試合開始から30分。
早ければ、交戦を挟んだとしても敵主力の背後を取れていたであろう時間帯。
だが。
『すみません!パーシング撃破されました!』
「もう2輌目が……!?」
アズミ中隊は未だに敵部隊を突破出来ず、敵主力とは程遠い場所に釘付けにされていた。
「……っ!後退!」
こちらはその時抑えるべき相手に砲撃を集中させていたのに対し、敵は砲撃タイミングや目標を揃える様子も無かった。
だが、今は確実にこちらが圧されていた。
(本当にあのM18がイヤらしいったらないわね)
交戦開始直後に飛び出したかと思えば、足場の悪い森の中だと言うのに、行進間射撃でこちらのパーシングを撃破。
単独で側面に回ったそちらに火力を集中させると、今度は敵集団の中にいるファイアフライの17ポンド砲弾が飛んでくる。
普段であれば足の速さを活かして距離を取り、仕切り直す所だが、M18の速力はパーシングのそれとは比較にならないし、更には最低限の減速だけで森の木々を綺麗にすり抜けてくる。
敵集団との速力差はあるが、M18に進行方向を砲撃されるし、こちらはM18にも砲撃を割かなければならないしで、その差は無いも同然になっている。
「……まるで蛇みたいね」
下がろうとする敵の足に絡み付き、徹底抗戦を強いる、そんな戦い方。
今まで戦ったどの流派とも異なる戦いを見せる相手に、アズミは攻める糸口を見出だせずにいた。
13話 開戦
各中隊が敵と接触、交戦中に、ひまわりからみほに向けて通信が発せられた。
『大隊長へ、こちらひまわり。グリッドD2、ダム湖跡周辺から砲煙を確認した。木が邪魔で車輌そのものは目視できないが、恐らくカールで間違いないだろう』
「Great!」
それは、作戦通りカールの居場所を特定したという報告だった。
(ダム湖跡はたんぽぽ側だし、私達から小隊を出す可能性は低いかしら?)
『分かりました。たんぽぽからダム湖跡にどんぐり小隊を派遣します。あさがお側はどのような状況ですか?』
「こっちはまだ結構余裕あるわよ?パーシング1輌、……いや、2輌撃破、被撃破は無し!」
『それでは、ひまわりはたんぽぽとの合流を。あさがおはそのまま交戦中の敵集団に対して足止めをお願いします』
『了解』
「OK!」
(それにしてもまぁ……、まほはいったい何処からこんな子達連れてきたのかしらね?西住流とも違うみたいだけど)
同時刻。
大学選抜側でも通信が交わされていた。
湿地側の敵に動きがあった為、大隊長へ指示を求めると同時に、警戒を促す内容だった。
『──恐らく隊長車狙いかと』
「陽動……、いや、違うな」
少女は考え。
(2度目の砲撃直後に敵は高地を放棄、湿地に向かい、同時に湿地の敵集団が小隊を出した。これは……)
1つの結論に至る。
「敵小隊の狙いはカールだ。2度の砲撃で射点を特定されたのだろう」
『どうしますか?』
「今から移動を開始してもあの鈍足では大して意味がない。カールは砲撃を続行。メグミ中隊は追撃を中断し、アズミ中隊の後退支援に入れ。撃破する事は考えなくて良い。速やかに合流し、湿地に向かえ。全中隊で合流した敵集団を撃滅する。ルミ、他二人が着くまで持ちこたえられるな?」
『……数で押されない限りはなんとかなると思いますが、あまり遅いと少し厳しいですね』
「カールの砲撃と……、メグミ。T28は先に湿地に向かわせろ。T28も足が遅いしな」
『了解です。隊長は?』
「私はそうだな……、相手の狙いがどちらだったとしても討てるようにしよう」
『『『了解!』』』
(ん?)
交戦開始から10分ほど。
何故か敵から私達への警戒が解かれた。
それと同時に、それまでここから距離を取ろうとしていた敵部隊が一斉に加速。
あさがお本隊との距離を一気に詰める。
「やられたな」
私達は味方に誤射する可能性から一時的に砲撃が出来なくなる。
味方と言えど、昨日今日会ったばかりの相手の動きを読みきれる自信はない。
そして敵は砲撃しながらあさがお本隊に突入し──
その勢いを落とす事無く、向こう側へとすり抜けた。
その僅かな時間でパーシングを撃破したナオミさんは流石の一言である。
だがその直後、綺麗に揃った光が少し離れた森の奥に閃いた。
「千波単!全力で前に突っ込んで!!」
『へ?り、了解!』
千波単の戦車は、すれ違った直後から旋回するべく減速を開始しており。
足止めとして敵味方の間を遮るように放たれた砲撃が、千波単の車輌を襲う。
『うぐぉ!?』
凄い声が聞こえたが、大丈夫だろうか。
『名倉車、敵の奇襲により撃破されました!突撃前に退く事になろうとは……!』
『Sh○t!!』
「……相手はこのまま下がるつもりみたいですね」
ケイさんから汚い言葉が出たのは聞かなかった事にしておこう。
敵の砲撃の数は、パッと数えただけで7発。
恐らく先程から交戦していたのと同じ8輌編成の部隊だろう。
だが、私達があさがお本隊と合流する段になっても次弾は飛んでこなかった。
この部隊で13輌の相手はいくらなんでも厳しいものがあった為、ラッキーである。
「マズイわね」
だが、ケイさんはそうは思わなかったらしい。
「マズイ、ですか?」
「たんぽぽとひまわりの方に向かったとすると、少なくとも21輌を14輌で相手する事になる」
それは確かにマズイわ。
ケイさんは大隊長車との無線を開くとみほさんに忠告する。
『確かにここで迎撃するのは得策ではありませんね。相手がそう来るなら、こちらもチームワークを活かして戦いましょう』
『……即席チームでチームワーク?』
『即席でもチームはチームだ。どうする』
『少し早いですが遊園地跡に移動し、相手を分散させて各個撃破を狙います。こちらは分散しないように気を付けてください』
その時だった。
『あー、ごめん西住ちゃん。作戦会議中悪いんだけどさー。やられちゃった。チョビ子と継続ちゃんは何とか逃げれたみたいだけど、ヘッツァーと八九式が撃破されて、カールは健在。ほんとごめん……』
カールへ向かっていたどんぐり小隊から通信が入ったのは。
| 県立大洗女子学園 | |||
|---|---|---|---|
| 1 | Ⅳ号戦車H型 | 16 | T34/85 |
| 2 | ティーガーⅠ | 17 | IS-2 |
| 3 | チャーチルMk.Ⅶ | 18 | KV-2 |
| 4 | ポルシェティーガー | 19 | Ⅲ号突撃砲F型 |
| 5 | 三式中戦車(チヌ) | 20 | ヘッツァー |
| 6 | ルノーB1 bis | 21 | M4シャーマン |
| 7 | 八九式中戦車甲型 | 22 | M4A1シャーマン |
| 8 | マチルダⅡMk.Ⅲ/Ⅳ | 23 | ファイアフライ |
| 9 | クルセイダーMk.Ⅲ | 24 | M3リー |
| 10 | CV33型快速戦車 | 25 | M18スーパーヘルキャット |
| 11 | BT-42突撃砲 | 26 | 九七式中戦車(新砲塔) |
| 12 | ティーガーⅡ | 27 | 九七式中戦車(新砲塔) |
| 13 | パンターG型 | 28 | 九七式中戦車 |
| 14 | パンターG型 | 29 | 九七式中戦車 |
| 15 | T34/85 | 30 | 九五式軽戦車 |
| 残存車輛数 | 24輌 | ||
| 大学選抜チーム | |||
|---|---|---|---|
| 1 | A41センチュリオン | 16 | M26パーシング |
| 2 | M26パーシング□ | 17 | M26パーシング |
| 3 | M26パーシング△ | 18 | M26パーシング |
| 4 | M26パーシング◇ | 19 | M26パーシング |
| 5 | T28重戦車 | 20 | M24チャーフィー |
| 6 | カール自走臼砲 | 21 | M26パーシング |
| 7 | M26パーシング | 22 | M26パーシング |
| 8 | M26パーシング | 23 | M26パーシング |
| 9 | M26パーシング | 24 | M26パーシング |
| 10 | M24チャーフィー | 25 | M26パーシング |
| 11 | M26パーシング | 26 | M26パーシング |
| 12 | M26パーシング | 27 | M26パーシング |
| 13 | M26パーシング | 28 | M26パーシング |
| 14 | M26パーシング | 29 | M26パーシング |
| 15 | M26パーシング | 30 | M24チャーフィー |
| 残存車輛数 | 27輌 | ||
……5輌の小規模戦闘から60輌の大規模戦闘に一気に行くんじゃなくて、もう1戦書いて慣れてからにすればよかった。
数が多すぎて、書いてて何が何処に居るか分からなくなってくる……。
って事は読む側も分からないのでは?
という事で。
劇場版を分かりやすくするために名も知らぬガルパンおじさんによって作られた『時系列別劇場版撃破リスト』みたいな物を、拙作でも用意するかどうかのアンケートを追加しました。
そのリストが分からなければ、歴史の教科書の『地図+凸』のやつを戦車に置き換えた物をイメージしていただければ。
各部隊や各車輛の動きを書いた作戦図って必要?
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必要
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不要
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聞いてる暇があるなら描け