寄生虫美女で蜘蛛の世界 作:坂本祐
リアルが忙しすぎて…ほんと、精神と時の部屋が欲しいです。
あと、この作品は50話完結を目指して頑張りますので宜しくお願いします!
気が向いたらアベンジャーズ編も書きたいですね、叶うかどうかは分かりませんが…
アンケートの方終了させて貰います、投票ありがとうございました!
てなわけで、第八話どうぞ!
その日の夜、私は勉強机に向かい引き出しから新品のノートを取り出すと、椅子の背もたれに深く腰掛けながら今日の出来事を振り返っていた。あれから、コナーズ博士直々にラボを案内してもらい大変有意義な時間を過ごしたが、やはり周囲の研究者の話や雰囲気から異種間遺伝子交配が難航していることがわかった。
オズボーン社の最高責任者であるノーマン・オズボーンはコナーズ博士と旧知の仲、加えてあれだけ慕われている人柄の良い人物ならそう易々と研究を打ち切ったりはしないとは思うが果たして理事会の人たちはどう思うか。
思うように研究が進まず、莫大な研究費がかかり現実的ではない研究内容。ラボの閉鎖もあり得ない話ではない。
もし、そうなればコナーズ博士は苦渋の決断の末に自らを実験台となるのも厭わない人物だ。十中八九、リザードに変身してしまうだろう。
ふと、脳裏にコナーズ博士の言葉が過ぎる。
「人は失って初めてそれが大切だったことに気づく…か、確かにその通りね、コナーズ博士。さて、どうすればいいのか…」
あの時のコナーズ博士は、何処か危うい雰囲気が漂っていた。もし、明日にでもラボの閉鎖を通達されれば研究の成功を追い求めて、自ら投薬しかねない様子で彼の欠損した片腕を取り戻したいという気持ちも研究の成功を渇望する思いも理解できる。
たしかに、生前から今まで五体満足だった私には身体の欠損を抱える人の苦悩は分からない、だが少しでも寄り添えることはできると思う。
今の私には出来ることといえばどうにかして博士のラボを閉鎖させないように尽力することと、博士自ら実験台にならないように説得すること、くらいか。何も書かれていないまっさらのノートに一つ一つ書き込んでいく。筆を進めながら問題点の解決策を思い描き、言葉にしてまたノートに書き込んでいく。
「まずラボ閉鎖の問題に関して言えば、まだ何一つとして分かってないから一先ず理事会の反応を確認するところからか。幸いにもオズコープ社の御曹司であるハリーは友人だし、オズボーンさんに聞いてもらうのが手っ取り早いな……」
世界的大企業、その理事会内部の機密情報を抜き取ろうとする危ない橋を渡る行為ではあるが、別に金儲けのためじゃないので多めに目を瞑って見逃してほしいところではある。まあ、世間話程度にコナーズ博士の研究の評判とか反応ってどうなの?理事会とかオズボーンさんにとっては…みたいに聞けば向こうも私の真意には気づかないだろう。
なんだか企業スパイをしている気分だな、映画の見過ぎか?下らない思考を打ち切り、垂れた髪の毛を耳にかける。
「あとは、コナーズ博士の説得だけど…これは結局、人情に訴えかけるくらいしか思いつかない。馬鹿正直にリザードに変身しますよ、なんて言ったら頭の正気を疑われるし、ないとは思いたいけど尚更投与する可能性だって出てくる。あの人、トカゲの自己再生能力を羨ましがってたし……」
今日一日接してみたがコナーズ博士は常識人で誰にでも分け隔てなく接する優しい人であった。だが、人は追い詰められると時に強行に出ることも厭わなくなる。
ふと、コナーズ博士のデスクにあった写真立てが脳裏によぎった。まだ幼い子供を抱いた綺麗な女性、その隣には柔和な笑みを浮かべた幸せそうなコナーズ博士が写っていたのだ。
どうやら、この世界のコナーズ博士は家庭を持っているらしく、家庭内は極めて良好だとラボの見学の合間に耳にした。
「幸い、博士にもご家庭があるし、お子さんに至ってはまだ幼い。投与する危険性は博士も重々承知の上で悩んだ末に打ったんだ。なら、ご家族のことを全面に出して説得するしかなさそうだな…」
「とりあえず、当面はコナーズ博士に関しては、ハリーにコナーズ博士に対する理事会の反応と資金援助について、それと研究結果の確認を聞くこと。あとはグウェンにもコナーズ博士の研究結果を逐一聞いてみるしか現状打つ手ないか…」
今後やるべきことを箇条書きにして書いて真っ白なページをどんどん埋めていく。ふと、手にしていたペンが止まった。筆を進めていくうちに今更ながら気づいてしまったのである。というか、何故今まで気づかなかったのか自分の頭の出来を疑ってしまうほどの重大な問題に。
「他のヴィランの動向も確認しないと不味いかしら?」
たらり、と冷や汗が額から落ちる。
「え、これもしかして詰んでるのでは?スパイダーマンのヴィランなんてそれこそ星の数ほどいるのに……それに、流石に全てのヴィランと経歴なんて把握してないわよ……というか、こんな重要なこと如何して今まで気付かなかったの……」
思わず頭を抱えてしまうも、ズボンのポケットに閉まっていたスマホから通知を告げるバイブレーションが鳴った。どうやら、メッセージが着信したらしい。ちょうど良い、一息ついてからまた考えよう。
スマホの電源を付けて通知を見ると、そこにはグウェンの名前が表示されていた。メッセージの内容を目に通すと、今度開催されるオズコープ社主催のパレードに遊びに行かないか、というお誘いの内容で特に予定もなかったので是非と回答してメッセージを送信した。
すると、脳裏にとあるヴィランの顔と特徴的な笑い声がよぎった。トビーマグワイア版の実写映画ではオズコープ社のパレードの日にそのヴィランは群衆の前にはじめて姿を表し、オズコープ社の重役を公衆の面前で虐殺したのである。不幸中の幸いだったのは市民に死者が出たような描写はないこと。だが、流石に死人が出てしまうのは見過ごせない。
「パレード…か。とりあえず、ハリーにノーマン氏のことを聞かないと…」
スパイダーマンの世界において最も代表的で有名なヴィランの一人であり、幾度となくスパイダーマンを追い詰め、その果てにピーター・パーカーの大切な恋人であるグウェン・ステイシーを間接的に殺害したとされる仇敵。
吊り上がった眦、とんがった耳に魔女を思わせる鉤鼻、象徴的な緑の肌もしくはスーツに身を包み、空を飛ぶグライダーに乗ってはジャックオランタンを模した爆弾を投げて街を破壊する、その名も……
「グリーンゴブリン、彼が目覚めてなければいいのだけれど…」
開けていた部屋の窓から薄ら寒い風が吹き込み、私の懸念する呟きは夜風と共に消えていった。
明くる日の放課後、私はすぐにハリーのいる教室に向かった。昨夜、発覚した懸念事項を確認するためである。幸いなことに彼一人だけが教室に残って帰りの身支度をしていた。どうやら、なにか事情があって一人居残りをしていたらしい。教室に入ってきた私に驚いた様子であったが、すぐに爽やかな笑みを浮かべて迎え入れてくれた。
因みにパーカー、グウェン、MJとは違うクラスのようなのでいつものメンツは此処にはいない。運が良ければ下校中に巡り合えるだろうが、ピーターはスパイダーマンの活動があるので難しいかもしれないが…そんなことよりも。
「あら、ハリーが居残りなんて珍しいわね。何かあったのかしら?」
「いや、何でもないよ。ちょっとだけ、授業を抜け出したんだ。大した用事じゃなかったから気にしないで。それで、どうかしたの?」
「そう、なら良かった。ところで、ハリーのお父さんのノーマンさんだけど最近、体の調子とかどうかしら?」
いきなりのことで、ハリーは驚いた様子だったが次の瞬間には怪訝そうな表情をした。無理もない、今までノーマン氏とは一度も顔を合わせたこともないし、私から話題にしたこともあまりない。友人から実父の体調を尋ねられれば誰だって不審には思うだろう。だが、回りくどい会話から質問するなど私の性分ではない。それに、経験上こういう話題はまどろっこしいことをすると返って不信感を与えてしまうので開き直って聞いた方が得策だと思う。
「どうして、そんなことを聞くんだい?」
「いや、少し気になったの。お仕事お忙しいだろうし、無理されてないか…」
ハリーは私の顔をじっと見つめて何やら思案した様子で黙っていたが、周囲を見渡して教室内に私たち以外人がいないことを確認するや、意を決したのかゆっくりと口を開いた。
「ここだけの話、最近どうやら頭痛が酷いみたいだ。この前、病院に行って検査したらしい。それでおそらくストレスのせいだろうって。今は頭痛薬を服用してだいぶ楽になったって言ってたよ」
頭痛がひどい、その事実に一抹の不安が過ぎる。往々にしてグリーンゴブリンとなったノーマン氏は頭痛もしくは二重人格のような精神的に不安定に陥っていることが多く、この世界線でも該当するかは判別つかないが、警戒したことには越したことはないだろう。
一先ず、グリーンゴブリンになる直前のノーマン氏の言動が直近で見受けられないか、確認してみる他なさそうだ。
「そう、他に何か変わった事はないかしら?たとえば、前よりも怒りっぽくなったとか、頭の中で誰かの声がするとか、記憶が断片的に喪失した…とか」
今挙げた例は各スパイダーマン作品においてノーマン氏がグリーン・ゴブリンになる直前に見られる代表的な兆候であり、これに該当するなら十中八九彼はグリーンゴブリンになっていると見て間違いない。
ハリーは尚も怪訝そうな表情をするが私が真剣で問うていることから冗談で聞いている訳ではないと理解したらしく、何かを思い出すように腕を組んで考え込んだ。
「うーん、怒りっぽくなったようには見えないし、頭の中で声がするとも言ってなかった。それに記憶喪失になったとかは聞いてない、かな…」
長考の末、下された結論に一先ず肩の力が抜ける。まだ直接確認したわけではないから安心は出来ないものの、息子であるハリーが言うのだ、ノーマン氏はグリーン・ゴブリンになっていないと信じたい。
「そう、変なことを聞いてごめんなさいね。また、何かあれば教えてね?」
「あ、ああ…分かったよ。あと、別件なんだけど今度のオズコープ社主催のパレードの日の夜、空いているかな?」
「ええ、空いているわ」
「良かった、その日の夜にオズコープ社のパーティがあってね、著名な科学者たちも出席されるからアヤも一緒にどうかな?グウェンとMJも誘ってあるし、ピーターもこれから誘うところなんだ」
思わぬ誘いに目を丸くした。オズコープ社のパーティとなれば社長であるノーマン氏は言わずもがな重役の面々も出席するだろうし、そうなれば、一度に情報を集めることだって可能だ。ノーマン氏がグリーンゴブリンになっていないか直接確かめれる上に、コナーズ博士の研究に理事会メンバーはどう考えているのか、ラボの閉鎖はあり得るのか、そしてコナーズ博士のラボの目の前ですれ違ったグスタフ・フィアーズのことなど。
これらの情報を態々、関係者にアポをとって直接聞くのもハリーに又聞きする手間も省けるし、それに加えて、オズコープ社に勤務している著名な科学者といえばコナーズ博士をはじめ、オーズに連なる人物も出席するやもしれない。
その中にはオクタヴィアス博士やその他のスパイダーマンの世界で重要なキャラクターが登場する可能性だって大いにある。この機に乗じて面識を持つのも不都合なことはなく、むしろ僥倖。
オズコープ社のパーティに参加するのは一石二鳥どころではない、千載一遇のチャンス、だ。断る理由はない。
無意識に腕を組んで長考していたらしく、真剣な表情で俯いてうんともすんとも言わない私にハリーはどうしたのかと目で訴えてくるが、それまでの思考を振り払うかのように何でもないと首を横に振った。
「著名な科学者たち?例えば?」
「今のところ出席の表明をしてるのは、このまえコナーズ博士の写真に映っていたサイボーグ工学のオクタヴィアス博士、その奥さんのロージー夫人、生物学者のモービウス博士に物理学者のジョナサン・オーン博士。勿論コナーズ博士も出席されるみたいだよ」
ハリーの言葉に内心ガッツポーズをした。スパイダーマンに登場する元科学者の代表的なヴィランたちが一度に集結するようだ。好印象を与えて交友関係を深めていけば将来必ず役に立つだろう。それに、彼らがヴィランに身を堕としてしまうのを阻止できるやもしれない、そう考えると無意識に口角が上がっていた。
「そう、勿論参加するわ」
「ドレスコードがいるんだけど大丈夫かな、よければ僕が見繕うけど」
流石はミッドタウン高校一のモテ男、臆面もなく爽やかな笑顔でそのような提案をされて思わず呆気に取られた。イケメンで大企業の御曹司で爽やかな好青年、三拍子揃った美男子に惚れない女はいないだろう。生憎、私は未だ心の整理がついてない前世が男で今世が女の身。見惚れることなどなく、ただ脱帽するしかなかった。
ファッションセンス抜群の彼に任せるのも一興だが、幸いにも自分のドレスはちゃんとある。オズコープ社のパーティーに誘ってくれて天に昇るほど嬉しいのに、ここで服を強請るなんて申し訳ないし厚かましいにも程がある。流石にそこまで厚顔無恥ではない。彼の好意を無碍にしてしまうが断るのが最善の選択だろう。
「ええ、心配要らないわ。幸い、うちにあるもの…とりあえず、また連絡してちょうだい」
「わかった、この後予定あるかな?」
「ええ、ごめんなさい。ちょっと用事があるからもう行くわね」
「良かったら送っていこうか?」
ハリーの提案に首を横に振った。
「ううん、いいの。すぐそこのスーパーだし、体が鈍ってるから運動がてら歩いていくの。パレードにパーティ、楽しみにしているわ」
「喜んでくれて良かった、僕も当日が本当に楽しみだよ。僕はまだやることがあるから教室に残るよ。それじゃあ、アヤ。気をつけてね…」
「ええ、またねハリー」
別れの挨拶を済ませると私は踵を返し、ハリーを一人残して教室から出た。まさか、ここまで都合のいいチャンスが転がり込んでくるとは露も思わなかった。やはり、持つべきものは大切な友人か。上機嫌に鼻歌を口ずさみながら、下校する生徒たちの喧騒を後に昇降口を抜けると、そのまま学校近くのスーパーへと向かった。
今更ながらディズニープラス加入しました。お陰で執筆活動が進まない…
それと90年代版スパイダーマンのアニメがないことにショックを受けましたね。
ディズニーに関係ない作品が数多くあるのに肝心なmarvel作品がないのはちょっと引っかかりましたし、あの作品は今や他のところでも放映されてないんですよねぇ。
とりあえず、Amazonで販売してるDVDは買ったけど全話は収録されてないし、どうしたものか…
あなたの好きなスパイダーマンのヴィランは?
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