……体をゆっくり起こしながら、周りの様子を確認する。
どうやら自分は気を失ってしまっていたらしい。
だが蛙の撃った2射目の酸がまだ煙を上げてるのを見るに、そこまで時間は経っていない様だ。
……何で本体の怪我が回復しているんだ?
本体の怪我は回復しているようだが、人間の肉体のかすり傷や痣などは治っていなかった。
やっぱりHPも共有じゃないのか……
とりあえず自分の今のステータスを見るか
『パラサイト LV2 (
ステータス
HP : 96/96(緑)
MP : 68/68(青)
SP : 58/58(黄)
: 6/58(赤)
平均攻撃能力:452
平均防御能力:345
平均魔法能力:224
平均抵抗能力:126
平均速度能力:18
スキル
「接続LV3」「擬態VL5」「暗視VL7」「観察眼」「集中VL6」「鑑定VL10」「並列思考VL4」
「恐怖大耐性VL2」「苦痛耐性VL1」「酸耐性LV2」「n%I=W」
スキルポイント:20060』
SPの赤色がかなり減っている。
とりあえず蛙を食べるしかないか……
…ただこいつ酸を吐くんだよなぁ……
酸を溜める為の袋とか無いよな?
………やりたくないがしょうがないかぁ……
心を無心にしながら本体から触手を伸ばし蛙の口の中に入れていく。
うぅ…ヌチャヌチャするぅ…
…むむ?酸を吐いたのに蛙の口の中には酸の液体が残ってない?
やっぱりスキルを使って魔法的な何かで生み出したのか?
これは生きるためには必要な事、これは生きるためには必要な事……
蛙の口の中に入れた触手を注射の針の様な形にし蛙の喉に突き刺す。
そのまま蛙の血を吸い取る。
ヂュ…ヂュルッ…ヂュゥ…
……舌が無くて良かった。
味だけは知りたくない…
自分がやってる事を傍目から見ればかなり異様だろう。
人間の体がぼったちのまま頭から触手を蛙の口へ伸ばし、そこから異様な音を出している。
……これはしょうがない事なんだ。
だって飲み水が無くなってしまったんだから…どこからか手に入れなければいけないじゃないか…
パラサイトの部分は渇きを感じては無い。
ただ人間の体の部分の渇きが感じないのは問題だ。
人間の体が水分を求めているのか良く分かってない状態だからだ。
だから、得られる時にこうして飲むしかない。
水が手に入るその時まで。
そのまま血を飲み始めて1分ほどで吸い取れるものがなくなり、そのまま触手をワームの口の様にし喉の肉から食い始める。
どうも蛙の肉には酸の毒があるみたいで痛みが走る。
血にはそんなの無かったのに…まさにファンタジーな生き物だな…
内心呆れながらも『酸耐性』のスキルのおかげか、少し痛みが和らいでるのを感じながら我慢して食べ始める。
食べながらも今回の戦闘の反省を始める。
まず、そもそもの原因はテンパってしまったのが問題だ。
いきなりの戦闘、蛙の動きをよく見ようと別の事に神経を向けてしまったミス、考えればキリがない。
そしてもっとも良くなかったのは、スキルを検証してなかった事だ。
『集中』のスキル、最初は無能かと思ったがかなり有能スキルだった。
どうもスキルには、オンとオフ切り替えることが出来るのがあるらしいのだ。
『観察眼』や『暗視』が常時オンだったから、他のスキルもそうだと思ってしまった。
『集中』をオンにすると一つの事に
これのおかげで他に意識を向けずに蛙を殺すという事に意識が統一できた。
あれが無かったら今頃自分も蛙のようになっていただろう。
そんな事を考えていたせいか……体から力が抜け床に尻もちをついてしまう。
…そうだ…自分はさっきまで命のやり取りをしていたんだ…
それにこれは、一回で終わるような物じゃない……これから外に出るまで何十回と続けなければならない、そんなものなんだ。
……『恐怖大耐性』のおかげで何とか精神を壊す事なくここまで来た。
だが、これからこんな戦いを何度も…?何十回もやらなきゃならないのか…?
……ハァッ……ハァッ……ハァッ……!
だ、大丈夫だ。不安だが。不安で押し潰れてしまいそうだが。進まなくては…早く皆と合流をしなくては…
体を起こし食事に集中する。
自分はこの蛙よりも強い。この魔物が最底辺ではないならそれなりにやって行けるはずだ。
自信を持て自分……!
この世界にはステータスなんてあるんだ。
数字が力になるんだ。どんな弱者でも強くなれるチャンスがあるはずだ。
そのためには、スキルを取らなくては。
自分はスキルポイントに二重鑑定を使う。
そうすると今の20060ポイントで取れるスキルの一覧がずらり思考の中に並ぶ。
今自分に必要なスキルを探し始める。
そのスキル欄の中でひと際目立つ、2つのスキルを見つけた。
『怠惰:神へと至らんとするn%の力。自身を除く周辺のシステム内数値の減少量を大幅に増加させる。
また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』
……意味が分からない。
もっと意味の分かる言語で教えてくれ神様。
だけど、自分はこれと似たような文字があるスキルを知っている。
『n%I=W』
まず間違いなく関係している。
……吉と出るか凶と出るかは分からないが取るべきだろう。
だがこのスキル、コストがバカ高いのだ。
《現在所持スキルポイントは20060です。
スキル『怠惰』をスキルポイント15000使用して取得可能です。
取得しますか?》
これだ。高すぎるのだ。
他が500とか高くても5000で手に入るくせにこれだけ妙に高いのだ。
これは考察だが、ポイントの上下は才能があるかないかで変わるんじゃないか?
つまり自分には才能がないのか?
もしかして『神へと至らん』ってマジで神にさせるスキルなのか?
だったらこんだけポイント持ってかれるのは納得だ。
ただの人間に神の才能があってたまるか。
いったん保留で二つ目の方だ。
『探知:感知系すべてを統合したスキル。
概要:魔力探知・術式探知・物質感知・気配探知・危険感知・物体感知・熱感知・反応感知・空間感知』
…チートスキルだ…
今まさに必要な物がこれ一つで補える。
自分の弱点は
前を目で見なくては進めない。
もしもあの時、蛙の酸で全部の目がやられたら終わりだっただろう。
それをこのスキル一つで目なんか必要なくなり、より高度な感知ができるようになる。
《現在所持スキルポイントは20060です。
スキル『探知VL1』をスキルポイント5000使用して取得可能です。
取得しますか?》
良心的なポイントだ。
9個のスキルを1纏めにしているんだからもっと取られるかと思いきや想像以上に安い。
はい
《『探知LV1』を取得しました。残りスキルポイント15060です》
使うのは蛙を食い終わってからにするとして、怠惰をどうするかだが…
悩んでてもしょうがない。取るか。
《現在所持スキルポイントは20060です。
スキル『怠惰』をスキルポイント15000使用して取得可能です。
取得しますか?》
……はい
《『怠惰』を取得しました。残りスキルポイント60です》
《条件を満たしました。称号『怠惰の支配者』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『禁忌VL1』を獲得しました》
『禁忌:禁忌を犯した者が得るスキル。決して上げることなかれ』
……怠惰って取る事が罪なのか?
…まぁ、生き物を殺す事を罪としてない時点で、人間視点の罪ではないだろ。
神様視点の罪か?
そんなの分かるわけない。
……しょうがないか。取ったら取った時に考えよう。
…やっと蛙を食べきる事が出来た。
食べきったけど腹は出ていない。
一体何処にあのデカイ蛙は消えたんだ?
では早速探知を使ってみますか!
オン
…グウゥゥゥゥゥウゥゥウゥゥゥ⁉⁉⁉
《熟練度が一定に達しました。スキル『探知LV1』が『探知LV2』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『並列思考VL4』が『並列思考VL5』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『演算処理LV1』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『気絶耐性VL1』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『外道耐性VL1』を獲得しました》
オ、オフ!!
な、なんだこのスキル…情報量が多すぎる…
切り替えとかできずに、同時に強制的に情報を頭に叩きつけられるんだが…
これは、ポイントをドブに捨ててしまったか……のか?
『外道耐性:魂を直接犯す効果に対しての防御能力が増加する』
魂を直接?
え?ていうか魂なんて実在するのか。
って事は魂を攻撃する手段があるのか…
『演算処理:思考の演算能力を強化する』
探知で手に入ったって事はこのスキルが必要って事だよな…
『気絶耐性:気絶しにくくなる』
そのままだな。
はぁ、5000ポイント無駄にしてしまった……
まぁ、ズルして強くなるなって神様からのお告げかもしれないな…
地道に戦って強くなるしかないか…
そんな事を考えながら迷宮内を壁伝いに歩き始める。