ソードアートオンライン~デッド・オブ・グレートセイバー~ 作:榛野 春音
それでは最新話をお楽しみください!!!
ちなみにちょっとだけこれから投稿期間あけます。
1
「なんだテメェ!」
エリウは刀使いを力押しで突き放す。
しかし、刀使いは突き放される瞬間に飛び上がり宙で回転しながらエリウの後ろに回り込む。
「ギャハッ!」
雄叫びと同時にエリウの背に刀が振り下ろされる。
「させっかよ!」
エリウに振り下ろされる刀をアルトラウスが防ぐ。
「あ゛?」
刀使いは、一歩下がりながらスキルモーションに入る。そして、下がると同時にすぐに飛び出して来た。
刀使いの放ったスキルは、型のない自由な刀剣乱舞だった。
実に12連撃。
「こんのぉおおお!!!!!!」
アルトラウスは、その乱撃を次々にはじく。しかし、フィニッシュの突きを受けてしまった。
アルトラウスは、後ろにいたエリウごと吹き飛ぶ。
「アルトラウス!」
エリウはすぐに起き上がる。
アルトラウスも突きを受けた腹部を押さえて立ち上がる。ゲージの減りは五分の一。たいしたことはない。
「なんつー野郎だ。いきなり・・・・・・って、なんだよこれ!?」
アルトラウスの驚愕した声に、エリウはアルトラウスの視線をたどる。
「なっ!?」
見れば、アルトラウスの腹部の傷エフェクトがどんどんと木の根の如く広がっていくのだ。
アルトラウスのゲージが更に削れ、三分の一ほど亡くなる。
すると、そんなエリウ達を見た刀使いが笑い声を上げる。
「ギャヒャヒャ!!!驚いたろ?これが俺のユニークスキル《怨血刀》だ!ヒットしたところを中心にどんどん傷が広がるぜぇ!!!!」
エリウは、アルトラウスに回復結晶を投げてよこす。
「わりーな。」
アルトラウスの礼にエリウは首を振る。
「気にすんな。これでさっきのはチャラだ。それよか、あの剃り込みヤローに集中しろ。」
エリウとアルトラウスがそれぞれ剣を構える。
「ギャヒャヒャ。いいねぇ。やる気になってくれたみたいでよ!」
「ギャヒャギャヒャうるせーんだよ!気持ちわりーな!何でこんなことしやがる?」
すると、刀使いはニヤリと笑う。
「ギャヒヒ。せっかくだから教えてやるよ。俺は力がほしいんだ。だから、テメェらに俺が勝ったらお前らは俺の下僕となれ!断ればその場で殺す。いやなら従え!」
それを聞いてエリウは、鼻で笑う。
「じゃぁ、俺達が勝てばどうなる?」
刀使いは、すぐに答える。
「お前らの自由だ!殺すのも黒鉄宮送りでもって好きにしな!」
刀使いの言葉にアルトラウスは言った。
「いいじゃねぇか!ならさっさとブチ殺してやるよ!!」
そして一歩前に出ようとする。しかし、エリウは手を出してそれを制す。
「俺にやらしてくれよアルトラウス。」
「え?わざわざ向こうが二対一望んでのにタイマンはる必要ねーだろ?」
「なら言い方を変えよう。お前がでるまでもない。」
こうやって少しおだてれば、アルトラウスは引き下がる。結局軽い男だからな。
「お・・・・おう。そうか。なら、任せるぜ。」
予想通りアルトラウスは、引き下がる。
やっぱり軽い男だ。
エリウは、刀使いに向き合ってから言った。
「俺は、暗黒点のエリウ。あんたの条件を呑もう。だから、俺があんたに勝ったら俺の仲間になれ!」
次の瞬間、先に声を上げたのは刀使いでなく、アルトラウスだった。
「はぁ!?エリウ!何言ってんだ!こいつ何するか分かんねー奴なんだぞ?」
しかし、エリウは静かに答えた。
「でも、殺しに来たわけじゃない。あくまで仲間増やしがしたいようだからな。こっちも仲間が必要な時期だ。問題なのはどちらが上につくかだ。」
そう言ってエリウは剣を構えた。
「よくわかってんじゃねぇか。流石は噂の暗黒点。ますます欲しくなってきたぜ!」
刀使いは、言うなり飛び出して来た。
エリウは、スキルモーションに入る。
ちょうどいい。仲間にするなら、強いに越したことはない。ましてや、こちらに興味を示しているなら尚更だ。
ならば、圧倒した上で仲間にする。そう、リアルでやってきたように!決めるなら一撃だ!!
ふとリアルでの自分を思い出しつつ、エリウは突っ込んでくる刀使いにスキルを放った。
《アブソリュート・セイバー》固有単発最上位技[レイボルディア・アルカイヴ]。
[デッド・オブ・グレートセイバー]が強烈な虹色に発光し、突き出しと同時に切っ先からレーザーキャノンのようなエネルギー砲が放出される。
その先端は、矢のように鋭く尖り真っ直ぐに刀使いに飛んで行く。
刀使いが目をむく。
その目には、微かに敗北を確信した色が見える。
それを見て、エリウはギリギリでスキルの軌道を微かにそらした。
虹色のエネルギー砲が刀使いの刀を右手ごと消し飛ばした。
それでもエネルギー砲は、勢いを止めず、後方の壁に激突する。
物凄い爆音がダンジョンに轟く。
しかし、壁は破壊不能オブジェクト故、壊れない。
エリウは、反動で半分ほどに削れてイエローゾーンに達した己のゲージを眺める。
茅場晶彦は、なんでこんなスキル作りやがったんだ。こんなんチーターもビーター超えて、もはや神じゃねぇか。反動なかったら本当に神になるとこだったぜ。
我ながらその威力に舌を巻きつつ、エリウは片腕のない刀使いを見る。刀使いは放心状態でその場に膝をついていた。
《アブソリュート・セイバー》には、最上位スキルが五つある。その一つを真で受けなかったとはいえ、ダメージは大きい。現に刀使いのゲージは、一撃でレッドゾーンに達していた。
エリウは、静かに言った。
「俺の勝ちだ。」
2
勝負が済んだ後の沈黙を破ったのは、軽い男ことアルトラウスだった。
「っておい!エリウ!今のなんだよ?見たことねーぞ?つか、チートもいいとこだろうが!!!」
「うるせぇよ!テメェにパクられんのが嫌で隠してたんだよ!」
「何おう!!!」
エリウとアルトラウスがもみ合い始める。
刀使いは、それを見てようやく放心状態から解放される。
そして、エリウの前に跪いた。
エリウ達が動きを止めると、刀使いはボソボソと悔しげな口調で言った。
「約束だ。あんたの仲間になる。」
エリウは、それを聞いた後アイテムストレージを開く。そして、一本の刀を取り出して刀使いの前に突き立てた。
刀使いは不思議そうな顔でその刀を見る。
エリウは言った。
「この刀をやる。これを俺への忠誠の礎としろ。」
刀使いは、それを聞いて僅かに頷いた。
エリウは、その後アルトラウスに向かって冗談めかして言った。
「お前も俺の下につくか?」
「バカ抜かせ。俺は、万年お前とは対等で行く。」
アルトラウスの言葉にエリウは笑う。
「はっ!それでこそ俺のライバルだ。」
後
エリウはレックスと名乗ったその刀使いを連れ、一度主街区に戻ることにした。アルトラウスは、知人との約束がある故そこで分かれた。
エリウ達の去ったダンジョン内に暫しの沈黙が流れる。そして突然にクスクスと笑い声が響いた。
次の瞬間、黒煙の出現とともにその中から二人組の少女が現れる。
隠蔽スキルから派生するスキル[ファントム]だ。
少女は二人とも軽装の装備に腰にダガーをさしている。片方は、腰まであるロングヘアー。もう片方はショートヘアー。そしていづれも金髪でそっくり容姿だった。
双子のようだ。
二人はクスクスと楽しそうに笑っている。
「ねぇエル。暗黒点ヤバいね。」
「そうねアール。でもそれより、ユニーク使いがこんなに揃うことがヤバいよ。」
「そうだね。流石エルは、見るところが違うね。」
すると、エルというロングヘアーの少女が髪を払った後、ゆっくりと言った。
「アール。物事はどれも全体を見るべきよ。目の前のことに捕らわれてるようじゃ死ぬわよ。」
そう言われてアールというショートヘアーの少女は笑って頷いた。
「で、どうするの?アイツらまとめてやっちゃう?私早く殺したい!」
「落ち着きなさいアール。もう少し様子を見ましょう。狩りはその後よ。」
そう言って、エルは冷たく笑う。
「楽しみ楽しみ!」
アールも飛び跳ねながら冷たい笑いを浮かべた。
そんな二人の腕には、今は無き犯罪者ギルド[ラフィン・コフィン]のマークが刻まれていた。
3
強い。
正直にそう感じた。
初めて目にした時からそう感じていた。
自分の腕には自信があったし《怨血刀》も強力なユニークスキルだ。
でも、実際勝てなかった。
初めて見た日から今日までずっとどうすればこの男の仲間になれるのか考えていた。
この男は何を目的にし、どう生きるたいのか?その全てを知りたい故に仲間になりたかった。
そして、この間知ったのだ。それは七十一層のボス部屋でのことだった。ずっと物陰に隠れて見ていたが仲間がピンチの際にこの男は、言ったのだ。もう誰も死なせない為にこの力を得たのだと。
俺は、理解した。この男は、人を救うために強くなり、それをふるうのだと。そして、人の為に生きるのだと。
そう知ってからは、真の意味で仲間になりたいと思った。
この男と共に戦いたいと。
方法に迷った挙げ句、ひねくれた方法で仲間となることができた。
不器用な自分が多少恨めしい。
でも、後悔はしていない。
そう考えながら少し前を行くエリウに目を向ける。
そして、再生した右腕を握りしめ、レックスは己に誓う。
俺も人の為に戦おうと。