寄生虫美女で蜘蛛の世界 作:坂本祐
ご容赦を…
事実は小説よりも奇なり、とはよく言うが実際に目の当たりにすれば読者の皆様は何を思うだろうか。とりあえず、私は困惑の一言であった。
その日は、何もない休日で自堕落な生活を送って就寝したはずであった。が、目を開ければ、築四十年を超える慣れ親しんだボロアパートの天井ではなく、シミひとつとない新築同然の真っ白な天井で上等な施設と思われるベットの上にいた。
「知らない天井だ」
何処ぞの少年パイロットと同じ台詞を呟きながら、ふとベットの横に置いてある機械に目が入る。ドラマや映画でよくみる一体いくらするのか見当もつかない精密機械の心電図と数秒ごとにぽたぽたと水滴が落ちる点滴が置いてあった。
「ん?んん〜??」
不審に思いながら、点滴の管をたどってみると、私の体に繋がっていた。
「どういうこと…?」
状況が飲み込めず一旦、起きあがろうとするも、瞬時に腹部に激痛が走った。
「ーーーっ!?」
体が燃えるように痛む、今までにない激痛。悲鳴もあげることも叶わず幾ばくか呻いて痛みが過ぎるのを待った。ようやく、痛みが収まると、起き上がるのを諦めた。とりあえず、ここが何処なのか分からない。直近の記憶は自宅で寝たところまで。なら、なぜこんな病院に運び込まれているのか皆目見当もつかない。
「飲み過ぎで臓器やられたか?それか尿管結石が再発したかな…や、でも」
いつもの考える癖で腕を組もうとした、そのとき、腕に何か柔らかいものに触れた。ふと、目線を下げると、胸部に二つの山があった。
「は?」
思わず間抜けな声が漏れるも思考はそれどころじゃなかった。混乱する中、無意識にそれに触る。柔らかい。でも、いつもと違う。いつもはもっとこんなに身近になかった、というより、付いていなかった。恐る恐る、手を下腹部の方にやる。明確な主語は避けるが、付いてなかった。ブルマの体を弄った幼少期の悟空は今の私と同じ思いだったろう。
「チンもねぇ、玉もねぇ。これは…夢か?」
今更ながら、声に違和感がした。自分の声はもっと野太く重厚な声をしていたはずだ。それが今や、何処ぞのアイドルのような可愛らしい声をしている。喉元に手をやると、喉仏がなかった。
怒涛に押し寄せる混乱の嵐に思考回路は短絡する。有り体に言えば、考えることを放棄した。ベットの脇に置いてあるボタンが目に入り、澱んだ瞳でそれを押して待つ。
「とりあえず、ナースコールで……」
始まりの朝はなんとも間抜けであった。
短いですけど、次の展開につなげるとサブタイトルが内容と合わないので一旦区切ります。