……まぁ役人さんもやってましたから許してくださいませ
「ほわぁぁあ」
「何か凄い声出たけど」
放課後。
先生の案内の下、巨大な格納庫へと辿り着いた私達を待っていたのは──
3話 戦……、車?
「すごい!戦車だ!でっかい!!」
これぞまさに戦車!
……といった風貌をしたアメリカ製の自走砲だった。
これ、使えるのだろうか?
整備は完璧に見えるが、問題はそこではない。
「M18の90ミリ仕様か。確かに良い車輌だけど、オープントップじゃ……」
オープントップの車輌で戦車道連盟の審査を通った例は無かった気がする。
それらに共通する回答は「安全性の観点から」である。
上が開いていれば乗員保護の特殊カーボンも張れないし、道理である。
まぁキューポラから上半身を出していたり、操縦手がハッチを開けて視界を確保していたりと、線引きの意味は無い気もするが。
「なんかコイツも蓋してあれば平気らしいね。なんなら後付けの砲手席と自動装填装置を積んでても蹴られないらしい。改造されたカール自走臼砲が協議中になってたぞ」
反応を期待しての発言ではなかったが、背後から答えが返ってきた。
振り返ると、そこにはライダースジャケットに身を包んだ高校生が立っていた。
「カールが協議中ならまぁ平気かもね。……それで、あなたは?」
「三木真琴。母さんから今格納庫に行けば戦車道ができるって言われたから来た。機関科だから普段は会わないけど、私もここの1年だよ」
どうやら彼女が先生の言うドライバーらしい。
「私は普通科1年の鴻上葵。よろしく」
「あ、私は関優香!服飾科の1年!よろしくね、真琴ちゃん!!」
「うん、よろしく。どうする?今週は夕方から当直だから動かせないが、もう少し見てくか?」
「やった!」
……なるほど。
学園艦は常に航海しているが、それを運航しているのは教官に指導を受けた学生達だ。
当然、生活サイクルがすれ違う事もあるだろう。
土日はこちらが合わせれば済むが、平日はそうも行かない。
「安心してくれ。来週からは午前中にしてもらうからな」
「大丈夫なの?」
「あぁ。そもそも本来が午前で、今週は頼まれて代わっただけだしな。空き時間にコイツを動かすのも含めていつも通りだよ」
「なら良かった」
巻き込んだ事で無理をさせるのは……、と思ったが、どうやら問題なかったらしい。
真琴はそのまま当直に向かうらしく、奥からバイクを引っ張り出してきた。
「何か必要なものとかある?」
「必要な物か……」
まぁ色々とあるが、まずは──
「……改造点をまとめたファイルとか見れたら嬉しいかな」
「あ、それならあそこの机のファイルがそうだから好きに見てて。持ち出しても平気だから。帰る時は母さんに声かけてそのまま帰っちゃって。それじゃ!」
真琴はそれだけ言うと──
「わかった。ありが──、行っちゃった」
礼をいう間もなく行ってしまった。
そろそろ5時だし、結構ギリギリだったのかもしれない。
とりあえず、教えてもらった机を確認し──
周囲に別の机がないか確認する。
「机の上って……、まさかこれ?」
教えられた机の上にあったファイルは、今まで見たことの無い分厚さを誇っていた。
目を通していては夜になるので、お言葉に甘えて持ち帰り、家で内容を確認する。
まさか全部じゃないだろうと思っていたら、信じられないことにそのまさかであった。
なるほど、これは確かに魔改造である。
丁寧な事に目次もあったが、その目次だけで10ページ以上とは。
それにしても。
「エンジンとか足回りの量よ。なにこの数……」
全体のおよそ半分。
総数が総数なだけに、その半分でも相当な数になる。
エンジンのレギュレーションは結構キツめだと思っていたが、意外とやれる事は多いらしい。
「……いや、だからこそか」
使える技術の制限が厳しいからこそ、少しでも性能が上がる技術を片っ端から投入したのだろう。
それに。
戦車道において、試作車輌という「拡張性」は時に、長く戦場を支えたという「信頼性」を圧倒する。
特に終戦に間に合わなかったと言うのは、戦争の観点から言えば無駄なのだろうが、戦車道で見ると、その国の最新鋭の技術が多数使えるという事に他ならない。
さすがに当時の開発者が載せるつもりがなかった、あるいは知らなかった物は載せられないが、それ以外に関しては採用が検討されたとかのレベルでも搭載が認められている。
当時搭載予定であった部材同士であれば自由に組み合わせる事が許されている戦車道のルール上、当時は考えられていなかったが、後に主流となった組み合わせで搭載する事さえ可能という訳だ。
……というのを知識として知ってはいるのだが。
正直私がこの辺りを見ても、何が何やらといった感じである。
とりあえず、使われているパーツのメーカーと、後ろの方に挟んである性能表から、どれもこれも最高級品だという事は分かった。
と言うかこの数のパーツ換装ともなると、例えジャンクだったとしても相当するだろうに、すべてが1つのメーカーで統一され、当然ジャンクパーツなど使われていなかった。
それどころか城島重工と言えば国内屈指の精度と、それに見合ったお値段を誇る超高級店である。
いくらかかったのかを考えたら頭が痛くなりそうだ。
「練習するにしても下手に壊せないな、これは……。ん?」
そして、練習の事を考えたら1つ、疑問が浮かんだ。
「そういえば、いつもどこで動かしてるんだろう?」
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