壁沿いを歩いているが周囲は耳が痛いほどの静寂で、ただ自分の足音だけが聞こえる。
今まで通ってきた道で曲がり角があったらそのほとんどを右に通って来ていたが、ここに来て今までの通路よりもかなり広い通路に出てきた。
通路の大きさは今まで通ってきた道の5倍ほどの大きさがある。
天井も相応の高さがあり、少なくともビルの4階ほどはあるように見える。
通路は広いが特に何があるわけじゃなくそのまま迷宮の壁沿いに進んでいく。
5分を程歩いてると後ろの道から不規則にガシャンガシャンという音が聞こえてくるのを感じる。
…鉄の音?もしかして人でもいるのか?
まっすぐこちらに近づいてくるのか少しづつ大きくなっていくのを感じる。
……とりあえず隠れるか…
『恐怖大耐性』のおかげか心はそこまで動揺せずに隠れることを選択できた。
触手を広げ、傘の様にして表面の部分に目を付け擬態を発動させて隠れる。
走ってきたのは男で、見た所は冒険者のように見える。
見た目は、鉄の鎧と同じく鉄の兜を被っていて、腰には短めの剣を装備している。
…食料は何も持ってはいないように見える。
全身火傷と血で疲弊しており隠れてる自分にも気づかず、フラフラになりながらも走り去っていく。
その様子を見て、後ろの道を警戒してどう動くべきか考える。
…火傷に血、何か魔物にでも追われているのか…?
男が目の前を走って行ってから30秒ほど数えたが一向に魔物は現れず、とりあえず男の後を追ってみる。
この男を追えば外に出られる……んだろうけど怪我のせいで注意散漫になっていてガシャガシャ音をまき散らしながら走ってるから、すぐに魔物にやられそうなんだよなぁ。
……助けるべきか?
だけど今の自分の状態だと助けても精々介錯して楽にしてやるくらいしか思いつかない。
…………………っ⁉⁉
…待て、待てよ。
魔物をおびき寄せて戦い方を観戦する?
つまり目の前の男が死んでいくのを観戦するって事か?
…………それは本当に日本という平和ボケした国で育った高校生がする考え方か…?
……そんな……まさか、精神が肉体に引っ張られてるのか……?
……それなら…『人間』の自分は何時まで持つんだ…?
《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖大耐性LV3』が『恐怖大耐性VL4』になりました》
…足元が揺れてるような錯覚がする。
人間として生きてきた自分が全て否定されるかのような、心から今自分は一人なんだと理解させられた様に感じる。
……『恐怖大耐性』を上げるのも問題なのかもしれない。
自分が人間以外の
いや、一瞬だけ物凄い恐怖に襲われるが即座に精神が落ち着きを取り戻される。
今は、良い。
この暗い迷宮内で生きて行くのなら『恐怖大耐性』は必要だ。
…だけどそのうちこのスキルのせいで恐怖を感じない身になりそうで、それが怖いはずなのに怖くない。それでも何とかなると考えてる自分すらいるほどだ。
…自分はこの死地から脱出してクラスメイトと再会した時、嬉しさで泣く事が出来るんだろうか……
少なくとも今は、孤独感で震える今は、涙なんて一切出てこない………
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……冒険者の男は、そのまま行かせて自分は狭い道へ戻る事にした。
今はとにかく独りになって無心で歩き続けたい気持ちにさせられてるから……
…それに目の前で死なれても何も感じないかもしれない自分の感情を知りたくなかったから…
……だけど、世界は自分に戦いを望んでいるらしい……
『エルローランダネル LV2
ステータス
HP:145/145(緑)
MP:45/45(青)
SP:145/145(黄)
:40/105(赤)
平均攻撃能力;95
平均防御能力:76
平均魔法能力:54
平均抵抗能力:43
平均速度能力:90
スキル
「毒牙LV4」「毒爪LV4」「連携LV9」「暗視LV8」「毒耐性LV5」』
『エルローランダネル LV1
ステータス
HP:136/136(緑)
MP:28/28(青)
SP:132/132(黄)
:76/105(赤)
平均攻撃能力;87
平均防御能力:68
平均魔法能力:27
平均抵抗能力:38
平均速度能力:72
スキル
「毒牙LV3」「毒爪LV5」「連携LV7」「暗視LV6」「毒耐性LV4」』
『エルローランダネル LV1
ステータス
HP:125/125(緑)
MP:25/25(青)
SP:125/125(黄)
:28/105(赤)
平均攻撃能力;78
平均防御能力:65
平均魔法能力:22
平均抵抗能力:34
平均速度能力:77
スキル
「毒牙LV3」「毒爪LV3」「連携LV7」「暗視LV6」「毒耐性LV3」』
目の前には昨日見た3匹の死体が生きてる状態でいた。
鑑定で見た所、連携を得意とする魔物の様で全員『連携』スキルを持っているのが分かる。
…毒で攻撃して少しずつ獲物を追い込んでいく戦い方って事か……
3匹のトカゲもこちらを認識し、橙色に発光しながら包囲するように動き出そうしている。
ステータスが低く、包囲が完成する前に一番レベルが高いトカゲの心臓部に触手で作った槍を打ち抜く。
その攻撃は予想できなかったのかそのまま崩れ落ち、トカゲに二匹は一瞬呆然となり背後を振り返って逃げようとしたので、そのまま首を切り付けて絶命させる。
《経験値が一定に達しました。個体、パラサイトがLV2からVL3に上がりました》
《各種基礎能力が上昇しました》
《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『予測VL1』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。『並列思考VL5』が『並列思考VL6』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『演算処理VL1』が『演算処理VL2』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『気絶耐性VL1』が『気絶耐性VL2』になりました》
《スキルポイントを獲得しました。》
レベルが上がった瞬間本体から青い光が発光し、HPが全回復するのを肌で感じる。
……これのお陰で蛙との戦いは生き残ったのか……
そのまま機械的に三匹に向かって触手を伸ばし、血を啜り、肉を食べ始める。
《熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性VL1』を獲得しました》
その光景を自分がしてる筈なのに、心には何も響かず。
まだ二回目なのに、もう日常に風景の様に感じさせられる。
……肉を食べ血を啜り、だけども
自分の心が疲弊していて感じないのか…それともパラサイトになって感じなくなっているのか今の自分には良く分からない……
食事をしながら自分に鑑定してステータスを確認する
『パラサイト LV3 (
ステータス
HP : 112/112(緑)
MP : 85/85(青)
SP : 78/78(黄)
: 78/78(赤)+23
平均攻撃能力:463
平均防御能力:359
平均魔法能力:245
平均抵抗能力:153
平均速度能力:35
スキル
「接続LV3」「擬態VL5」「暗視VL7」「観察眼」「集中VL6」「鑑定VL10」「並列思考VL6」
「恐怖大耐性VL4」「苦痛耐性VL1」「酸耐性LV2」「気絶耐性VL2」「外道耐性VL1」
「毒耐性VL2」「腐食耐性VL1」「怠惰」「探知VL2」「演算処理VL2」「予測VL1」「過食VL1」「禁忌VL1」「n%I=W」
称号
「悪食」「怠惰の支配者」
スキルポイント:120』
『称号:特定の条件を満たすことによって得られる強化コード。
入手時にスキルを2つ取得することができる。
称号の中には特殊な効果を持つものや、ステータスを上げる効果があるものも存在する』
『悪食:取得スキル「毒耐性LV1」「腐蝕耐性LV1」
取得条件:一定期間毒物やそれに準ずるものを大量に摂取する
効果:胃腸が強くなる
説明:毒すらも食物とするものに贈られる称号』
『怠惰の支配者
取得スキル:「怠惰」
取得条件:「怠惰」の獲得
効果:対象範囲内に存在する相手のSP/MP/HPの消費量を大幅に上げる。
支配者階級特権を獲得
説明:怠惰を支配せしものに贈られる称号』
『過食:食事を限界を超えて摂取可能になる。
また、その分のスタミナを余剰分としてストックすることができる。
ただし、その分太る。
レベルの上昇によってストックできる量が増える』
自分の知らない称号やスキルの情報を見る。
『悪食』の称号は魔物を食らって得た称号だ。
一定期間っていうのが曖昧な表記である所から称号を得るタイミングは個体差があるのが分かる。
『怠惰の支配者』は『怠惰』をスキルポイントで手に入れた時に手に入れたものだ。
効果や説明はなんとなく分かるが支配者階級特権が理解できない…
《怠惰の支配者より特権の行使要請を受けました。現在怠惰の支配者が行使可能な権限はありません》
…⁉
急に神様がいつもと違う言葉を話して驚きで呼吸が一瞬止まる。
特権の行使要請…?
どこに要請したんだ…?
権限って言う事は他にも似たような支配者がいるって事か…
今は何もできないならそこまで意味はないな…
そして『過食』スキルだが……今はレベルが低くてそこまでストックできないがレベルが上がればもっとストックできるはず…
……食事も終わり歩き始める……
頭の中では寝なきゃいけないと思っているがどうしても眠れる気がしない。
…周囲の安全が確保されてないっていうのもあるが、眠ると悪夢を見そうで寝たくない…
もしかしたら、自分が気づいてないだけで、自分は既に何処かおかしいのかもしれないな…
……進み続けなくては……
オリ主の心情を書くのが難しすぎる……
書き直しまくってるうちにめちゃくちゃ時間かかってた