回、『導入/エクストリームロールズ』」
「絶対見てくださいね!」
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